交通事故判例検索の方法|判例集など各方法の比較や交通事故民事裁判例の紹介

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交通事故判例検索の方法|判例集など各方法の比較や交通事故民事裁判例の紹介

交通事故判例ってどうやって検索すればいいの?」

「交通事故の判例って何の役に立つの?」

「交通事故の実際の裁判の判例にはどんなものがあるの?」

交通事故にあわれた方は、様々な所で「判例」という言葉を耳にすることはあっても、検索方法やメリット・実際の判例までは知らないかもしれません。

このページでは、そんな方のために

  • 交通事故の目的別検索方法
  • 交通事故の判例を検索するメリット
  • 交通事故の実際の民事訴訟刑事裁判の判例

についてご紹介していきたいと思います!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

交通事故の判例の検索方法には色々あり、目的別に適した調べ方というものがあります。

また、交通事故の判例を検索することは、交通事故の問題を解決していく上で、色々と役に立つことがあります。

ここでは交通事故の判例を検索するメリットについて、実際の裁判の判例と併せてお伝えしていきたいと思います。

交通事故判例を知りたいと思っても、その検索方法や調べ方がよくわからないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、まずは交通事故の判例の検索方法をその目的別にご紹介していきたいと思います!

交通事故の判例の検索方法を目的別に紹介

交通事故の判例の検索方法を目的別に紹介

①判例タイムズ~最新の注目判例の検索向け

まず、交通事故判例検索方法としては、判例タイムズを見るということが考えられます。

判例タイムズ

株式会社判例タイムズ社が発行する法律の実務家(おもに弁護士・裁判官・検察官など)向けに全国の判例情報と実務に役立つ論文を掲載した月1回発行の雑誌

判例タイムズ社は最高裁判所発足後まもない昭和23年から約70年にわたり、実務家向けの法律専門書を出版している会社です。

交通事故に限らず、主に法律実務家の実務に役立つような観点から選ばれた判例が多数掲載されています。

そのため、この検索方法は最新の注目判例を検索したい方向けといえます。

一方で、お伝えしたとおり交通事故に限定されているわけではないため、交通事故の判例だけを探したい方向けではないかもしれません。

実際の調べ方

判例タイムズは、お近くの書店や判例タイムズ社の以下のホームページから購入が可能です。

もっとも、購入の際には一冊3000円程度することや実際に知りたい判例はおそらく一冊の中の一部だけであるということを考慮する必要があります。

判例タイムズは、大きな図書館であれば収蔵されていることがあるので、まずは大きめの図書館に行ってみて探してみるのがいいかと思います。

②交通事故判例百選~重要な判例の検索向け

また、交通事故判例検索方法としては、判例百選を見るということも考えられます。

判例百選

株式会社有斐閣が、雑誌「ジュリスト」の別冊として発行する法律学の分野別に1冊あたり約100個の裁判例を厳選し、概要と評釈を掲載した判例集

判例百選のシリーズの中には交通事故判例百選というものもあります。

こちらには、交通事故実務の基本とも言える(最新版で)110件の精選された判例の概要が専門家の評釈付きで掲載されています。

そのため、この検索方法は交通事故の重要判例を検索したい方向けといえます。

一方で、重要判例の概要のみが掲載されているため、判例の全文を知りたい方や個別の細かい判例を知りたい方向けではないかもしれません。

実際の調べ方

交通事故判例百選は、お近くの書店や株式会社有斐閣の以下のホームページから購入が可能です。

もっとも、購入の際には一冊2700円程度することや実際に知りたい判例はおそらく一冊の中の一部だけであるということを考慮する必要があります。

判例百選も、大きな図書館であれば収蔵されていることがあるので、まずは大きめの図書館に行ってみて探してみるのがいいかと思います。

③判例データベース~多数の判例の検索向け

そして、交通事故判例検索には、データベースを利用するという方法もあります。

裁判所のデータベース

裁判所は以下のページで裁判例情報を一般に公開しています。

こちらでは、全国各地の多数の裁判例の情報が検索できます。

また、こちらの利用は無料であり、登録手続きなども不要になっています。

そのため、この検索方法は無料で気軽に多数の判例を検索したい方向けといえます。

一方で、交通事故に限定されていないため検索がやや難しく、この後ご紹介する有料データベースと比較すすると収録判例数が少ないことから、

  • 交通事故判例の検索に慣れていない方
  • より多数の判例を検索したい方

向けではないかもしれません。

有料のデータベース

判例のデータベースには、企業が運営している有料のデータベースがあります。

その中でも、交通事故については、株式会社TKCが運営する「TKCローライブラリー」というデータベースが充実しているようです。

具体的には、「LEX/DBインターネット 交通事故判例検索」は、

  • 民事刑事を問わず、交通事故に関する判例がフルテキストで収録されている
  • 交通事故に限った検索ができる
  • 内容は毎日更新される
  • 本文のフリーキーワード検索ができる
  • 図表が掲載されている場合もある

