後遺障害14級の交通事故慰謝料|1364万円の判例を弁護士が解説
このページでは、後遺障害14級の判例についてご紹介します。
交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、等級にしたがって後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が支払われることになります。
精神的にも身体的にもつらい思いをしている被害者にとっては、十分な慰謝料が得られるのか心配になりますよね。
この判例では、損害総額は1364万円となったようですが、どのような点が考慮され、金額が算定されたのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
障害等級14級(男・17歳・症状固定時19歳)損害額1364万5832円の判例
こちらは、横浜地方裁判所の第6民事部の判決、平成23年(ワ)3757号事件です。
この事故での主な怪我の内容は、右下腿挫創となります。
交通事故の基本情報
事故の内容は「加害者が道路右側の路外駐車場に向かい右折進行した際、対向車線を直進してきた被害者と衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 高校2年生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 17歳(症状固定時19歳) |
事故の内容 | 加害者が道路右側の路外駐車場に向かい右折進行した際、対向車線を直進してきた被害者と衝突した。 |
傷害の内容 | 右下腿挫創、右腓骨脛骨開放骨折、側頭骨骨折および顔面挫創など |
後遺障害等級 | 併合14級(右下腿部の醜状痕、顔面部の醜状痕) |
入院 | 34日 |
被害者は、右脚と顔に醜状障害が残ってしまったようですが、特に顔の傷跡は周囲の目が気になってしまい、精神的にもつらいものです。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 1364万5832円 |
---|---|
うち慰謝料 | 380万円 |
うち休業損害 | 58万2967円 |
うち逸失利益 | 472万7300円 |
損害総額は1364万5832円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額1364万5832円になりました。
- 慰謝料としては、入院・通院に対する慰謝料が200万円、後遺障害の慰謝料が180万円認められました。
- 休業損害は、アルバイト収入を日額7571円、休業日数を77日間として算定されました。
- 逸失利益としては、基礎収入は男性の学歴計全年齢平均賃金である523万0200円、労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は67歳まで48年として算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの男性は、ケガによる醜状障害によって後遺障害14級が認定されたようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件では、被害者が大企業の営業職についていることから、事故で負った顔の傷が将来の労働能力に影響すると判断されました。
当時は、男性の単なる醜状としての顔の傷は14級とされていましたが、現在は12級に格上げされています。
現在の等級を前提にすると、労働能力喪失率は何パーセントと評価されるのかは興味深いところです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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後遺障害14級の慰謝料計算の特徴は?
14級の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
一口に14級と言っても各号ごとに症状は様々ですが、原則として慰謝料は等級に応じて定められ、14級の場合、裁判基準では110万円となっております。
特に争いになりやすいのは逸失利益の項目であり、14級9号の神経症状の場合には、一生症状が残るものではないとして、計算の基礎となる労働能力喪失期間が制限されることが多いです。
むち打ち症の場合、裁判では、5年程度とされることが多いですが、保険会社からは2〜3年程度と主張されることも多いので、安易に示談には応じないほうがいいでしょう。
また、14級9号の神経症状であっても、その症状が骨折等の器質的損傷に基づくものである場合には、むち打ち症の場合よりも労働能力喪失期間を長く考える傾向にある点にも注意が必要です。
さらに、14級2号の歯科補綴や14級4号や5号の外貌醜状の場合、仕事には支障がないとして、逸失利益を保険会社が否定してくることも多いです。
そのような場合には、職務内容や職務にどのような支障が出ているかを具体的に主張する必要があることがポイントです。
ただし、今申し上げたポイントはあくまで一般論であり、上に挙げた裁判例のように、事故に遭われた方のご事情はそれぞれ当然異なってきます。
事故でのお怪我に関する賠償金についてお悩みの場合、まずは専門家である弁護士に相談してみるのがおススメです。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。