大腿骨頚部骨折・大腿骨転子部骨折・大腿骨転子下骨折|症状、原因、リハビリ、等級は

  • 大腿骨頸部骨折,後遺症

大腿骨頚部骨折・大腿骨転子部骨折・大腿骨転子下骨折|症状、原因、リハビリ、等級は

交通事故の被害に遭い、大腿骨頸部骨折大腿骨転子部骨折の怪我を負い、後遺症が残ってしまったとしたら…。

これからも長く続く治療リハビリの生活では、

  • 大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症との関係で、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士の先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症でお悩みの方へ。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、大きな負担を感じてしまう方もいらっしゃるはずです。

実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折は、大腿骨転子下骨折と合わせて、大腿骨近位部骨折と言われているようです。

大腿骨近位部骨折(転子部骨折、頸部骨折、転子下骨折):

太ももの骨の、股関節の部分(大腿骨近位部)の骨折

骨折の場所についてはわかったものの、具体的な症状治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。

まずは、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症|治療や回復に向けたリハビリについて

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症|治療や回復に向けたリハビリについて

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の症状

大腿骨近位部の骨折は、太ももの骨の股関節部分の骨折ということでしたね。

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交通事故などで大きな外力が加わったり、転倒や足をひねったことで大腿骨に力が加わったことにより、骨折してしまうことが多いようです。

骨折する部位によって、大きくは以下の3つに分けられるとのこと。

  • 大腿骨頸部骨折:大腿骨の股関節部分での骨折で、股関節を包み込む膜の内側で起こる。
  • 大腿骨転子部骨折:大腿骨の股関節付近での骨折で、股関節を包み込む膜の外側で起こる。
  • 大腿骨転子下骨折:大腿骨転子部よりも股関節から遠位にある部分の骨折。

骨粗鬆症なども影響し、高齢者の方は特に起こりやすいそうです。

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細かく見れば、他にも骨頭骨折頚基部骨折というのもあるのですね。

中でも特に起こりやすいのは「頸部」と「転子部」の骨折ということで、ここからはその2つについて詳しくみていきましょう。

まずは、症状についてです。

調べてみたところ、以下の通りということです。

●足を動かしたときや股関節の周りに力を入れたときに痛みが生じる

●転倒後では痛みのために立ち上がれないことが多い

●骨折した方の足は、がに股のように外を向くことが多い

●骨折した方の足が、反対側の足よりも短くなって見えることがある

股関節部分を強く打ったり、ひねったりした後から足の付け根が痛くて動かせない場合には、大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折の可能性があります。

ただし、股関節の脱臼や肉離れでも同じような症状が現れるそうです。

よって、ご自身で判断するのではなく、必ず病院を受診してください。

病院では、整形外科救急外来に行くのがベストだということです。

とはいえ、強い痛みで立ち上がれず、救急車で搬送されることも多いでしょう。

病院では、レントゲンCTにより、骨折の有無や状態を確認します。

レントゲンやCTではわからないような骨折を調べるためには、MRIでの検査が行われることもあるそうです。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の治療法

では、大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??

完治することは可能なのでしょうか…。

骨折は治っても、歩けなくなってしまうこともあるのでしょうか…。

調べてみたところ、以下の通りということです。

●基本的には手術を行い、その後リハビリテーションを実施する

●手術

〇骨の中に金属を入れる手術:ガンマネイル・ハンソンピン・コンプレッションヒップスクリューなど

〇置換術:人工骨頭置換術や人工関節全置換術など

〇年齢・重症度・認知機能などを鑑みてどの治療法を用いるかが決まる

●保存的治療

〇骨折が軽い場合やもともと歩行が困難である場合には、手術を行わずに自然と骨が固まるのを待つこともある

●リハビリテーション

〇足に体重をかける練習

〇歩行練習

〇日常生活を送る上で必要な動作(家事、入浴、階段昇降など)の練習

〇外出に必要な動作(公共交通期間の利用・買い物など)の練習

●以下のことを行うことで予防、再発予防を行うことができる

〇日常的に運動を行うことや認知機能を低下させないことで、転ぶことを予防する

〇退院後の継続的なリハビリテーションや環境設定(家屋改修:手すりの設置など)により、転倒を予防できる可能性がある

〇転倒したときの衝撃を和らげる「ヒッププロテクター」を装着する

●高齢者の場合には、骨折をきっかけに寝たきりになってしまう場合もある

〇寝たきりを防ぐためにも、積極的なリハビリテーションが重要

大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折の場合、他の骨折とは異なり、ギプスなどで固定することができません。

