後遺障害3級の交通事故慰謝料|1億4008万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害3級の判例についてご紹介します。
3級の後遺障害が認定されると、まったく働けなくなったものと判断されるようです。
もし働けなくなってしまったとしたら、今後生活については十分に補償されるのか不安になりますよね。
この判例では、 総額1億4008万円の損害賠償金が認められたようですが、どのような点が算定のポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級3級(男・症状固定時40歳)損害額1億4008万6656円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成15年(ワ)第4749号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、右頭蓋骨骨折・外傷性クモ膜下出血となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「国道沿いに駐車していた車両(A)を回避するため同車両の右側車道上を走行していた被害自転車に後続の走行車両(B)が追突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員・設計士 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時40歳 |
事故の内容 | 国道沿いに駐車していた車両(A)を回避するため同車両の右側車道上を走行していた被害自転車に後続の走行車両(B)が追突した。 |
傷害の内容 | 右頭蓋骨骨折(亀裂)、外傷性クモ膜下出血、急性硬膜下血腫、頭部外傷III、・右とう骨頭骨折、右上腕骨顆上骨折、髄膜炎、遷延性意識障害など |
後遺障害等級 | 3級3号 |
入院 | 43日 |
被害者は、付き添い無しでは通院することも難しくなってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億4008万6656円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2500万円 |
うち休業損害 | 1283万6759円 |
うち逸失利益 | 8649万7489円 |
損害総額は1億4008万6656円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億4008万6656円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が400万円、後遺障害の慰謝料が1800万円、妻固有の慰謝料が300万円が認められました。
- 休業損害としては、事故前の収入627万3374円を基礎収入とし、休業日数は764日が認められ、支給を受けた金額合計61万4358円と健保からの支給32万円を差し引いた1283万6759円となりました。
- 逸失利益としては、大卒男子平均賃金671万2600円を基礎収入とし、労働能力喪失率は88%、就労可能年数は27年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの設計士の男性は高次脳機能障害で3級3号が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件で特徴的なのは、労働能力喪失率の認定でしょう。
通常3級での基準となるのが喪失率100%ですが、本件では88%と低く認定されています。
これは、後遺障害により被害者の失われた能力を具体的に検討した上で3級と5級の中間程度と判断したという理由になります。
このように基準と異なった認定がされることも多いので、具体的な事案を弁護士に相談するメリットがあるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害3級の慰謝料計算の特徴は?
3級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に3級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、3級の場合、裁判基準では1,990万円となっております。
また、被害者の症状によっては、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる余地があります。
さらに、3級3号の高次脳機能障害であっても、上に挙げれらている裁判例のように、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用(将来介護費)を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、事故に遭われた方々のさまざまな事情が考慮されることによって変わることがあります。
重い後遺障害によってつらい思いをされている被害者にとって、事故後の対応はとても大きな負担となってしまいます。
もし、交通事故のお悩みがある場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみることをおすすめします。