後遺障害5級の交通事故慰謝料|1億1573万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害5級の判例についてご紹介します。
こちらの判例の被害者は、併合5級の後遺障害が認定され、総額で1億1573万円の損害賠償金が認められました。
慰謝料やその他の示談金はどのようにして算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級5級(男・41歳)損害額1億1573万3837円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の民事第3部の判決、平成23年(ワ)3024号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、右大腿骨骨幹部骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害車が道路右側部分を走行し、対向直進してきた加害車と正面衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 41歳 |
事故の内容 | 加害車が道路右側部分を走行し、対向直進してきた加害車と正面衝突した。 |
傷害の内容 | 右大腿骨骨幹部骨折、右大腿骨転子部骨折、右上腕骨顆上骨折、右前腕骨骨折、右膝蓋骨骨折、右膝後十字靱帯損傷、血気胸、脳挫傷、頭部外傷後高次脳機能障害、四肢体幹運動障害、両眼近視性乱視、両眼視神経萎縮、右眼動眼神経麻痺など |
後遺障害等級 | 併合5級(高次脳機能障害:7級、視野障害・複視・視力低下:併合8級、上肢機能障害:併合9級、下肢機能障害:8級、膝・上肢手術痕:各12級) |
入院 | 304日 |
被害者は全身に大怪我を負い、300日以上の入院が必要となったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億1573万3837円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1820万円 |
うち休業損害 | 1530万2691円 |
うち逸失利益 | 5885万6078円 |
損害総額は1億1573万3837円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億1573万3837円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が420万円、後遺障害の慰謝料が1400万円認められました。
- 休業損害としては、症状固定日まで1226日を休業日数として認められ、1530万2691円となりました。
- 逸失利益は、事故前収入552万3120円を基礎収入とし、労働能力喪失率は79%、労働能力喪失期間は67歳まで23年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は高次脳機能障害や手足の機能障害で併合5級が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
事故時の被害者の年収が平均賃金よりも低かったケースにおいて、被害者が平均賃金を用いて逸失利益を計算すべきと主張していました。
本判決では、結論として被害者の実際の年収を基礎収入とすべきとの判断をしております。
一般的には、被害者が事故当時よりもその後収入が増加する蓋然性がない限り、事故当時の収入を基礎として逸失利益が計算されることになるといえます。
しかし、あくまで被害者の年齢や資格・将来的な昇進の可能性・就労していた会社等の規模といった個別的な判断が結果を左右しますので、詳しくは弁護士に相談するとよいでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害5級の慰謝料計算の特徴は?
5級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に5級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、5級の場合、裁判基準では1,400万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、5級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を79%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、5級2号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、5級2号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害5級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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