29歳大学院生の交通事故慰謝料|2949万円の判例を弁護士が解説
このページでは、男子大学院生の事故の判例についてご紹介します。
交通事故という不足の事態によって、何をどうしたらよいのか分からない方は多いかと思います。
特に保険会社との慰謝料等についてのやり取りは、専門的な知識が必要となります。
こちらの判例では約2949万円の損害賠償金が認められましたが、どのような点がポイントになったのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
大学院生(男・29歳)損害額2949万3613円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成17年(ワ)第24355号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左鎖骨骨折となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害者が普通乗用車を時速100kmで走行し、被害者オートバイを追い越そうとした際、追突し、被害者は加害車のフロントガラスに頭から衝突し、ボンネット上から路上に落下したうえ、加害車に約40m引きずられた。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学院生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 29歳 |
事故の内容 | 加害者が普通乗用車を時速100kmで走行し被害者オートバイを追い越そうとした際、追突し、被害者は加害車のフロントガラスに頭から衝突し、ボンネット上から路上に落下したうえ、被害車に約40m引きずられた。 |
傷害の内容 | 左鎖骨骨折、脳震盪、頭部打撲、全身打撲、両手足擦過傷、両膝挫傷、鞭打ち損傷 |
後遺障害等級 | 12級12号 |
入院 | 2日 |
被害者は全身にケガを負い、12級の後遺障害が残ってしまったとのことです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 2949万3613円 |
---|---|
うち慰謝料 | 490万円 |
うち休業損害 | 440万7200円 |
うち逸失利益 | 1562万4542円 |
損害総額は2949万3613円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額2949万3613円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が200万円、後遺障害の慰謝料が290万円認められました。
- 休業損害としては、被害者は事故により1年卒業が遅れたため、休業損害も1年間として、基礎収入は男子大卒25歳~29歳の平均年収440万7200円とされました。
- 逸失利益は、基礎収入は男子の大卒全年齢平均賃金674万4700円とし、後遺障害等級は12級12号であるが、客観的所見や症状に照らすと容易に回復するとは言いがたいとして67歳までの36年間を労働能力喪失期間を認め、労働能力喪失率は14%として算定し、1562万4542円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの大学院生は加害車に約40mもひきずられたようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
そのような事故態様で大きなケガを負った影響で、翌年には大学院博士後期課程を修了し、稼働していたはずが、博士課程論文作成が遅れ、修了できませんでした。
そのため、留年が必要になる1年間の休業損害が認められました。
しかし、被害者が理学修士、工学博士号を取得し、学会で発表するなどの業績を残していた点は休業損害においてはほとんど考慮されませんでした。
大学院生といえども、具体的に企業への内定が決まっているなどの事情がなければ、高額な基礎収入を認定してもらうことは難しいようですね。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。
保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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いつでも専属のスタッフから電話相談の案内を受けることができるので、使い勝手がいいです。
電話相談・LINE相談には、夜間や土日も、弁護士が順次対応しているとのことです。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
大学・仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
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大学院生の慰謝料計算の特徴は?
大学院生の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
大学院生といっても、その専門分野によって活動内容や将来的な就職分野は様々です。
ポイントとしては、活動内容や将来就職する可能性が高い分野等を具体的に主張していくことです。
事故の影響で論文が作成できず、留年してしまったり、研究活動に支障が出ていることが証明できれば、賠償額が増額できる余地があります。
また、内定が決まっていたり、就職する可能性が高い分野を証明できれば、内定先の会社や就職する可能性が高い分野の収入が、将来の収入源をカバーする逸失利益の計算の基礎となり、賠償額が増額する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントはあくまで一般論であり、上に挙げられている判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみましょう。