会社員の交通事故による骨折の慰謝料|9491万円の判例を弁護士が解説
このページでは、男性会社員が骨折した事故の判例についてご紹介します。
一口に骨折と言っても、皮膚の下で骨折したもの、皮膚から骨が突き出したもの、骨が粉々になってしまったものなど、さまざまな種類があります。
こちらの判例の被害者は骨折により重い後遺障害が残ってしまったことで、損害総額は9491万円となりましたが、どのような点がポイントとなったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
会社員(男・症状固定時32歳)損害額9491万5026円の判例
こちらは、千葉地方裁判所の判決、平成18年(ワ)第1342号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左大腿骨開放骨折および左足関節外果骨折となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「青信号に従って直進した被害車(普通自動二輪車)と対向右折の加害車(普通貨物自動車)が衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 会社員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時32歳 |
事故の内容 | 青信号に従って直進した被害車(普通自動二輪車)と対向右折の加害車(普通貨物自動車)が衝突した。 |
傷害の内容 | 左大腿骨開放骨折及び左足関節外果骨折など |
後遺障害等級 | 併合6級(一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したものとして8級7号、一下肢を5センチメートル以上短縮したものとして8級5号、手のひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残したものとして12級) |
入院 | 538日 |
被害者は左足の骨折によって、併合6級の後遺障害が残ってしまいました。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 9491万5026円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1580万円 |
うち休業損害 | 1100万0168円 |
うち逸失利益 | 6304万2731円 |
損害総額は9491万5026円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額9491万5026円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が400万円、後遺障害の慰謝料が1180万円認められました。
- 休業損害は、基礎収入日額を事故前の給与をもとに日額1万2630円として、1100万0168円が認められました。
- 逸失利益としては、労働能力喪失率は症状固定時から10年間は67%、その後10年間は56%、それ以降は45%、大卒男性労働者の平均賃金である657万4800円を基礎収入とし、6304万2731円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの会社員の男性は足に機能障害・短縮障害・醜状障害が残ってしまったそうです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本判決では、被害者が足の機能障害により就労に困難を伴うものの、徐々に業務に順応していく可能性があることから、期間によって労働能力喪失率を低くしていく算定方法がとられました。
後遺障害は、一生継続的に続く障害であることから、いったん失った労働能力は回復しないはずですが、裁判所は保守的に損害額を認定する傾向にあります。
裁判では、このように被害者にとって不利な判断をされる場合もありますので、裁判を提起する場合には注意が必要といえます。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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骨折の慰謝料計算の特徴は?
骨折の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
骨折を伴うケガを負った場合、骨が癒合するまでに数ヶ月以上の期間がかかることが多いです。
ケースによっては、1年以上の治療を要することもあります。
交通事故の慰謝料は、治療期間によって比例的に増えていく傾向にありますが、実際の通院日数が少ないと、慰謝料の減額を主張されることがあります。
そのため、お医者様とよく話し合った上で、定期的に通院し、お医者様の指示があれば、リハビリもしっかりと行う必要があります。
なお、骨折の治療期間中にギプスで骨を固定し、自宅で安静にしていた期間は、入院と同視できる期間として慰謝料の算定の際に考慮されます。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話ですので、ご自身のお悩みについて具体的なアドバイスがお聞きになりたい場合は、まずは一度弁護士等の専門家に相談してみることをおすすめします。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。