120キロの暴走車に同乗し瀕死の重傷 右手五指用廃、鎖骨変形等の重大な後遺障害
認容額 | 5333万3995円 |
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年齢 | 23歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 船員(三級海技士) |
傷病名 | 両肺外傷性気胸、呼吸不全、多発性肋骨骨折、頭部打撲、脳震盪症、顔面、後頭部挫創、鼻骨骨折、両鎖骨骨折、右腕神経叢ひきぬき損傷、左腕神経叢損傷等 |
障害名 | 鎖骨変形 |
後遺障害等級 | 6級 |
判決日 | 平成10年3月19日 |
裁判所 | 岡山地方裁判所 |
交通事故の概要
平成6年4月3日午前2時40分頃、岡山県和気郡和気町の路上において、加害者1は、普通乗用自動車を運転し、時速50キロメートルに制限された国道374号線(片側一車線)を時速約120キロメートルで走行したため、左折すべきT字型交差点で左折できず、そのまま直進しカーブを曲がりそこねて同車を路外に飛び出させた。同車は墓所の石垣等に激突して用水へ転落し、後部座席で眠っていた被害者が瀕死の重傷を負った。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件事故により、両肺外傷性気胸、呼吸不全、多発性肋骨骨折、頭部打撲、脳震盪症、顔面、後頭部挫創、鼻骨骨折、両鎖骨骨折、右腕神経叢ひきぬき損傷、左腕神経叢損傷等の瀕死の重傷を負い、次のような治療を受けた。
(1)A中央病院
平成6年4月3日から同年8月3日まで 入院123日
(2)A中央病院
平成6年8月4日から同年9月6日まで 実通院5日
(3)O大学附属病院
平成6年5月26日から平成8年5月23日まで 実通院73日
(4)K市立中央市民病院
平成6年9月8日 実通院1日
(5)O病院
平成6年12月24日 実通院1日
(6)K病院
平成7年12月4日から平成8年1月20日まで 入院48日
(7)K病院
平成7年11月16日から平成8年2月1日まで 実通院6日
被害者は、平成8年5月23日症状固定したが、後遺障害が残った。
後遺障害の内容
被害者は、本件事故のために後遺障害を残し、自賠責保険において右手五指用廃により後遺障害7級7号、鎖骨変形により12級5号、男子外貌醜状により14級11号に該当し、後遺障害併合6級の認定を受けた。
被害者は、本件事故当時、三級海技士(機関)の免許をもって勤務していたため、本件事故にあわなければ、その後も順調に船員として勤務を続け、昇給及び昇格に伴ってある程度高額の所得を得られた。しかし、本件事故後は、主に右手五指用廃の後遺障害のために船員として働くことができず、退職を余儀なくされ、将来は船長になりたいとの希望も断たれた。
判決の概要
加害者1は、深夜飲酒の上、制限速度を70km超過する時速120kmで普通乗用自動車を運転していたところ、T字型交差点で左折できずに路外墓所の石垣に激突し用水に転落した。そのため、後部座席で眠っていた被害者が重傷(両肺外傷性気胸など)を負い、加害者1に対して損害賠償請求した。加害者ら(加害者1、及び自動車の保有者である加害者2、加害者3)は、被害者の損害額や好意同乗による減額を争った。裁判所は、被害者が、加害者1の飲酒運転や制限速度を大幅に超えて運転していることを認識していたのに注意などをしなかったとして、1割5分の好意同乗減額をして、請求損害額の一部を認容した。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 334万1608円 |
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入院付添費 | 21万6000円 |
入院雑費 | 22万2300円 |
通院交通費 | 11万9578円 |
休業損害 | 656万7626円 |
逸失利益 | 5457万2927円 |
慰謝料 | 1500万円 |
医療具代 | 4万 7832円 |
好意同乗による減額 | - 1201万 3181円 |
既払金 | - 1674万 0695円 |
弁護士費用 | 200万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。