交通事故での開放骨折(複雑骨折)の後遺症|左腕、両足…慰謝料や損害賠償は?

  • 開放骨折,後遺症

交通事故での開放骨折(複雑骨折)の後遺症|左腕、両足…慰謝料や損害賠償は?

交通事故の被害に遭い、開放骨折複雑骨折)の後遺症が残ってしまったとしたら…。

これからも長く続く治療リハビリの生活では、

  • 開放骨折(複雑骨折)から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

開放骨折(複雑骨折)の後遺症との関係で、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

開放骨折(複雑骨折)との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

開放骨折(複雑骨折)によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

開放骨折(複雑骨折)を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士の先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、開放骨折(複雑骨折)の後遺症でお悩みの方へ。

開放骨折(複雑骨折)による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、開放骨折の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいものです。

実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、開放骨折という言葉は初めてお聞きになった方がほとんどではないかと思います。

皮膚が骨折により損傷を受け,骨折部が外界と交通するもの.複雑骨折

また、具体的な症状治療法にまで詳しいという方は少ないのではないでしょうか。

まずは、開放骨折についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

開放骨折(複雑骨折)の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント

開放骨折(複雑骨折)の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント

非常に危険!!開放骨折の症状とは…

まず、開放骨折とは、折れた骨が皮膚を突き破って外部に出てきてしまう骨折のことです。

下の図でいうと、(b)の状態で、「複雑骨折」とも呼ばれるようです。

612 Types of Fractures

複雑骨折と聞くと、骨が粉々になってしまうようなイメージを持っていましたが、それは「粉砕骨折」というそうです。

粉砕骨折については、こちらのページをご覧ください。

開放骨折(複雑骨折)は、小さな衝撃で起こるものではなく、スポーツや交通事故などで、非常に強い衝撃を受けることが原因で起こります。

そして、骨折の中でもに至る可能性もある非常に危険なものです。

骨が皮膚を突き破ってしまうほどのものなので、筋肉や血管、神経も損傷してしまうことになります。

また、破れた部分から感染症を引き起こす可能性があり、骨髄まで炎症が広がると、骨髄炎となる恐れがあります。

骨髄炎とは

通常、骨は皮膚や筋肉に覆われ、完全に身体の中にある=無菌状態にあります。

しかし、いったん皮膚の外に出てしまえば、様々な菌が存在しています。

たとえば、黄色ブドウ球菌などの細菌が傷口から入り込んでしまうと、皮膚や筋肉が炎症を起こしますが、その炎症が骨にまで達してしまうことがあります。

そうなってしまった状態が「骨髄炎」です。

骨髄炎は骨髄の化膿性疾患である.(略)もっとも多いのが化膿性骨髄炎で,黄色ブドウ球菌やレンサ球菌さらに肺炎双球菌などが起炎菌となる.急性化膿性骨髄炎,慢性化膿性骨髄炎があり,後者には硬化性骨髄炎やブロディー骨膿瘍などの種類がある.また骨梅毒では梅毒性骨髄炎が進行した形として限局性ないしびまん性骨髄炎となる.さらに結核菌が骨髄内にびまん性に進行して骨全体に及んだときは骨内に肉芽組織や乾酪物質,膿瘍を形成して結核性骨髄炎となる.

最悪の場合では、骨が壊死してしまうこともあるという恐ろしいものです。

特にお子様の場合、骨髄炎を引き起こしやすいそうです。

開放骨折を起こしやすい部分

開放骨折が起こりやすい部分は、皮膚の上から触って骨があるのがわかり、縦に長い骨が存在している部分ということです。

足や腕、鎖骨やあばら付近がそれに該当しそうですね。

しかし、交通事故などで非常に強い外力が加わった場合には、それ以外でも起こる可能性があります。

神経などが多く通っている部分を傷つければ、運動麻痺が生じるリスクも考えられます…。

また、筋肉に炎症が起こることは稀ということですが、もしも筋肉が炎症すれば、コンパートメント症候群になる恐れがあります。

筋膜でおおわれる区画(コンパートメント)内部の圧が浮腫,出血などのために亢進することによって生じる病態で,持続する疼痛,病変部より末梢での脈拍の触知不能,感覚異常,運動麻痺の(略)症状を呈する.

また破れた体の脂肪が血管に大量流れて肺につまり、呼吸器系の合併症が発生するケースもあります。

また感染症が悪化すると敗血症などの深刻な合併症を起こす可能性もあります。

症状

開放骨折の症状としては、痛みでしょう。

さらに、骨髄炎となってしまった場合には、痛み、腫れ、膿などの症状以外に、高熱、悪寒やふるえなどの症状も現れるそうです。

開放骨折の場合は、骨が皮膚を突き破っている状態ですから、目で見て判断することができ、それが一番確実な診断方法になります。

骨髄炎の症状が見られる場合には、

  • 炎症の有無を調べる血液検査
  • 膿の有無や広がり、神経圧迫の有無を調べる画像検査(レントゲン、CT、MRI、骨シンチグラフィ)

などで検査されるそうです。

開放骨折の治療法

では、開放骨折に対する治療法はどのようになっているのでしょうか?

