後遺障害9級の交通事故慰謝料|5630万円の判例を弁護士が解説

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後遺障害9級の交通事故慰謝料|5630万円の判例を弁護士が解説

このページでは、後遺障害9級の判例についてご紹介します。

もし後遺障害9級が残ってしまった場合、被害者にとって納得のいく示談金とはどのくらいなのでしょうか?

実際にはどのようにして計算されているのか気になる方は多いかと思います。

この判例では、総額5630万円の損害賠償金が認められたようですが、算定のポイントはどのような点だったのでしょうか。

法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。

それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。

障害等級9級(男・58歳 症状固定時60歳)損害額5630万7975円の判例

障害等級9級(男・58歳 症状固定時60歳)損害額5630万7975円の判例

こちらは、東京地方裁判所の判決、平成24年(ワ)16459号事件です。

この事故での主な怪我の内容は、骨盤骨折となります。

交通事故の基本情報

事故の内容は「タクシーを車道の端に停車させ、後部トランクを開けて荷物を取り出そうとしていたところ、後方から走行してきた加害車が被害者を挟むような形で被害車に追突した。」というものです。

まとめ
交通事故の基本情報は?
属性 個人タクシー業者
性別
年齢 58歳(症状固定時60歳)
事故の内容 タクシーを車道の端に停車させ、後部トランクを開けて荷物を取り出そうとしていたところ、後方から走行してきた加害車が被害者を挟むような形で被害車に追突。
傷害の内容 骨盤骨折、左大腿骨骨幹部開放骨折、左頚骨高原骨折、右頚骨高原骨折、両下腿コンパートメント症候群、右母指CM関節脱臼骨折
後遺障害等級 併合9級(左膝関節の機能障害、歩行困難、右手の神経症状、下肢の醜状障害)
入院 256日

被害者も、夜間に駐車禁止区域に停止させていたということで20%の過失があるとされました。

判例で認められた賠償金・慰謝料

それでは、認められた損害額を見てみましょう。

まとめ
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 5630万7975円
うち慰謝料 1038万円
うち休業損害 1039万2426円
うち逸失利益 1373万3842円

損害総額は5630万7975円でした。

ざっくりまとめると…

被害者の損害額は総額5630万7975円になりました。

  • 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が348万円、後遺障害の慰謝料が690万円が認められました。
  • 休業損害としては、個人タクシー業で前年度の所得は472万4014円であるため、基礎収入は1日当たり1万2942円とし、症状固定日までの803日を休業期間として認められました。
  • 逸失利益としては、労働能力喪失率は35%、症状固定時には60歳であったから労働能力喪失期間は11年、基礎収入は472万4014円として算定されました。

弁護士による解説

弁護士先生、こちらの男性は個人タクシーを営業されていたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?

被害者は、症状固定時60歳であり、個人タクシー業を75歳まで稼働できたはずであったと主張しました。

しかし、高齢者の交通事故の逸失利益については、67歳までの年数と、平均余命の2分の1のいずれか長いほうを喪失期間として採用する実務が定着しています。

本件の判決では、平均余命の2分の1である11年間を喪失期間として採用し、被害者側の主張を認めませんでした。

このように、交通事故では実態とは異なる独特の考え方が採用されているため、どのように損害額を計算するのかについては、あらかじめ弁護士に確認する必要があります。

交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい

交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい

はじめての慰謝料計算

交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。

ポイントを整理すると、

  • 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
  • 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
  • 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。

の三点が重要です。

慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。

記事の構成は、

  • 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
  • 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
  • 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?

となっています^^

慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利

また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。

計算ソフトの利用をおすすめするのは、

  • 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
  • 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
  • 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい

といった人たちです。

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思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。

保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。

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後遺障害9級の慰謝料計算の特徴は?

9級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?

一口に9級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、9級の場合、裁判基準では690万円となっております。

特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、9級6号の咀嚼障害、9級16号の外貌醜状や9級17号の生殖器の障害の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。

また、9級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を35%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります

そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。

なお、9級10号の高次脳機能障害については、後遺障害申請の際に提出する書類の記載内容によっては、実際に残存する障害に見合った等級よりも低い等級として認定されている可能性があるので、注意が必要です。

ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、事故に遭われた方のご事情によっては変わってくることもあります。

もし、交通事故の慰謝料についてより詳しいアドバイスがお聞きになりたい場合は、まずは一度弁護士等の専門家に直接相談してみるとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

後遺障害9級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。

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困ったときは専門家に頼るのが1番です。

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