事前認定で後遺障害14級が非該当!?異議申し立てを被害者請求でできる?

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事前認定で後遺障害14級が非該当!?異議申し立てを被害者請求でできる?

後遺障害事前認定の結果が非該当異議申立ができるって聞いたけどどういうことなの?」

「後遺障害の事前認定で非該当だった場合、異議申立はした方がいいの?」

「後遺障害の認定に納得出来ない場合、どういう方法があるの?」

交通事故にあわれた方の中には、後遺症が残ってしまい、後遺障害の事前認定をされたものの、納得できない結果であった方もいらっしゃるかと思います。

交通事故にはじめて巻き込まれた方も多いでしょうから、後遺障害の事前認定の結果に納得が出来ない場合にどうすべきか知らなくても当然かと思います。

このページでは、そんな方のために

  • 事前認定に対する異議申立とは何か
  • 後遺障害の事前認定で非該当だった場合どうすべきか
  • 後遺障害の認定結果に納得できない場合の申請方法

といった事柄について、徹底的に調査してきました!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

後遺障害事前認定をされたものの、残念ながら、非該当などご納得のいく結果ではなかったという方もいらっしゃると思います。

そういった場合に備えて、異議申立についてしっかりと理解しておくことは重要といえます。

こちらで異議申立についてしっかりと理解し、被害者にとってご納得できる事故の解決ができるようにしましょう。

そもそも、事前認定異議申立という言葉自体、聞きなれない言葉ですよね。

後遺障害手続きと何やら関連がありそうですが、具体的に事前認定や異議申立とは何かについて、まずは確認していきたいと思います!

事前認定に対する異議申立とは?

事前認定に対する異議申立とは?

事前認定とは

自賠責への後遺障害の申請方法

事前認定とは、簡単に言うと相手方任意保険会社が窓口となり、被害者の自賠責保険の後遺障害の等級認定を事前に確認する方法のことです。

交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から

  • 自賠責保険金分
  • 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分

を一括して支払ってもらうことになります。

この制度のことを一括払制度といいます。

相手方任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。

この制度のことを加害者請求といいます。

この制度が自賠法15条を根拠としていることから15条請求とも呼ばれています。

被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

この加害者請求の前提として、一括払いをする相手方任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。

その一環として、被害者の自賠責保険の後遺障害の等級認定を事前に確認する事前認定という方法があります。

事前認定は、相手方任意保険会社から第三者機関である損害保険料率算出機構に損害調査を委託する方法で行われます。

事前認定のメリット

ご覧頂いたとおり、事前認定相手方任意保険会社が主体となり、相手方任意保険会社のために行われる手続といえます。

そのため、後遺障害申請必要書類の収集や費用負担は、原則として相手方任意保険会社となるため、被害者からすると

  • 資料収集の負担が少ない
  • 費用負担がない

ことがメリットといえます。

事前認定のデメリット

また、ご覧頂いたとおり、事前認定相手方任意保険会社が主体となり、加害者請求の前提として行われる手続といえます。

そのため、後遺障害申請手続きに、原則被害者は関与できず、自賠責保険に対する保険金(相当額)請求手続きに先行して行われるため、

  • 手続きが不透明
  • 等級が認定されても、すぐには自賠責保険金(相当額)を受領できない

ことが被害者にとってのデメリットといえます。

まずは、事前認定のメリット・デメリットについて正確に理解しておくことがここでは重要といえます。

事前認定のメリット・デメリット
メリット デメリット
資料収集の負担が少ない 手続きが不透明
費用負担がない すぐには保険金受領できない

異議申立とは

もっとも、事前認定などにより、後遺障害申請をしたものの、被害者が認定結果に納得出来ない場合もあります。

そのような場合に、自賠責保険に対して、後遺障害認定の再判断を求める不服申立ての手続き異議申立になります。

事前認定などによる初回審査の場合には、審査は原則として損害保険料算出機構内の自賠責損害調査事務所で行われます。

それに対し、異議申立の場合には、審査の客観性・専門性を確保するため、弁護士・専門医・学識経験者など外部の専門家で構成される

自賠責保険審査会

で審査されます。

異議申立は、事前認定などの申請に対し、自賠責保険が一度判断を下したものに対する再判断であることから、

判断が事前認定などより厳しい傾向

にあります。

事前認定と異議申立の検証
事前認定 異議申立
審査主体 自賠責損害調査事務所 自賠責保険審査会
位置づけ 初回審査 不服申立て
判断 異議申立よりは緩やか 事前認定より厳しい

異議申立が認められる可能性は?