という特徴があります。

さらに、オプションとして、交通事故過失相殺事例データベースというものもあるようです。

実際の調べ方

こちらのデータベースを利用するには、契約が必要であり、月毎に定額の料金が掛かります。

具体的な料金体系や申し込みの手順は、以下のページから確認できます。

また、国立国会図書館の館内でも、「TKCローライブラリー」というデータベースを利用して判例を検索することができるようです。

そのため、この検索方法は多数の交通事故の判例を検索したい方向けといえます。

一方で、検索にお金や手間を掛けたくない方向けではないかもしれません。

④判例集などの本~詳細まで知りたい人向け

さらに、交通事故判例検索は、判例集などのを利用して行うという方法も考えられます。

交通事故民事裁判判例集

交通事故の判例集の代表的なものとして挙げられるのが、交通事故民事裁判判例集です。

交通事故民事裁判判例集

交通事故に関する民事判決から実務・理論上意義のあるものを厳選して紹介する隔月刊発行の唯一の交通事故専門判例集

この判例集には

  • 裁判所の判断が簡潔に理解できる「判決要旨」、
  • 被害者・死亡障害の別や争点となった項目(後遺障害・逸失利益・慰謝料・過失相殺等)を知るための「索引(キーワード)」
  • 事故の状況を簡略な図で示した「事故態様図」

などが付されています。

そして、1年ごとに発行される索引・解説号では、その年に収録された判決を体系的に分類した

  • 「事項索引」
  • 「被害者類型索引」
  • 「判決月日・要旨索引」
  • 「裁判所別索引」
  • 「後遺障害の部位・等級別索引」

により、詳細な検索が可能になっています。

実際の調べ方

交通事故民事裁判判例集は、書店や以下のホームページから購入が可能です。

もっとも、購入の際には一冊3000円程度することや実際に知りたい判例はおそらく一冊の中の一部だけであるということを考慮する必要があります。

また、国立国会図書館には交通事故民事裁判判例集が収蔵されているため、まずは国立国会図書館で調べるという方法も考えられます。

自保ジャーナル

その他の判例集としては、自保ジャーナルがあります。

自保ジャーナルとは、交通事故訴訟に特化した月2回刊の雑誌で、当該事案における具体的な請求額や認容額の記載があります。

また、判決文がほぼ全文掲載されており、参考判例も挙げられています。

実際の調べ方

自保ジャーナルは、書店や以下のホームページから購入が可能です。

もっとも、購入の際には一冊2000円以上することや実際に知りたい判例はおそらく一冊の中の一部だけであるということを考慮する必要があります。

また、国立国会図書館には自保ジャーナルが収蔵されているため、まずは国立国会図書館で調べるという方法も考えられます。

向き・不向き

判例集は、争点となった項目ごとに索引が設けられていたり、具体的な請求額や認容額の記載があるなど詳しく知りたい方向けといえます。

一方で、索引などはあるものの検索はデータベースよりも困難なため、検索に時間を掛けたくない方向けではないかもしれません。

⑤交通事故の赤本~各項目の判旨の検索向け

最後に、交通事故判例検索方法として、赤本を利用することが考えられます。

赤本は、東京地裁の実務に基づく賠償額の基準が記載されたですが、同時に参考となる判例も掲載されています。

そして、赤本では損害項目ごとに参考判例が掲載されているため、争点になっている損害項目の参考判例をすぐ知りたい人向けといえます。

一方で、赤本には判例の要旨しか掲載されていないため、判例の全文を知りたい方向けではないかもしれません。

なお、交通事故の赤本については、以下のページに詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください!

このように、交通事故の判例の検索方法には様々なものがあります。

それぞれの検索方法には向き不向きがあるので、下記の表も参考にして、ご自身に向いている判例の検索方法を利用してみて下さい。

交通事故の判例の検索方法の比較
検索方法 向いている方 向いていない方
判例タイムズ 最新の注目判例を知りたい方 交通事故の判例だけを検索したい方
判例百選 重要な判例を知りたい方 ・判決全文を知りたい方
・個別の細かい判例を検索したい方
データベース※ 多数の判例を検索したい方 検索にお金や手間を掛けたくない方
判例集 詳細まで知りたい方 検索に時間を掛けたくない方
赤本 争点の損害項目の判例を知りたい方 判決全文を知りたい方

※ここでは、有料のデータベースを想定

交通事故の判例を検索する4つのメリット

交通事故の判例を検索する4つのメリット

これで、交通事故判例検索方法についてはお分かりいただけたのではないかと思います。

もっとも、そもそも交通事故の判例を検索することが一体何の役に立つのかについてご存じでない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ここからは、交通事故の判例を検索して知ることの4つのメリットをお伝えしていきたいと思います!

