後遺障害1級の交通事故慰謝料|3億1691万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害1級の判例についてご紹介します。
1級というと、後遺障害の中でもっとも重く、弁護士が交渉すると後遺障害に対する慰謝料として2800万円が支払われることになります。
実際の裁判例では慰謝料などの損害賠償金はどのようにして算定されているのか、弁護士の先生の解説とともに見ていきましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見てみましょう。
障害等級1級(男・症状固定時34歳)損害額3億1691万1558円の判例
こちらは、東京地方裁判所の判決、平成15年(ワ)第9539号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、脳挫傷となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「赤信号に気付かず交差点に進入した加害車が、交差点に進入した被害車と側面衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 銀行員 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 症状固定時34歳 |
事故の内容 | 赤信号に気付かず交差点に進入した加害車が、交差点に進入した被害車と側面衝突した。 |
傷害の内容 | 脳外傷、外傷性てんかん |
後遺障害等級 | 1級3号 |
入院 | 552日 |
被害者は、事故によって常時介護が必要な状態となってしまったようです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3億1691万1558円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3600万円 |
うち付添介護費 | 1億1734万2204円 |
うち逸失利益 | 1億1400万8727円 |
損害総額は3億1691万1558円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額3億1691万1558円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が400万円、後遺障害の慰謝料が2800万円、被害者母固有の慰謝料が200万円、被害者妹2名固有の慰謝料が各100万円認められました。
- 付添介護費としては、症状固定までの付添費が448万8000円、将来の介護費が1億1285万4204円認められました。
- 逸失利益としては、定年までの逸失利益が1億0263万1737円、定年後の逸失利益が1137万6990円認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は入院期間中生死の境をさまようような重篤な状態だったようですが、この判例のポイントはどのような点になりますか?
1級に認定される多くのケースで、被害者は生死の境をさまよう重篤な状態や意識が戻らないといった状態に追い込まれます。
この場合、被害者自身に慰謝料が発生するのは当然ですが、その近親者にも慰謝料(民法711条)が認められることがほとんどです。
条文上、死亡した場合のみに限定されているようですが、判例上死亡に比肩すべき場合にも711条の慰謝料が認められます。
親族が受ける精神的苦痛の重大さを考えれば、当然といえますね。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
また、慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと、慰謝料の計算が5秒で完了して便利です。
計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
かんたん1分!慰謝料計算機
通院期間などを入れるだけでかんたんに慰謝料の相場がわかる人気サービス!あなたが保険会社から提示されている慰謝料は正しいですか?
思っていたよりも、慰謝料の金額って高くなりますよね。
保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
弁護士に無料相談してみてはどうでしょう?
こちらの弁護士事務所は、交通事故の無料電話相談を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから電話相談の案内を受けることができるので、使い勝手がいいです。
電話相談・LINE相談には、夜間や土日も、弁護士が順次対応しているとのことです。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
仕事が終わった後や休日にも、交通事故に注力する弁護士に相談できて、便利ですね。
地元で無料相談できる弁護士を探すなら
弁護士に会って、直接相談したい方には、こちらの全国弁護士検索のご利用をおすすめします。
当サイトでは、交通事故でお悩みの方に役立つ情報をお届けするため、
- ①交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
- ②交通事故の無料相談のサービスを行っている
弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。
頼りになる弁護士ばかりを紹介しているので、安心してお選びください。
何人かの弁護士と無料相談した上で、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもおすすめの利用法です!
後遺障害1級の慰謝料計算の特徴は?
1級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に1級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、1級の場合、裁判基準では2,800万円となっております。
また、1級の場合には、上に挙げられている裁判例同様、被害者の近親者の方の慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
さらに、別表Ⅰ第1級1号の高次脳機能障害の場合には、将来介護費を請求できます。
もっとも、その金額には争いがあり、どこで誰がどのような看護をするか等の具体的看護の状況によって金額が変わってきますので、その点をしっかりと主張する必要があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情はさまざまかと思います。
被害者の方の事情に沿った具体的なアドバイスをお聞きになりたい場合は、まずは一度弁護士等の専門家に直接相談してみることをおすすめします。