後遺障害12級6号・12級7号・12級5号|慰謝料や逸失利益の期間に差はある!?
「後遺障害の12級6号の認定基準・慰謝料の相場・逸失利益の労働能力喪失率や喪失期間はどうなっているの?」
「後遺障害の12級7号の認定基準・慰謝料の相場・逸失利益の労働能力喪失率や喪失期間はどうなっているの?」
「後遺障害の12級5号の認定基準・慰謝料の相場・逸失利益の労働能力喪失率や喪失期間はどうなっているの?」
後遺障害の12級6号・7号・5号は、12級のうち、12級13号の神経症状に次いで認定されることの多い号数の症状であると考えられます。
そこで、このページでは、
- 後遺障害等級12級6号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
- 後遺障害等級12級7号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
- 後遺障害等級12級5号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
についてご紹介していきたいと思います!
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
弁護士の岡野です。よろしくお願いします。
後遺障害等級12級6号・7号・5号は、比較的認定されるかどうかが争いになることが多いため、予めその認定基準を理解しておくことは有益といえます。
そして、後遺障害等級12級6号・7号・5号が認定された際に受け取れる慰謝料の相場は用いられる基準により違うことも知っておく必要があります。
さらに、後遺障害12級6号・7号・5号が認定された場合、逸失利益の労働能力喪失率・喪失期間は、同じ等級でも違いが出る場合があります。
こちらで、後遺障害等級12級6号・7号・5号に関する知識をしっかりと入れておき、適切な慰謝料や逸失利益の金額を受け取れるようにしましょう。
目次
交通事故により深刻な症状が残った場合、後遺障害等級の認定を申請されることになるかと思います。
その結果、12級6号という認定結果が帰ってくる場合もあります。
弁護士さんからの手紙見たら事故の怪我は後遺障害12級6号だって(´・ω・`)
— 変態紳士 (@_dirty_old_man) January 28, 2018
もっとも、後遺障害の12級6号とは何かについて具体的にはよくわからないという方も多いかと思います。
しかし、後遺障害の12級6号とはどういう場合に認定されるかを知っておかないと、適正な慰謝料や逸失利益を受け取れない可能性があります。
そこで、まずは、後遺障害等級12級6号とはどんな認定の基準になっているかについてお伝えしていきたいと思います。
後遺障害等級12級6号の知識
後遺障害12級6号の認定の基準
まず、後遺障害の12級6号は、
「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
と自賠責では定められています。
「1上肢の3大関節」とは、具体的には
肩関節、ひじ関節、手関節
のことをいい、「関節の機能に障害を残すもの」とは
片方の関節の可動域がもう片方の可動域角度の3/4以下に制限されている場合
のことをいいます。
なお、上肢の3大関節の可動域制限が問題となる運動は各関節ごとに違いがあります。
ここからは、各関節ごとに具体的にお伝えしていきたいと思います。
肩関節の可動域
まず、肩関節の場合に可動域が問題となる運動には
- 屈曲(前方に腕を挙げる)・伸展(後方に腕を挙げる)
- 外転(側方に腕を挙げる)・内転
- 外旋(二の腕を体に付けた状態で腕を外側に回す)・内旋(二の腕を体に付けた状態で腕を内側に回す)
があります。
これらの運動は、それぞれ重要性に違いがあるため、後遺障害の認定の判断対象としては、まず
屈曲・外転・内転
の運動の可動域から判断し、これらの運動は主要運動と呼ばれます。
それ以外の伸展・外旋・内旋の運動は参考運動と呼ばれ、主要運動の可動域制限が3/4をわずかに(原則5度)上回る場合に、判断の対象となります。
それぞれの運動には参考可動域角度が定められており、その角度を前提とした場合の12級6号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
主要・参考運動の区別 | 運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級6号認定対象角度 |
---|---|---|---|
主要運動 | 屈曲 | 180° | 135° |
外転 | 180° | 135° | |
内転 | 0° | 0° | |
参考運動 | 伸展 | 50° | 40°※ |
外旋 | 60° | 45° | |
内旋 | 80° | 60° |
※5°単位で繰り上げ
内転は、腕を体に付けた状態が0°となるため、常に0°になります。
主要運動のうち、いずれか一つの可動域が3/4以下に制限されている場合には、12級6号の認定対象となります。
