交通事故の後遺症で被害者がうつ病に…後遺障害等級は認定される?
交通事故の衝撃による恐怖や驚愕、入院や通院に対する苦痛や仕事への復帰といった将来に対する不安などが精神的ストレスとなり、うつ病になってしまうことがあります。
うつ病になると、何に対してもやる気がわかなくなったり、強い疲労や倦怠感を感じたり、さらには、眠れない、食欲がない等の症状に悩まされ大変です。
また、周囲からも理解してもらうことが難しいことと思います。
このページでは、交通事故によりうつ病となってしまった場合、知っておきたい基礎知識やうつ病の後遺障害等級認定とその場合の慰謝料の相場等について、ご紹介しています。
目次
うつ病の基礎知識
うつ病とは
うつ病とは、身体的ストレスや精神的ストレスにより、脳の機能障害が起きている状態と考えられています。
うつ病は、脳に物理的損傷が確認できない精神的障害という特徴があります。
うつ病の症状
うつ病の症状には様々なものがあります。
典型的な症状としては、気分が沈み、気力がわかない意欲・食欲の低下や睡眠障害が挙げられます。その他にも、慢性的な不安感、疲労感・倦怠感や頭痛・動悸等が多くみられます。
代表的な症状 | 具体例 |
---|---|
気分・意欲の低下 | 慢性的な不安、気分が沈み悲観的になる。今まで興味があったものに興味がなくなる |
疲労感・倦怠感 | 体がだるく重い |
睡眠障害 | 眠れなくなる、何度も目覚める、睡眠をとっても眠い |
食欲の低下 | 食欲がなくなり、食べなくてはいけないから食べるという様になる |
その他 | 頭痛、動悸があり息苦しい、異常な発汗 |
うつ病の原因
うつ病がなぜ発症するのか、はっきりとした原因は、まだよく判明していません。うつ病は、一つの原因のみで発症するのではなく、ストレスや身体的な病気、環境の変化という様々な要因が重なり合って発症すると考えられます。
交通事故により、身体的な障害に起因する苦痛、将来への不安のみでなく、交通事故の恐怖や、事故後の入通院の苦痛、加害者側との交渉の負担により、うつ病になってしまうことが多いです。
うつ病の後遺障害と等級
うつ病の後遺障害の認定基準
うつ病として後遺障害等級認定を受ける場合、その等級は、原則として、9級、12級、14級となります。認定されるのか否か、又何級に認定されるかは、そのうつ病がどれ程労務に支障をきたしているかにより判断されます。
ただし、以下でも述べますが、うつ病を事故の後遺障害として認定してもらうためには、困難を伴うことが多いです。
等級 | 認定基準 |
---|---|
9級 | 通常の労務に服することはできるが、うつ病により、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの |
12級 | 通常の労務に服することはできるが、うつ病により、多少の障害を残すもの |
14級 | 通常の労務に服することはできるが、うつ病により、軽微な障害を残すもの |
後遺症認定のカギは交通事故との因果関係と症状固定!?
後遺障害等級認定の基準は以上のとおりです。しかし、認定基準に該当する場合であっても、実際に等級認定を受ける上では、いくつかのハードルがあります。
交通事故との因果関係
うつ病の場合、物理的に脳の損傷を伴わない人間の精神の障害であるため、障害の発生を客観的に認定することが困難です。
また、上でも述べたとおり、交通事故以外の以前の精神疾患や周りの環境の影響を受けて発症する可能性があるため、交通事故が原因となって発症したという因果関係の認定が困難となります。
医師による治療の有無
うつ病は、物理的な損傷が確認できない精神障害です。交通事故を原因として認定を受けるためには、交通事故後、できる限りすぐに専門医の適切な治療を開始することが重要なポイントとなります。
専門医による適切な治療を受けてもなお、症状が残存する場合に後遺障害として認定されることになるからです。
症状固定の判断
うつ病は、一定期間症状が続いたとしても、その後回復する可能性があり、その症状が後遺障害として固定したという判断が難しいです。
そのため、専門医による適切な治療を十分な期間にわたり受けたにもかかわらず症状が残存していて、かつ、回復の見込みに関する判断が適切に行われていることが重要となります。
交通事故の後遺障害慰謝料の相場
交通事故によるうつ病として後遺障害等級認定された場合、具体的なケースによって労務への影響が様々なことから、慰謝料額も異なってきます。
しかし、後遺障害がうつ病のみで併発がない場合、たとえ後遺障害として認定されても、ほとんどは14級のため、慰謝料額は100万円位となることが多いです。
後遺障害の慰謝料相場
等級 | 裁判における相場水準 |
---|---|
9級 | 690万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
弁護士相談のメリット
後遺障害等級認定についての弁護士相談のメリット
うつ病は、物理的に損傷を伴わないため、交通事故が原因となっていることを証明するためには、発症後すぐに専門医による診断を受けて、その後も適切な治療を受けることが重要となります。
弁護士であれば、専門医に適切な診断を促すなど、適正な後遺障害認定を受けられるよう、慰謝料の増額に向けた活動が可能です。
