人身事故の示談金|内訳や相場は?保険会社から保険金の支払い時期はいつ?

  • 人身事故,示談金

人身事故の示談金|内訳や相場は?保険会社から保険金の支払い時期はいつ?

自動車を運転中に人身事故に遭った場合、相手側の保険会社示談交渉をすることになります。

しかし、交通事故に何度も遭って、示談交渉に慣れているという方はほとんどいらっしゃいませんよね。

初めての示談交渉に挑むにあたっては、

  • 人身事故の示談金相場って?保険会社から提示されたままOKして良いの?
  • 示談金の内訳はどうなっているの?
  • 示談金はいつ支払われるの?
  • 示談金に納得できない場合はどうすれば良いの?

など、知りたいことがたくさんありますよね。

そこで今回このページでは、人身事故の示談金に関して、一緒に詳しく勉強していきましょう!

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

人身事故による怪我、さらに後遺症が残ってしまった場合には、ご本人の日常生活やご家族の方への負担も非常に大きいものとお察しします。

それにもかからわず、保険会社から提示された示談金の額に納得がいかず、悩んでいるという方からの相談も数多く受けてきました。

その経験に基づき、具体例も交えながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

初めての示談交渉。

何もわからない状態でも、「プロである保険会社に任せておけば安心」と思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、示談金の相場などについてわかっていないと、気付かぬうちに損をしてしまうかもしれないのです。

そのような二次被害とも言える事態を防ぐためにも、ここで示談金について一緒に勉強しておきましょう!

自動車での人身事故における示談金の内訳とは

自動車での人身事故における示談金の内訳とは

そもそも賠償金・保険金・示談金・慰謝料の違いって!?

まず、示談交渉を進めていると、示談金保険金賠償金(損害賠償金)、慰謝料など、様々な用語が出てくるはずです。

どれも同じものと思いがちですが、実はそれぞれ違うものなのです。

その違いから勉強しておきましょう。

賠償金(損害賠償金)とは

まず、賠償金(損害賠償金)とは、加害者が法律上の賠償責任を負ったものに対して支払うものになります。

(不法行為による損害賠償)

第七〇九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

そして、その損害賠償の方法は、基本的に金銭で行われると民法で規定されています。

(損害賠償の方法)

第四一七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

交通事故の賠償金としては、大きく以下の2つに分けられています。

  • 人身損害に対する賠償金
  • 物的損害に対する賠償金

保険金とは

次に、保険金とはなんでしょうか。

加害者が法律上の賠償責任を果たさなければならない場合、その人が保険に加入していたとします。

その場合、保険契約者に保険金が支払われ、その保険金が被害者に対する賠償金として支払われることになるのが原則なのです。

一方、加害者が保険に入っていなかった場合には、当然保険金は発生しません。

ただし、加害者が保険に入っていない場合でも、賠償金は支払う必要があるのです。

示談金とは

続いて示談金とは、加害者側と被害者側が示談交渉によって定めた賠償金のことになります。

加害者が保険会社に加入している場合には、保険会社と被害者側が示談交渉で定めた金額ということになります。

つまり、示談金とは定まった金額があるわけではなく、保険会社が提案してきた示談金に納得できなければ、交渉を続けることができます。

お互いが納得できた時点で交渉成立となり、お互いが決めた示談金=賠償金が支払われるということになるのです。

慰謝料とは

最後に慰謝料とは、精神的な苦痛に対しての損害賠償となっています。

よって、慰謝料は賠償金の一部なのです。

慰謝料は、人身損害の場合でしか受け取ることができません。

物的損害の場合には、精神的・肉体的に損害を与えているとは言えないため、特殊なケースを除いて慰謝料を請求することはできません。

まとめ

賠償金・保険金・示談金・慰謝料の違い

賠償金(損害賠償金)
加害者が法律上の賠償責任を負ったものに対して支払うもの
保険金 示談金 慰謝料
加害者が保険に加入していた場合、保険を使って支払う賠償金 加害者側と被害者側が示談交渉で決めた賠償金 精神的な苦痛に対しての賠償金

以上より、事故の加害者が自動車保険に加入しており、その保険会社から提示された賠償金に被害者の方が納得すれば、賠償金=保険金=示談金ということになります。

その中の一部に、慰謝料が含まれているという関係なのですね。

示談金の内訳|通院・入院・後遺症・死亡に対する補償

では、自動車での人身事故の場合に受け取れる示談金の内訳はどのようになっているのでしょうか?