①過失割合の自身の主張の材料や相場の確認

交通事故における過失割合は、大量の同種事案を公平・迅速に処理すべく、事故の類型毎に基本的な過失割合の基準が存在します。

その過失割合の基準は、東京地裁で民事交通訴訟を集中して担当する専門部の裁判官が中心となり作成した認定基準が実務上用いられています。

その認定基準は、「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍において公表されています。

もっとも、別冊判例タイムズに掲載されている過失割合は、あくまで基準にすぎず、絶対的なものではありません。

そして、同じ事故の類型の交通事故であっても、細かな事情については事案によって様々であるといえます。

そこで、自身の事案に近い判例を検索し、そこでの過失割合を自身の主張に用いることで、基準と違う過失割合を認めてもらえる可能性があります。

また、別冊判例タイムズの基準には、過去の裁判例の集積が乏しい事故類型やそもそも基準のない事故類型のものが存在します。

そういった事故類型についての判例を検索することにより、その事故類型の過失割合の相場を確認できるというメリットもあります。

②慰謝料等の損害賠償の相場や請求先の検討

交通事故における慰謝料等の損害賠償についても、過失割合同様、大量の同種事案を公平・迅速に処理すべく、基準が存在します。

その基準は、日弁連交通事故相談センター東京支部の委員が過去のの裁判例の傾向をまとめた基準した実務上多く用いられています。

その具体的な基準は、先ほどご紹介した赤本において公表されています。

もっとも、赤本記載の損害賠償の基準も、過失割合の基準同様、絶対的なものではありません。

赤本の基準よりも高額賠償が認められた判例もあれば、素因減額により基準以下の損害賠償しか認められなかった判例もあります。

そのため、自身の交通事故事案に近い判例を検索することにより、自身の慰謝料等の損害賠償の相場を知ることができるというメリットがあります。

また、交通事故の裁判は、直接の加害者以外の雇用主などに請求できる場合があります。

そして、自身の交通事故事案に近い判例を検索することは、損害賠償の請求先を誰にするかを検討する上で役に立つといえます。

③後遺障害が認められる余地があるかの検討

交通事故後遺障害の等級は、自賠責保険において認定されます。

もっとも、裁判所は自賠責保険の認定結果に拘束されず、判決などにおいて、後遺障害の判断をすることになります。

そのため、自賠責保険よりも高い等級が認められた判例も複数存在します。

そして、自身の交通事故事案に近い判例を検索することは、裁判であればどれ位の後遺障害が認められる余地があるかを検討する上で役立ちます。

④交通事故の刑事罰の量刑相場を判例で確認

交通事故には損害賠償請求の民事訴訟だけでなく、刑事裁判判例も存在します。

交通事故の刑事裁判には、死亡事故の加害者の判例だけでなく、保険金詐欺のような判例もあります。

そして、民事訴訟の過失割合慰謝料同様、自身の事案に近い判例を検索することは、刑事罰の量刑相場を確認する上で役立ちます。

このように、交通事故の判例を検索することには様々なメリットがあります。

自身の交通事故の事案に似た判例を検索することで、自身に有利な結論を導くことや正しい見通しを立てることに役立てるようにしましょう。

交通事故の判例を検索する4つのメリット
番号 メリット 具体例
過失割合の相場確認 ・基準とは異なる過失割合
・基準のない事故類型の過失割合
損害賠償の相場や請求先の検討 ・基準以上の高額賠償
・雇用主への請求
後遺障害の検討 ・自賠責の等級より高い等級
刑事罰の量刑相場の確認 ・死亡事故の量刑相場
・保険金詐欺の量刑相場

交通事故の民事訴訟・刑事裁判双方の判例

交通事故の民事訴訟・刑事裁判双方の判例

これで、交通事故判例検索するメリットについてはお分かりいただけたのではないかと思います。

もっとも、そもそも交通事故の判例を検索するメリットについては、実際の判例を見てみないとイメージがつきにくいかもしれません。

そこで、ここからは、交通事故の民事訴訟刑事裁判双方の判例について、上記のメリットに沿ってお伝えしていきたいと思います!

①交通事故民事訴訟|過失割合に関する判例

まずは、①の過失割合に関する実際の判例をご紹介したいと思います。

直進車と右折車の過失割合の判例

最初の判例は直進車と右折車の過失割合に関するものです。

信号のない交差点での直進単車と右折四輪車の過失割合につき、先ほど紹介した別冊判例タイムズでは直進単車15:右折四輪車85になっています。

しかし、下記の判例では、判例タイムズで例示されている著しい過失が単車にないにもかかわらず、単車に25%の過失を認めています。

原告も渋滞中の交差点に、停止車両の側方を通過して進入する場合には、右折する対向車の存在について細心の注意を払うべきであり、かつ状況に応じて適度の減速をすべきであるのにこれを怠つた過失があるものといわざるを得ない。

