交通事故による視覚障害|後遺症等級や慰謝料は?視覚障害者の事故ではどう違う?
視覚障害をお持ちの方が、交通事故の被害に遭われたというニュースを耳にしたことがある方もいらっしゃるはずです。
3日午前8時5分ごろ、徳島市新浜町1の市道で、歩行中のマッサージ師(略)がダンプカーにはねられ、胸などを強く打って間もなく死亡した。
(略)さんは視覚障害者で、一緒に歩いていた盲導犬(略)も巻き込まれて死んだ。
県警徳島東署によると、現場は歩道のない見通しの良い道路。
ダンプカーは同市の自営業手伝いの男性(38)が運転し、 荷物を積むために方向転換しようと、砂利置き場から後進して市道へ出たところだった。
出典:毎日新聞 2015年10月03日 11時47分
一方で、交通事故による怪我が原因で視覚障害を負ってしまわれた方もいらっしゃるはずです。
交通事故の脳外傷が原因により視覚障害者です。右目がほとんど見えておらず目の焦点が合っていません。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1478901464
どちらの場合も非常に辛い事態であり、どちらのケースであっても、事故の加害者側からしっかりとした損害賠償を受け取る必要があります。
そこで今回このページでは、
- 視覚障害者の方が交通事故の被害にあった場合の通常との違い
- 交通事故が原因で視覚障害を負った場合の後遺症の等級認定や慰謝料の相場
などについて、お悩みの皆さまと一緒に見ていきたいと思います。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
視覚障害をお持ちの方が交通事故の被害にあわれた場合、交通事故により視覚障害を負ってしまった場合。
どちらのケースも、ご本人だけでなくご家族の皆さまも心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
その場合、適正な慰謝料などの損害賠償を受け取るべきですが、過失割合や後遺症の等級認定について争いが生じることも多く、非常に辛い思いをされている方も多くいらっしゃいます。
そのようにお悩みの方から相談を受けてきた経験も踏まえ、具体例も含めながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
ではまずは、視覚障害を持った方が交通事故にあった場合に関して見ていきましょう。
視覚障害者の方の約半数が交通事故に!?その場合の過失割合は…
視覚障害者の方の交通事故に関する統計
実際のところ、視覚障害をお持ちの方が交通事故の被害にあわれるケースは、通常よりも多くなっているのでしょうか…。
警察庁が発表している交通事故統計や、内閣府が発表している障害者白書、障害者福祉を管轄する厚生労働省などでは、視覚障害者をはじめとした障害者の方の交通事故に関する統計は取られていません。
しかし、八戸工業大学の調査によると、以下のように示されています。
視覚障害者が日常生活における歩行中に,どのような衝突,転倒,転落事故に遭遇しているか検証し
(略)
衝突事故が約半数を占めており,転落事故が約3割,その他は転倒事故となっている。
出典:八戸工業大学学術リポジトリ
また、西日本新聞の記事にも以下のような記載がありました。
日本盲人会連合の2013年調査では、回答した視覚障害者457人中、213人(46.6%)が車や自転車と接触して白杖を折られたり、破損したりしたことがあった。歩行者同士の接触による被害も含めれば、さらに多いとみられる。
(略)警察庁の緊急調査によると、視覚障害者が巻き込まれた交通事故は昨年44件あり、死亡3件、重傷12件、軽傷29件だった。
出典:西日本新聞 2017年10月2日 14時36分
つまり、視覚障害者の方のうち、約半数の方が車などとの接触・衝突事故にあっているということがうかがえます。
また、最近ではハイブリッド車や電気自動車の普及により、静かな車も増えてきています。
視覚障害者の方にとっては、車の音が聞こえないため、危険度が上がっているとも言えます。
●視覚障害者は、「音」をたよりに、車の位置や動きを認識するが、モーターで駆動する電気自動車やハイブリッド自動車は、エンジン音がしないため、車の接近に気付くことができない。
●視覚障害者以外の歩行者も、後方から接近する「静かな車」の接近に気付かないことがある。
以上より、視覚障害を持った方が交通事故に巻き込まれるケースが多く発生してしまっているのが現実なのです。
視覚障害者の方が事故にあった場合の過失割合は優遇される?
