後遺障害14級の交通事故慰謝料|3156万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害14級の判例についてご紹介します。
14級の後遺障害は、後遺障害等級全体の中でもっとも多く認定されている等級です。
しかし、同じ14級であっても部位や症状によっては、慰謝料金額が異なってくることがあります。
この判例の被害者は、後遺障害14級が認定され、損害総額は3156万円となったようです。
どのような点が算定のポイントになったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級14級(女・症状固定時38歳)損害額3156万1544円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成17年(ワ)第14623号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頸椎捻挫になります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「首都高速料金所で追突された。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 医学部大学院生 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 症状固定時38歳 |
事故の内容 | 首都高速料金所で追突された。 |
傷害の内容 | 頸椎捻挫、外傷性頸部症候群、腰部打撲、腰椎椎間関節捻挫 |
後遺障害等級 | 14級 |
入院 | 81日 |
被害者は頚椎捻挫等によって80日以上の入院が必要となったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3156万1544円 |
---|---|
うち慰謝料 | 290万円 |
うち休業損害 | 1069万4828円 |
うち逸失利益 | 324万7125円 |
損害総額は3156万1544円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額3156万1544円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が180万円、後遺障害の慰謝料が110万円認められました。
- 休業損害は、基礎収入は、卒業予定日までは現実収入の週当たり9万9500円、それ以降は大学同期生の年収を参考に1500万円として、退院までの83日間は100%、退院後から卒業予定日までの324日間は平均して50%、その後の症状固定時まで585日間は30%の就労制限割合として算定されました。
- 逸失利益としては、基礎収入は1500万円、労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は5年として、324万7125円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女性は医学部の大学院生だったようですね。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
医学部の大学院生は、将来医者として働く可能性が高いため、基礎収入をいくらと認定するかがポイントになります。
本件では、大学同期生の収入を参考にして年収1500万円と高額な認定がなされましたが、もう少し保守的な判断をする裁判官も少なくないでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害14級の慰謝料計算の特徴は?
14級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に14級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、14級の場合、裁判基準では110万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、14級9号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、5年程度とされることが多いですが、保険会社からは2〜3年程度と主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、14級9号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、14級2号の歯科補綴や14級4号や5号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。