22歳大学生の交通事故による骨折の慰謝料|8937万円の判例を弁護士が解説
このページでは、22歳大学生が骨折した事故の判例についてご紹介します。
成人の場合、約200個もの骨によって身体が支えられているのです。
骨が折れてしまうと、場合によっては後遺障害が残り、生活や仕事にも支障をもたらしてしまいます。
こちらの判例の被害者は、骨折によってどのような障害が残ってしまったのか、また損害総額8937万円はどのように算定されたのかについて、弁護士の先生の解説とともにご説明いたします。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
大学3年生(男・症状固定時22歳)損害額8937万9308円の判例
こちらは、千葉地方裁判所の判決、平成22年(ワ)第3409号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、左脛骨開放骨折となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「車道を同一の方向に進行していた被害者車両と加害者車両が接触した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学3年生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時22歳 |
事故の内容 | 車道を同一の方向に進行していた被害者車両と加害者車両が接触した。 |
傷害の内容 | 左脛骨開放骨折、左下腿皮膚欠損創 |
後遺障害等級 | 併合6級(左下肢の機能障害として併合7級(左足関節の機能障害:8級7号、左足第1ないし第5関節の機能障害:9級15号)、左下肢の瘢痕として12級) |
入院 | 104日 |
被害車両の追い越し方法にも問題があったとして、被害者と加害者の過失割合は4対6と認めるのが相当とされたようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 8937万9308円 |
---|---|
うち慰謝料 | 1550万円 |
うち休業損害 | 205万8364円 |
うち逸失利益 | 6514万3640円 |
損害総額は8937万9308円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額8937万9308円になりました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が220万円、後遺障害の慰謝料が1330万円認められました。
- 休業損害としては、被害者はアルバイトをしており、事故前月の給与支給総額は9万4725円(日額3157円)であり、被害者は本件事故がなければ総治療期間中、アルバイトを継続するだろうと考えられたが、被害者は従前、1つのアルバイトを辞めて次のアルバイト先を探す間は収入がない期間があったと認められるから、総治療期間の9割相当の日数を休業日数とされました。
- 逸失利益は、大卒・男性の全年齢平均賃金654万4800円を基礎収入とし、醜状痕は労働能力への影響を具体的に指摘することが困難であることから労働能力喪失率は56%、症状固定時の22歳から就労可能な67歳までと算定し、6514万3640円が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は事故により足に大怪我を負い、6級の後遺障害が認められました。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は骨折により併合6級の後遺症を負い、多額の損害が発生しました。
しかし、事故態様として、被害者の運転車両が無理な追い越しをかけ、加害者の運転車両が突如として進路変更が行ったというものであったため、被害者側に40%の過失が認定されました。
そのため、最終的に判決で認容された賠償額は、3892万円にとどまりました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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骨折の慰謝料計算の特徴は?
骨折の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
骨折を伴うケガを負った場合、骨が癒合するまでに数ヶ月以上の期間がかかることが多いです。
ケースによっては、1年以上の治療を要することもあります。
交通事故の慰謝料は、治療期間によって比例的に増えていく傾向にありますが、実際の通院日数が少ないと、慰謝料の減額を主張されることがあります。
そのため、お医者様とよく話し合った上で、定期的に通院し、お医者様の指示があれば、リハビリもしっかりと行う必要があります。
なお、骨折の治療期間中にギプスで骨を固定し、自宅で安静にしていた期間は、入院と同視できる期間として慰謝料の算定の際に考慮されます。
ただし、以上のポイントは一般的な話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方の事情は当然異なります。
よって、交通事故の後遺症にお悩みの場合、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのがよいでしょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。