交通事故による脳挫傷|回復の見込みと後遺障害慰謝料を弁護士が解説!
交通事故による脳挫傷の後遺症でお悩みでしょうか?
これからも長く続く治療やリハビリの生活では、
- 外傷性脳挫傷から回復するために支払う治療費
- 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
- 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費
の問題を避けて通ることはできません。
さて、ここで問題です。
外傷性脳挫傷の後遺症との関係で、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
※ 知っている人はみんな利用している方法です!
生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。
選択肢①:
外傷性脳挫傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
外傷性脳挫傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
外傷性脳挫傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
裁判、増額請求、再計算…。
正解は、この記事の後半で弁護士の先生に詳しく解説してもらいましょう!
それでは、外傷性脳挫傷の後遺症でお悩みの方へ。
外傷性脳挫傷による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。
ぜひご一読ください。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、外傷性脳挫傷の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいものです。
実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。
今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら解説していきたいと思います。
まず、外傷性脳挫傷とは、外傷によって発生する脳挫傷のことになります。
脳挫傷については、なんとなくどのような状態のことなのかご存知の方もいらっしゃると思います。
脳挫傷:
頭部への強い衝撃により、脳に損傷や出血が発生している状態
しかし、具体的な症状や治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。
まずは、(外傷性)脳挫傷についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。
外傷性脳挫傷の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント
頭痛?めまい?吐き気?脳挫傷の症状とは
外傷性脳挫傷は、頭部を強打した場合などに、脳組織が破壊されてしまうことが原因となって発症します。
では、脳挫傷になると、どのような症状が現れるのでしょうか。
調べてみたところ、以下の通りということです。
●主な症状
〇嘔吐
〇頭痛
●脳挫傷の局所の症状
〇半身の麻痺
〇感覚障害
〇言語障害(言葉が出てこない、ろれつが回らない)
〇けいれん発作
〇意識障害
●大量の出血や脳浮腫による症状
〇脳が圧迫され、脳ヘルニアの状態に進行し、死に至ることがある
他に、記憶障害などの症状も現れるようですね。
脳挫傷でリハビリ入院中の父が、退院前の一時帰宅。記憶障害で、昔の事は良く憶えているが前日の事や朝ご飯何を食べたかとか殆ど思い出せない。それでも適当な作り話をベラベラ喋り続けるので「ふーん、そうなんや」とか適当に相槌を返すと会話らしきものが成立する。父とこんなに話すのは初めて。
— 愚者 (@tanabekeiji) September 23, 2017
脳へのダメージが小さければ、ほとんど症状が見られないこともあるそうです。
一方、事故後すぐにではなく、時間が経ってから症状が現れることもあるようです。
交通事故で頭を強く打った場合には、頭部CTやMRIなど、脳の精密検査をした方が良いでしょう。
脳挫傷の根本的な治療法はないってホント?
まず覚えておきたいのは、一度死んでしまった脳細胞は再生しないということです。
では、脳挫傷に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??
