後遺障害5級の交通事故慰謝料|1億107万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害5級の判例についてご紹介します。
5級の後遺障害が残ってしまうと、症状によっては介護が必要になることがあります。
今までのような生活が1人でできなくなってしまうことは、非常につらいことです。
将来のことを考えると、納得できる慰謝料は支払われるのか不安になりますよね。
ここでは、後遺障害5級が認定された実際の裁判例では、どのようにして損害賠償金が算定されたのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級5級(男・8歳 症状固定時10歳)損害額1億0107万0026円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の民事第3部の判決、平成22年(ワ)912号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部外傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害自転車が、交差点以外で道路を横断していたところ、直進してきた加害車が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 小学3年生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 8歳(症状固定時10歳) |
事故の内容 | 被害自転車が、交差点以外で道路を横断していたところ、直進してきた加害車が衝突した。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、肺挫傷、肋骨骨折、顔面骨折、顔面打撲 |
後遺障害等級 | 5級2号 |
入院 | 84日 |
被害者は事故によって、今後一生にわたり、随時看視、声かけが必要な状態となってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億0107万0026円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2100万円 |
うち将来介護費 | 2114万4231円 |
うち逸失利益 | 5346万9656円 |
損害総額は1億0107万0026円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億0107万0026円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が200万円、後遺障害の慰謝料が1400万円、両親の慰謝料が各250万円認められました。
- 将来介護費としては、被害者は重篤な高次脳機能障害を負っており、日常生活にも重大な障害があるとして、日額3000円平均余命である69.52年の間必要と認められました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は79%、基礎収入は学歴計男性の全年齢平均賃金550万3900円、就労可能期間は18歳から67歳までとして算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男の子は高次脳機能障害等の後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件は、10歳というまだ幼い男の子が、5級の高次脳機能障害という重篤な障害を負ってしまったケースです。
後遺障害については、少年本人の5級相当の労働能力喪失率や慰謝料のほかに、将来介護費、さらには両親固有の慰謝料も損害として認めています。
通常、近親者の慰謝料は被害者が死亡した場合に認められますが、このように具体的事情のもとで被害者の死亡にも比肩すべき苦痛を負った場合にも認められることがあることが分かります。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。
保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害5級の慰謝料計算の特徴は?
5級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に5級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、5級の場合、裁判基準では1,400万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、5級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を79%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、5級2号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、5級2号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントはあくまで一般論であり、事故に遭われた被害者の方の事情によって妥当な慰謝料額も異なってきます。
そのため、妥当な金額をお知りになりたい場合、まずは専門家である弁護士に相談してみるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害5級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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