よつて原告の右過失(略)の程度は、前記事故の状況、進入道路の幅員、被告の過失内容等を考慮し、前記損害額の合計金額から25%を減ずるのが相当である。

この事例では、渋滞中の交差点に、停止車両の側方を通過して進入したという事故状況が過失割合に影響したものと考えられます。

このように、別冊判例タイムズとは違う過失割合が認められる可能性があるのを知ることができるのが、判例の検索のメリットといえます。

交差点での特殊な過失割合の判例

続いての判例は交差点での過失割合に関するものです。

交差点での過失割合については、別冊判例タイムズで様々な類型の基準が設けられています。

しかし、救急車やパトカー等の緊急自動車が当事者となる場合には、直ちに別冊判例タイムズの基準に当てはめて過失割合を決定できません。

緊急自動車については、道路交通法上、以下のような特例を認めているからです。

緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。

この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。

他方で、一般車両側については、緊急自動車を優先させる義務が定められています。

交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、…車両…は交差点を避け、かつ、道路の左側…に寄つて一時停止しなければならない。

信号のある交差点での直進車同士の過失割合は、判例タイムズの基準では赤信号車が100%になっています。

しかし、赤信号車が緊急自動車の場合には、上記のような特例があるため、基準に当てはめて過失割合を決められず、個別の検討が必要になります。

そんな交差点での赤信号車が緊急自動車という特殊な事例について、以下のような判例があります。

緊急自動車は法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しないが、他の交通に注意して徐行運転すべき義務がある。

しかしながら、丙川は、交差道路である東西道路が青色信号であり、かつ、東西道路が幹線道路であって東向きに直進する車両が青色信号に従って相当の速度で進行してくることが予見できるにもかかわらず、(略)左方の確認が十分出来ていないにもかかわらず、漫然と進行した過失がある。

一方、原告乙山は、交差点又はその付近において、緊急自動車が接近してきたときは、交差点を避け、かつ道路の左側によって一時停止しなければならないところ、漫然と本件交差点に進入した過失があり、その過失割合は、原告乙山六割、丙川が四割とするのが相当である。

この判例では、青信号車である一般車両側に60%の過失を認めています。

交通事故の判例を検索することは、このような交差点での特殊な過失割合の相場を確認できるというメリットがあります。

被追突車に過失割合を認めた判例

続いての判例は、追突の過失割合に関するものです。

追突事故をされたら、追突された被害者の過失割合は0%が原則です。

もっとも、別冊判例タイムズの基準では、被追突車に道路交通法第24条違反がある場合には、被追突車にも30%の過失を認めています。

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

さらに、判例の中には、被追突車が危険防止のために車両を急停止させた場合でも、被追突車に過失を認めたものがあります。

被告は、原告車の動静に対する注意を怠り被告車を原告車に追突させたものであつて本件事故発生につき過失の責を免れない。

一方、原告も前方への注意を怠り自転車の走行に気付かず一旦右折のため発進させた原告車を急に停止させたために本件事故が発生したものであることが認められるから、原告も過失の程度は被告に比し小さいものの、本件事故発生につき過失の責を免れない。

以上を総合すると、本件事故発生に対する過失割合は、原告二割、被告八割と認めるのが相当である。

この事例では、被追突車が前方注視していれば、危険防止のために車両を急停止させる必要がなかったため、被追突車に過失を認めたと考えられます。

このように、交通事故の判例を検索することにより、被追突車に道路交通法第24条違反がない場合でも、過失が認められる場合があることを知れます。

駐車場内の事故の過失割合の判例

続いての判例は、駐車場内の過失割合に関するものです。

駐車場内の事故について、以前は別冊判例タイムズに基準が掲載されてませんでしたが、平成26年の改訂により基準が掲載されるようになりました。

もっとも、新基準は判例の集積が十分ではなく、絶対的なものではないことから、依然として判例から過失割合の相場を探るメリットがあります。

控訴人圭子車の車庫内の様子は被控訴人車の方向からは厚いコンクリート壁のため十分に把握することはできない状況であった上、本件駐車場は比較的狭く暗かったのであるから、このような状況のもとで後退走行しようとする被控訴人としては、先行していた控訴人圭子車の車庫入れが完全に終了したかどうかなどその動静を十分確認しながら同車との接触を回避するよう注意を払うべき義務があるというべきである。

ところが、前記のとおり、被控訴人は、後退の途中からは控訴人圭子車の車庫方向への注視を怠り、その車庫入れが完全に終了したかどうかなど同車の動向に十分な注意を払うことを怠ったため、突然切り返しを行って通路に出て来た控訴人圭子車と衝突したのであるから、被控訴人にも右注意義務違反の過失があると認められる。