また、外旋・内旋は、主要運動の可動域制限が3/4を5度上回る場合で、両者の可動域角度の合計値が3/4以下の場合、12級6号の認定対象となります。
肘関節の可動域
次に、肘関節の場合に可動域が問題となる運動は
屈曲(肘を伸ばした状態から前方に肘を曲げる)・伸展(肘を伸ばした状態から後方に肘を曲げる)
になり、肩関節とは違い、参考運動はありません。
それぞれの運動の参考可動域角度及びその角度を前提とした場合の12級6号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
なお、可動域が3/4以下に制限されているかどうかは、屈曲・伸展の二つの可動域角度の合計値から判断することになります。
運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級6号認定対象角度 |
---|---|---|
屈曲 | 145° | 110°※ |
伸展 | 5° | 5°※ |
合計 | 150° | 115° |
※5°単位で繰り上げ
手関節の可動域
そして、手関節の場合に可動域が問題となる運動には
- 屈曲(掌屈)・伸展(背屈)
- 橈屈(手を親指側に動かす運動)・尺屈(手を小指側に動かす運動)
があります。
屈曲(掌屈)は腕を前に伸ばし、手を手のひら側に曲げる運動、伸展(背屈)は腕を前に伸ばし、手を手の背側に曲げる運動になります。
これらの運動は、それぞれ重要性に違いがあるため、後遺障害の認定の判断対象としては、まず
屈曲(掌屈)・伸展(背屈)
が主要運動、橈屈・尺屈の運動が参考運動になります。
それぞれの運動には参考可動域角度が定められており、その角度を前提とした場合の12級6号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
なお、可動域が3/4以下に制限されているかどうかは、屈曲(掌屈)・伸展(背屈)の合計値及び橈屈・尺屈の合計値から判断することになります。
主要・参考運動の区別 | 運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級6号認定対象角度 |
---|---|---|---|
主要運動 | 屈曲(掌屈) | 90° | 70°※ |
伸展(背屈) | 70° | 55°※ | |
合計 | 160° | 125° | |
参考運動 | 橈屈 | 25° | 20°※ |
尺屈 | 55° | 45°※ | |
合計 | 80° | 65° |
※5°単位で繰り上げ
前腕の可動域
なお、上肢の3大関節には含まれていませんが、前腕の回内・回外の可動域が1/2以下に制限されている場合には、12級6号が準用されます。
回内とは、前腕を体の内側に回す動き(手のひらが下を向く動き)、回外とは、前腕を体の外側に回す動き(手のひらが上を向く動き)になります。
各運動の参考可動域角度及びその角度を前提とした場合の12級6号の認定対象となる角度は以下のとおりであり、両者の合計値で判断します。
運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級6号認定対象角度 |
---|---|---|
回内 | 90° | 45° |
回外 | 90° | 45° |
合計 | 180° | 90° |
なお、それぞれの可動域を測定する際には、測定要領に記載された測定肢位や注意点に沿って行わなければ、正確な数値が測定できません。
しかし、実際には測定要領に沿っていない形で可動域が測定されてしまう場合も多いようです。
しっかりと、測定要領に沿った形で可動域を測定してもらうには、後遺障害認定の申請の段階で、弁護士などの専門家に依頼するのが有効です。
後遺障害12級6号の慰謝料相場
交通事故で後遺障害の12級6号が認定されると、後遺障害慰謝料を受け取れることになります。
しかし、12級6号が認定された場合に受け取れる後遺障害慰謝料の具体的な金額の相場は、用いられる基準によっても違いがあります。
そこで、ここからは、代表的な後遺障害の12級6号が認定された場合の慰謝料の基準の種類及び基準ごとの金額の相場をご紹介したいと思います。
後遺障害第12級6号慰謝料の基準
自賠責基準
まず、加入が義務付けられている自賠責保険から支払われる保険金の金額を算出する際に用いる自賠責基準というものがあります。
自賠責保険は、被害者の損害を最低限度保障する保険のため、自賠責基準で計算された後遺障害の慰謝料の相場は低額になっています。
後遺障害の1級~14級までの各等級ごとに、慰謝料の金額が自賠責基準で定められています。
任意保険基準
次に、各任意保険会社が慰謝料などの損害賠償の金額の提示額を計算する際に用いる任意保険基準というものがあります。
任意保険基準は、保険会社ごとに基準が異なり、かつ非公開とされているので、詳細はわかりません。
もっとも、かつては各任意保険会社共通の基準が存在し、現在もその基準が基礎になっていると考えられています。
