後遺障害3級の交通事故慰謝料|1億4721万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害3級の判例についてご紹介します。
3級の後遺障害が残ると、労働能力は100%失われたものとされ、さらに介護が必要な状況となってしまいます。
もし後遺障害3級が認定された場合、慰謝料などの示談金はいったいどのくらいになるのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級3級(男・症状固定時34歳)損害額1億4721万3395円の判例
こちらは、東京地方裁判所の民事第27部の判決、平成23年(ワ)10519号・平成24年(ワ)19256号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、外傷性くも膜下出血となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「高速道路において、第1車線を走行する加害者運転の普通貨物自動車が、わき見をしたまま第2車線に車線変更し、同車線を路面清掃のために低速で進行していた被害者運転の普通貨物自動車に追突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 清掃業 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時34歳 |
事故の内容 | 高速道路において、第1車線を走行する加害者運転の普通貨物自動車が、わき見をしたまま第2車線に車線変更し、同車線を路面清掃のために低速で進行していた被害者運転の普通貨物自動車に追突した。 |
傷害の内容 | 外傷性くも膜下出血、脳挫傷、意識障害、けいれん発作など |
後遺障害等級 | 3級 |
入院 | 日数不明 |
被害者は高次脳機能障害となってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億4721万3395円 |
---|---|
うち慰謝料 | 2370万円 |
うち付添看護費 | 3520万8468円 |
うち逸失利益 | 6251万1024円 |
損害総額は1億4721万3395円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億4721万3395円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が380万円、後遺障害の慰謝料が1990万円認められました。
- 付添看護費としては、入院付添費は84日につき日額6500円、入院雑費は31万9500円、通院交通費は14万8840円、介護費については1306日につき1日当たり6000円、将来看護費については平均余命までの46年間につき日額4000円が認められました。
- 逸失利益としては、基礎収入を事故前年の年収395万5718円とし、労働能力喪失率は100%、労働能力喪失期間は32年間として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は後遺障害3級が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
3級以上の重篤な後遺障害として認定されると、基本的に労働能力は100%失われたとして逸失利益が計算されることになります。
本件では症状が徐々に改善している点は認めつつ、それでも将来労務へ復帰することが見込めないとして、喪失率100%としております。
このことからも、後遺障害の等級が労働能力を喪失した程度に着目した分類であることが分かります。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害3級の慰謝料計算の特徴は?
3級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に3級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、3級の場合、裁判基準では1,990万円となっております。
また、被害者の症状によっては、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる余地があります。
さらに、3級3号の高次脳機能障害であっても、上に挙げれらている裁判例のように、症状により、家族等による看視が必要な場合には、看視費用(将来介護費)を請求する余地があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。