脳細胞が再生しないということは、何も対処のしようがないのでしょうか…。
治療法について調べてみたところ、以下の通りということです。
●脳挫傷そのものに対する根本的な治療はない
○出血や脳浮腫などに対する対症療法(手術や薬物療法)が中心となる
○その後、ハビリテーションで徐々に脳機能の回復を目指す
●血腫が小さい、もしくは脳浮腫が軽度の場合
○出血が引くのを待つため、治療を行わずに様子を見ることもある
○薬物療法
・脳圧降下薬(グリセオールやマンニトール)の点滴注射
・血腫に対する漢方薬での対症療法
●出血がひどく血腫が大きい場合、もしくは脳浮腫が強い場合は手術を検討することがある
○手術:頭蓋骨の一部を切り取ることで、内部の圧力が高まり過ぎないようにする
●低体温療法
○効果と副作用のどちらが大きいかの判断が難しく、常に行われるような治療ではない
脳挫傷とは、「脳細胞が死んでしまった状態」ということでしたね。
現在の医療では、脳細胞を再生させるといった根本的治療を行うことは不可能ということです。
また、脳の傷付いた部分を切り取り、新しい脳を入れこむことはできませんよね…。
よって、可能な治療としては基本的に、脳挫傷の周囲に生じた出血に対応したり、頭蓋骨の骨折の治療ということになるそうです。
出血に対する治療としては主に、穿頭、または開頭血腫除去術が行われるようです。
穿頭・開頭血腫除去術
- 頭蓋骨に穴を空ける
- 頭蓋骨の一部を切り外す
ことにより、内部に溜まった血液を洗い流す手術のこと。
手術で脳内に溜まった血液を取り除くことができれば、出血が原因で生じている症状については改善される見込みがあるということです。
とはいえ、ある程度多量の出血があるようなケース以外では、症状の改善はあまり期待できないようです。
よって、脳挫傷そのものに対する治療としては、失われた部分を周囲の脳機能で補うためのリハビリが主となるそうです。
脳挫傷の後遺症と回復に向けたリハビリ
脳挫傷が広範囲にわたる場合などには、残念ながら後遺症が残ってしまうケースも考えられます。
後遺症の症状としては、顔面や手足の動かしづらさ、麻痺や意識障害など様々。
そういった場合には、脳の機能回復を目指し、リハビリを行うことになるということでしたね。
その場合、リハビリが行える回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリに専念することになるとのこと。
ただし、病院の転院については、注意点などもありますので、こちらの記事も参考になさってください。
もちろん、一般の病院にもリハビリの施設はあることが多いですが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っているということです。
リハビリのための病院を選ぶにあたっては、患者一人に対するスタッフの数や、リハビリ設備の充実度といった点が参考になるそうです。
また、実際に通院するにあたっては、リハビリの回数やリハビリを受けられる総時間、土日の営業なども重要なポイントとなってくるかもしれませんね。
麻痺に対するリハビリとは
脳挫傷により、大部分に麻痺が残ってしまった場合、術後、まずはベッドのリクライニング角度を上げていく訓練が行われるそうです。
というのも、長時間寝ていたことで、血圧が低下しているため、急に体を起こすと脳貧血を起こす恐れがあるということです。
その後は、ケースによって車椅子に移る訓練なども行われます。
車椅子上でも脳貧血を起こさないようになれば、本格的なリハビリが開始となります。
理学療法
筋力の強化や持久力の強化、指先の機能回復に向けた訓練などが行われます。
また、トイレや入浴、掃除などに関する訓練も行われるそうです。
高次脳機能障害に対するリハビリとは
後ほど説明しますが、脳挫傷では高次脳機能障害という後遺症が残ってしまう可能性があるということです。
高次脳機能障害の症状は、記憶障害や人格変化など様々となっています。
よって、症状に応じたリハビリが必要となってきますね。
そこで、
- 記憶力・集中力・判断力などの認知機能や対人関係を回復するためには作業療法や言語聴覚療法
- 心理療法による「認知リハビリテーション」や「ソーシャルスキルトレーニング」
- 日常生活動作や交通機関の利用などに関係する障害には「生活訓練」
- 就労に関するカウンセリングや訓練・支援には「職業的リハビリテーション」
が行われるそうです。
国立障碍者リハビリテーションセンターによると、
訓練を受けた障害者で障害尺度に改善のみられた人の74%が6か月で、97%は1年でその成果が得られています。
と報告されています。
心のケア
リハビリは厳しいものですし、以前はできていたことができなくなれば、精神的苦痛も非常に大きなもののはずです。
また、感情をコントロールできないことも増えてしまうかもしれません。
事故後の心と身体の変化を、いかに本人が気付き、理解できるかどうかが改善の鍵を握っています。
身近にいる方の、日常生活やリハビリのサポートが、より良い回復を目指すうえでは重要になってくるようです。
心が回復しなければ、他のリハビリ効果も得られないため、非常に重要です。
知らないと損する①交通事故による外傷性脳挫傷の治療に対する慰謝料や治療費は?