旧統一任意保険基準では、自賠責基準で計算された金額よりも若干高い程度の相場になっていました。
旧統一任意保険基準でも後遺障害の1級~14級までの各等級ごとに慰謝料の金額が任意保険基準で定められています。
裁判基準
そして、交通事故の後遺障害の慰謝料などについて裁判で認められる相場である裁判基準というものがあります。
この裁判基準は、通称赤い本(赤本)と呼ばれている本に掲載されています。
交通事故の赤本については、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
裁判基準は、3つの基準の中で慰謝料の金額の相場が最も高額になっています。
後遺障害の1級~14級までの各等級ごとに慰謝料の金額が裁判基準でも定められています。
このように、後遺障害の慰謝料の相場は自賠責で認定される等級と用いられる基準によって決まってきます。
なお、裁判基準は、弁護士が相手方任意保険会社と交渉する際にも用いられているため、弁護士基準とも呼ばれます。
そして、弁護士に依頼することにより、裁判をすることなく、裁判基準での慰謝料の金額を前提とする示談交渉が可能になります。
基準 | いつ用いられるか | 金額 |
---|---|---|
自賠責基準 | 自賠責への請求 | 低い |
任意保険基準 | 任意保険の提示 | 自賠責基準よりは高い |
裁判基準 (弁護士基準) |
・裁判 ・弁護士の交渉 |
最も高い |
後遺障害12級6号の慰謝料の相場
では、後遺障害等級12級6号が認定された場合の慰謝料の金額の相場は各基準ごとにいったいいくら位になるのでしょうか?
自賠責基準
交通事故で後遺障害の12級6号が認定された場合の慰謝料として、自賠責保険から受け取れる金額は93万円になっています。
後遺障害の等級が12級6号の場合、自賠責保険からは上記の金額以上の慰謝料を受け取ることはできません。
後遺障害の等級の12級6号は、腕の関節可動域が制限される重い症状であることからすれば、上記の金額では少ないと思われるかもしれません。
任意保険基準
先ほどお伝えしたとおり、現在の任意保険基準は各会社ごとに異なり、非公開なので、ここでは旧統一任意保険基準を前提にお伝えします。
後遺障害が12級6号の場合の慰謝料の旧統一任意保険基準の金額の相場は100万円になっています。
自賠責基準の慰謝料の相場よりは増額していますが、その増額幅が7万円ではまだまだ不十分と思われる方もいるでしょう。
裁判基準
そして、後遺障害が12級6号の場合の慰謝料の裁判基準(弁護士基準)の相場は290万円になっています。
比較していただければわかりますが、自賠責基準の3倍以上、任意保険基準の3倍近くの高額な相場になっています。
さらに、自賠責基準の場合と異なり、裁判基準の慰謝料はあくまで相場であり、絶対的なものではありません。
そのため、裁判などでは、上記の相場の金額とは異なる慰謝料が認められる場合もあります。
なお、以下の記事では、後遺障害等級12級が認定された場合の判例が紹介されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
基準 | 金額 |
---|---|
自賠責基準 | 93万円 |
任意保険基準※ | 100万円 |
裁判基準 (弁護士基準) |
290万円 |
※ 旧統一任意保険基準
後遺障害12級6号の逸失利益
そして、後遺障害の12級6号が認定された場合の逸失利益の計算方法は、基本的に以下のようになります。
後遺障害12級6号の逸失利益の計算方法
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
また、逸失利益の計算方法の各項目の簡単な意味は以下の表のとおりです。
項目 | 意味 | |
---|---|---|
① | 基礎収入 | 後遺障害が残らなければ、得られていたであろう収入 |
② | 労働能力喪失率 | 後遺障害が残ったことによる減収の割合 |
③ | 労働能力喪失期間 | 後遺障害によって減収が発生する期間 |
④ | 中間利息控除係数 | 逸失利益を症状固定時の金額にするための係数 |
そして、労働能力喪失率につき、12級は14%と自賠責では定められており、この喪失率は他の基準でも基本的に準用されています。
また、労働能力喪失期間は症状固定時の年齢から一般的な就労可能な年齢の終期である67歳までの期間で計算するのが原則です。
なお、より詳しい後遺障害の逸失利益の計算方法は以下の記事に記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
もっとも、後遺障害12級6号の場合でも、具体的な症状などにより、任意保険会社は労働能力喪失率や喪失期間を争ってくる場合があります。
しかし、お伝えしたとおり、後遺障害12級6号の逸失利益は、喪失率を14%、喪失期間を67歳になるまでの期間で計算するのが原則です。
任意保険会社からそれ以下の提案があった場合には、その提案が妥当なものかどうか、示談する前に必ず弁護士に相談してみましょう。