症状を見る限り、かなり酷い怪我だと思うのですが、完治することは可能なのでしょうか…。

調べてみたところ、以下の通りということです。

応急処置

まずやるべきことは、骨折した部位を固定することです。

硬いまっすぐなものであれば何でも良いので、布などで縛り、骨折部位が動かないように固定しましょう。

それと同時に、救急車を呼ぶ必要があります。

開放骨折は時間との勝負なので、周りの人に助けてもらいながら早急に対応しましょう。

可能であれば、傷口を大量の水で洗い流し、細菌による感染を防ぐ必要があります。

救急外来に運ばれた後も、大量の水で徹底線状されます。

想像するだけで痛いですが、全身麻酔をかけてやることも多いようです。

ただし、受傷から6時間が経過すると、細菌の繁殖を防ぐことが難しくなってくるようです。

まさに時間との勝負になります。

治療

応急処置の後は、基本的には骨髄炎に対する治療法と同じになるようです。

●抗菌薬は必ず必要

〇病原体に合わせた抗菌薬を使う

●抗菌薬のみで治らない場合や、感染が進み壊死した組織などがあれば手術が必要

〇最悪の場合、四肢の切断を余儀なくされることがある

●手術は以下のことを行う

〇壊死した組織などを取り除き、清潔にする

〇必要に応じて装具で固定する

●人工関節などの人工物が感染箇所の周囲に入っている場合には、以下の点に注意する必要がある

〇より治療が難航しやすく、経過が悪くなる

〇感染の治療のために人工物を除去することも少なくない

〇人工関節とは別の部位であっても、何らかの手術(歯科治療を含む)を受ける場合は、手術前に抗菌薬を内服することである程度発症を予防することができる

●早期に適切な治療が行われれば治癒も見込めるが、数か月から数年間は抗菌薬を飲み続けなければならない

●手術前に担当の医者や歯科医に相談することが重要

聞いているだけで恐ろしいですが、最悪の場合は死にも至るものです。

しっかりと治療を行いましょう!

【注目】開放骨折に対する後遺症等級認定基準について解説

以上、症状や治療法について見てきました。

ただし、感染のコントロールが難しいことや、破れた傷の回復に時間がかかることも多く、骨折の固定手術が満足にできないことも多いようです。

よって、通常の骨折よりも後遺症が残りやすいというのが事実のようです。

基本的には、足や腕などに負うことが多いようですが、非常に強い外力を受けた場合には、関節や下腿、脛骨などの部位を開放骨折してしまうこともありますよね。

そうなってしまえば、その後の後遺症は非常に重いものになってしまいそうです。

まず、開放骨折により、骨が皮膚を突き破った部分から感染症が進み、組織が壊死した結果、四肢や手足指を切断せざるを得ない欠損障害が考えられます。

次に、骨折部位の癒合不良などにより、変形障害短縮障害といった後遺症が残る可能性も考えられます。

また、骨折部位の癒合不良や骨折部位の付近を通る神経の損傷に伴う麻痺、人口骨頭・関節の挿入などによる機能障害の後遺症の可能性もあります。

そして、骨折部位付近に醜状障害が残る可能性もあります。

さらに、骨癒合不良に伴う骨折部位の痛みといった神経症状の後遺障害が残る可能性も考えられます。

ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

ところで、交通事故などで大きな衝撃を受けた場合、身体のどの部分でも開放骨折してしまう可能性があるんですよね…。

よって、どの部位に発生し、その結果どのような後遺症が残るかによって等級は様々のようです。

欠陥障害

まず、欠陥障害についてはどうでしょうか?

