後遺障害8級|慰謝料・逸失利益金額ナビ|適正な示談金取得は後遺症認定
交通事故や弁護士の情報を検索中の方へ。このページでは、「後遺障害8級の慰謝料」について徹底調査した結果を報告しています。
目次
8級に認定される後遺障害の種類
8級に認定される後遺障害には、どんなものがあるんですか?
かなりたくさんの症状がありますが、例えば片目を失明した場合などが8級にあたりますね。
ええっ!8級って、1級とかに比べると軽そうなのに、失明も8級なんですね!
後遺障害8級の認定状況は?
後遺障害は、その症状により、1級から14級に認定されます。そのため、等級でみると、8級は「真ん中くらいの等級」ですから、あまり重大なものではないと思われるかもしれません。
しかし、平成20年の自賠責保険の後遺障害認定のデータによれば、8級以上の等級に認定されている割合は、全体の8.32%に過ぎません。
このように、8級は、交通事故による後遺障害のうち、100人に8人程度の重大なケースについて、認められるものであるため、かなり重症な後遺障害について認定されるものといえます。
以下、8級に認定される後遺障害について、簡単に表にまとめた上、注意事項すべき点について簡単に説明いたします。
8級の後遺障害―10分類―
8級の後遺障害
等級 |
後遺障害 |
|
8級 |
1号 |
片目が失明し、又は片目の視力が0.02以下になったもの |
8級 |
2号 |
脊柱に運動障害を残すもの |
8級 |
3号 |
・片手のおや指を含む2本を失ったもの
・片手のおや指を除く3本を失ったもの |
8級 |
4号 |
・片手のおや指を含む3本の用を廃したもの
・片手のおや指を除く4本の用を廃したもの |
8級 |
5号 |
片足が5cm以上短縮したもの |
8級 |
6号 |
片腕の3大関節のうち1関節の用を廃したもの |
8級 |
7号 |
片足の3大関節のうち1関節の用を廃したもの |
8級 |
8号 |
片腕に偽関節を有するもの |
8級 |
9号 |
片足に偽関節を有するもの |
8級 |
10号 |
片足の指の全部を失ったもの |
8級1号
8級1号には、片目の失明または視力が0.02以下という、視力障害があてはまります。
視力障害で特に注意すべき点は、メガネやコンタクトレンズによる矯正が可能な場合には、その矯正後の度数を基準に後遺障害等級を判断するということです。
8級2号
8級2号は、「脊柱に運動障害を残すもの」について認められます。そして、脊柱の運動障害とは、以下のようなものをいいます。
次のいずれかにより、頚部または胸腰部の可動域が通常の半分以下に制限されたもの
- レントゲン写真等により確認できる、頚椎や胸腰椎の圧迫骨折など
- 頚椎または胸腰椎の脊椎固定術
- 項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化
このように、脊柱の運動障害と認められるためには、可動域制限のみならず、圧迫骨折などの怪我を負っていることが前提とされているため、注意が必要です。
8級3号
8級3号には、手の指の欠損障害が当てはまります。
この場合の「指を失う」とは、第1関節よりも根元の部分で指を失うことをいいます。親指の役割の重要性から、親指を含む欠損は、より高い等級に認定されます。
8級4号
8級4号は、手の指の機能障害について認められます。
そして、「用を廃した」とは、
- 第1関節より先の骨の半分以上を失ったもの
- 指の関節(曲げ伸ばし)の可動域が通常の半分以下に制限されるもの
- おや指については、左右に動かす動作の可動域が半分以下に制限されるもの
- 指の感覚が完全に失われたもの
をいいます。
機能障害についても、親指の重要性から、親指に機能障害があると等級が高くなります。
8級5号
8級5号は、足の短縮障害、すなわち骨折の治癒不全などの影響で足が通常よりも短くなってしまった後遺障害についての等級です。5cmの短縮により、8級に認定されます。
8級6号
8級6号は、腕の関節の機能障害について定めています。
まず、腕の3大関節とは、肩、肘、手首の3つの関節をいいます。そして、「関節の用を廃した」とは、以下のような症状をいいます。
- 関節が硬直したもの
- 関節が完全弛緩性麻痺(筋肉で関節を動かすことができない)またはこれに近い状態にあるもの
- 人工関節などを挿入・置換した関節で、その可動域が通常の半分以下に制限されているもの
この他にも、関節の機能障害が認められるためには、機能障害を起こす原因となる器質的損傷が必要であるとされています。
8級7号
8級7号は、足の関節の機能障害についての等級です。
足の3大関節とは、股関節、膝、足首です。そして、「用を廃した」の意義は、腕の関節の機能障害と同様に解釈されています。
8級8号、8級9号
8級の8号と9号は、腕や足に偽関節が残る場合に認められます。
偽関節とは、骨折した部分の癒合が完全に行われず、その部分があたかも関節のようにグニャグニャと動く状態になってしまうことをいいます。骨折の重要な後遺障害の1つです。
8級10号
8級10号は、足の指の欠損障害について定めています。8級に認定される欠損とは、指の根元の関節から指を失った場合をいいます。
8級の後遺障害の慰謝料相場は?
8級の後遺障害が認められた場合、慰謝料はどれくらいもらえるんですか?