一部が慰謝料ということはわかりましたが、その他の示談金の中身とは?

自賠責保険による補償

人身事故の被害に遭った場合、まずは自賠責保険から保険金が支払われます。

自賠責保険とは、自動車やバイクを運転する人に加入が義務付けられた保険で、あくまでも事故被害者の方への最低限の補償を目的とした保険となっています。

しかし最低限とはいえ、「傷害」、「死亡」、「後遺症」、「死亡に至るまでの傷害」に対する賠償金を受け取ることができます。

傷害に対する示談金の内訳

傷害に対する補償としては、「治療費」や「休業損害」、「慰謝料」や「その他実費」などの示談金が支払われます。

限度額としては、被害者1名につき合計で120万円までとなっているそうです。

傷害に対する示談金の内訳
治療費
診察代や手術代、投薬代や入院代の費用など。
看護料
原則として12歳以下のお子様に近親者の方が付き添った場合や、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料、通院看護料。
諸雑費
入院中に要した雑費。
通院交通費
通院に要した交通費。
義肢等の費用
義肢や義眼、めがね、補聴器、松葉杖などの費用。
診断書等の費用
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料。
文書料
交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料。
休業損害
怪我の治療などで失われた収入(有給休暇の使用、家事従事者を含む)。
慰謝料
事故で怪我をしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。
後遺症に対する示談金の内訳

治療を行ったにも関わらず、残念ながら怪我が完治せず、後遺症が残ってしまった場合…。

その後遺症に対する補償として、後遺症障害の程度に応じて「慰謝料」や「逸失利益」などの示談金が支払われます。

ちなみに後遺症としては、自動車損害賠償保障法施行令の別表第1もしくは別表第2に該当する場合が対象となります。

該当内容について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

後遺症に対する示談金の内訳
慰謝料
後遺症が残ったことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。
逸失利益
身体に残った障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減。
死亡に対する示談金の内訳

非常に残念なことですが、被害者の方が死亡してしまった場合には、死亡に対する補償として、「被害者および遺族への慰謝料」や「逸失利益」、「葬儀代」といった示談金が支払われます。

限度額としては、被害者1名につき合計3000万円までとなっているそうです。

死亡に対する示談金の内訳
葬儀費
通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用(墓地、香典返しなどは除く)。
逸失利益
被害者が死亡しなければ将来得られたはずの収入から、本人の生活費を控除したもの。
慰謝料
事故で被害者の方を亡くしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。

なお、亡くなられるまでに入院などで治療を受けたことに対する補償は、「傷害に対する補償」の規定が準用されるそうです。

任意保険による補償

しかし、自賠責からの賠償金は最低限のものであり、限度額が定められています。

その自賠責からの賠償金の限度額を超える分については、加害者が任意保険に加入していれば、任意保険から支払われることになるのです。

任意の自動車保険と自賠責の関係

その他、加害者や被害者の方ご自身が任意保険に加入している場合には、以下のような賠償金も受け取れる可能性があります。

任意保険のおもな補償内容
対人賠償保険(事故の相手に対する補償)
交通事故で相手側の車に乗っていた人や歩行者を怪我させたり、死亡させてしまった場合など、法律上の損害賠償責任を負担する場合に、自賠責保険の補償上限を超える損害賠償をカバーするもの。
対物賠償保険(事故の相手に対する補償)
交通事故で他人の車や物などの財物に損害を与えてしまった場合に、保険金が支払われるもの。
人身傷害補償保険(自分や同乗者に対する補償)
過失割合に関わらず、保険会社の基準によって実損害額の保険金が支払われるもの。
同乗者の損害は、基本的に無条件に補償される。
搭乗者傷害保険(自分や同乗者に対する補償)
自分の車に乗っている人(運転者・同乗者)が死亡、怪我をしてしまった場合に、自賠責保険や対人賠償保険などとは別に保険金が支払われるもの。
無保険車傷害保険(自分や同乗者に対する補償)
賠償能力が十分でない車の過失による事故に巻き込まれた場合に、保険金が支払われるもの。
自損事故保険(自分や同乗者に対する補償)
運転手自身の責任で起こした事故により、運転手自身が死亡、怪我をしてしまった場合に保険金が支払われるもの。
車両保険(車に対する補償)
事故によって破損した車両の修理代が支払われるもの。
単独事故や当て逃げも補償するタイプや、他車との接触による損害のみを補償するタイプなど、いくつか種類がある。

以上の通り、示談金の内訳としては、慰謝料以外にも、多くの種類の賠償金=保険金=示談金を受け取ることが可能なのですね。

示談金の計算方法|相場はいくら?打撲や頚椎捻挫などの軽症では相場が違う?