欠損障害は、上肢、手指、下肢、足指に発生する可能性があり、欠損の程度により1級~14級まで認定の可能性があります。

詳しくは下の表をご覧ください。

開放骨折による欠陥障害の後遺症等級
欠陥障害
部位 ・上肢
・手指
・下肢
・足指
等級 ・1級~5級
・3級~14級
・1級~7級
・5級~13級

変形障害

続いて、変形障害の後遺症等級はどうでしょうか。

変形障害については、鎖骨などの体幹骨、腕の骨、足の骨に発生する可能性があり、変形の程度により7級~12級まで認定の可能性があります。

詳しくは下の表をご覧ください。

開放骨折による変形障害の後遺症等級
変形障害
部位 ・体幹骨
・腕の骨
・足の骨
等級 ・12級5号
・7級~12級

短縮障害

次は短縮障害についてです。

短縮障害は認定基準上、等級が認められるのは下肢だけになりますが、短縮の程度により8級~13級まで認定の可能性があります。

詳しくは下の表をご覧ください。

開放骨折による短縮障害の後遺症等級
短縮障害
部位 下肢
等級 8級~13級

機能障害

次は機能障害ですね。

機能障害は、上肢、手指、下肢、足指に発生する可能性があり、障害の程度により1級~14級まで認定の可能性があります。

詳しくは下の表をご覧ください。

開放骨折による機能障害の後遺症等級
機能障害
部位 ・上肢
・手指
・下肢
・足指
等級 ・1級~12級
・4級~14級
・1級~12級
・7級~14級

醜状障害

次は醜状障害についてです。

醜状障害とは、簡単に言うと傷跡に関する後遺症のことです。

開放骨折は、骨が皮膚を突き破って出てきてしまうものなので、頭部や首、上肢、下肢など、他の人から見える場所に、治療跡や傷跡が残る可能性があります。

それが、客観的に他の人に醜いと感じさせてしまう程度であれば、後遺症として認定されるんですね。

醜状障害は、頭部・顔面部・頸部又は上肢・下肢に発生する可能性があり、障害の程度により7級~14級まで認定の可能性があります。

詳しくは下の表をご覧ください。

開放骨折による醜状障害の後遺症等級
醜状障害
部位 ・頭部、顔面部、頸部
・上肢又は下肢
等級 ・7級~12級
・12級又は14級

局部の神経系統の障害

最後に、骨により神経が傷つき、神経系統にも障害が残ってしまう可能性があるということですね。

局部の神経系統の傷害についてはどうでしょうか。

骨折部位に痛みが残った場合に、局部の神経系統の障害である12級13号又は14級9号が認定される可能性があります。

開放骨折による神経障害の後遺症等級
局部の神経系統の障害
部位 骨折部位
等級 ・12級13号
・14級9号

開放骨折は非常に重症な怪我なので、様々な場所に、様々な後遺症が残ってしまう可能性があるということがよくわかりました。

開放骨折の後遺症に対するリハビリ

ところで、開放骨折をした場合、最悪のケースでは骨髄炎にかかった部分を切断することもあるということでした。

そうなってしまった場合、日常生活訓練などのリハビリを受ける必要があります。

下肢切断の場合

まず、下肢を切断することになってしまった場合、義足を付けて生活していくことになります。

まずは、義肢をコントロールするための理想的な断端の形成が必要となります。

その後、本格的なリハビリが開始となりますが、初めは関節の可動域訓練筋力トレーニングが行われるそうです。

長期間の治療により、骨折部位の筋肉が固まってしまっているため、伸びをすることが効果的なようです。

また、義足の装着方法の指導や義足への荷重誘導、坂道や階段の昇降、椅子からの起立着座などの歩行練習が行われます。

上肢切断の場合

上肢を切断することになった場合にも、義手を付けて生活していくことになります。

義足と同じく同じように、切断部位を形よく整え、強化する必要があります。

その後、義手の装着訓練や、関節の可動域訓練が行われるそうです。

どのケースでも言えることですが、筋肉などが痛みを感じる前にやめて繰り返すことがポイントだということです。

他に、義手の使用訓練として、「手先の位置の設定」や「利き手の決定」、握る、離すなどの反復訓練が行われます。

その後、食事動作訓練や衣服の着脱訓練、事務動作訓練や入浴・歯磨き訓練、自動車の運転訓練など、日常生活に必要な動作の訓練が行われます。

何よりも大切なのは心のケア

身体の一部を失うことを簡単に受け入れられる人は少ないはずです。

しかし、その事実を受け入れることこそ、リハビリを続けるうえで大切なことなのだそうです。

リハビリ中には、担当医や看護師、理学療法士やソーシャルワーカーなどが相談に乗ってくれるそうです。

また、同じような後遺症を負った方に会い、話を聞くこともできるそうです。

加えて、ご家族など身近にいる方の、日常生活やリハビリのサポートが、より良い回復を目指すうえでは重要になってくるそうです。

知らないと損する①交通事故による開放骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らないと損する①交通事故による開放骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?

開放骨折の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

治療費の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

https://twitter.com/Kagiroi21/status/948741605384642560

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が1年で、実通院日数が16日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、1年通院=慰謝料154万円がもらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、16×3.5=56日(≒2ヶ月)が適用され、慰謝料は52万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らないと損する②開放骨折の後遺症に対する慰謝料などの損害賠償は?