そして、先に見た本件事故の状況に徴すると、その過失割合は、控訴人圭子車70%、被控訴人車30%とするのが相当であ(略)る。

これは地下駐車場内通路を後方確認しながらバックしたところ、一度駐車スペースに入ったが、切り返しのため通路に出てきた車両と衝突した事例です。

この事例は、別冊判例タイムズにも直接該当する基準がないため、類似事案の駐車場内の事故の過失割合を検討するために役立つと考えられます。

非接触でも過失割合を認めた判例

続いては、非接触事故に関する判例です。

非接触事故では、そもそも因果関係が認められるか、認められる場合でも過失割合がどうなるかが争いになりやすいです。

そのため、非接触事故に関する判例を検索することは、非接触事故の事案の見通しを立てる上で大いに役立つと考えられます。

原告は、(略)被告車が右折のウインカーを出しながら右折車線を進行してきたことに気がついていたが、被告車が直進車である原告車の進路を譲つてくれるものと考え、特に減速することなく交差点に進入した。

ところが、被告車が原告車の前方に進出し、進路を塞ぐ形で停止したので、原告は衝突を防ぐため左にハンドルを切つてブレーキを踏んだ。

そのため、原告車は被告車との衝突を回避することはできたが、進路左前方に設置されている道路脇のガードパイプに衝突した。

(略)

被告上空には、交差点手前で一時停止し、直進車の発見に努め、直進車の動静に注意し、安全な右折ができる状況を確認した上で右折を開始すべきであるのに、これを怠つた過失がある。

被告上空は民法七〇九条の過失責任を免れることはできない。

被告らは、本件事故は原告の自損事故である旨主張するが、前認定の事実を前提にする限り本件事故が自損事故であるということはできない。

(略)

本件事故は基本的には被告上空の過失により発生したものであるが、原告にも制限速度を越えて走行していた過失があり、速度を遵守しておれば本件事故を回避できた可能性も否定できないので、本件事故における原告の過失を二割とみるのが相当である。

(以下略)

この事例では、非接触であっても、事故との因果関係を認めたうえで、被害者にも制限速度違反などにより20%の過失を認めています。

このように、非接触事故での因果関係の有無及び認められる場合の過失割合の見通しを立てる上で、交通事故の判例の検索が役立つと考えられます。

信頼の原則を適用した事故の判例

交通事故の判例の中には、一定の規範(ルール)を示したと考えられるようなものもあります。

代表的なものとしては、信頼の原則の考え方を示したものと考えられる判例があります。

信頼の原則

他の交通関与者が交通秩序に従った適切な行動をとることを信頼するのが相当である場合には、その者の不適切な行動によって生じた交通事故について加害者たる交通関与者は責任を負わないという考え方

その判例とは、以下のようなものです。

道路交通法37条は、交差点で右折する車両等は、当該交差点において直進しようとする車両等の進行妨害をしてはならない旨を規定しており、車両の運転者は、他の車両の運転者も右規定の趣旨に従つて行動するものと想定して自車を運転するのが通常であるから、右折しようとする車両が交差点内で停止している場合に、当該右折車の後続車の運転者が右停止車両の側方から前方に出て右折進行を続けるという違法かつ危険な運転行為をすることなど、車両の運転者にとつて通常予想することができないところである。

信頼の原則が適用された判例は複数あり、それらの判例からすると、信頼の原則は、

  • 基本の過失割合が0:100にあたる信号無視事故
  • センターラインオーバーによる対向車同士の正面衝突事故
  • 自動車の通行の頻繁な幹線道路での歩行者の飛び出し
  • 右折車と後続からの右折車というような、異常かつそれを認めたら交通秩序の根底がひっくり返りそうなもの

などに適用されているようです。

このような信頼の原則の判例を検索することは、自身に過失割合がないことの主張の材料として用いることができるというメリットがあります。

②交通事故民事訴訟|損害賠償に関する判例

ここからご紹介する判例は、②の損害賠償の相場や請求先に関するものになります。

交通事故における高額賠償の判例

交通事故では高額賠償が命じられた判例が数多くあり、以下のようなランキングの表も作成されています。

この高額賠償ランキング第2位の判例の損害賠償の被害者の立場や金額の内訳は以下の表のようになります。

名古屋地裁平成23年2月18日判決
被害者の立場
年齢・性別:21歳 男性
職業:大学生
後遺障害
別表Ⅰの11
治療費
142659
入院雑費
499200
交通費
855057
休業損害
1992576
逸失利益
114558209
将来介護費
159038917
住宅改造費用
18959680
車両改造費
2862212
介護ベッド費用
3751673
介護リフト費用
3729046
シャワーキャリー費用
3298070
車椅子費用
4074336
医療機器費用
4368757
将来雑費
22583400
慰謝料
3130万円
弁護士費用
1350万円
遅延損害金
2915068
原告の母の損害
540万円
認定総損害額※
395106860

