後遺障害6級の交通事故慰謝料|6279万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害6級の判例についてご紹介します。
6級という重い後遺障害が残ってしまうと、被害者の生活は大きく変わってしまいます。
今後のことを考えると、慰謝料や示談金はどのくらい支払われるのか気になりますよね。
ここでは、実際の裁判例ではどのようにして損害賠償金が算定されているのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級6級(女・18歳)損害額6279万5446円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成23年(ワ)34905号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左仙骨・両恥骨骨折となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害者が被害者同乗の乗用車を運転中、時速115km以上の速度で走行させ、不用意に急ハンドルを切ったことにより、車両が転覆したうえ、ガードロープに衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学生 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 18歳 |
事故の内容 | 加害者が被害者同乗の乗用車を運転中、時速115km以上の速度で走行させ、不用意に急ハンドルを切ったことにより、車両が転覆したうえ、ガードロープに衝突した。 |
傷害の内容 | 左仙骨・両恥骨骨折,右肩甲骨骨折,外傷性くも膜下出血,脳挫傷 |
後遺障害等級 | 併合6級(骨盤変形・腰痛:11級相当、頭部外傷後の物忘れ・頭部痛・頸部痛・頭重感:7級4号) |
入院 | 66日 |
被害者は、頭部と腰部に後遺障害が残ってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 6279万5446円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1380万円 |
うち付添看護費 | 29万9000円 |
うち逸失利益 | 4859万7446円 |
損害総額は6279万5446円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額6279万5446円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が200万円、後遺障害の慰謝料が1180万円が認められました。
- 付添看護費としては、入院付添費について、被害者の入院中に、被害者の父母の一方または双方が付き添った日数の合計は46日、日額は6500円が相当であるとして29万9000円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入は女子の大卒全年齢の平均賃金428万4900円、労働能力喪失率は67%、労働能力喪失期間は22歳から67歳までの45年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの女子大生は併合6級の後遺障害が残ってしまったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
頭と腰の障害が併合6級にあたることを前提として、後遺障害慰謝料や労働能力喪失率は6級の基準どおりに算出されています。
加害者側は、スピード違反をした車に同乗していた被害者が、スピード違反をやめさせなかったことが、減額理由にあたると主張しました。
しかし、裁判所は、同乗者がスピード違反をやめさせなかったからといって、それが事故の原因に結び付いたとはいえないとして、減額なしで被害者側の主張を認めました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
後遺障害6級の慰謝料計算の特徴は?
6級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に6級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、6級の場合、裁判基準では1,180万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、6級3号の咀嚼障害の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
また、6級の場合、自賠責基準では計算の基礎となる労働能力喪失率を67%としていますが、実際にはそこまでの仕事への支障がないとして、保険会社が自賠責基準よりも低く主張してくることもあります。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であるので、事故に遭われた方の事情によっては変わりうることを念頭においていただければと思います。
交通事故は、法律的・医学的知識が必要となり、被害者自身で対応するのは大きな負担になってしまうでしょう。
お悩みがある場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
後遺障害6級の交通事故慰謝料について、弁護士の岡野先生と一緒にお送りしました。
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