後遺障害7級の交通事故慰謝料|9312万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害7級の判例についてご紹介します。
交通事故に遭ってしまうと、身体的にも精神的にもつらい思いをすることになりますよね。
7級という重い後遺障害が残ってしまうと、仕事や日常生活にもかなり大きな支障が出てしまいます。
今後の生活のことを考えると、慰謝料などの示談金はどのくらい支払われるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
ここでは、実際の裁判例ではどのようにして損害賠償金が算定されているのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級7級(男・症状固定時40歳)損害額9312万6906円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成20年(ワ)第11692号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、腹部多発性交通外傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号のある交差点における右折普通乗用車(加害車)と対向直進自動二輪車(被害車)が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時40歳 |
事故の内容 | 信号のある交差点における右折普通乗用車(加害車)と対向直進自動二輪車(被害車)が衝突した。 |
傷害の内容 | 腹部多発性交通外傷、腸壁創し開など |
後遺障害等級 | 7級5号 |
入院 | 189日 |
被害者は、大腸部分切除・人工肛門造設により腹胸部臓器の機能障が残ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 9312万6906円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1420万円 |
うち休業損害 | 1314万3146円 |
うち逸失利益 | 4553万1108円 |
損害総額は9312万6906円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額9312万6906円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が390万円、後遺障害の慰謝料が1030万円認められました。
- 休業損害としては、事故発生から症状固定までの基準賃金555万2520円から、合計1314万3146円の休業損害が発生したものと認められました。
- 逸失利益としては、学歴計男性労働者全35~39歳平均賃金は571万0500円であり、同全年齢男性平均賃金は554万7200円であるから、基礎収入は555万2520円とし、労働能力喪失率は56%、労働能力喪失期間は67歳までの27年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は7級5号の後遺障害が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件で認定された後遺障害の慰謝料と労働能力喪失率は、認定された7級での基準に沿った形で認められています。
なお、本件事故は青信号を直進中の被害者バイクに右折対向車が衝突したというものですが、被害者にも5%の過失が認められています。
このように、全面的に加害者に過失がありそうな事案でも、具体的な事故との関係で被害者にも過失が認定される可能性があることが分かると思います。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害7級の慰謝料計算の特徴は?
7級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に7級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、7級の場合、裁判基準では1,000万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、7級12号の外貌醜状や7級13号の睾丸喪失の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、7級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を56%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、7級4号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、7級4号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害7級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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