このような高額賠償の判例を検索することは、裁判になった場合の損害賠償の見通しを立てる上で役立つというメリットがあります。

交通事故における素因減額の判例

また、交通事故の損害賠償に関しては、素因減額についていくつかの重要な最高裁判例があります。

素因は、一般的に、

  • 被害者の精神的傾向である「心因的要因」
  • 既往の疾患や身体的特徴などの「体質的・身体的要因」

とに分類されますが、それぞれについて、最高裁判例があります。

心因的要因

こちらの最高裁判例は以下のようなものです。

症状のうちには上告人の特異な性格に起因する症状も多く、初診医の診断についても上告人の言動に誘発された一面があり,更に上告人の回復への自発的意欲の欠如等があいまつて、適切さを欠く治療を継続させた結果、症状の悪化とその固定化を招いたと考えられ、このような事情のもとでは、本件事故による受傷及びそれに起因して三年間にわたつて上告人に生じた損害を全部被上告人らに負担させることは公平の理念に照らし相当ではない

こちらの判例では、素因減額を認め、損害賠償の金額を4割の限度に減額しました。

身体的要因の素因減額肯定例

まず、一酸化炭素中毒既往症について素因減額を認めた判例を紹介します。

精神障害を呈して死亡するに至ったのは、本件事故による頭部打撲傷のほか、本件事故前にり患した一酸化炭素中毒もその原因となっていたことが明らか(以下略)

また、無症状の後縦靭帯骨化症について、素因減額を肯定した最高裁判例がこちらになります。

被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となつて損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法七二二条二項の規定を類推適用して、被害者の疾患を斟酌することができ(略)このことは、加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか、疾患が難病であるかどうか、疾患に罹患するにつき被害者の責めに帰すべき事由があるかどうか、加害行為により被害者が被つた衝撃の強弱、損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によつて左右されるものではない(以下略)

こちらの判例は、上記の平成4年の最高裁判例を前提としつつ、事故前に疾患に伴う症状が発現していない場合にも素因減額を認めたものです。

身体的要因の素因減額否定例

一方、同日に素因減額を否定した以下のような最高裁判例も出されています。

被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである。

けだし、人の体格ないし体質は、すべての人が均一同質なものということはできないものであり、極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴を有する者が、転倒などにより重大な傷害を被りかねないことから日常生活において通常人に比べてより慎重な行動をとることが求められるような場合は格別、その程度に至らない身体的特徴は、個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されているものというべきだからである。

これらの判例を前提に、素因減額をするかどうかやその割合は、具体的事案ごとに個別に判断されています。

そのため、素因減額の判例を検索することは、損害賠償に関する自身の主張の補強や見通しを立てるのに役立つといえます。

車両の格落ちを認めた物損の判例

交通事故の物損の損害賠償においては、いわゆる事故車両の格落ちが争いになることがあります。

裁判例では、格落ち損害を認める傾向にあります。

格落ち損害の金額は、一般的には修理費用の30%程度と言われていますが、以下の判例のようにそれ以上の割合の格落ち損害を認めたものもあります。

格落ち損(評価損)四〇万八五二五円

(略)

原告車が、本件事故に遭ったのが、初度登録後約五か月の時点であったこと、走行距離が一万kmに満たないこと、骨格部位に損傷が波及していたことなどの諸事情を考慮すれば、原告車についての評価損は、修理費用一〇二万一三一四円の四〇%に相当する四〇万八五二五円(円未満切捨)とするのが相当である。

なお、保険会社は格落ち損害については非常に厳しい対応をしてきます。

格落ちを認めた判例の検索は、保険会社に対して格落ちを認めてもらうための交渉材料として役に立つと考えられます。

共同不法行為の責任を認めた判例

交通事故は、二つの事故が立て続けに発生するいわゆる多重事故の場合があります。

この多重事故が、共同不法行為に該当する場合には、被害者は、二つの事故の加害者双方に全額の損害賠償を請求できることになります。

そして、連続した交通事故につき、共同不法行為が成立するとした判例がこちらになります。

本件第一事故によつては適切な医療措置を受けることで容易に治癒するであろうと推測され、その意味で比較的軽度の外傷を受けたに過ぎない被害者に対し、同被告が致命傷を与えて死亡するに至らせたものであるから、結果に対する直接的原因力の観点からみて、これによる損害全部を賠償すべき合理的根拠がある。

一方、被告友杉については、確かに同被告の行為自体によつて被害者に与えた傷害は右の程度であつたとしても、(略)本件第二事故は、本件第一事故の必然的結果ともいうべきである上に、(略)同被告は、本件第一事故後、二次的事故が発生するおそれがあることを認識しながら救護義務を怠つたことが認められるのであるから、同被告についてもまた被害者死亡による損害全部を賠償すべき合理的根拠があるというべきである。

そして、これに加えて、本件第一事故と第二事故とが社会通念上は連続受傷による一個の死亡交通事故と評価し得ることを併せ考慮するならば、被告らの各行為につき、いわゆる客観的共同による同条項所定の共同不法行為の成立を認めることができる。

