後遺障害3級の交通事故慰謝料|1億4448万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害3級の判例についてご紹介します。
3級の後遺障害というと、働いたり、1人で生活することも難しい状態です。
今後のことを考えると慰謝料は十分に支払ってもらえるのか不安になりますよね。
ここでは、実際の裁判例ではどのようにして金額が算定されているのか、弁護士の先生とともにご説明します。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級3級(男・症状固定時39歳・イラン人)損害額1億4448万0095円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成19年(ワ)第12315号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害普通貨物車が交差点で右折しようとした際、対向車線を直進してきた被害バイクと衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時39歳 |
事故の内容 | 加害普通貨物車が交差点で右折しようとした際、対向車線を直進してきた被害バイクと衝突。 |
傷害の内容 | 脳挫傷、急性硬膜下血腫、右足関節脱臼骨折、左肘関節脱臼、右下腿挫創など |
後遺障害等級 | 併合3級(高次脳機能障害:5級2号、右足関節の可動域制限:8級7号、外貌醜状:12級12号、左耳の耳鳴り:12級、嗅覚減退:14級) |
入院 | 74日 |
被害者は事故によって、てんかん、身体機能障害、高次脳機能障害などの後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億4448万0095円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2320万円 |
うち休業損害 | 2467万3608円 |
うち逸失利益 | 6991万6783円 |
損害総額は1億4448万0095円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億4448万0095円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が320万円、後遺障害の慰謝料が1700万円、妻固有の慰謝料が300万円認められました。
- 休業損害としては、事故前年度年収469万3000円を基礎収入とし、症状固定時までの1919日間を休業日数として算定されました。
- 逸失利益としては、基礎収入は休業損害と同じく469万3000円とし、労働能力100%を28年間喪失したものとして算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらのイラン人の男性は、結婚して日本での永住資格を得ていたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
当初自賠責の認定は高次脳機能障害につき9級10号でしたが、被害者側の異議申立てが認められ5級2号に上がり、他の障害と併合して3級と認定されたという点でも比較的まれなケースです。
また、他の3級以上の重篤な障害のケースで多くみられるように、被害者自身の後遺障害慰謝料の他に、被害者の妻にも固有の慰謝料を認めております。
重篤な症状を負わされたために、妻は被害者である夫の介護に献身的に続けるため自らの職業的キャリア・自身の生活を犠牲にしている点が正当に評価されたといえるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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後遺障害3級の慰謝料計算の特徴は?
3級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に3級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、3級の場合、裁判基準では1,990万円となっております。
また、被害者の症状によっては、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる余地があります。
さらに、3級3号の高次脳機能障害であっても、上に挙げれらている裁判例のように、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用(将来介護費)を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、事故に遭われた方々のさまざまな事情が考慮されることによって変わることがあります。
重い後遺障害によってつらい思いをされている被害者にとって、事故後の対応はとても大きな負担となってしまいます。
もし、交通事故のお悩みがある場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみることをおすすめします。