後遺障害10級の交通事故慰謝料|4263万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害10級の判例についてご紹介します。
もし、交通事故で後遺症が残ってしまったとき、妥当な等級は認められるのか、慰謝料はどのくらいになるのか等さまざまな疑問がでてくるかと思います。
慰謝料などは具体的にどのようにして算定されるのか気になりますよね。
この判例では、総額4263万円の損害賠償金が認められたようですが、どのような点がポイントになったのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級10級(男・症状固定時56歳)損害額4263万6953円の判例
こちらは、大阪地方裁判所の第15民事部判決、平成22年(ワ)13312号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、頭部打撲となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「夜間、道路の東側端に、前照灯もハザードランプも点灯させずに、駐車していた被害車両に加害車両が追突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 医院経営の歯科医師 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時56歳 |
事故の内容 | 夜間、道路の東側端に、前照灯もハザードランプも点灯させずに、駐車していた被害車両に加害車両が追突。 |
傷害の内容 | 頭部打撲、両肩打撲、胸部打撲、頸部捻挫 |
後遺障害等級 | 10級10号 |
入院 | 0日 |
被害者は右肩の可動域制限によってこ後遺障害が認定されたようですが、歯科医師にとって労働にも大きな支障が出てしまいます。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 4263万6953円 |
---|---|
うち慰謝料 | 710万円 |
うち休業損害 | 1075万5888円 |
うち逸失利益 | 2465万8615円 |
損害総額は4263万6953円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額4263万6953円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が180万円、後遺障害の慰謝料が530万円認められました。
- 休業損害としては、基礎収入は確定申告による営業収入から経費を控除する方法で算定し972万2386円、休業期間は事故日から症状固定日までの673日、損害としては基礎収入に対して60%の限度で認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は休業損害と同じ972万2386円とし、労働能力喪失率は27%、労働能力喪失期間は症状固定時年齢を考慮し13年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの歯科医師の男性は、10級10号の後遺障害が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、右肩の骨折や脱臼などがなく、打撲傷のみであったため、自賠責において14級9号の認定しか受けられませんでした。
被告側も「被害者の右肩には、可動域制限の原因となる器質的損傷がないことから、原告の後遺障害は局部の神経症状として評価されるにとどまる」と主張しました。
一方、裁判所は、「肩関節に骨折や脱臼等の外形的に明らかな器質的損傷は認められない場合であっても、外力により関節包が侵襲を受け、痛み等の理由で関節を動かせないでいると、組織侵襲部位に癒着形成を招き、関節包の繊維化が生じることで、関節拘縮が生じ得ると考えられる」との理由で、打撲傷に伴う関節拘縮につき10級の後遺障害を認めました。
自賠責で等級認定を受けられなくても、裁判において妥当な等級認定を受けられることが分かる良い例かと思います。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害10級の慰謝料計算の特徴は?
10級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に10級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、10級の場合、裁判基準では550万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、10級4号の歯科補綴の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、10級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を27%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、これらのポイントは一般論的な話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方の具体的な事情では妥当な金額は増減します。
ですので、まずは専門家である弁護士に相談することをおススメします。