このように、交通事故の判例を検索することは、共同不法行為として、全額の損害賠償を請求できるかを検討する上で役立つと考えられます。

なお、共同不法行為になった場合には、共同不法行為者間の過失割合が問題になり、その点についても過去の判例が参考になるものといえます。

雇用主の使用者責任を認めた判例

交通事故の加害者が、会社の車を運転していたり、業務・通勤中であった場合には、雇用主の使用者責任が認められるかが問題になります。

そのような場合に、過去の類似判例を検索することで、損害賠償を雇用主にも請求できるかどうかの見通しを立てることが可能になります。

なお、実際に雇用主の使用者責任を認めた判例には、以下のようなものがあります。

右ジープの運行は、会社業務の適正な執行行為ではなく、主観的には同上告人の私用を弁ずる為であつたというべきであるから、上告会社の内規に違反してなされた行為ではあるが、民法七一五条に規定する「事業ノ執行ニ付キ」というのは、必ずしも被用者がその担当する業務を適正に執行する場合だけを指すのでなく、広く被用者の行為の外形を捉えて客観的に観察したとき、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる場合で足りるものと解すべきであるとし、この見地よりすれば、上告人岩根の前記行為は、結局、その職務の範囲内の行為と認められ、その結果惹起された本件事故による損害は上告会社の事業の執行について生じたものと解するのが相当であるから、被用者である上告人岩根の本件不法行為につき使用者である上告会社がその責任を負担すべきものであるとした原審の判断は、正当(以下略)

③交通事故民事訴訟|後遺障害に関する判例

続いては、交通事故後遺障害に関する判例です。

脳脊髄液減少症の交通事故の判例

後遺障害として争われやすいものの一つに脳脊髄液減少症というものがあります。

この症状については、現段階では、自賠責保険での認定や保険会社との交渉においては後遺障害として認められることは非常に困難です。

もっとも、脳脊髄液減少症を交通事故の後遺障害として認めたと考えられる以下のような判例もわずかながら存在します。

少なくとも事故後12日目に入院した後、原告に起立性頭痛が認められること(略)、RI脳槽シンチの画像診断によって片側限局性の髄液漏出が認められたこと、ブラッドパッチ治療の効果が相当程度あったこと、他傷病及び心因によって原告の症状を説明できないことなどを総合すると、原告の症状は、低髄液圧症候群によるものと認められる。

そして、原告の低髄液圧症候群は、本件事故の外傷により、髄液漏れが生じたことによるものと判断するのが合理的である。

(略)

原告の後遺障害としては,第9級の10「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に相当するものとして,症状固定時に35%の労働能力喪失を認めることが相当である。

このように脳脊髄液減少症の判例を検索することは、裁判になった場合に後遺障害として認められる余地があるかの検討において役立つと考えられます。

なお、脳脊髄液減少症については以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

高次脳機能障害の交通事故の判例

また、高次脳機能障害につき、自賠責保険の判断とは異なる結論を下した判例が複数あります。

これは、自賠責保険は書面審査である一方、裁判では当事者からの多様な提出証拠から個別具体的な判断が可能であることが原因の一つと思われます。

具体例として、自賠責保険では非該当としたものが、裁判所で9級10号と認定された高次脳機能障害の判例をご紹介します。

後遺障害等級の事前認定を申し立てたが、同機構は、全部非該当と判断し(略)た。

(略)

原告は、平成20年2月7日、損保機構に対し、前記事前認定に対する異議申立てをしたが(略)、同機構は、前回同様に全部非該当と判断し(略)た。

(略)

各証言や写真によれば、本件事故後、原告に相当重大な人格変化が生じたことは明らかというべきである。

そして、これに加えて、(略)本件事故の態様と原告のクモ膜下出血受傷の事実によれば、本件事故により原告の脳に相当大きな衝撃が加わったことが優に推認されること、(略)原告の脳の両側前頭葉と左側頭葉に血流低下があり、これが高次脳機能障害の場合によく生じる症状であることが認められることを併せ考慮すると、原告については、脳の器質的病変を画像によって確定することはできないものの、これに準じる客観的な脳の病変があることが認められるから、(略)原告は、本件事故による後遺障害として高次脳機能障害があり、同障害は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当すると認めるのが相当である。

このように高次脳機能障害の判例を検索することは、裁判になった場合に後遺障害として認められる余地があるかの検討において役立つと考えられます。

なお、高次脳機能障害については以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

④交通事故の刑事裁判|刑事罰に関する判例

最後に、交通事故刑事裁判に関する判例も少しだけご紹介したいと思います。

死亡事故の刑事裁判に関する判例

交通事故の中でもやはり死亡事故については、刑事裁判にまで発展する可能性がかなり高いと考えられます。

そして、死亡事故の刑事裁判の判例を検索することで、刑事罰の量刑相場を確認できるというメリットがあります。

死亡事故の刑事裁判を検索すれば色々な判例が探せますが、ここではニュースでも報じられたいわゆるポケモンGO死亡事故事件の判例をご紹介します。

主文

被告人を禁錮3年に処する。

(略)