知らないと損する②開放骨折の後遺症に対する慰謝料などの損害賠償は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

開放骨折との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

開放骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

開放骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、脊髄が損傷してしまった場合、元に戻ることはありません。

よって、麻痺などの重大な後遺症が残る可能性があります。

開放骨折に対する後遺症の等級についてはすでにお伝えしました。

その等級に応じて、後遺症慰謝料の金額が決まっているということでしたね。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺症慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

開放骨折の場合の後遺症慰謝料※1
後遺障害等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
1級 1100 1300 2800
2級 958 1120 2370
3級 829 950 1990
4級 712 800 1670
5級 599 700 1400
6級 498 600 1180
7級 409 500 1000
8級 324 400 830
9級 245 300 690
10級 187 200 550
11級 135 150 420
12級 93 100 290
13級 57 60 180
14級 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

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選択肢②失った現在・将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、開放骨折によって失った給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、開放骨折による後遺症が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの検証
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、開放骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、開放骨折の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

開放骨折の後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:会社員(44歳男性)
傷害:右脛骨腓骨開放骨折その他
後遺症:右足関節の機能障害(10級11号)その他併合9級
《損害賠償》
入通院慰謝料:255万円
後遺障害慰謝料:690万円
休業損害:222万140円
逸失利益:2072万4800円
ケース②
職業:個人タクシー業者(58歳男性)
傷害:左大腿骨骨幹部開放骨折その他
後遺症:歩行困難その他併合9級
《損害賠償》
入通院慰謝料:348万円
後遺障害慰謝料:690万円
休業損害:1039万2426円
逸失利益:1373万3842円
ケース③
職業:小学生(7歳男の子)
傷害:右脛骨骨幹部開放骨折、右下腿コンパートメント症候群
後遺症:右下腿術後瘢痕を残すもの(12級相当)
《損害賠償》
入通院慰謝料:296万2000円
後遺障害慰謝料:440万円
逸失利益:0円※
付添看護費:160万3610円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

また、付添看護費などが認められているケースもありますね。

個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。

もっとも、ただちに労働能力に影響があるとは認められない場合、逸失利益の算定が難しく、支払われないこともあるようですね。

ただしその場合には、後遺症に対する慰謝料を増額することで公平を図ることがあるようです。

他にも、後遺症の慰謝料増額の可能性がありますので、良ければこちらの記事もご覧になってみてください。

しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

賠償金や保険金について、何か困っていることがあれば、ぜひ弁護士に相談してください!

開放骨折の後遺症や慰謝料について弁護士に無料相談したい方はコチラ!

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以上、開放骨折のリスクや治療法、治療費や慰謝料について理解を深めていただけたでしょうか。

しっかりとした補償を受け取るため、今すぐ弁護士に相談したい!と思われた方もいらっしゃるはずです。

しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、開放骨折の後遺症や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに開放骨折の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 開放骨折症状治療法リハビリなどの基礎知識
  • 開放骨折による後遺症の等級や認定基準
  • 開放骨折に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、開放骨折の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

開放骨折の後遺症についてのQ&A

開放骨折(複雑骨折)とは?

開放骨折とは、折れた骨が皮膚を突き破って外部に出てきてしまう骨折のことで、別名「複雑骨折」とも呼ばれるようです。骨が皮膚を突き破ってしまうほどのものなので、筋肉や血管、神経も損傷してしまうことになります。 非常に危険!!開放骨折の症状とは…

開放骨折による後遺症はどんなものがある?

開放骨折による後遺症には、①欠損障害(四肢や手指の切断)、②変形障害(体幹骨、腕の骨、足の骨の変形)、③短縮障害(下肢の短縮)、④機能障害(上肢、手指、下肢、足指の機能の低下)、⑤醜状障害(他の人から見える場所に残る傷跡)、⑥神経障害(骨癒合不良に伴う骨折部位の痛み)などがあげられます。 開放骨折の後遺症等級認定基準について解説

事故による骨折の治療費は誰が払うの?

交通事故による怪我の治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあります。ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。この場合、被害者は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。 治療費の支払いは誰が?

治療費の支払いが困難な場合どうすればいいの?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。仮渡金制度とは、損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できるという仕組みのことです。ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要があります。 交通事故でも健康保険で通院できる!?

後遺症が残れば慰謝料は増額する?

後遺障害認定を受ければ、等級に応じた損害賠償を受けとることができます。つまり、後遺障害認定されると受けとるお金は増えることになります。覚えておきたいのは、後遺障害慰謝料も①相手の自賠責保険に請求する場合②相手の任意保険会社から提示を受ける場合③弁護士が相手方と交渉する場合の3つで金額は違います。例えば、後遺障害1級のとき、弁護士基準では2800万円/自賠責保険で会社の基準は1100万円です。 後遺障害等級と慰謝料の関係

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