後遺障害2級の交通事故慰謝料|1億6665万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害2級の判例についてご紹介します。
こちらの判例の被害者は、交通事故により脳に重い後遺障害が残り、一生介護が必要な状態となってしまいました。
20代という若さで重い後遺症が残ってしまった現実は、被害者だけでなくご家族も受け入れることは難しいでしょう。
奪われた将来のことを考えると、納得のいく慰謝料は支払われるのか不安になりますよね。
この判例では総額1億6665万円の損害賠償金が認められたようですが、どのような点が算定のポイントになったのでしょうか?
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級2級(男・症状固定時27歳)損害額1億6665万4824円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成19年(ワ)第12012号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「直進被害単車と対向右折普通貨物車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時27歳 |
事故の内容 | 直進被害単車と対向右折普通貨物車が衝突した。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、急性硬膜下血腫、脳腫脹など |
後遺障害等級 | 2級1号 |
入院 | 790日 |
被害者は、頭部に強い衝撃を受けたことで高次脳機能障害となってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億6665万4824円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3040万円 |
うち将来の介護費用 | 4033万5639円 |
うち逸失利益 | 9312万2435円 |
損害総額は1億6665万4824円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億6665万4824円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が440万円、後遺障害の慰謝料が2400万円、母固有の慰謝料が200万円認められました。
- 将来の介護費用としては、後遺障害の程度を考慮して日額6000円が認められました。
- 逸失利益は、労働能力喪失率は100%と認め、労働能力喪失期間は67歳まで40年、基礎収入は男性の全年齢平均賃金542万7000円として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は2級1号の後遺障害が認定されたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
将来の介護費用は、重篤な後遺障害が残った場合に認められるものです。
家族・親族等が介護をする場合であっても職業介護人が介護する場合であっても、介護を必要をする程度によってその費用が異なって認定されることになります。
本件被害者は、2級の障害によって、生命維持のために常時の必要はないものの、随時、看視・声掛けを要するとして日額6000円を認めており、おおむね同程度の相場に従ったものということができます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害2級の慰謝料計算の特徴は?
2級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に2級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、2級の場合、裁判基準では2,370万円となっております。
また、2級の場合には、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
さらに、別表Ⅰ第2級1号の高次脳機能障害の場合には、将来介護費を請求できます。
もっとも、その金額には争いがあり、どこで誰がどのような看護をするか等の具体的看護の状況によって金額が変わってきますので、その点をしっかりと主張する必要があります。
ただし、上記いたしましたポイントは一般的な話であり、事故に遭われた方の事情は様々でそれによって慰謝料等の金額も影響を受けることになります。
適正な補償額をお知りになりたい場合、まずは弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。