適正な慰謝料獲得に向けて!弁護士に聞いた後遺障害の慰謝料相場~弁護士基準~
交通事故に遭い、幸い命は取り留めたものの、後遺障害が残ってしまったとしたら…。
日常生活に支障が出ることにより、身体だけでなく、精神的負担も非常に大きなものではないでしょうか。
その分、しっかりとした補償を受け取るべきです!
しかし、保険会社と交渉するにあたっては、
- 自分の後遺障害等級での慰謝料の相場とは?
- 保険会社から提示された示談金にOKしてしまって良いの?
など、わからないことがほとんどだと思います。
そこで、弁護士基準や裁判基準という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
それらは一体どういうものなのでしょうか。
知らないと損してしまうこともあるかもしれないのです。
そこでこのページでは、弁護士基準における後遺障害の慰謝料にスポットを当てて、交通事故の後遺障害慰謝料について見ていきたいと思います。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故により後遺障害が残ってしまった場合、ご本人はもちろん、ご家族の方への負担も非常に大きいものと考えられます。
実際に、後遺障害に悩むご本人やご家族の方から多くの相談を受けてきました。
その経験も踏まえ、具体例を挙げながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
弁護士基準や任意保険基準という言葉はよく聞くけれど…。
それぞれがどのようなものなのか!?
@nappa008 @ug0331 でも弁護士たてたらあと30〜50ゎ増やせたと思うから弁護士ゎ大切だよ(=゚ω゚)ノ
後遺障害1番低いやつで75万だけど弁護士基準ならたしか110万だたかな(=゚ω゚)全然違うから— キュアさたな (@42Gachapin) January 8, 2015
適正な慰謝料獲得に向けて、このページでは、特に弁護士基準について詳しく見ていきたいと思います。
後遺障害の慰謝料|弁護士基準における相場はいくら?
交通事故の被害者の方に後遺障害が残ってしまった場合…。
これまで通りの生活を送れないことや、仕事が制限されることなどにより、大きな精神的苦痛を感じるはずです。
その精神的苦痛をお金に換算した補償として、後遺障害慰謝料が支払われることになります。
では、保険会社から提示される後遺障害慰謝料は適正なものなのでしょうか?
慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか?
実は、慰謝料の相場は1つだけではないのです。
適正な慰謝料獲得に向けて知っておきたい慰謝料の基準
では最初に、その3つの基準について教えてもらいましょう。
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
自賠責基準
まず、自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
自賠責基準における後遺障害慰謝料はこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、加入者を増やすために保険料を安く設定しています。
その分、被害者の方に支払う慰謝料も少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね…。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は低いことが多いということです。
任意保険基準における後遺障害慰謝料はこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。
弁護士基準
保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、弁護士をつけて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士をつけて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
弁護士基準における慰謝料の相場とは
ところで、後遺障害は、その内容や症状の重さにより、後遺障害等級が1級~14級まで定められています。
その後遺障害等級に応じて、目安となる一定の金額が決められているそうなのです。
では、弁護士基準における後遺障害慰謝料の等級ごとの相場を見てみましょう。
後遺障害等級 | 弁護士基準 | 任意保険基準との差額 |
---|---|---|
1級 | 2800 | +1500 |
2級 | 2370 | +1250 |
3級 | 1990 | +1040 |
4級 | 1670 | +870 |
5級 | 1400 | +700 |
6級 | 1180 | +580 |
7級 | 1000 | +500 |
8級 | 830 | +430 |
9級 | 690 | +390 |
10級 | 550 | +350 |
11級 | 420 | +270 |
12級 | 290 | +190 |
13級 | 180 | +120 |
14級 | 110 | +70 |
※1 単位:万円
※2 旧任意保険支払基準による
任意保険基準との差額も表に載せましたが、非常に大きな差がありますね。
しかし、被害者の方だけで保険会社と交渉した場合には、任意保険基準での大幅に低い慰謝料しか支払ってもらえないようなのです。
弁護士に依頼して保険会社と交渉してもらえれば、弁護士基準での慰謝料の支払いを受けられることが多いとのこと。
というのも、弁護士が被害者の代理人として交渉した場合、交渉が纏まらなければ裁判に移行する可能性が高くなるからです。
保険会社としては、裁判になることは避けたいため、被害者に弁護士がつくだけで、示談金の提示額を大幅に増額せざるを得なくなることがほとんどということでした。
よって、適正な慰謝料獲得に向けては、弁護士に相談した方が良さそうです!
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ここまでお読みになって、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
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弁護士に依頼しても必ず裁判をするワケではないってホント?
裁判をした方が必ず有利とは限らない!?
