後遺障害7級の交通事故慰謝料|7403万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害7級の判例についてご紹介します。
もし、交通事故によって後遺障害7級が認定された場合、56%の労働能力が喪失したとみなされ、仕事に大きな影響を与えることになってしまいます。
今後の仕事や生活のことを考えると、納得のいく慰謝料は支払ってもらえるのか、不安になりますよね。
この判例では、総額で7403万円の損害賠償金が認められたようですが、どのような点がポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級7級(女・症状固定時27歳)損害額7403万9081円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の判決、平成14年(ワ)第2708号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、頸部挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「交差点入口付近で左折のため停止中の被害車(普通乗用自動車)に加害車(普通乗用自動車)が追突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | アルバイト・内職・家事従事 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時27歳 |
事故の内容 | 交差点入口付近で左折のため停止中の被害車(普通乗用自動車)に加害車(普通乗用自動車)が追突した。 |
傷害の内容 | 頸部挫傷、左上肢外傷性末梢神経障害 |
後遺障害等級 | 7級4号 |
入院 | 29日 |
被害者は、事故によって左腕に大きな後遺症が残ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 7403万9081円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1600万円 |
うち将来の介護費 | 682万5135円 |
うち逸失利益 | 4742万0234円 |
損害総額は7403万9081円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額7403万9081円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が250万円、後遺障害の慰謝料が1350万円が認められました。
- 将来の介護費としては、一定の限度で介護の必要性があると認められ、その介護のための費用は1日当たり1000円、被害者の平均余命は女子平均余命に照らし、症状固定後56年間として算定されました。
- 逸失利益としては、27歳から67歳までの40年間にわたり、労働能力の79%を喪失したと認められ、基礎収入は女性の学歴計全年齢平均賃金である349万8200円として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は左上肢のしびれ・痛み、筋力・知覚の著しい低下などによって7級4号が認定されたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、事故による頚部挫傷により、まず左上肢に7級4号の障害が認定されたものの、その症状固定後に左下肢にも同様の障害を発症しております。
そして本件判決では、この左下肢の障害についても交通事故によるものと認め、これらを併合して5級2号の障害と認められ、後遺障害慰謝料、労働能力喪失率ともに5級の相場に増額されています。。
このように、事故から相当期間経って新たな症状が発生する場合には、事故との因果関係が争われることが多く、それが本件のように客観的に異常が確認しづらい非器質的なものですと困難を伴います。
しかし、適切な主張をすることで裁判において後遺障害と認められることもあります。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害7級の慰謝料計算の特徴は?
7級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に7級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、7級の場合、裁判基準では1,000万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、7級12号の外貌醜状や7級13号の睾丸喪失の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、7級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を56%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
なお、7級4号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。
また、7級4号の高次脳機能障害であっても、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話となりますので、事故に遭われた方々の事情によっては変わることもあります。
もし、交通事故の慰謝料についてお悩みがあるのならば、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害7級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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