後遺障害等級12級7号の知識
また、後遺障害の12級6号同様、12級7号についても具体的にはよくわからないという方も多いかと思います。
しかし、後遺障害の12級7号がどういう場合に認定されるか知っておかないと、適正な慰謝料や逸失利益を受け取れない可能性があります。
そこで、まずは、後遺障害等級12級7号とはどんな認定の基準になっているかについてお伝えしていきたいと思います。
後遺障害12級7号の認定の基準
まず、後遺障害の12級7号は、
「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
と自賠責では定められています。
「1下肢の3大関節」とは、具体的には
股関節、膝関節、足関節
のことをいい、「関節の機能に障害を残すもの」とは
片方の関節の可動域がもう片方の可動域角度の3/4以下に制限されている場合
のことをいいます。
なお、下肢の3大関節の可動域制限が問題となる運動は各関節ごとに違いがあります。
ここからは、各関節ごとに具体的にお伝えしていきたいと思います。
股関節の可動域
まず、股関節の場合に可動域が問題となる運動には
- 屈曲(仰向けの状態で脚を挙げ、上体に近づける)・伸展(うつ伏せの状態で脚を挙げる)
- 外転(仰向けで脚をまっすぐさせた状態で、股を広げる)・内転(仰向けで脚をまっすぐさせた状態で、股を閉じ(内側に移動させ)る)
- 外旋(仰向けで足を曲げた状態で脚を外側に回す)・内旋(仰向けで足を曲げた状態で脚を内側に回す)
があります。
これらの運動は、それぞれ重要性に違いがあるため、後遺障害の認定の判断対象としては、まず
屈曲・伸展及び外転・内転
の運動の可動域から判断し、これらの運動は主要運動と呼ばれます。
それ以外の外旋・内旋の運動は参考運動と呼ばれ、主要運動の可動域制限が3/4をわずかに(原則5度)上回る場合に、判断の対象となります。
それぞれの運動には参考可動域角度が定められており、その角度を前提とした場合の12級7号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
主要・参考運動の区別 | 運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級7号認定対象角度 |
---|---|---|---|
主要運動 | 屈曲 | 125° | 95°※ |
伸展 | 15° | 15°※ | |
合計 | 140° | 110° | |
主要運動 | 外転 | 45° | 35°※ |
内転 | 20° | 15° | |
合計 | 65° | 50° | |
参考運動 | 外旋 | 45° | 35°※ |
内旋 | 45° | 35°※ | |
合計 | 90° | 70° |
※5°単位で繰り上げ
主要運動のうち、いずれか一つの可動域が3/4以下に制限されている場合には、12級7号の認定対象となります。
なお、可動域が3/4以下に制限されているかどうかは、屈曲・伸展の合計値及び外転・内転の合計値から判断することになります。
また、外旋・内旋は、主要運動の可動域制限が3/4を5度上回る場合で、両者の可動域角度の合計値が3/4以下の場合、12級7号の認定対象となります。
膝関節の可動域
次に、膝関節の場合に可動域が問題となる運動は
屈曲(膝を伸ばした状態から膝を曲げ、上体に近づける)・伸展
になり、股関節とは違い、参考運動はありません。
それぞれの運動の参考可動域角度及びその角度を前提とした場合の12級7号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級7号認定対象角度 |
---|---|---|
屈曲 | 130° | 100°※ |
伸展 | 0° | 0° |
※5°単位で繰り上げ
なお、伸展は、膝をまっすぐに伸ばした状態が0°となるため、常に0°になります。
足関節の可動域
最後に、足関節の場合に可動域が問題となる運動は
屈曲(底屈)(足を足の裏側に曲げる運動)・伸展(背屈)(足を足の甲側に曲げる運動)
になり、股関節とは違い、参考運動はありません。
それぞれの運動の参考可動域角度及びその角度を前提とした場合の12級7号の認定対象となる角度は以下のとおりです。
なお、可動域が3/4以下に制限されているかどうかは、屈曲・伸展の二つの可動域角度の合計値から判断することになります。
運動の名称 | 参考可動域角度 | 12級7号認定対象角度 |
---|---|---|
屈曲(底屈) | 45° | 35°※ |
伸展(背屈) | 20° | 15° |
合計 | 65° | 50° |
※5°単位で繰り上げ
なお、それぞれの可動域を測定する際には、測定要領に記載された測定肢位や注意点に沿って行わなければ、正確な数値が測定できません。
しかし、実際には測定要領に沿っていない形で可動域が測定されてしまう場合も多いようです。
しっかりと、測定要領に沿った形で可動域を測定してもらうには、後遺障害認定の申請の段階で、弁護士などの専門家に依頼するのが有効です。
