准看護師の交通事故による打撲の慰謝料|777万円の判例を弁護士が解説
このページでは、62歳准看護師の事故による打撲の判例についてご紹介します。
打撲は、見た目では大きなケガを負ったようには見えないかもしれませんが、場合によっては後遺障害が残り、仕事や日常生活に支障が出てしまうことがあります。
こちらの判例では、打撲により後遺障害が残ってしまい、損害総額として777万円が認められました。
金額算定のポイントはどのような点だったのでしょうか。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
准看護師(女・62歳)損害額777万0755円の判例
こちらは、京都地方裁判所の判決、平成24年(ワ)837号事件です。
この事故による主な怪我の内容は、右肩関節打撲となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者がバスに乗車する際、バスの閉じるスライドドアの先端部が、被害者の右肩背部に衝突した。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 准看護師 |
---|---|
性別 | 女 |
年齢 | 62歳 |
事故の内容 | 被害者がバスに乗車する際、バスの閉じるスライドドアの先端部が、被害者の右肩背部に衝突した。 |
傷害の内容 | 頸椎捻挫、右肩関節打撲、右前腕部打撲 |
後遺障害等級 | 12級6号(右肩痛・可動域制限) |
入院 | 0日 |
看護師にとって右肩に痛みと可動域制限の後遺症が残ってしまったことは、仕事にも影響がでてしまいます。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 777万0755円 |
---|---|
うち慰謝料 | 440万円 |
うち休業損害 | 12万6468円 |
うち逸失利益 | 264万3462円 |
損害総額は777万0755円でした。
ざっくりまとめると…
被害者の損害額は総額777万0755円になりました。
- 慰謝料としては、通院に対する慰謝料が150万円、後遺障害の慰謝料が290万円認められました。
- 休業損害としては、被害者は病院の准看護師として非常勤で勤務していましたが、本件事故により12日休業したと認められ、基礎収入は事故前の収入から日額1万0539円として算定されました。
- 逸失利益としては、事故前の収入244万5300円を基礎収入とし、労働能力を10年間、14%喪失したとして算定されました。
弁護士による解説
弁護士先生、こちらの准看護師の女性はバスの乗車時に事故に遭われてしまったようです。
この判例のポイントはどのような点になりますか?
本件の被害者は、バスのドア開閉操作の誤りによって右肩を打撲した後、断続的に痛みが継続し、最終的に肩の可動域制限と痛みの後遺症(12級6号)が残りました。
被害者は事故前にも肩の痛みを訴えて病院での治療を受けていた点が問題となりましたが、裁判所は損害額から3割減額することで賠償額の調整を図りました。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
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打撲の慰謝料計算の特徴は?
打撲の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
むちうち同様、軽微な打撲の慰謝料は、通院期間と通院日数によって金額が変わります。
たとえば、通院期間が6か月の場合で、通院日数が60日以上ある場合には、慰謝料の相場は89万円となります。
一方、同じ期間でも通院日数が10日間しかない場合には、約20万円ほどの慰謝料しか請求できない場合もあります。
軽微な打撲の慰謝料相場は、通院にかかった期間だけではなく、通院の頻度も影響する場合があるということを覚えておきましょう。
もっとも、あくまで、通院期間を基礎とするのが原則ですので、保険会社から通院日数が少ないことを理由に慰謝料の減額を主張された場合、いわれるがままに示談には応じない方がいいでしょう。
また、肘や膝を打撲した場合、骨折していなくても、靭帯や腱板の損傷・断裂や骨挫傷が生じたりしていることが発覚することもあります。
靭帯の損傷等が見つかっても、発覚が遅れると交通事故によるものかどうか争いになるので、はじめに打撲と診断されていても、痛みが酷い場合等は、医師と相談してなるべく早く痛みの原因を見つけることが必要です。
なお、靭帯の損傷等は、レントゲンでは分からないので、MRIやCTの検査をお医者様にお願いすることが必要となります。
ただし、以上のポイントはあくまで一般論であり、上記の判例のように、事故に遭われた方の事情は様々です。
交通事故でのお怪我にお困りの方は、まず弁護士等の専門家に相談してみるのがおススメです。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。