脳挫傷の症状や治療法については理解を深めていただけましたでしょうか。
しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。
最初に、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
とお聞きしました。
ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。
治療費は誰が支払うの?
まずは、入通院中の治療費についてです。
交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
交通事故でも健康保険が利用できるってホント!?
普通に病院に通院する場合には、健康保険を利用されている方がほとんどだと思います。
しかし、交通事故では健康保険を使用できないって聞いたことがありませんか?
交通事故による怪我は、国民健康保険、社会保険証が使えない、全部、10割の医療費。中学生らよ、そういうのを知っておけば、無免許運転なんぞまずしないかと思うが…。学校で、保険証の使用できる範囲は教えておくべきじゃないのか。
— mai (@yononakase) July 2, 2018
しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています
つまり、交通事故による怪我の治療に対しても、健康保険を利用することは可能なんですね。
ただし、健康保険を利用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。
健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。
ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
支払いが困難な場合には…
ところで、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。
そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。
また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。
仮渡金制度とは、
損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる
という仕組みのことです。
ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がありますのでご注意ください。
入通院慰謝料の相場について解説
治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対し、入通院慰謝料というものも支払われます。
この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。
以下に、入通院慰謝料の相場を示しましたので、ご覧になってみてください。
表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。
ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、
- 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。
長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!
治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。
しかし実際には、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。
通院頻度と慰謝料の関係
- ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
- ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合
の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。
もう少し具体的に説明しますね。
たとえば、①のケースを考えてみます。
極端な例ですが、通院期間が1年で、実通院日数が17日しかなかったとしましょう。
通院期間が基準であるならば、1年間通院=慰謝料154万円もらえるのかというと違います。
この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、17×3.5=59.5日(≒2ヶ月)が適用され、慰謝料は52万円ということになってしまうのです。
原則 | 例外 |
---|---|
通院期間により算定 | 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定 |
このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。
適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
知らないと損する②外傷性脳挫傷の後遺症に対する後遺障害慰謝料・示談金・保険金は?
外傷性脳挫傷の治療に対する補償については、わかってきました。
ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!
選択肢①:
外傷性脳挫傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
外傷性脳挫傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
外傷性脳挫傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。
正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。
そうなのですね!?
では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。
選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する
すでにお伝えの通り、脳挫傷は脳組織に損傷が生じるものです。
よって、全身に後遺症が残る可能性があります。
植物状態にまではならなくても、身体に麻痺が生じたりする可能性もあるということでしたね。
また、損傷した脳の部位によっては、失明してしまうことも考えられます。
他に、事故前から人格が変わってしまったり、物忘れが激しくなるなどの高次脳機能障害を発症する可能性も高いようです。
また、外傷性てんかんといって、意識障害や転倒を伴う反復性の発作が生じることもあるそうです。
後遺症は、その症状に応じて等級が1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められています。
残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当します。
それぞれの後遺症に対する等級は、以下の通りということです。
重要
脳挫傷で考えられる後遺症の等級
後遺症名 | 概要 | 後遺症等級 |
---|---|---|
遷延性意識障害 | ・重度の昏睡状態が継続 ・植物状態とも呼ばれる |
1級 |
高次脳機能障害 | ・人格変化、記憶保持などの知的側面に異常が生じる | 1~3級、5級、7級、9級 |
外傷性てんかん | ・反復性の発作を伴う脳疾患 ・意識障害や転倒、状況にそぐわない行動を示す |
5級、7級、9級、12級 |
視力障害 | ・視力が最低でも0.6まで低下 ・失明 |
1~10級、13級 |
そして、それぞれの等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まっているということです。
