後遺障害5級の交通事故慰謝料|1億1226万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害5級の判例 についてご紹介します。
5級は、部位や症状によって1~8号の8種類に分類されます。
5級の後遺障害が残ってしまった場合、79%の労働能力が失われ、仕事もかなり制限されてしまうことになります。
この判例では、総額1億1226万円の損害賠償金が認められたようですが、算定においてどのような点がポイントになったのでしょうか?
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級5級(男・症状固定時30歳)損害額1億1226万7501円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成23年(ワ)4985号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害車が、交差点手前の右折専用車線に誤って進入したため、直進車線である第3車線に進路を変更しようとしたところ、第3車線を直進してきた被害車と衝突し、被害車が転倒した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大工 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時30歳 |
事故の内容 | 加害車が、交差点手前の右折専用車線に誤って進入したため、直進車線である第3車線に進路を変更しようとしたところ、第3車線を直進してきた被害車と衝突し、被害車が転倒。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、頸椎捻挫、全身打撲、頭蓋骨骨折及び脳挫傷など |
後遺障害等級 | 5級2号 |
入院 | 15日 |
被害者は、ふらつきやめまいの症状がみられるほか、発語が緩慢で、同じやりとりを繰り返さないと意思疎通ができないことがある、記憶力に障害があるなどの後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億1226万7501円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1577万円 |
うち介護費用 | 1372万5007円 |
うち逸失利益 | 7266万2086円 |
損害総額は1億1226万7501円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億1226万7501円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が177万円、後遺障害の慰謝料が1400万円認められました。
- 将来介護費用としては、1日当たり2000円が43年間認められました。
- 逸失利益は、男子学歴計平均賃金550万3900円の収入を得基礎収入とし、満67歳に達するまでの37年間にわたり、79%の労働能力を喪失したとして算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故により高次脳機能障害で5級が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
通常、将来介護費用が認められるのは、要介護とされる1級や2級を思い浮かべます。
しかし、3級や5級あるいはそれより下位の等級にあたる高次脳機能障害でも主張・立証しだいでは認められるケースはあります。
5級の場合、入浴・食事・排泄・更衣等の基本動作は自身で可能なケースが多いので、それ以外に見守りや指示出しが必要であることを主張することになるでしょう。
適切な主張立証のために、まずは弁護士に相談してみると見通しが立つといえます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
弁護士に無料相談してみてはどうでしょう?
こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから電話相談の案内を受けることができるので、使い勝手がいいです。
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※無料相談の対象は人身事故のみです。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害5級の慰謝料計算の特徴は?
5級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に5級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、5級の場合、裁判基準では1,400万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、5級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を79%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、5級2号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、5級2号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、これらのポイントは一般的・総論的なお話であり、被害者の方それぞれの事情によって変わってくることがあります。
もし、交通事故についてのお悩みがある場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害5級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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交通事故は専門的な用語ばかりで、分からないことも多いですよね。
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