後遺障害の申請~認定までの期間|後遺症(後遺障害)認定の手続き方法は?
交通事故で後遺障害を負ってしまった方は、ただでさえ体がつらくて大変なのに、適切な慰謝料を獲得するために後遺障害の申請をしなければならず、大変な思いをされていることでしょう。
このページでは、そんな方の負担を少しでも減らすため、後遺障害申請にあたって気になる様々な期間について、まとめてみました。
目次
後遺障害申請が可能な期間や申請までの期間は?
後遺障害申請はいつからできるの?
申請はいつでもできる?
後遺障害申請は、基本的には事故後いつでもできます。
「症状固定」の診断後がポイント
しかし実際に、後遺障害として認定される可能性があるのは、事故後6ヶ月以降に申請をした場合です。
そもそも後遺障害とは、交通事故による怪我が、将来的に回復の見込みがない状態になることをいいます。
そして、将来的に回復の見込みがない状態に至ることを症状固定といい、一般的には事故後6ヶ月程度で症状固定に至ることが多いとされています。
そのため、少なくとも、症状固定に至る事故後6ヶ月ほどまでは、後遺障害として認められません。事実上、事故後6ヶ月程度以降に、後遺障害申請ができると認識しておくべきでしょう。
後遺障害申請の期限はいつ?
後遺障害の申請は、自賠責保険会社に対する保険金支払請求の一環として行います。
そのため、後遺障害申請も、保険金支払請求の時効期間内に行う必要があります。
保険金支払請求の時効は、以下のとおりとなっています。
被害者請求の場合 | 加害者請求の場合 | |
---|---|---|
傷病の場合 | 事故日から3年以内 | 加害者が被害者や病院などに賠償金を支払ったときから3年以内 |
後遺障害を負った場合 | 症状固定日から3年以内 | |
死亡の場合 | 死亡日から3年以内 |
なお、後遺障害申請の期限が特に問題となるのは、被害者自らが申請する、被害者請求の場合でしょう。(被害者申請については、以下の「後遺障害申請の準備にかかる期間は?」をご覧ください。)
後遺障害申請の準備期間は申請方法で変わる?
後遺障害申請の準備にかかる時間は、申請方法や事件の内容により大きく異なります。
そもそも、後遺障害申請には、以下2種類の請求方法があります。
事前認定
1つ目は、事前認定という方法です。これは、加害者請求の手続きで使われる後遺障害申請で、加害者側の任意保険会社が、自賠責保険会社に申請をする形で行われます。
被害者請求
2つ目は、被害者請求という方法です。この方法は、被害者自身による後遺障害申請で、被害者が加害者側の自賠責保険会社に請求する形で行われます。
事前認定と被害者請求とでは、事前認定の方が時間を要する傾向にあります。任意保険会社は他にもたくさんの案件を抱えているため、担当者がすぐに案件の処理にかかれるとは限らないからです。
これに対し、被害者請求では、必要な資料を被害者が集めなければならないという手間はありますが、被害者自らが早急に手続きをすれば、その分早く準備をすることができるというメリットがあります。
もっとも、事件の態様が複雑であったり、怪我が複数あったりする場合には、申請の準備期間も長くなることが予想されます。申請の際に、必要な書類が多くなるからです。
このように、申請の準備期間は様々な事情により変化しますが、最も早いのは、被害者請求で、手続を弁護士などの専門家に依頼する方法でしょう。
後遺障害申請が可能になるタイミング | 申請自体はいつでも可能だが、実際に認定される可能性が出てくるのは症状固定(通常6ヶ月)後 |
---|---|
後遺障害申請の期限 | 被害者請求の場合は、事故日、症状固定日あるいは死亡日から3年以内 |
後遺障害申請の準備にかかる期間 | 申請方法や事故の内容によって異なるが、被害者申請で弁護士に依頼するのが最も早いとされている |
後遺障害の認定結果が出るまでの期間は?
後遺障害認定までの平均的な期間
後遺障害の申請後、認定がおりるまでは、通常1ヶ月程度とされています。
損害保険料算出機構という、後遺障害等級の調査機関が作成している「自動車保険の概況」(2017年度版)によると、申請後1ヶ月以内に認定がでるケースが80.3%です。
続いて、2ヶ月以内に認定されるケースが10.7%、3ヶ月以内に認定されるケースが4.9%となっています。
以上より、ほとんどのケースでは1ヶ月以内に認定されるが、難しい事故などの場合には2ヶ月かかることもあり、3ヶ月以上は極めてまれ、ということが言えるでしょう。
認定までの期間が長引く理由とは?
後遺障害の認定がおりるまでの期間が長引く理由として多いのは、後遺障害等級の調査機関が、医師に対して行う問い合わせに対し、医師が対応してくれないという事情のようです。
通常、医師も多くの患者を抱えているため、被害者が催促しても、それにより対応が早くなることは期待できません。
そこで、弁護士などに依頼をして医者に対応を促すか、気長に待つかのどちらか、ということになるのです。
後遺障害申請後認定までの期間とは | 80.3%は申請後1ヶ月以内に認定がなされる |
---|---|
認定までの期間が長引く理由 | 後遺障害等級の調査機関の問い合わせに、医師が対応してくれないケースが多い |
不服を申し立てることができる期間は?
ただし、賠償請求の消滅時効には注意する必要があります。
注意すべきという賠償請求の消滅時効についても教えてください。
異議申立てが可能な期間とは
後遺障害認定に関する不服申立ての方法として、自賠責保険に対する異議申立てがあります。これは、認定後、期間・回数の制限なく行うことができます。
しかし、後遺障害申請時に提出した資料に加え、新たな資料を提出しない限り、異議申立てが認められる可能性は極めて低いといえるでしょう。
異議申立ての結果が出るまでの期間
異議申立てを行った場合、その審査機関は、2ヶ月~6ヶ月程度とされています。一度行った判断を再度検証するという性質上、通常の後遺障害申請の際の審査より長くかかります。
消滅時効に注意!
異議申立てを行う際、注意しなければならないのは、損害賠償請求の時効期間です。
そもそも、損害賠償請求(慰謝料や逸失利益など、交通事故で加害者側に請求するほとんど全てのものが含まれます)は、「損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」に、時効により消滅するとされています。
そのため、交通事故における賠償金請求は、以下の表のような形で、時効により消滅します。
時効期間 | |
---|---|
傷病の場合 | 事故日から3年 |
後遺障害を負った場合 | 症状固定日から3年 |
死亡の場合 | 死亡日から3年 |
これらの時効期間を超えて損害賠償を請求するためには、時効中断のために一定の手続きを踏まなければなりません。
しかし、異議申立てをしても、時効は中断されません。更に、審査期間が長いため、審査の結果が出るころには、時効期間が経過していたという事態にもなりかねません。
そのため、早めに時効中断の手続きをとるなどの対策が必要です。
異議申立てが可能な期間 | 後遺障害認定の結果通知後であれば、いつでも、何回でも異議申立てが可能 |
---|---|
異議申立ての結果が出るまでの期間 | 異議申立て手続き後、2ヶ月~6ヶ月程度 |
消滅時効の注意点 | 異議申立ては、損害賠償請求権の時効中断事由にあたらず、審査期間も長いため、時効期間に注意が必要 |
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いかがでしたか?
この記事をお読みの方には、「【必読】後遺障害申請でかかる期間とは?|交通事故の後遺障害ガイド」というテーマに関して、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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この記事の監修弁護士
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