ところで、交通事故の損害賠償請求をするにあたっては、過失割合というものが非常に重要となってきます。
過失割合
交通事故の結果に対する責任の割合のこと
青信号で横断歩道を渡っているときに、信号無視した車に轢かれた場合のように、明らかに相手が悪いケース以外では、歩行者側にも過失が問われることがあるそうです。
というのも、歩行者が道路を横断する場合、横断歩道を渡らなければいけないというのが道路交通法で定められています。
第十二条 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
2 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。
出典:道路交通法 第12条
つまり、歩行者が近道をしようとして横断歩道ではない道を横断している時に車に轢かれてしまった場合には、被害者にも過失が認められる可能性があるんですね。
そして、被害者側にも過失が問われた場合、その過失割合分は相手側に請求できる損害賠償額から減額されてしまうことになります。
たとえば、信号機のない横断歩道の付近で、横断歩道以外を横断しているときに、直進車と事故を起こした場合の歩行者の基本過失割合は30%です。
もっとも、歩行者の過失相殺の割合は、昼間か夜間か、幹線道路か否か、車が直進中か右左折の途中か、信号機の有無などでも大きく変動します。
場合によっては、歩行者側の過失割合が大きくなるケースもあるということですが…。
一方で、視覚障害者の方の場合、信号の色などを見極めることが難しいケースもありますよね。
そのような場合の過失割合やどうなるのかも含め、ここから詳しく見ていきましょう。
歩行者に過失が問われるケース①
まず、歩行者側の信号が「点滅」しているときに事故にあった場合、歩行者にも一定の責任が問われてしまうそうです。
車の信号にも言えることですが、点滅信号は「注意して進め」と勘違いしている方が多いようです。
しかし、基本的には「止まれ」の意味になります。
「青」の状態で横断歩道に侵入した場合、「点滅」しだした時点で横断を中止して戻るか、速やかに道路を渡りきらなければならないのが本来のルールなんですね。
ましてや、「点滅」状態で横断を開始するというのは、実は交通ルールに違反しているのです。
よって、歩行者側の信号が「点滅」の状態で発生した事故の過失割合は、「歩行者10:車90」となってしまうこともあるそうです。
歩行者に過失が問われるケース②
歩行者側の信号が「赤」、つまり歩行者が信号無視した場合ですね。
これは、明らかに歩行者にも責任があると言えますよね。
よって、車の過失割合が高くなりがちな「車対歩行者」の事故であっても、歩行者の信号無視で事故が発生した場合、過失割合は「歩行者70:車30」になることもあるそうです。
歩行者に過失が問われるケース③
信号機がある場所についてはわかりましたが、すべての道路に信号機があるわけではありませんよね。
実際、郊外や住宅街の裏通りなど、信号も横断歩道もない道は結構存在しています。
そのような場所で起こった「車対歩行者」の事故では、通常100%自動車の責任になることはありません。
歩行者も横断するときの安全確認を怠ったとされることがほとんどです。
厳しいですが、それが現実なのですね。
よって、横断歩道も信号もない道路での事故の過失割合は、「歩行者10~20:車80~90」程度となることが多いそうです。
しかし、先にも述べましたが、視覚障害者の場合、信号の色の判断をしたり、自分がどこを渡っているのかわからないこともありますよね。
視覚障害者の方が過失割合を問われるのは酷な気もします。
自動車/自転車対歩行者の交通事故で、歩行者が視/聴覚が不自由な方だと、過失割合も変動するんですか。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1478901464
実際のところ、どうなのでしょうか?
視覚障害者の方の場合、
- 法令で定める白杖を携えていた場合
- 法令で定める盲導犬を連れていた場合
に事故にあった場合は、事故状況により5〜20%程度の減算要素が働きます。
歩行者の方が視覚障害者であると判断できる状況で事故にあわれた場合には、過失割合が優遇されるのですね。
では逆に…白杖や盲導犬を連れていなかった場合には、健常者の方と同じ過失割合となってしまうのですか?