また、交通事故によるうつ病として後遺障害等級認定された後、裁判になった場合でも、認定された等級以外に、被害者の方が、仕事やプライベートの日常生活における支障の程度といった具体的な支障を適切に主張・立証することが出来ます。
このように、交通事故によるうつ病では、弁護士が、専門医と連携するとともに、裁判での適切な主張・立証をすることにより、適正な慰謝料額への増額が可能なケースがあります。
うつ病の賠償額の算定方法
交通事故によりうつ病になってしまった場合、その慰謝料の算定にあたって、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準の3つの基準が存在しています。
自賠責保険基準は、強制加入保険です。交通事故の際に、まず自賠責保険から保険金の支払いが行われる最低補償基準としての役割を果たします。そのため、3つの基準の中で最も低額な基準です。
任意保険基準は、任意加入した保険における基準です。任意保険とは、自賠責保険で補償されない額を補償する目的で加入する保険です。この任意保険基準は、加入した保険会社により基準が異なる上、一般的に非公開ですが、自賠責基準より若干高い程度といわれています。
弁護士基準(裁判所基準)とは、裁判所の判例等を参考として東京の弁護士会の交通事故処理委員会が公表している、裁判実務上も慰謝料額の算定基準として機能しているものです。裁判における公正かつ客観的判断によるもので、基準としても最も高額となります。
基準の種類 | 特徴 |
---|---|
自賠責基準 | 自賠責保険における基準 最低補償基準のため、最も低額な基準。 |
任意保険基準 | 任意保険における基準 自賠責保険で補償されない部分を補償する目的のため自賠責よりは若干高額。 |
弁護士(裁判所)基準 | 裁判における基準 公正かつ客観的な判断を経る最も高額な基準 |
損害賠償請求についての弁護士依頼のメリット
交通事故によりうつ病となってしまった場合、上記の様に認定を受ける上でのハードルも高いこともあり、発症したと思ったらすぐに専門医に診察を受ける必要があります。
弁護士に相談すれば、症状や事故との関連性を聞いたうえで、診察に関しアドバイスをすることも可能です。
その上で、損害賠償請求をしようとするとき、実際に弁護士に依頼することのメリットは、なんといっても、慰謝料額を増額できる可能性があることです。
被害者の方が直接保険会社と交渉し決裂しても、裁判をするには新しく弁護士を立てる必要があり、時間と費用がかかります。また、裁判自体が身近とはいえないため、躊躇することも多いです。
更に、保険会社も営利を目的とする企業であり、損失を最小化しようとするので、被害者が直接交渉している場合、保険会社は特に支払う金額を低額に抑えようとします。
一方で、弁護士であれば、いつでも裁判が可能であり、裁判を背景として保険会社と交渉が可能です。そして、裁判は加害者側にとっても負担が大きいため、弁護士が交渉するだけで、通常より高い慰謝料を提示することが多いです。
その上、仮に裁判となっても、上記のとおり、裁判所基準での慰謝料の相場水準は、他の基準による相場水準に比べてかなり高額となっているため、多くの場合で慰謝料額が当初提示された額よりも高額で認められます。
弁護士に相談・依頼するメリット | ・適切な後遺障害等級認定のためのアドバイス ・被害者の不安が和らぐ ・裁判外の交渉、裁判での適切な主張立証により、慰謝料額の増額が期待できる |
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この記事をお読みの方には、「交通事故が原因でうつ病を発症!後遺障害は認められるのか?」というテーマに関して、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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交通事故でうつ病になったときのQ&A
うつ病とは?原因は?
うつ病とは、身体的ストレスや精神的ストレスにより、脳の機能障害が起きている状態と考えられています。典型的な症状としては、気分が沈み、気力がわかない意欲・食欲の低下や睡眠障害が挙げられます。その他にも、慢性的な不安感、疲労感・倦怠感や頭痛・動悸等が多くみられます。はっきりとした原因は、まだよく判明していませんが、1つの原因のみで発症するのではなく、様々な要因が重なり合って発症すると考えられます。 うつ病の症状や原因
交通事故でうつ病になった時の後遺障害等級は?
うつ病で後遺障害等級認定を受ける場合、9級、12級、14級が予想されます。認定されるのか否か、何級に認定されるかは、そのうつ病がどれ程労務に支障をきたしているかにより判断されます。また、認定される基準には交通事故の因果関係・医師による治療の有無・症状固定など複数あるので、認定されるまでに困難を伴うことが多いです。うつ病のみで併発がない場合は14級になることが多いです。 うつ病の後遺障害認定基準
交通事故でうつ病になったら弁護士に相談すべき?
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