よって、基本的には手術が行われるそうです。

手術では、

  • 骨を金属などで固定して、折れた部分をくっつける骨接合術
  • 骨折した大腿骨近位部を切除して、人工の骨に置き換える人工骨頭置換術

という2つの治療法のいずれかが行われるのが通常ということです。

ただし、ご高齢の方や心臓や肺などに持病があり、手術を行うリスクが大きい場合には、保存療法がとられることもあるそうです。

しかしその場合、骨折は治ったとしても歩行困難となってしまったり、痛みが残ってしまうリスクがあるため、できれば手術が望ましいでしょう。

手術後は、あまり安静にし過ぎていると関節が固まり、逆に動かしづらくなってしまうそうです。

よって、痛みに耐えられる範囲で、可能な限り早くからリハビリが開始されます。

特に高齢者の方の場合は、長期間のリハビリが必要になることもあるそうです。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症に対するリハビリ

手術により、骨折の治療はできますが、元の生活に戻るためには、手術後のリハビリが重要となってきます。

では、どのようなリハビリが行われるのでしょうか。

一般的なリハビリ方法をご紹介

大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折を負った場合、早い段階から起立や歩行訓練が必要ということで、手術の翌日にはベッド上での坐位訓練が行われるのが普通なようです。

その後、

  • 車椅子への移行訓練
  • 立位保持訓練
  • 平行棒を使っての歩行訓練
  • 歩行器を使っての歩行訓練
  • 松葉杖を使っての歩行訓練
  • 杖を使っての歩行訓練

といった内容のリハビリが行われます。

その他に、安静にしていたため固まってしまった関節を動かす訓練や、衰えてしまった筋力を取り戻すトレーニングも行われます。

すべてのリハビリが完了するまで、20~40日程度の入院期間が必要となることが多いそうです…。

その他

以上の通り、長期間のリハビリが必要となりますし、リハビリをしたとしても、以前のように歩けなくなってしまう方も多くいらっしゃるのが現実です。

よって、ご家族の方などの励ましも重要なのだそうです。

また、骨密度が低いと再度骨折してしまうリスクが高いため、骨粗鬆症に対する薬物治療も行われるそうです。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症に対する等級認定基準

残念ながら、以前のように歩けなくなってしまう方が多い…という話でしたね。

実際に、大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折を負った方が、半年~1年後に元通りに近い歩行能力まで回復できるのは全体の50%程度なのだそうです。

よって、後遺症が残ってしまうことが考えられるのです。

では、どのような後遺症が残ってしまう可能性があるのでしょうか??

大腿骨頸部骨折

大腿骨頚部は、関節を覆う関節包という袋の内側にあります。

骨の表面には、外骨膜という膜があり、折れた骨がくっつくために重要な役割を果たすそうなのですが、関節包の内側にある大腿骨頸部には無いそうなのです。

よって、骨がくっつきにくいという特徴があるんですよね。

また、大腿骨頸部は回旋動脈という細い動脈により栄養が補給されています。

よって、骨折によりこの動脈が損傷した場合、血が流れなくなり、骨頭部分が壊死してしまうこともあるのだそうです(遅発性骨頭陥没)。

そうなると、歩くのも困難になってしまいそうです。

骨頭部分は股関節を形成しているので、骨頭部分の壊死は股関節の可動域制限を引き起こす可能性があります。

また、壊死に陥る骨頭を超高分子量ポリエチレンの人工骨頭に換える人工骨頭置換術がとられることがあります。

そして、骨がくっつきにくい(骨癒合しにくい)ため、変形が残ってしまうこともあります。

また、骨折部位が曲がったり、ずれたままくっつくことにより、骨折したほうの脚が短くなってしまう場合もあります。

さらに、骨折した部分に痛みが残ってしまう場合もあります。

大腿骨転子部骨折

一方、大腿骨転子部は、外骨膜に覆われているため骨もくっつきやすく、血行の良い筋肉組織で囲まれているので、壊死も起こりにくいようです。

とはいえ、頚部骨折と同じような後遺症が残ってしまうのでしょうか。

大腿骨転子部であっても、骨癒合の状況次第では股関節の可動域制限を引き起こす可能性があります。

また、骨癒合の状況により、変形が残ってしまうこともあります。

また、骨折部位が曲がったり、ずれたままくっつくことにより、骨折したほうの脚が短くなってしまう場合もあります。

さらに、骨折した部分に痛みが残ってしまう場合もあります。

ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

上記のような後遺症に対する等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?