視覚障害者の方の過失相殺率が減算されるのは、杖を携えたり、盲導犬を連れているなどの道路交通法上の義務を果たしていることが前提になります。
そのため、杖や盲導犬を連れていなかった場合は、過失相殺率を減算する前提を欠くことになるので、健常者と同じ扱いをされる可能性があります。
ただし、杖や盲導犬を連れていなくても、歩行者が視覚障害者であることがわかるような状況であれば、過失相殺率が減算される余地があります。
白杖や盲導犬を連れていなかった場合でも、状況によっては過失割合が優遇される可能性もあるのですね。
しかし、被害者の方ご本人だけで相手側の保険会社と交渉しても、認められないことも多いようです。
視覚障害の方で、過失割合について納得できず、お困りの場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
適切なアドバイスや、適正な過失割合を主張する手助けをしてくれるはずです。
交通事故で視覚障害を負った場合の後遺症等級認定
以上、視覚障害者の方が交通事故にあった場合に関して見てきました。
反対に、交通事故による怪我が原因で、視覚障害を負ってしまう方もいらっしゃいます。
視覚障害とは、視力、視野、色覚、暗順応、眼球運動、調節、両眼視などの見る機能の障害を総称した概念となります。
そして、交通事故が原因で視覚障害の後遺症が残ってしまった場合、後遺症に対する損害賠償請求を行う必要があります。
そのためには、後遺症の等級認定を受ける必要があるということです。
その等級認定について、ここから詳しく見ていきましょう。
眼の後遺症の等級認定①視力障害
まず、交通事故による外傷が原因で、視力に障害が残ってしまうケースがあります。
- 眼球の組織そのものの損傷(器質的損傷)
- 視神経の損傷
により生じる視力障害は、
- 失明の有無
- 視力低下の程度(最低でも0.6まで低下)
によって、等級認定基準が定められているようです。
- 片眼だけなのか両眼なのか
- 視力の低下がどの程度か
によっても認定される等級は大きく変わってきます。
なお、直接眼に外傷は無かったものの、事故後に視力が悪くなったという場合は、裁判で因果関係が論点となります。
ちなみに、視力が低下したかどうかは、裸眼視力ではなく、メガネやコンタクトを着用した矯正視力で判断されるそうです。
1級1号 |
---|
両眼が失明したもの |
2級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの |
2級2号 |
両眼の視力が0.02以下になったもの |
3級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
4級1号 |
両眼の視力が0.06以下になったもの |
5級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
6級1号 |
両眼の視力が0.1以下になったもの |
7級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの |
8級1号 |
1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの |
9級1号 |
両眼の視力が0.6以下になったもの |
9級2号 |
1眼の視力が0.06以下になったもの |
10級1号 |
1眼の視力が0.1以下になったもの |
13級1号 |
1眼の視力が0.6以下になったもの |
眼の後遺症の等級認定②調節機能障害
続いて、「眼の調節機能障害」が認定される可能性もあります。
眼の調節機能とは、上手くピントを合わせられるかどうか…と言った方がわかりやすいかもしれませんね。
調節機能障害は、「著しい調節機能障害を残すもの」に限って認定されます。
「著しい調節機能障害を残すもの」とは、眼の調節力が通常の1/2以下に低下してしまったもののことです。
調節力が1/2以下になってしまったかどうかは、以下のような方法で検証して判断されるそうです。
・片方の眼のみ障害が発生した場合 |
---|
障害が発生した眼ともう片方の健康な眼の調節力を検証 |
・両方の眼に障害が発生した場合 ・片方の眼に障害が発生しもう片方の眼がもとから健康な眼でない場合 |
それぞれの年齢によって定められた調節力と検証 |
たとえば、平均基準に定められた調整力は、30歳男性の場合6.3D(ジオプトリ)です。
両眼の調節機能障害を発生させた30歳男性の調節力が3.15D以下であった場合には、著しい調節機能障害と認定されるそうです。
11級1号 |
---|
両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
12級1号 |
1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
眼の後遺症の等級認定③運動機能障害
他に、
運動機能障害が著しい場合
または
眼に複視の症状を残している場合
には、「眼の運動機能障害」が認定されるようです。
「著しい運動機能障害」とは、頭部を固定し、眼球を運動させて直視できる範囲が多数人の平均と比べ1/2以下に低下したもののことです。
片眼だけなのか両眼なのか
によって認定される等級が変わってきます。
また、「眼に複視の症状を残すもの」とは、
- 物が二重に見える状態を本人が自覚
- 眼筋の麻痺など、複視が残っている明らかな原因が確認できること
- 二重に見える物が相当程度ずれていること
の全てに該当する場合ということです。
「複視の症状を残すもの」に関しては、複視の症状を残す範囲(正面か正面以外を見たときか)によって、等級が変わってきます。
10級2号 |
---|
正面を見た場合に複視の状態を残すもの |
11級1号 |
両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
12級1号 |
1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
13級2号 |
正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
眼の後遺症の等級認定④視野障害
次に、
- 半盲症:両眼の視野の右半分、または左半分が欠損
- 視野狭窄:視野の全体が狭くなる、または視野の一部分が不規則的な形で狭くなる
- 視野変状:視野の中に見えない、または見えにくい部分がある
により、一点を見つめたときに、同時に見える外界の広さが通常と検証して60%以下になった場合に、視野障害が認定されるようです。
9級3号 |
---|
両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
13級3号 |
1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
後遺症等級の併合
ところで、眼に直接外傷を負ったような場合、視力障害も眼球の運動障害も残ってしまう可能性も考えられますよね。
同時に2つ以上の障害を負った場合、後遺症の等級はどのように認定されるのでしょうか?