先ほど、異議申立の判断は、事前認定などより厳しい傾向にあるとお伝えしました。

では、具体的に、異議申立が認められ、自賠責の等級認定の判断が変わる可能性はどれくらいなのでしょうか?

少し前のデータではありますが、損害保険料率算出機構が、異議申立に対する審査結果の統計を公表しており、下記の表のようになっております。

表のとおり、異議申立により、等級認定の判断が変わるのは、全体の5%程度であり、異議申立が認められる可能性はかなり低いのが実情です。

異議申立は、弁護士などの専門家が関与していることも多いという事情も踏まえた上で、下記の表の統計データを考慮する必要があります。

このデータは、後遺障害申請において、いかに初回の審査が重要であるかということを示しているものといえます。

異議申立に対する審査結果
平成25年度 平成24年度
等級変更あり 4.88% 6.06%
等級変更なし 92.93% 91.76%
再調査・時効等 2.18% 2.18%

※損害保険料率算出機構平成25年度の事業概況参照

後遺障害の事前認定で非該当の場合

後遺障害の事前認定で非該当の場合

異議申立の手続きをすべき?

このように、異議申立が認められる可能性がかなり低いのであれば、以下のツイートをされた方のように思われる方も多いと思います。

実際のところ、後遺障害事前認定非該当であった場合、異議申立の手続きをすべきなのでしょうか?

もちろん、ケースバイケースではありますが、事前認定で後遺障害の申請をした場合には、異議申立の手続きをした方がいいことが多いようです。

自賠責損害調査事務所において、どのような審査が行われているか正確にはわかりませんが、事前認定の場合、

顧問医が審査に十分関与せず、判断が困難な事案でも、本部などの上部機関で審査せず、調査事務所の担当者が判断

している事が多いのではないかとも考えられているからです。

もしそうであれば、異議申立により、外部の専門家で構成される自賠責審査会で審査されれば、等級変更がされる可能性もあるといえるからです。

異議申立は被害者請求ですべき?

では、異議申立をする場合、どのような方法で申請すべきなのでしょうか?

上のツイートをされた方は、事前認定の方法で異議申立をされたようですが、後遺障害の申請を事前認定の方法で行った場合でも

異議申立は被害者請求

の方法で申請することが可能です。

そこで、ここからは異議申立を事前認定で申請した場合と被害者請求で申請した場合とを検証していきたいと思います。

事前認定で申請した場合

事前認定で異議申立を申請した場合、異議申立書の提出先は、相手方任意保険会社となります。

異議申立書を受領した相手方任意保険会社が異議申立の手続きを行うため、被害者は

提出する書類の把握・コントロールができない

ことになります。

また、事前認定の場合、自賠責保険に対する保険金(相当額)請求の手続きを含んでいないため、

等級が認定されても、すぐには自賠責保険金(相当額)を受領できない

ことになります。

被害者請求で申請した場合

一方、被害者請求で異議申立を申請した場合、異議申立書の提出先は、相手方自賠責保険会社となります。

そして、被害者自身で異議申立の手続きを行うため、被害者は

提出する書類の把握・コントロールができる

ことになります。

また、被害者請求の場合、自賠責保険に対する保険金(相当額)請求の手続きを含んでいるため、

等級が認定されれば、相手方との示談前に自賠責保険金(相当額)を受領できる

ことになります。

異議申立の申請方法の検証
事前認定 被害者請求
異議申立書の提出先 相手方任意保険会社 相手方自賠責保険会社
提出書類 把握・コントロールできない 把握・コントロールできる
認定された場合の自賠責保険金 すぐには受領できない すぐに受領できる