では、人身事故の示談金としては、いくら支払われるのでしょうか?

答えを言ってしまうと実は、示談金には相場というものはないようなのです。

というのも、加害者側と被害者側でお互いに納得した賠償金の額が示談金となるからです。

低くても、被害者の方がOKすればそれが示談金になりますし、納得できない場合には示談金を増額させるための交渉をすることになるでしょう。

ただし、入通院や後遺症が残ったこと、被害者の方が死亡したことによる精神的苦痛に対する慰謝料については相場があるようです。

ここから詳しく見ていきましょう。

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

まず慰謝料の相場に関して一番のポイントとなるのは、慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているということです。

自賠責基準

自賠責基準の慰謝料は、自賠法に基づく省令により設定されています。

先ほどもご紹介しましたが、自賠法は、事故の被害者の方が最低限の補償を受けるためのものなので、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

自賠責からの賠償を超える分については、任意保険会社から支払われるという話でしたよね。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているはずです。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、弁護士を付けて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のことになります。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、入院、通院、後遺症、死亡に対する慰謝料の相場を、3つの基準ごとに一部抜粋してご紹介したいと思います。

入通院慰謝料

自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になります。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

そして、任意保険基準と弁護士基準における慰謝料の相場は、入通院の期間に応じて、以下の通りになっているそうです。

「通院」に対する任意保険基準と弁護士基準の検証(一部抜粋)
経過月数 任意保険基準 弁護士基準
1ヶ月 12.6 28
2ヶ月 25.2 52
3ヶ月 37.8 73
4ヶ月 47.9 90
5ヶ月 56.7 105
6ヶ月 64.3 116
7ヶ月 70.6 124

※ 単位:万円

「入院」に対する任意保険基準と弁護士基準の検証(一部抜粋)
経過月数 任意保険基準 弁護士基準
1ヶ月 25.2 53
2ヶ月 50.4 101
3ヶ月 75.6 145
4ヶ月 95.8 184
5ヶ月 113.4 217
6ヶ月 128.5 244
7ヶ月 141.1 266

※ 単位:万円

軽症の場合は相場が違うってホント!?

また、入通院慰謝料に関しては、打撲頚椎捻挫(むちうち)のような軽症の場合には、慰謝料の相場が少し低くなっているそうです。

というのも軽症の場合、心理的な原因で痛みが続き、通院が長引くケースも多いからなのだそうです。

具体的な違いは、以下の表をご覧ください。

~重症の場合~

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

~軽症の場合~

軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表

後遺症慰謝料

次に後遺症が残ったことに対する慰謝料は、認定される1~14級等級に応じて、相場が決まっているそうなのです。

後遺症慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
1 1100
1600
1300 2800
2 958
1163
1120 2370
3 829 950 1990
4 712 800 1670
5 599 700 1400
6 498 600 1180
7 409 500 1000
8 324 400 830
9 245 300 690
10 187 200 550
11 135 150 420
12 93 100 290
13 57 60 180
14 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

  ()内は要介護の場合の金額。

※3 旧任意保険支払基準による。

死亡慰謝料

最後に、被害者の方が亡くなられてしまった場合には、死亡慰謝料が支払われることになります。

まず、自賠責基準では以下のようになっているそうです。

自賠責基準による死亡慰謝料
被害者本人一律 遺族※ 被扶養者がいる場合
350万円+ 1 550万円 200万円
2 650万円
3人以上 750万円

※ 被害者の両親、配偶者、子のみ

続いて、弁護士基準と任意保険基準では以下のような相場となっているようです。

任意保険基準と弁護士基準による死亡慰謝料
任意保険基準 弁護士基準
一家の支柱 1700 2800
母親・配偶者 1400 2500
その他 12501450 20002500

ここまでお読みになればもうおわかりかと思いますが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということでした。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

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ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの示談金が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

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怪我なしの場合の示談金は?