後遺障害12級7号の慰謝料相場
では、後遺障害の12級7号が認定された場合の慰謝料の金額の相場は12級6号の場合と違いはあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、12級7号が認定された場合の慰謝料の金額の相場は12級6号の場合と違いはないことになります。
詳細は12級6号のところでお伝えしたとおりですが、一番高額な裁判基準で慰謝料の相場は290万円になります。
後遺障害12級7号の逸失利益
では、後遺障害の12級7号が認定された場合の逸失利益の計算方法は、12級6号の場合と違いはあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、12級7号が認定された場合の逸失利益の計算の方法は基本的に12級6号の場合と違いはないことになります。
詳細は12級6号のところでお伝えしたとおりですが、労働能力喪失率は14%、喪失期間は67歳になるまでの期間で計算されるのが原則です。
ただし、逸失利益は、裁判などでは、被害者の職種などから想定される労働能力喪失率が具体的に検討されます。
そのため、被害者がデスクワークの場合には、上肢の機能障害の12級6号よりも、下肢の機能障害の12級7号の方が逸失利益が争われやすいです。
デスクワークの場合は、基本的に座って仕事をするため、下肢の機能障害が仕事に支障を及ぼしにくいと考えられるからです。
いずれにせよ、後遺障害12級7号の逸失利益が争われた場合には、弁護士に相談してみたほうがよさそうですね…。
なお、実際に後遺障害12級7号が認定された方の判例の内容が以下に記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!
後遺障害等級12級5号の知識
また、交通事故で後遺障害等級の認定を申請した結果、12級5号という認定結果が帰ってくる場合もあります。
肩を少々…(^^;;
後遺障害12級5号がおりました。— 亜沙美@眠り姫♡草組4期♡秀花組♡ (@123asamichan) December 20, 2017
もっとも、後遺障害の12級5号とは何かについて具体的にはよくわからないという方も多いかと思います。
しかし、後遺障害の12級5号とはどういう場合に認定されるかを知っておかないと、適正な慰謝料や逸失利益を受け取れない可能性があります。
そこで、まずは、後遺障害等級12級5号とはどんな認定の基準になっているかについてお伝えしていきたいと思います。
後遺障害12級5号の認定の基準
まず、後遺障害の12級5号は、
「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」
と自賠責では定められています。
「著しい変形を残すもの」とは、具体的には
裸になったとき、変形(欠損を含む)が明らかにわかる程度のもの
のことをいいます。
変形がレントゲンではじめて発見できる程度のものは認定の対象外となる点には注意が必要です。
なお、ろく骨(肋骨)の変形は、肋軟骨も含みますが、本数、部位、程度に関係なく、肋骨全体を1つの障害として取り扱われます。
また、「骨盤骨」には、仙骨は含まれますが、尾骨は含まれない点にも注意が必要です。
後遺障害の12級5号が確実に認定されるようにするには、等級認定の申請時に、変形がわかる写真を添付するのが有効と考えられます。
後遺障害12級5号の慰謝料相場
では、後遺障害の12級5号が認定された場合の慰謝料の金額の相場は12級6号などの場合と違いはあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、12級5号が認定された場合の慰謝料の金額の相場は基本的には12級6号の場合と違いはないことになります。
詳細は12級6号のところでお伝えしたとおりですが、一番高額な裁判基準で慰謝料の相場は290万円になります。
もっとも、この後お伝えする逸失利益との関係で、後遺障害12級5号の慰謝料につき、相場以上の金額が認定される場合があります。
実際の判例としては以下のようなものがあります。
原告に12級5号の後遺障害が認められるものの、後遺障害による逸失利益は特段の事情がない限り現実の損害がなければ認められないところ、原告には、現実の減収がないから、原告の特別の努力により減収を防止ないしは回復している等特段の事情の主張立証がない本件においては、原告の本件後遺障害による逸失利益は認め難いといわざるを得ず、原告の職場での不自由、昇格面や長期的将来における不安等の諸問題については、後記の後遺障害の慰謝料額について考慮することが相当である。
(略)後遺障害の慰謝料 600万円
出典:名古屋地判平成15年12月19日
上記の判例のように、12級5号の場合、逸失利益を認めない代わりに、後遺障害慰謝料の金額を増額することで調整を図る場合があります。
しかし、この場合、後遺障害12級5号が認定された場合に受け取れる金額の総額としては、少なくなってしまう場合がほとんどです。