股関節の可動域制限については、その制限の程度により8級~12級の認定の可能性があります。

人工骨頭を挿入置換した場合には、可動域が1/2以下に制限されているかどうかにより8級7号又は10級11号の認定の可能性があります。

大腿骨の変形又は骨端部の癒合不全については12級8号の認定の可能性があります。

脚の短縮については、その短縮の程度により8級~13級の認定の可能性があります。

そして、骨折部位に痛みが残った場合に局部の神経系統の障害である12級13号又は14級9号が認定される可能性があります。

ここまでの内容を表にまとめてみましたので、良ければご覧になってみてください。

重要

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折で
考えられる後遺症の等級

股関節の可動域制限
最低でも健側の3/4以下に制限
【等級】
・8級7号
・10級11号
・12級7号
人工骨頭の挿入置換
可動域が1/2以下に制限されているかどうか
【等級】
・8級7号
・10級11号
大腿骨の変形又は骨端部の癒合不全
変形は外部からわかる程度のもの
【等級】
・12級8号
足の短縮
最低でも1㎝以上短縮
【等級】
・8級5号
・10級8号
・13級8号
局部の神経系統の障害
骨折部位の痛み
【等級】
・12級13号
・14級9号

知らないと損する①大腿骨頸部骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らないと損する①大腿骨頸部骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?

大腿骨頸部骨折の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

誰が治療費を支払うの?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故による怪我の治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できるってホント!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

ただし、病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を6ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、298万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らないと損する②大腿骨頸部骨折の後遺症に対する慰謝料などの示談金は?

知らないと損する②大腿骨頸部骨折の後遺症に対する慰謝料などの示談金は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折をした場合、後遺症が残ってしまう可能性があるということでしたね。

その等級についてはすでにお伝えしました。

そして、その等級に応じて後遺症慰謝料の金額が決まっているそうなのです。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の場合の後遺症慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
8級 324 400 830
10級 187 200 550
12級 93 100 290
13級 57 60 180
14級 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

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選択肢②失った現在・将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、大腿骨頸部骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、大腿骨頸部骨折による後遺症が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの比較
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、大腿骨頸部骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の
後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:仲居(70歳女性)
傷害:左大腿骨頸部骨折
後遺症:左股関節部痛、可動域制限、関節機能障害(12級7号)
《損害賠償》
入通院慰謝料:163万円
後遺症慰謝料:280万円
休業損害:253万5360円
逸失利益:408万3397円
ケース②
職業:会社員(41歳男性)
傷害:右大腿骨転子部骨折その他
後遺症:下肢機能障害(8級)その他併合5級
《損害賠償》
傷害慰謝料:420万円
後遺症慰謝料:1400万円
休業損害:1530万2691円
逸失利益:5885万6078円
付添看護費:578万3430円
ケース③
職業:専業主婦(64歳女性)
傷害:右大腿骨頚部骨折その他
後遺症:右股関節の機能障害(10級11号)
《損害賠償》
傷害慰謝料:207万円
後遺症慰謝料:550万円
休業損害:87万8236円
逸失利益:331万5736円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

また、付添看護費などが認められているケースもありますね。

個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

賠償金や保険金について、何か困っていることがあれば、ぜひ弁護士に相談してください!

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症や慰謝料について弁護士に無料相談したい方はコチラ!

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以上、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の症状や治療法、治療中の治療費や慰謝料など示談金のについて理解を深めていただけたでしょうか。

しっかりとした補償を受け取るため、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるはずです。

しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

今すぐスマホで相談したいなら

そんなときは、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます

24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口が設置されているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。

また、夜間土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しているので、会社が終わった後や休日にも弁護士と無料相談できます!

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※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。

スマホで無料相談をやっているのは交通事故や事件など、突然生じるトラブルの解決を専門とする弁護士事務所です。

きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

地元の弁護士に直接相談したいなら

スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。

また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。

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何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症や示談金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 大腿骨頸部骨折大腿骨転子部骨折症状治療法リハビリなどの基礎知識
  • 大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折による後遺症等級認定基準
  • 大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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