ところで、自動車事故の被害にあっても、幸い怪我をしないケースもありますよね。

そのように、怪我なしの場合の示談金はどうなるのでしょうか。

怪我人がいない場合には、物損事故として処理されることになります。

その場合、原則として物的損害に関する示談金しか受け取れません。

怪我がなければ、病院にも通わないので、治療費もかからず、入通院が前提となる慰謝料を受け取ることもできないからです。

さらに、後遺症が残ることもないため、後遺症に対する慰謝料や逸失利益などの賠償金も支払われません。

つまり、怪我なしの場合でも示談金は受け取れますが、非常に低いものとなるのですね。

ただし、ご自身の任意保険で車両保険に入っていたり、加害者が任意保険の対物賠償保険に入っていれば、保険金を受け取れる可能性があります。

しかし、それでも人身事故の示談金と比較すれば非常に低いものでしょう。

怪我があるのに物損事故となっている場合には、病院で診断書を作成してもらい、警察に届け、必ず人身事故への切り替えを行ってください!

切り替えの方法などは、こちらの記事もご覧になってみてくださいね。

示談金はいつ入る!?支払い時期についての調査結果

示談金はいつ入る!?支払い時期についての調査結果

以上、示談金の内訳や相場について見てきました。

では、示談交渉で示談金の金額に合意した場合、そこからどれくらいで振込みが行われるのでしょうか?

意外と、支払い時期については知られていないですよね。

結論としては、ケースによって異なるのですが、後遺症が残るような怪我を負った場合には、事故日から6ヶ月以上かかることがほとんどなのだそうです。

では、ここから詳しく見ていきましょう。

示談金はいつ入る?支払い期間を見てみよう

人身事故に遭った日から示談金が支払われるまでの期間を考えるには、示談交渉開始までにかかる期間や後遺症の等級認定にかかる期間も知る必要があります。

まずは、示談交渉までにかかる期間から見ていきましょう。

保険会社との示談交渉までにかかる期間

示談金を受け取るためには、まず保険会社と示談交渉を行い、示談金の額を決定する必要があります。

もし怪我の程度が軽く、後遺症が残らないような場合には、怪我の治療が終了し、治療に要した日数や治療費の総額などが確定した段階で、示談交渉を開始することになるでしょう。

治療に要する日数は、怪我の程度や治療の経過によって様々なので、一概には言えません。

打撲などの軽症の場合には、1週間などで示談交渉を開始することもできるでしょう。

怪我が重症なほど示談開始までの期間は長くなると言えそうです。

一方、後遺症が残るような場合には、まず後遺症の等級認定を受ける必要があるんでしたよね。

後遺障害等級認定の流れ

ここで、後遺症認定申請の前に必要な症状固定とは、以下のような意味になります。

症状固定

医学上、一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態

つまり、症状固定とは、痛みなどの症状がなくなった段階のことではないということなのですね。

そして、これ以上治療の効果が期待できないような症状が後遺症として認定されることになります。

一般的には、事故後6ヶ月程度で症状固定に至ることが多いとされているようです。

後遺症の審査にかかる期間

そして、多くの場合、6ヶ月程度で症状固定をした後に、後遺症の認定申請をすることになります。

申請から認定結果が出るまでの審査期間は、多くは1ヶ月程度、場合によっては3ヶ月以上かかることもあるようです。

つまり、この後遺症の申請から認定までにかかる期間に、怪我から症状固定に至るまでの治療期間や申請までにかかる準備期間を合わせると、数ヶ月から長くて1年以上かかることもあるのですね。

