6歳の子供の交通事故慰謝料|1億6365万円の判例を弁護士が解説
このページでは、6歳小学生の事故の判例についてご紹介します。
将来を担う子供たちの交通事故があとを絶ちません。
小学生となると、外でもある程度1人で行動ができるようになりますが、保護者としてはまだまだ心配な年頃です。
こちらの小学生も、自転車に乗っていたときに事故に遭い、重い後遺障害が残ってしまいました。
ここでは、損害計算のポイントについて踏まえながら判例の解説をしていきます。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
小学生(男・6歳)損害額1億6365万8109円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の民事第3部の判決、平成18年(ワ)第2737号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、脳挫傷となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「信号のない交差点での加害普通貨物車と被害自転車が出会い頭で衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 小学生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 6歳 |
事故の内容 | 信号のない交差点での加害普通貨物車と被害自転車の出会い頭の衝突。 |
傷害の内容 | 頭部外傷、脳挫傷による重度高次脳機能障害、嚥下障害、四肢運動障害、左下腿骨折、肺挫傷、左鎖骨骨折など |
入院 | 384日 |
被害者は、384日という長期間の入院をし、1級の後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1億6365万8109円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3720万円 |
うち将来介護費 | 4950万0570円 |
うち逸失利益 | 5764万9935円 |
損害総額は1億6365万8109円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1億6365万8109円になりました。
- 慰謝料としては傷害慰謝料が320万円、後遺障害の慰謝料2800万円、両親固有の慰謝料が各300万円認められました。
- 将来介護費は、日常生活動作は監視が必要なものの常時介助が必要とは認められないとして、近親者による介護費用として日額7000円、平均余命は71年とし4950万0570円が認められました。
- 逸失利益としては、5764万9935円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの6歳の男の子は事故により重度の高次脳機能障害になってしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、小学生の被害者が事故後、高次脳機能障害と四肢麻痺の後遺症を負い、自力での移動や排泄が困難な状況にありました。
しかし、裁判所は、要介護の程度として常時介護の必要までは認められないとして、介護日額を7000円と低額な認定を行いました。
通常、四肢麻痺などで介護がなければ日常生活を送ることができないケースでは、日額1万円前後の近親者介護費用が認められるケースが多いです。
今回の判決では、被害者にとって不満が残る判断がなされたといえます。
このように、裁判では、裁判所の考え方によって賠償額が大きく変動しますので、裁判を起こしてみないと具体的な賠償額が予測できないケースも少なくないと思われます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
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といった人たちです。
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子供の慰謝料計算の特徴は?
子供の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
子供が小学生以下の場合、保護者による通院時の付き添いが必要であるとして、保護者が通院に付き添った場合、慰謝料とは別に、別途通院付添費も請求することができます。
なお、付添のためにお仕事を休まなければいけなくなった場合には、保護者の休業損害を請求できる可能性もあります。
そして、子供の体は柔らかく、怪我をしにくい体ということで、お医者様があまり通院しなくてもよいとおっしゃることがあります。
また、お医者様がそのようにおっしゃらなくても、子供は病院に行くのを嫌がったり面倒臭がったりして、実際の通院日数が通院期間に比べて極めて少ないことがあります。
慰謝料の金額には通院日数が影響するため、保護者の方は、お子様のお怪我の程度に見合った通院日数を確保する必要があります。
さらに、後遺障害が残った場合、将来の収入の減少をカバーする逸失利益は、将来どれくらいの収入が見込めるか不明確なため、計算にも工夫が必要となります。
たとえば、女の子の場合、将来男の子の場合よりも見込める収入が低いと言われることがありますが、子供の場合、年齢が低いほど反論の余地が大きくなります。
なお、通常、示談後に治療の必要性があったとしても、その治療費相当額は請求できませんが、子供、特に年齢の低い子供の場合、体の成長と共に将来的な治療や手術が必要になる可能性が大人より大きいため、大人の場合に比べて、将来的な治療費を請求できる余地が大きいといえます。
ただし、これらのポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情によって変わることがあります。
まずは、弁護士等の専門家に直接相談してみるのがよいでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。