相場は830万円とされていますが、具体的な事情により変化するため、確定的なことはいえませんね。
慰謝料に相場なんてあるんですね!
後遺障害に関する慰謝料とは
慰謝料には、3つの種類があります。死亡慰謝料、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料です。
そのうち、後遺障害慰謝料が、交通事故により後遺障害を負ってしまった精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
8級の後遺障害慰謝料相場
後遺障害慰謝料は、精神的苦痛という、抽象的な損害に対して支払われるものであるため、その金額は、最終的には裁判官により判断されます。
もっとも、実務上は、後遺障害慰謝料の金額について、後遺障害等級ごとの相場が存在します。これは「赤い本」という法律雑誌に記載されているもので、多くの判決や弁護士の交渉は、この相場に基づいて行われます。
「赤い本」によれば、後遺障害8級の後遺障害慰謝料の相場は830万円とされています。
ただし、相場はあくまで相場であるため、具体的な事情により金額は上下します。
判例からみる8級の慰謝料額の傾向
まとめ表
判例年月日 |
後遺障害の部位・程度 |
後遺障害 慰謝料 |
大阪地判 平成28.1.29 |
高次脳機能障害など (併合8級) |
830万円 |
さいたま地裁 平成27.4.7 |
脊柱の変形・運動障害 |
830万円 |
横浜地裁 平成27.1.22 |
高次脳機能障害 左前額部瘢痕 (併合8級) |
830万円 |
大阪地判 平成25.6.28 |
左足関節の機能障害左足第1~5指の機能障害 (併合8級) |
819万円 |
京都地判 平成23.12.9 |
右上下肢の知覚障害・運動障害等 (併合8級) |
1000万円 |
これらの判例から分かる通り、基本的には、赤い本の相場通りの慰謝料が認められることが多いようです。
もっとも、具体的な事情によっては、相場よりも若干安い慰謝料しか受け取れない場合や、相場よりも高額な慰謝料を受け取れる場合もあります。
そのため、いかに後遺障害による精神的苦痛が大きいかという点を、具体的な事情に基づいて主張していくことが重要です。
後遺障害8級の逸失利益とは?
そもそも、逸失利益ってなんですか?
後遺障害により、将来に置いて得ることが出来なくなった利益のことをいいます。後遺障害で年収が減少した場合のその減少分の収入などですね。
そうなんですね。将来の分のお金も相手方に請求できるんですね。
逸失利益の計算方法
逸失利益は、
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という計算式で計算されます。
基礎収入は、原則として怪我する直前の年収から計算をしますが、昇給が確実に見込まれている場合などには、昇給後の金額を基準に計算します。
労働能力喪失率は、その後遺障害により失われる将来の収入の割合をいいます。
労働能力喪失期間は、後遺障害により収入が減少する機関をいいます。
ライプニッツ係数とは、将来の利益の現在化をするために用いられる係数です。
法律上、お金は年5%の割合で運用できるという建前がとられているため、現在受け取るお金は、将来受け取るお金よりも価値が高いとされています。そして、逸失利益は、将来分も含めて現在において支払われるものであるため、将来の金銭の価値を現在化するため、ライプニッツ係数を用いるのです
ライプニッツ係数を文章のみで理解することはとても難しいため、詳細が気になる方は弁護士に相談してみると良いでしょう。
8級の労働能力喪失率とは
後遺障害等級は、労働能力喪失率の相場を形成するという役割ももっています。この相場も、「赤い本」に記載されているものです。
赤い本によれば、8級の労働能力喪失率の相場は45%とされています。
もっとも、労働能力喪失率は、その後遺障害がどれだけ仕事に差し障るかという問題ですので、具体的な職業や後遺障害の内容によって変化します。
判例からみる8級の労働能力喪失率認定の傾向
まとめ表
判例年月日 |
職業 |
後遺障害の部位・程度 | 労働能力喪失率 |
大阪地裁 平成25.11.22 |
会社員 |
高次脳機能障害など (併合8級) |
35% |
東京地判 平成24.12.7 |
会社員 |
視野障害など (併合8級) |
45% |
東京地判 平成24.9.28 |
大学生 |
高次脳機能障害など (併合8級) |
45% |
京都地判 平成23.12.9 |
経営コンサルタント |
右上下肢の運動障害・知覚障害など (併合8級) |
45% |
神戸地判 平成20.11.11 |
主婦 |
左手関節の可動域制限など (併合8級) |
30% |
大阪地判 平成18.8.30 |
タクシー運転手 |
足関節の機能障害など (併合8級) |
60% |
このように、労働能力喪失率も、相場と異なる割合が認定されることも多いです。
一般的には、デスクワークを行う会社員などについては、相場通りの労働能力喪失が認められることが多いようです。
一方、デスクワークでない主婦や会社員以外の方については、具体的な後遺障害の業務への影響を解釈して判断されるようです。
例えば、神戸地判平成20.11.11では、主婦の労働能力喪失率につき、「裁縫、掃除はヘルパーに頼らざるを得ないものの、炊事はどうにか可能」として、相場より低い30%の労働能力喪失を認めています。
一方、大阪地判平成18.8.30では、タクシー運転手が足の機能に障害が出ると業務への影響が大きいとして、相場より高い60%の労働能力喪失が認められています。
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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