後遺症が複数残った場合、併合により等級が変わることがあります。
等級の併合とは、以下のようなものになるそうです。
等級の併合
系列を異にする身体障害が2以上ある場合に、重い方の身体障害の等級によるか、又はその重い方の等級を1級ないし3級を繰り上げて当該複数の障害の等級とすること。
では、等級の併合について詳しく見ていきましょう。
後遺症の併合は同一系列の場合行われない
まず、同一系列の後遺症が残った場合には、併合は行われないそうです。
後遺症の系列とは、身体の部位ごとに区分された後遺症を、さらに生理学的な観点から細分したものになります。
後遺症の系列には35種あり、眼に関しては以下の6つの系列があります。
系列 区分 |
部位 | 器質的 障害 |
機能的 障害 |
|
---|---|---|---|---|
1 | 眼 | 眼球 (両眼) |
視力 障害 |
|
2 | 調節機能 障害 |
|||
3 | 運動 障害 |
|||
4 | 視野 障害 |
|||
5 | 右まぶた | 欠損 障害 |
運動 障害 |
|
6 | 左まぶた |
たとえば、右まぶたに欠損障害(系列区分5)と運動障害(系列区分5)が残った場合、等級の併合は行われないのですね。
別系列の場合は後遺症等級が併合される
ただし、視覚障害に関して言えば、同じ系列区分の後遺症が残ることはありませんね。
つまり、眼の外傷により、眼球の視力障害(系列区分1)と運動障害(系列区分3)を負った場合は、等級が併合されることになります。
別系列の2つ以上の後遺症が残った場合、併合して1~3等級繰り上げるというルールが存在しています。
たとえば、12級と9級の後遺症を負った場合には、併合して8級と認定されることになります。
等級併合の詳しいルールは、以下のようになっているそうです。
例
等級併合のルール
ケース | 等級併合の方法 | 具体例 |
---|---|---|
13級以上の後遺症が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を1級繰り上げる | 11級と12級の後遺症 ⇒併合10級 |
8級以上の後遺症が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を2級繰り上げる | 8級と7級の後遺症 ⇒併合5級 |
5級以上の後遺症が2つ以上ある場合 | 重い方の後遺症を3級繰り上げる | 5級と4級の後遺症 ⇒併合1級 |
ちなみに、1つが14級の認定であった場合には、等級は繰り上がらず、重い方の等級のまま認定されるということです。
たとえば、14級と11級の後遺症を負った場合には、併合11級の認定を受けることになります。
等級の併合についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
交通事故で視覚障害を負った場合の慰謝料の相場は?
以上、交通事故による視覚障害に対する後遺症の等級認定について見てきました。
後遺症の等級認定を受けた場合、その後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対して、後遺症慰謝料が支払われます。
慰謝料の金額は、等級に応じて決まっているそうです。
適正な慰謝料獲得に向けて知っておきたい慰謝料の3つの基準
では実際に、慰謝料の金額の相場を見る前に、慰謝料には3つの相場基準があるってご存知でしたか?
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
視覚障害に対する後遺症慰謝料の相場
そして、それぞれの基準での後遺症慰謝料の相場は以下の通りになっているそうです。
後遺症等級 | 自賠責基準※1 | 任意保険基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 | 1300 | 2800 |
2級 | 958 | 1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
※1 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
※2 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
視覚障害者の方が交通事故で後遺症を負った場合の慰謝料は?