ここまでで、弁護士基準の慰謝料を受け取るためには、弁護士に相談した方が良いということがわかってきました。
基本的には弁護士がつくことで、示談金を大幅に増額することが多いが、場合によっては裁判になるケースもあるということでした。
最終的に示談で解決すべきか、裁判に移行すべきか…どのように判断すれば良いのでしょうか。
弁護士に依頼した場合でも、裁判をした方が必ず有利になるとは限りません。
まず、裁判を行えば、長い時間を要することがほとんどです。
一方、加害者側の保険会社が、弁護士基準より大幅に低い慰謝料しか提示してこない場合には、裁判することもやむを得ないでしょう。
他には、後遺障害の等級や過失割合、損害額の計算方法について大きな争いがあり、示談交渉では折り合えないことも考えられます。
そのような場合には、裁判をして裁判官に判断してもらうしかありません。
ただし、示談交渉段階での慰謝料額が希望より低い場合でも、過失割合の点で裁判をすると不利になる可能性が高い場合などは、示談する方が望ましいでしょう。
また、被害者の方が植物状態などの重度な後遺障害を負い、容体が安定せず、裁判中に死亡してしまう可能性があるケースもあります。
そのような場合にも、生存中に示談交渉を完了し、平均余命までの逸失利益の賠償を受けたほうが有利になることも多いです。
金銭面から見た裁判の有利性
次に、被害者の方の金銭面の点で見てみましょう。
弁護士費用特約がついている場合
被害者の方が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついている場合には、示談でも裁判でも、弁護士費用の負担が0円になることが多いようです。
弁護士費用特約がついていない場合
一方、弁護士費用特約がない場合も考えられます。
その場合には、裁判をして総損害額(実際には、既払額や過失割合相当額を控除した請求額)の1割程度の弁護士費用を損害として認めてもらった方が有利になりそうです。
というのも、交通事故の裁判は被害者に対する適正な補償を目指すものです。
よって、被害者の方が適正な補償を受けられるように、弁護士に依頼することを前提としたものでなければならないはずです。
そこで、交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合があるということなのです。
なお、被害者の方がどうしても早期にお金の工面が必要な場合には、多少金額が低くなっても、裁判はせず、短期間で示談することを選択することになりそうです。
その他のケースにおける裁判の有利性
被害者の方がご高齢の場合
ご自身だけで裁判を起こした場合は、被害者の方も裁判所に出廷する必要があります。
しかし、弁護士に依頼した場合は、原則として被害者の方は裁判所に出廷しなくても良いそうです。
ただし、尋問まで行くような場合など、出廷が必要となる可能性も考えられます。
被害者の方がご高齢などで、裁判に出廷することが事実上難しい場合にも、示談を選ぶことが多いようです。
被害者の方が人身傷害保険に加入している場合
また、被害者の方にも過失があるケースも考えられます。
その際、被害者の方が人身傷害保険に加入している場合には、裁判をした方が、人身傷害保険からの回収額が増える場合もあるそうです。
ポイント
裁判と示談の選択
裁判が望ましい場合 | 示談が望ましい場合 |
---|---|
・後遺障害等級、過失割合、損害額の計算方法に争いがある場合 ・被害者に弁護士費用特約がない場合 ・被害者に過失があり、人身傷害保険に加入している場合 |
・過失割合や損害額の点で裁判をすると不利になる可能性がある場合 ・重度の後遺障害で、裁判中に死亡する可能性がある場合 ・早期に示談金の回収が必要な場合 ・被害者が裁判に出頭するのが難しい場合 |
つまり、弁護士に事故の交渉を依頼した場合でも、示談で解決すべきか、裁判に移行すべきかについては、
- 紛争の内容
- 被害者の方の経済状況
- 人身傷害保険の有無
などによって変わってくるので、弁護士とよく相談し、ベストな解決方法を決めた方が良いと言えるでしょう。
【参考】弁護士基準と裁判所基準の違いとは
ところで、弁護士基準以外に、裁判所基準という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弁護士基準と同じ意味と思って間違いないのでしょうか?
基本的には同じ意味で使用されていることがほとんどです。
しかし、
- 弁護士基準:弁護士が保険会社と交渉した際に得られる慰謝料額
- 裁判所基準:裁判を行った際に得られる慰謝料額
とした場合には、意味合いに大きな違いが出てきます。
どういうことかと言うと、弁護士基準の場合、最初に示した表の相場水準の慰謝料額が上限額になるそうです。
一方、裁判を起こした場合には、後遺障害等級だけでなく、
- 被害者の受けた生活上の支障
- 苦痛の程度
などの具体的事情も考慮して、慰謝料額を判断してもらえる可能性があるということです。
よって、相場水準を上回る慰謝料を獲得できることがあるんですね。
ただし、先ほども申し上げたとおり、裁判をした方が必ず被害者の方にとって有利になるわけではありません。
弁護士に依頼して示談した方が良いのか、裁判をした方が良いのかは、ケースバイケースでの判断が必要となってきます。
自分の事故の場合には、どちらが良いのか…。
不明点がある場合には、ご自身だけで判断せず、ぜひ弁護士に相談してみてください。
弁護士基準 | 裁判所基準 | |
---|---|---|
概要 | 弁護士が保険会社と交渉した際に得られる慰謝料額 | 裁判を行った際に得られる慰謝料額 |
慰謝料相場との関係 | 相場水準が上限 | 相場水準を上回る慰謝料が認められる可能性あり※ |
※ 本人訴訟では事実上困難
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ここまでで、弁護士基準における後遺障害の慰謝料について理解いただけましたでしょうか。
また、より適正な慰謝料を獲得するために、今すぐ弁護士に相談したいと思われた方もいらっしゃるはずです。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、後遺障害の慰謝料についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
まずは、医師の診断を受け、きちんと療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに交通事故による後遺障害が残ってしまった場合や残ってしまいそうな場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、日常生活にも支障が出るような後遺障害が残るようなケースでは、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 弁護士基準における後遺障害の慰謝料相場
- 弁護士基準と裁判所基準の違い
- 示談した方が良い場合と裁判まで行った方が良い場合の違い
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
実際にはどうしたら良いのか、弁護士に相談して決めた方が良いと感じた方もいらっしゃるはずです。
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皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。