後遺障害7級の交通事故慰謝料|7880万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害7級の判例についてご紹介します。
もし7級の後遺障害が認定された場合、慰謝料などはどのくらい支払われるのか知らない方がほとんどではないかと思います。
ここでは、後遺障害7級が認定された実際の裁判例をもとに、慰謝料を含めた損害総額はどのようにして計算されているのか見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級7級(男・26歳)損害額7880万4087円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部の判決、平成23年(ワ)13126号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、骨盤骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害車両が中央分離帯を乗り越え、対向3車線の1番左側車線を直進していた被害車両と正面衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員(製造作業) |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 26歳 |
事故の内容 | 加害車両が中央分離帯を乗り越え、対向3車線の1番左側車線を直進していた被害車両と正面衝突した。 |
傷害の内容 | 出血性ショック、骨盤骨折、右橈骨・尺骨骨折、右上腕骨骨折、骨盤腔内出血、仙骨神経障害、後頭部・顔面打撲、頸椎捻挫など |
後遺障害等級 | 併合7級(右上腕骨の偽関節:8級8号、右上腕骨骨折に伴う右肩関節の機能障害等:12級6号、骨盤骨折に伴う左股関節の機能障害:12級7号、右前腕部の疼痛:14級9号) |
入院 | 115日 |
被害者は、事故後会社を退職し、求職活動の後パソコン入力のアルバイトをはじめられたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 7880万4087円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1450万円 |
うち休業損害 | 841万4550円 |
うち逸失利益 | 4940万4301円 |
損害総額は7880万4087円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額7880万4087円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が400万円、後遺障害の慰謝料が1050万円認められました。
- 休業損害は、基礎収入を日額1万0385円とし、合計36.83か月の休業があったものと認め、月の平均稼働日数が22日として算定されました。
- 逸失利益は、基礎収入を男性の学歴計全年齢平均収入523万0200円とし、労働能力喪失率は56%、労働能力喪失期間は症状固定時29歳から67歳の38年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は右上腕骨の偽関節などによって併合7級の後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
逸失利益の計算について、途中で症状の改善が見込める障害の場合は労働能力喪失期間が67歳より短縮されたり、数年で労働能力喪失率が軽減されたりして逸失利益が減額されることがあります。
しかし、本件ではその後長期間経っても偽関節部分を中心とした骨のゆ合が見込めないとの判断の下、逸失利益が減額されませんでした。
逸失利益の計算方法をチェックする場合には、このように将来的な損害が減額されていないかどうかに着目することも重要といえるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害7級の慰謝料計算の特徴は?
7級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に7級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、7級の場合、裁判基準では1,000万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、7級12号の外貌醜状や7級13号の睾丸喪失の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、7級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を56%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、7級4号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、7級4号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話となりますので、事故に遭われた方々の事情によっては変わることもあります。
もし、交通事故の慰謝料についてお悩みがあるのならば、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害7級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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