ここまで、視覚障害者の方の交通事故や、事故で2ヶ所以上の後遺症が残った場合の等級の併合に関して触れてきました。
では、もともと視覚障害のある方が交通事故にあい、さらに視覚障害が悪化した場合、もしくは別の後遺症を負った場合、慰謝料の金額はどうなるのでしょうか?
既往症がある場合の後遺症慰謝料の計算方法は?
視覚障害者の方が交通事故の被害にあい、後遺症が残った場合…。
後遺症の残った部位が同じ場合には、今回認定された後遺症等級が既存症状よりも重ければ、既存の等級の慰謝料の差額分が今回の慰謝料として支払われるそうです。
一方、部位が異なる場合には、下の表の①、②の2通りの計算方法があり、いずれか多い方の慰謝料が採用されるということです。
まとめ
既存症状がある場合の慰謝料計算方法
既存症状と | |
---|---|
同一の場合 | 異なる場合 |
新たな重い等級の慰謝料相場と、既存の等級の慰謝料相場の差額分 | ①既存障害を含む加重障害分の慰謝料から、既存障害分の慰謝料を差し引く方法 ②新たな後遺症だけに対応する慰謝料を計算する方法 のいずれか多い方の慰謝料を採用 |
では、具体的な計算方法を見てみましょう。
視覚障害が悪化した場合の慰謝料計算方法
たとえば、両眼の視力が0.1以下であり、6級の等級に該当する既往症があったとします。
そこに今回の事故で、両眼が失明してしまい、1級の後遺症認定を受けたとします。
この場合、1級に対する慰謝料額(2800万円)から、6級に対する慰謝料額(1180万円)が差し引かれ、最終的な慰謝料額は1620万円となります。
視覚障害以外の新たな後遺症が残った場合の慰謝料計算方法
たとえば、1眼の眼球に著しい調節機能障害があり、12級に該当する既往症があったとします。
そこに今回の事故で、足を骨折し、股関節の関節が硬直し、8級の後遺症が生じたとします。
① の方法で計算すると、股関節の後遺症(8級)と眼の既往症(12級)を併合した7級に対する慰謝料額(1000万円)から、12級に対する慰謝料額(290万円)が差し引かれます。
よって、最終的な慰謝料額は710万円となります。
② の方法で計算すると、今回の股関節の後遺症8級に対する慰謝料額(830万円)が最終的な慰謝料額となります。
この場合、②の830万円の方が高くなるため、最終的な慰謝料額は830万円ということになります。
とはいえ、実際には今回の具体例のようにすっきりと計算できる例は少ないようです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 視覚障害者の方が交通事故の被害にあった場合の通常との違い
- 交通事故が原因で視覚障害を負った場合の後遺症の等級認定や慰謝料の相場
- 視覚障害をお持ちの方が交通事故で新たな障害を負った場合の慰謝料の計算
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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交通事故と視覚障害に関するQ&A
視覚障害者が事故したときの過失割合とは?
視覚障害者の方は「法令で定める白杖を携えていた」または「法令で定める盲導犬を連れていた」ようなときに事故にあった場合、事故状況により5~20%程度の減算要素が働きます。しかし、杖や盲導犬を連れていなかった場合は過失相殺率を減算する前提を欠くことになるので、健常者と同じ扱いをされる可能性があります。視覚障害者の方で過失割合に納得がいかない場合は、弁護士に相談するのが良いでしょう。 交通事故における視覚障害者の過失割合
交通事故の眼の後遺障害って?
交通事故による眼の後遺障害としては、視力障害・調節機能障害・運動機能障害・視野障害があります。視力障害では、失明の有無や視力低下の程度によって等級が認定されます。調節機能障害・運動機能障害では、事故前の能力から半分以下になったときに等級が認定されます。視野障害では、一点を見つめたときに同時に見える外界の広さが通常と検証して60%以下になった場合に後遺障害が認定されます。 交通事故による眼の後遺障害について
適正な金額の慰謝料を得るにはどうすべき?
後遺障害に対する慰謝料は等級によって金額が決まっています。また、①自賠責基準②任意保険基準③弁護士基準の3つの基準のうちいずれかを用いて計算されることになります。自賠責<任意保険<弁護士の順で金額が異なります。被害者本人が保険会社と交渉すると保険会社は低い示談金しか提示してきません。弁護士基準を獲得するためには弁護士に相談するのがおすすめです。 慰謝料の金額に影響する基準の3つ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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