後遺障害10級の交通事故慰謝料|4597万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害10級の判例についてご紹介します。
後遺障害が残ってしまうと、日々の生活や仕事にも大きな支障が出てしまいますよね。
10級の場合、慰謝料はどのくらいになるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
こちらの判例では、総額で4597万円の損害賠償金が認められましたが、算定のポイントはどのような点だったのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級10級(男・45歳)損害額4597万8211円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の判決、平成13年(ワ)第4380号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左拇指CM関節脱臼となります。
交通事故の基本情報は
事故の詳細は不明ですが、45歳会社員の男性が10級7号の後遺障害を負ったというものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 45歳 |
事故の内容 | 詳細不明 |
傷害の内容 | 左拇指CM関節脱臼、左膝蓋骨骨折、外傷性頸椎症、口唇挫創 |
後遺障害等級 | 10級7号 |
入院 | 25日 |
被害者は事故日から症状固定日の522日間まったく就労することができなかったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 4597万8211円 |
---|---|
うち慰謝料 | 680万円 |
うち休業損害 | 1121万2273円 |
うち逸失利益 | 2786万3438円 |
損害総額は4597万8211円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額4597万8211円になりました。
- 慰謝料としては、680万円が認められました。
- 休業損害としては、月額59万5000円の給与のほか、賞与として年間70万円を支給されていたことをもとに基礎収入を算定し、休業日数は、事故日から症状固定まで間全く就労することができなかったととして522日認められました。
- 逸失利益としては、被害者は事故の後遺障害により、従前従事していた業務を諦めざるを得なくなり、転職したものの実際に大幅な減収が発生していたため、症状固定時45歳から就労可能年齢67歳までの22年間を通じて少なくとも労働能力を27%喪失したものと認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は、後遺障害による仕事への影響がとても大きかったようですね。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
親指の機能障害により10級が認定されたケースですね。
被害者の職業が会社員であり、事務作業が多い場合であっても、親指の機能障害についてはPCの操作やその他の事務作業に重大な支障が生じます。
実際、被害者は事故後に転職して大幅な減収も生じていたため、裁判所の判断は妥当なものであったと考えられます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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後遺障害10級の慰謝料計算の特徴は?
10級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に10級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、10級の場合、裁判基準では550万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、10級4号の歯科補綴の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、10級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を27%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情によって変わることもあります。
ご自身の交通事故のお悩みについて具体的なアドバイスが知りたい方は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。