その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているそうなのです。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
では、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
※1 単位:万円
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※3 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
自分で慰謝料を計算してみたい
ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
このホームページでは、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。
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選択肢②失った現在・将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する
治療費や慰謝料以外にも、脳挫傷によって失った現在・将来の給与や収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるということでした。
主には、休業損害と逸失利益の主張をするということになるそうです。
治療中に失った収入「休業損害」
まずは、休業損害について見てみましょう。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。
失った将来の収入「逸失利益」
次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。
逸失利益
後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、脳挫傷による後遺症が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さければ、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす
ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。
しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。
実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。
弁護士基準の 賠償額との比較 |
|
---|---|
弁護士が保険会社と交渉 | 9~10割※1 |
弁護士をつけて裁判 | 10割 + 弁護士費用※2 |
※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。
※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。
また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。
つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、脳挫傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となるんですね。
実際の裁判例を見てみよう
ではここで、脳挫傷の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。
ケース① |
---|
職業:兼業主婦(67歳女性) 傷害:脳挫傷その他 後遺症:高次脳機能障害(2級1号) 《損害賠償》 傷害慰謝料:220万円 後遺障害慰謝料:2370万円 逸失利益:2193万97円 付添看護費等:222万1765円 将来介護費等:646万9990円 |
ケース② |
職業:会社員幹部候補生(27歳女性) 傷害:脳挫傷その他 後遺症:神経・精神の障害(7号4級)その他 《損害賠償》 慰謝料:2821万円 休業損害:495万1051円 逸失利益:7466万6949円 将来介護費:95万2000円 |
ケース③ |
職業:大学生(22歳男性) 傷害:脳挫傷その他 後遺症:高次脳機能障害(7級4号) 《損害賠償》 傷害慰謝料:90万円 後遺傷害慰謝料:1000万円 逸失利益:5971万8063円 付添看護費:185万2480円 |
もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。
脳挫傷を負うような事故では、他の怪我も負うことが想像できますね。
他の怪我を負えば、他の後遺症が残ることも考えられます。
個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。
また、将来介護費や付き添い看護費といったものが認められているケースもありますね。
それぞれについては、こちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。
しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。
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最後に一言アドバイス
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まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに脳挫傷の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 外傷性脳挫傷の症状や治療法、リハビリなどの基礎知識
- 外傷性脳挫傷による後遺症の等級や認定基準
- 外傷性脳挫傷に対する治療費、慰謝料などの保険金、示談金の相場
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、外傷性脳挫傷の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
自宅からすぐに弁護士と相談したい場合、弁護士にスマホで無料相談できる窓口は今すぐ利用可能です!
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
脳挫傷の保険金に関するQ&A
脳挫傷になるとどんな症状が現れる?
脳挫傷は事故によって頭部を強打した際に、脳組織が破壊されることで発症します。主な症状としては嘔吐・頭痛などが多く、ひどい場合は麻痺や言語障害、大量の出血や脳浮腫による脳の圧迫で死に至ることもあります。頭部への衝撃が小さければ症状が目立たないこともあり、しばらくしてから症状が現れることもありますので、頭部を強打した場合は必ず病院で精密検査を受けましょう。 脳挫傷のさまざまな症状
脳挫傷になったときの治療法はあるの?
脳細胞は一度死んでしまうと再生できません。よって脳挫傷に対しての根本的な治療法は現在のところありません。脳挫傷による出血や脳浮腫への対症療法が中心となります。大量出血や血腫が大きいなどの症状がひどい場合には手術を行うことがあります。もし軽度だった場合には、薬物による治療や経過観察などの処置が行われます。 脳挫傷における対症療法
脳挫傷で後遺症になると慰謝料が増えるの?
脳挫傷の場合は後遺症が残るリスクも高いので、後遺障害の等級認定を獲得することで慰謝料の増額請求が可能です。併せて休業損害や逸失利益を主張して、賠償金・保険金の再計算を求めましょう。また、確実な増額を望むのであれば、弁護士に示談交渉に介入してもうことをおすすめします。 脳挫傷での後遺症による慰謝料の増額請求
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。