後遺障害12級5号が認定された場合に受け取れる金額が妥当なものかどうかは、あくまで総額で判断する必要があります。
後遺障害12級5号の逸失利益
後遺障害の12級5号が認定された場合、12級6号等の場合とは違い、逸失利益の有無が争いになることが多いようです。
12級5号のような体幹骨の変形障害自体は、モデルのような他人に体を見られる仕事でない限り、特に仕事への支障はないとも考えられるからです。
しかし、「変形障害であるから逸失利益は認められない」という主張が妥当とはいえないケースも数多くある点には注意が必要です。
体幹骨の変形障害の場合には、大きく
- ① 変形障害のみ残存する場合
- ② 変形障害に加え、変形部分に痛み等の神経症状が残存する場合
- ③ 変形障害に加え、3/4以下ではないものの、上肢や下肢の機能障害が残存する場合
が考えられます。
このうち、②・③のパターンでは、痛みや機能障害が職務に支障を及ぼすとして、判例でも、後遺障害逸失利益が認められる傾向にあります。
ただし、②・③のパターンで逸失利益が認められるとしても、労働能力喪失率や喪失期間をどう判断して計算するかが別途争点になります。
上記のとおり、後遺障害12級5号の場合でも、逸失利益が認められる余地は十分あるといえます。
そして、適切な逸失利益の金額を計算してもらうには、痛みや機能障害による支障を具体的な職務との関係でしっかりと主張・立証する必要があります。
この主張・立証は一般の方では困難なことも多いので、弁護士などの専門家に依頼して行うのが確実と考えられます。
号数 | 慰謝料 | 逸失利益 |
---|---|---|
12級6号 | 相場どおり | 相場どおり認定の傾向 |
12級5号 | ・基本は相場どおり認定の傾向 ・6号よりは争われやすい |
|
12級7号 | 相場以上の場合も (ただし、逸失利益否定の場合も) |
逸失利益の有無含め争われやすい |
※あくまで一般的傾向で例外あり
後遺障害の12級6号等の問題を弁護士に相談したい方へ
ここまで、後遺障害の12級6号等に関する問題についてお伝えしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、後遺障害の12級6号等の問題についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
後遺障害の12級6号や12級7号は、可動域が問題となる運動が複数あり、測定要領に沿った形で測定しなければいけない点を覚えておく必要があります。
また、後遺障害等級12級5号は逸失利益が否定されることが多いですが、それが妥当なのかどうかはよく検討する必要があります。
後遺障害等級12級6号・7号・5号のそれぞれの特徴をしっかりと入れておき、適切な慰謝料や逸失利益の金額を受け取れるようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 後遺障害等級12級6号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
- 後遺障害等級12級7号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
- 後遺障害等級12級5号の認定基準・慰謝料相場・逸失利益
について理解を深めていただけたのではないかと思います。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
後遺障害12級5・6・7号についてのQ&A
後遺障害12級6号認定の基準は?
自賠責によると後遺障害12級6号は「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」と定められています。具体的には肩・ひじ・手の関節が片方の関節の可動域がもう片方の可動域角度の3/4以下に制限されている場合のことを指します。しかしこの可動域制限の計測方法は各関節ごとに異なるため注意が必要です。 後遺障害等級12級6号の知識
後遺障害12級7号の認定の基準は?
自賠責によると後遺障害12級7号は「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」と定められています。言い換えると、股関節、膝・足関節のうち片方の関節の可動域がもう片方の可動域角度の3/4以下に制限されている場合のことです。ただし関節ごとに可動域制限の計測方法に違いがあります。 後遺障害等級12級7号の知識
後遺障害12級5号認定の基準は?
後遺障害12級5号は「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」と自賠責で定められています。具体的には、服を脱いだ時に欠損を含む身体の変形が明らかにわかる程度のものをいいます。変形がレントゲンではじめて発見できる程度では認定されないので注意が必要です。 後遺障害等級12級5号の知識
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。