また、後遺症の申請方法には事前認定被害者請求という2通りがあり、その2つでも違いがあるようです。

事前認定の場合

事前認定とは、簡単に言うと、

相手側の任意保険会社が窓口となって、被害者の方の後遺症の等級認定を事前に確認する

方法のことになります。

事前認定の流れ

事前認定の場合、保険会社が申請を行ってくれるので、手続きが楽というメリットはあります。

しかし、保険会社の担当者のかかえる案件数や対応を怠っていることによって、調査事務所に申請する前の準備に長時間かかってしまうこともあるそうです。

被害者請求の場合

一方の被害者請求とは、簡単に言うと、

被害者ご本人が直接相手の自賠責保険に後遺症の等級認定を請求する

方法のことです。

被害者請求の流れ

被害者請求の場合には、被害者自身が資料を集める必要から、手間どる可能性はありますが、準備の期間は自身で管理できます。

特に、弁護士に依頼すれば、弁護士による資料収集や検討時間といった準備の時間が必要となるものの、よりスムーズに申請手続きを行えるそうです。

以上、どちらかの方法で後遺症の申請をし、等級認定結果に納得できれば、そこから示談スタートとなります。

しかし、もしも認定結果に納得がいかない場合には、異議申立て裁判が必要になることもあり、さらに時間がかかってしまうでしょう。

後遺障害の認定結果通知後の流れ

過失割合の決定にかかる期間

また、相手側との示談交渉では、後遺症の等級認定と同じく、過失割合も重要となってきます。

交通事故における過失割合とは、交通事故の結果に対する責任の割合のことです。

この過失割合は、交通事故の損害賠償と密接な関係があります。

というのも、もしも被害者側に過失がある場合、その過失割合分は相手側に請求出来る損害賠償額から減額されてしまうことになるのです。

そのように重要なものなので、過失割合についてどちらかが納得しない場合には、示談交渉自体が難航し、解決までに長時間がかかることになるでしょう。

どうしても話がまとまらない場合には、やはり裁判が必要となり、何ヶ月もかかるケースも考えられます。

交通事故の裁判の流れ

示談締結~支払いまでの期間

示談交渉が終わり、示談金の金額が確定してしまえば、支払いまでの期間は通常2~3営業日となるそうです。

場合によっては支払いまでに1~2週間かかることもあるようなので、2週間経っても振り込まれないようであれば保険会社に確認してみるのが良いでしょう。

まとめ

示談交渉~支払いまでの期間の目安

特に争う要因が無い場合
3ヶ月以内+23営業日
過失割合に争いがある場合
3ヶ月以上(※)+23営業日
後遺症等級に争いがある場合
6ヶ月~1年(※)+23営業日

※ 裁判になればさらに長引く可能性

示談金が支払われるまでに1年以上かかるとなった場合には、その間の生活費なども心配だし、示談金が早く欲しいという気持ちもわかります。

しかし、早く示談交渉を終わらせるために、保険会社の言い分だけを聞いて急いで示談を成立させるのは禁物です。

というのも、一度示談が成立してしまうと、後から新たな損害が発覚しても追加請求は非常に困難となってしまうのです。

時間はかかっても、しっかりと納得のいくまで示談交渉をしてから、適正な金額の示談金を受け取るようにしましょう!!

示談金に納得できない場合の対策は?

示談金に納得できない場合の対策は?

ところで、保険会社との示談交渉を進めても、示談金などの内容に納得できない場合もあるでしょう。

示談金に納得がいきません。(略)

半年ほど前に、交差点で停止中に後ろから追突され、むち打ちになりました。通院などは打ち切り、一応相手の保険会社から「承諾書」が届きましたが、(略)今この状況で示談前によくよく考えてみると、雨や曇りの日は身体の不調に悩まされつづけ、それがいつまで続くかわからない不安、それを保険屋さんや加害者はわからないであろう理不尽感・・・様々なことが頭をよぎり、この金額じゃあ納得できないと思うようになりました。

通院の打ち切りはしていいですよと言ったものの、承諾書にサインが出来ないこの状況で、示談金額を上げることは可能ですか?

その場合にはどうすれば良いのでしょうか。

対策①弁護士に相談する

まずは、何度も出てきているように、弁護士相談してみてください。

納得できないケースの多くは、保険会社から弁護士基準ではない金額を提示されているケースでしょう。

しかし、被害者の方だけで交渉を続けても、金額がアップすることはほとんどありません。

弁護士に依頼して、弁護士基準での慰謝料を受け取りましょう。

また、休業損害逸失利益なども、弁護士が理由を正しく主張することで、適正な金額まで増額される可能性があります!