本件により生じた結果は、前途ある9歳の児童の死亡というものであるから、過失運転致死の中でも被害者1名の事案としてはこの上なく重いものである。

次に、被告人の過失ないし本件事故の態様等を見ると、(略)被告人は、特に注意すべき時間帯及び場所であって、横断歩道脇に小学生らがいることに気づいていたにもかかわらず、自動車の運転には全く必要のないゲームをするために、前方注視という自動車運転者として最も基本的な注意義務を怠り、本件事故に至っているのであるから、その過失の態様は非常に悪質といえる(略)。

しかも、被告人は、スピード違反で免許停止処分を受けたことがあるほか平成23年以降3件の交通違反歴を有しており、また、以前からゲームをしながらの運転を日常的に繰り返し、そのような運転で交通事故が起きた旨の報道を見聞きしたこともあったのに、他人事としてのみ捉えてその後も同様の運転を続けていたというのであるから、交通法規や安全性に対する意識の乏しさが顕著であって、本件はまさに起こるべくして起きた事故であるといえる。

これらの事情に照らすと、本件は、被害者1名の過失運転致死の事案としては非常に犯情が悪く、被害者の遺族らの感情が極めて厳しいのも当然である。

そうすると、被告人が運転していた自動車には対人賠償額無制限の任意保険がかけられていて、被害者の遺族らに対していずれは賠償のなされる見込みがあること、被告人には前科があるとは認められず反省もしていること、被告人の妻が被告人の監督を約束していることなどの事情はあるものの、これらの点を考慮しても、主文のとおりの禁錮刑が相当であり、その執行を猶予すべきものではない。

この事例は、執行猶予が認められるかどうか争いになる事案でしたが、執行猶予は認められず、いわゆる実刑判決が下されました。

この判例からは、今後スマホ使用によるながら運転に対しては、厳しい刑事罰が下される傾向が見受けられるといえます。

保険金詐欺の刑事裁判に関する判例

交通事故に関する刑事裁判といえば、上記のような死亡事故の加害者の裁判を通常イメージされるかと思います。

しかし、交通事故に関する刑事裁判には、少し特殊ではありますが、交通事故を偽装することによる保険金詐欺についての裁判も考えられます。

そこで、最後に交通事故の保険金詐欺に関する実際の判例を一つだけご紹介したいと思います。

主文

被告人を懲役3年6月に処する。

(略)

被告人は、(略)共謀の上、故意に交通事故を作出して保険金支払名下に金員を詐取しようと企て、真実は、E、F及びGが同乗するH所有の普通乗用自動車(軽四)をDが運転し、Cが同乗しBが運転するA所有の普通乗用自動車に故意に衝突させたのに、Eが、F及びGを同乗させてH所有車両を運転中に、B及びCが同乗するA運転車両に追突したとの虚偽の交通事故を起こしたとして、急激かつ偶然な交通事故により、E、F、G、A、B及びCがそれぞれ負傷し、両車両が共に損傷したように装い、

(略)

急激かつ偶然な交通事故によりE、F、G、A、B及びCにそれぞれ損害が生じたものと誤信させて保険金の支払手続をさせ、よって、(略)合計1219万3741円の振込入金を受け(略)た。

(略)

本件は、被告人主導の下で計画的・組織的に敢行された悪質な保険金詐欺事案であり、詐取金の総額は1675万円余りと相当高額であって、本件が保険制度や業務に与えた悪影響の点も看過できない。

そして被告人は共犯者らの中で最も多い取り分を得ているが、本件を否認して被害弁償を全くしておらず、反省の態度も全くない。

被告人の刑責は重く,相応の服役は免れないところである(略)。

そこで、本件は偽装交通事故1件の事案であり共犯者らとの刑の均衡も考慮する必要があるといえること、これまでに交通関係の罰金前科3犯以外に前科はないことなどの被告人のために酌むべき事情も併せ考慮して、主文の量刑をした。

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それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故の判例の検索方法には色々あり、実際に判例を検索することは、交通事故の問題を解決していく上で、色々と役に立つことがあります。

もっとも、交通事故の判例は膨大であり、被害者の方だけでは、ご自身が直面している問題に役立つ判例を検索するのは難しい場合もあるかと思います。

もし、交通事故の判例の検索などでお困りのことがあれば、まずは専門家である弁護士に相談することでお悩みが解決できるかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 交通事故の目的別検索方法
  • 交通事故の判例を検索するメリット
  • 交通事故の実際の民事訴訟刑事裁判の判例

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

交通事故判例についてのQ&A

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実際の交通事故の民事訴訟ってどういうもの?

直進車と右折車の過失割合に関する民事裁の判例では、判決で25%の過失が認められました。しかし、判例タイムズでは15%の過失だったので、判例タイムズはあくまでも基本的な基準であることが分かります。このことから、実際の判例を確認することの重要性が分かります。 交通事故における民事裁判の判例

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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