後遺障害4級の交通事故慰謝料|1億3354万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害4級の判例についてご紹介します。
4級の後遺障害が認定される場面としては、4級そのものの後遺障害に認定されるか、複数の後遺障害があるために併合4級の認定を受けるかのいずれかになります。
もし交通事故によって4級の後遺障害が残ってしまった場合、慰謝料などはどのくらい支払われることになるのか知らない方は多いのではないでしょうか。
ここでは、実際の裁判例ではどのようにして金額が算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級4級(男・16歳、症状固定時18歳)損害額1億3354万5194円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成14年(ワ)第1912号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号機による交通整理の行われていない交差点において、被害者運転の原動機付自転車と、加害者運転の車両とが衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 高校生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 16歳(症状固定時18歳) |
事故の内容 | 信号機による交通整理の行われていない交差点において、被害者運転の原動機付自転車と、加害者運転の車両とが衝突した。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、びまん性軸索損傷、右同名半盲、右動眼神経麻痺など |
後遺障害等級 | 併合4級(高次脳機能障害:5級2号、右同名半盲:13級2号、右動眼神経麻痺に伴う正面視での複視:12級) |
入院 | 187日 |
この事故の過失割合は被害者7割、加害者3割とされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億3354万5194円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2020万円 |
うち将来の付添費 | 1381万8316円 |
うち逸失利益 | 9370万5433円 |
損害総額は1億3354万5194円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億3354万5194円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が350万円、後遺障害の慰謝料が1670万円認められました。
- 将来の付添費としては、介護が必要な期間は症状固定時の平均余命である60年として、1日当たり2000円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は男子学歴計全年齢の平均賃金である560万6000円、労働能力喪失率は92%、労働能力喪失率は18歳から67歳までの49年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男子高校生は、事故によって高次脳機能障害などの後遺障害によって併合4級が認定されたようですね。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、高次脳機能障害の等級に争いがあったものの、後遺障害併合4級として認定され、4級の裁判基準通りの慰謝料・逸失利益が認められております。
この他、将来の付添費も主な争点となりましたが、恒常的な将来の介護は必要ないものの、随時その必要性があるとしてその限度で将来付添費用を認めております。
このように、将来介護の必要性については、食事、入浴、排せつといった全面的な介護を要する場合だけでなく、随時声掛けや監視を必要とする場合まで一定の幅があることが分かります。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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後遺障害4級の慰謝料計算の特徴は?
4級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に4級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、4級の場合、裁判基準では1,670万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、4級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を92%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
上に挙げられている裁判例のように、職務内容により、片腕や片脚を失った(4級4号及び5号)としても、仕事がほとんどできなくなったとまでは言えない場合がある反面、運転手の両目の視力が0.06以下(4級1号)になれば、運転手は続けられないなど、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張することが必要となります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、被害者の方々の事情によって異なることもあります。
また、後遺障害に関しては、医学的・法律的な知識が必要となってくるので、もし後遺障害でお悩みの場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。