その他、弁護士相談のメリットについては、こちらの記事も参考になさってみてください。

対策②裁判を起こす

弁護士を付けて、示談交渉をすれば、基本的には増額されます。

しかし、場合によっては適正な金額の9割程度にとどまってしまうこともあるそうです。

それではどうしても納得できないという場合には、裁判を起こす必要があります。

弁護士基準と裁判の比較
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 910割※1
弁護士をつけて裁判 10

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、後遺症の等級認定結果や、過失割合について納得できない場合にも、裁判となる可能性があるということでしたよね。

裁判をした場合、損害として認定された額の1割前後の金額を、弁護士費用として相手側に請求することも可能となるそうです。

ただし、裁判になれば、解決までに長い時間を要する点は覚えておいた方が良さそうです。

人身事故の裁判に関しては、こちらの記事もご覧になってみてください。

対策③ADRを利用する

裁判よりも短期間で解決したい場合や、弁護士費用の心配があるという方は、ADRに相談することができます。

ADRとは、第三者が間に入って紛争の解決点を探る、裁判以外の解決方法のことです。

代表的なADRとしては、交通事故紛争処理センター日弁連交通事故相談センターなどが挙げられます

どちらも無料ですが、対応してくれるのは弁護士です。

ただし、あくまでも中立の立場であったり、電話がつながりにくい相談所もある、解決できないケースもあるなどのデメリットもあるようです。

保険会社との紛争解決手続による違い
費用
紛争処理センター 日弁連相談センター 選任弁護士
無料 有料
解決までの期間
紛争処理センター 日弁連相談センター 選任弁護士
やや短期 短期(最短3ヶ月) 長期(裁判になれば1年程度)※
弁護士の立場
紛争処理センター 日弁連相談センター 選任弁護士
中立 100%被害者の味方
利用できるケース
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以上、自動車の人身事故に対する示談金の相場や、示談交渉のポイントについて理解を深めていただけたでしょうか。

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何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、人身事故の示談金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

自動車での人身事故の被害に遭われたショックに加え、保険会社との示談交渉でも辛い思いをされていることと思います。

そんなときは、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。

なぜなら、辛い思いをした分、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 人身事故に対する示談金内訳相場
  • 示談金が支払われるまでの期間
  • 示談金に納得できない場合の対応

などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。

人身事故の示談金に関して、今すぐに弁護士に相談したいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、人身事故の示談金に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

人身事故の示談金についてのQ&A

賠償金・保険金・示談金はどう違う?

それぞれ異なる意味を持ちますが、事故の加害者が自動車保険に加入しており、その保険会社から提示された賠償金に被害者の方が納得した場合は、賠償金=保険金=示談金という認識で大丈夫です。各単語の意味については、以下で紹介しているページをご参照ください。 示談交渉で耳にする聞き慣れない用語の解説

人身事故の示談金の相場はいくら?

実は、示談金には相場というものはないようです。加害者側と被害者側でお互いに納得した賠償金の額が示談金となるため、明確な基準は設けられていません。金額が低くても被害者の方がOKすればそれが示談金になりますし、納得できない場合には増額のための交渉をすることになるでしょう。ただし、入通院や後遺症が残ったことなどに対する慰謝料については相場があるようです。 示談金の計算方法をていねいに解説

怪我がなかった場合にも示談金はもらえる?

示談金を受け取ることは可能ですが、人身事故に比べて金額は非常に低くなります。怪我人がいない場合は物損事故として取り扱われ、原則として物的損害に関する示談金しか受け取れないからです。怪我があるのに物損事故となっている場合には、病院で診断書を作成してもらい、警察に届け、必ず人身事故への切り替えを行ってください。 怪我なしの場合の示談金は?

示談金はいつ受けとれますか?

ケースによって異なります。示談交渉~支払いまでの期間の目安は①特に争いがない場合:3ヶ月以内+2~3営業日②過失割合に争いがある場合:3ヶ月以上+2~3営業日③後遺障害等級に争いがある場合:6ヶ月~1年+2~3営業日くらいです。もっとも、個別の事情によって変わりますので、この通りに進むあるいはこれだけの期間がかかるというものではありません。 示談金受け取りまでの期間

示談金に納得がいかない場合の対策は?

示談金に納得がいかない場合の対策法として、①弁護士に相談する②裁判を起こす③ADR(裁判外での紛争解決)を利用する、の3つが挙げられます。いずれもメリットとデメリットがあるので、ご自身に合った解決法を選択するようにしてください。 示談金が低いと感じたら

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