警察官の男性 脊柱変形の後遺障害が残存し3611万円認容
認容額 | 3611万2525円 |
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年齢 | 32歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 警察官 |
傷病名 | 第11胸椎圧迫骨折 |
障害名 | 脊柱の変形障害 |
後遺障害等級 | 11級 |
判決日 | 平成 |
裁判所 | 神戸地方裁判所 |
交通事故の概要
平成20年1月28日午後8時ころ、加害者は,加害車両を運転し,本件事故現場の三叉路交差点を対面青色信号に従い北方から西方に向かい時速約30キロメートルで右折進行したところ,同交差点の右折方向出口に設けられていた横断歩道を青色信号に従い南方から北方に横断歩行中の被害者に加害車両前部を衝突させた事故。
被害者の入通院治療の経過
ア 加害者は,本件事故直後の平成20年1月28日午後8時45分,L病院に救急搬送されたが,腰痛や後頭部痛を訴え,立位や歩行が困難であったことから,そのまま入院した。入院中は,体幹ギプスや硬性コルセットによる固定がなされ,同年3月23日,退院した(入院日数56日)。退院時には,独歩可能な状態まで回復し,骨硬化も得られつつあったが,腰背部痛の訴えは続いていた。その後,被害者の転院希望により,F病院に通院することになった。
イ 被害者は,平成20年4月8日,F病院へ通院し,同病院のH医師に第11胸椎圧迫骨折と診断され,同日から平成21年5月までの約1年間,月に2ないし4回程度,同病院に通院した。
ウ 被害者は,F病院での治療を続けても背部痛が改善しないことから,平成21年5月12日,セカンドオピニオンの目的でI病院を受診した。
エ 被害者は,平成21年5月18日,やはりセカンドオピニオンの目的で,G病院整形外科を受診した。
オ 被害者は,平成21年5月21日,E病院を受診し,同病院の医師に第11胸椎骨折,慢性複雑難治性疼痛と診断された。そして,投薬内容の見直しや,リハビリを行うため,同年6月22日から同年8月4日まで,同病院に入院した(入院日数44日)。
カ 原告は,E病院を退院後,平成21年9月から,再びF病院に通院したが,同月29日,H医師は,原告の症状について,症状固定と診断した。
キ 原告は,症状固定後も背部痛が続くので,平成21年10月13日から口頭弁論終結直前の平成24年11月13日までの間,月に1,2回程度,F病院に通院し,鎮痛剤を処方してもらうなどしている。
ケ 被害者は,平成22年6月3日,頭痛が増強し,K病院へ救急搬送され,低髄圧症候群疑いとの診断がなされ,そのまま同病院に入院した。その後,症状が改善したことから,同月18日に退院した(入院日数16日)。
後遺障害の内容
被害者(昭和50年○月○日生。本件事故当時32歳)は,平成22年2月8日,自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の後遺障害等級認定手続において,自動車損害賠償保障法施行令別表第二第11級7号に該当すると判断された。
判決の概要
裁判所は,(1)症状固定時に原告に残存する背部痛については,原告に骨の萎縮,皮膚の変化が認められない以上RSDに由来する後遺障害とは認められないとし,(2)原告の胸腰部の可動域制限については,「胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの」に該当せず,8級2号には当たらないとした上で,(3)脊柱の変形障害については,原告が事故により第11胸椎圧迫骨折の傷害を負い,症状固定時において,同胸椎が楔状に変形していることから,11級7号(脊柱に変形を残すもの)に該当するとした。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 263万8720円 |
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休業損害 | 415万8327円 |
逸失利益 | 2176万9874円 |
慰謝料 | 742万円 |
物損 | 15万 5604円 |
損害のてん補 | - 331万 円 |
弁護士費用 | 328万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。