むちうちで14級9号を狙う場合

特にむちうち14級9号が認定されるか争いになるケースでは、異議申立事前認定で行うことには慎重になる必要があります。

画像等での他覚的所見のないむちうちで14級9号が認定されるか争いになる場合、後遺障害等級が認定されるかは提出書類の内容が大きく影響します。

そのため、保険会社が提出した書類の内容を被害者が把握できない事前認定では、異議申立をしても非該当のままの可能性が高いといえます。

先ほどお伝えしたとおり、弁護士などの専門家が関与しても、異議申立が認められる可能性はかなり低いのが実情です。

その中で異議申立をするのであれば、少しでも等級変更が認められる可能性を高める努力をすべきといえます。

そのためには、可能な限り提出する書類の把握・コントロールができる被害者請求の方法で異議申立をすべきといえるでしょう。

後遺障害の認定に異議がある場合の他の申請方法

後遺障害の認定に異議がある場合の他の申請方法

実は、異議申立以外にも、後遺障害の認定結果に納得できない場合に、その認定結果を争う方法があります。

ここからは、その方法についてご紹介していきたいと思います。

紛争処理機構への申し立て

まず、自賠責保険・共済紛争処理機構紛争処理申請をするという方法があります。

紛争処理申請を受けた自賠責保険・紛争処理機構は、

  • 弁護士
  • 医師
  • 学識経験者

が紛争処理委員を務める紛争処理委員会が提出された書面などで審査を行い、調停結果を通知します。

費用は無料であり、原則として書面のみで判断され、当事者の出席は不要です。

なお、紛争処理申請は1度だけしか行えません。

裁判を起こす

また、加害者を被告として裁判を起こすという方法もあります。

裁判所では自賠責保険の認定結果に拘束されず、判決などにおいて、後遺障害の判断をすることになります。

とはいえ、裁判所は自賠責保険の認定結果を重視していると考えられます。

そのため、自賠責保険の申請時とは異なる新たな有力資料を提出しないと、自賠責保険の認定結果と変わらない認定になることがほとんどです。

費用は有料であり、当事者の出席が必要となります。

判決内容に不服がある場合には上訴という制度が設けられています。

異議申立と他の方法との比較

異議申立の場合、あくまで判断するのは、初回に審査した損害保険料算出機構内の組織ということになります。

それに対し、上記の二つの方法では、判断権者が初回に審査した損害保険料算出機構とは別の組織になる点が異なります。

また、費用無料である点は紛争処理機構への申立と共通し、提起にお金の掛かる裁判とは異なることになります。

さらに、当事者の出席原則不要である点も紛争処理機構への申立と共通し、出席が必要な裁判とは異なることになります。

最後に異議申立は何度でも可能な点が、回数制限のある他の二つの方法と違う点といえます。

このように、後遺障害の認定結果を争うための方法は複数ありますが、実際に等級認定の結果が変わるケースはほんの一握りです。

後遺障害の等級変更が認められるためには、弁護士などの専門家による

  • 認定結果の正しい分析
  • 分析結果を踏まえた新たな資料や検査の収集・依頼

が必要不可欠といえます。

そのため、後遺障害の認定結果を争う場合には特に弁護士に依頼する必要性が大きいと考えられます。

後遺障害の認定に異議がある場合の申請方法
異議申立 紛争処理機構 裁判を起こす
判断権者 損害保険料率算出機構 紛争処理委員会 裁判所
費用 無料 無料 有料
当事者の出席 不要※ 不要※ 必要
不服申立 何度でも可能 上訴

※醜状障害などでは面談行われる場合あり

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

ご覧頂いたとおり、後遺障害事前認定に対する異議申立認められる可能性はかなり低いのが実情です。

その中で、少しでも異議申立が認められる可能性を高めるには、専門家である弁護士に依頼し、被害者請求の形で申請するのがいいでしょう。

また、場合によっては、異議申立以外の申請方法で争ったほうがいい場合もあるので、その点も含め、まずは弁護士に相談してみましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 事前認定に対する異議申立とは、自賠責保険が行った事前認定での後遺障害等級認定の再判断を求める不服申立ての手続き
  • 後遺障害の事前認定で非該当だった場合、極力被害者請求の形で異議申立をすべき
  • 後遺障害の認定結果に納得できない場合、異議申立以外にも争う方法がある

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

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下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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