後遺障害診断書を医師が書いてくれない…拒否の理由に応じた対応策をご紹介!
「自賠責の後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合があるって本当なの?」
「後遺障害の診断書を医師が書いてくれないなんて許されるの?」
「後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合、何か対応策はないの?」
交通事故にあわれて後遺症が残ってしまい、後遺障害の申請をしたいが、診断書を医師が書いてくれないので困っている方もいるのではないでしょうか?
交通事故に巻き込まれるというのは、はじめての方が多いでしょうから、診断書を書いてくれない場合の対策について知らなくても当然かと思います。
しかし、後遺障害の診断書を書いてくれない場合の対策を理解しておかないと、後遺障害の申請ができず、損をしてしまう可能性があるんです!
このページでは、そんな方のために
- 自賠責の後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合があるのか
- 後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由
- 後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合の対応策
といった事柄について、徹底的に調査してきました!
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
弁護士の岡野です。よろしくお願いします。
後遺障害の等級が認定されるかどうかによって、受け取れる交通事故の損害賠償額は大きく変わることになります。
しかし、後遺障害の診断書を医師が書いてくれないと後遺障害の等級が認定される可能性が一切ないことになってしまいます。
適切な損害賠償額を受け取れるよう、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合の対応策をしっかり理解しておきましょう。
目次
そもそも、経験のない方にとっては、診断書を医師が書いてくれないということが本当にあるのかどうかがわからないと思います。
後遺障害の診断書を書いてくれないことがある!?
書いてくれない理由は様々
しかし、実際に後遺障害の診断書を医師が書いてくれないケースは存在します。
中には、こんなひどいことを言われてしまうケースもあるようです・・・
https://twitter.com/yositugu3/status/220401680150298624
上記の医師はどういった理由で書いてくれないのかはっきりしませんが、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由は様々です。
正当理由とそうでない理由がある
後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由の中には、比較的正当な理由もあれば、そうでない理由もあります。
ここからは、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由を個別に見ていきたいと思います!
理由ごとに対応策もそれぞれ異なってくるので、医師が書いてくれない理由を見極めることが必要になります。
比較的正当な理由
①作成の時期ではない
後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由としてまだ治療の必要があることを挙げられる場合があります。
後遺障害診断書の作成時期は症状固定となった後になります。
症状固定とは
傷病に対して行われる医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
をいいます。
簡単に言うと治療を続けてもこれ以上良くならない状態のことです。
後遺障害とは将来においても回復が困難と見込まれる症状のことであり、上記の症状固定の時期の症状が、判断の対象となるからです。
医師が、まだ治療の必要があると判断している場合は症状固定の段階にはないといえるので、書いてくれない理由としては正当といえます。
もっとも、医学的な症状固定の時期と交通事故の賠償上の症状固定の時期が異なる場合もあります。
そのような場合には、医師に対し、医学的な症状固定の時期と交通事故の賠償上の症状固定の時期とが異なることを説明した上で、
後遺障害の診断書を書いてもらった後も治療には通うので、診断書を書いてくれないか
と説得してみることが対応策の一つとして考えられます。
②診ていないので書けない
また、初診時から長期間通院していなかった病院やはじめて受診した病院では、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として
治療の経過を診ていない
ことを挙げられる場合もあります。
後遺障害診断書は、治療をしたものの、残ってしまった症状や痛みを中心に記載するものです。
そのため、医師が後遺障害診断書を記載する場合、当初からの自覚症状や治療経過を把握していないと十分な記載ができません。
したがって、治療の経過を診ていないことは、後遺障害の診断書を書いてくれない理由としては比較的正当といえます。
このような場合、一定期間その病院に通院し、治療の経過を見てもらった上で改めて依頼してみることが対応策の一つとして考えられます。
症状固定前 | 症状固定後 | |
---|---|---|
継続的に通院している病院 | ☓ | ○ |
継続的に通院していない病院 | ☓ | ☓ |
医師を説得すべき理由
①後遺障害はない
ここまでは、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由のうち比較的正当な理由をみてきました。
ここからは、医師を説得すれば後遺障害診断書を書いてもらえる可能性がある理由を見ていきたいと思います。
まず、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として、後遺障害はないことを挙げられる場合があります。
この場合の対応策は
- 後遺障害を判断するのは別の機関であること
- 自賠責における後遺障害の判断基準
を説明することが考えられます。
具体例
例えば、鎖骨を骨折したが、治療の結果、可動域制限や痛みは残らなかったものの、鎖骨部に出っ張りが残ってしまったケースがあるとします。
この場合、主治医としては
鎖骨部に出っ張りがあっても、可動域制限や痛みはなく、生活に支障はないので、後遺症はない
と判断することが多いと考えられます。
しかし、自賠責保険上は、たとえ可動域制限や痛みはなくても、裸体になって明らかに分かる程度の変形があれば
変形障害として後遺障害が認定される
ことになります。
このように、医学的に後遺症とは言えないようなものも、自賠責保険上は後遺障害として認定される場合があることを丁寧に説明する必要があります。
②紛争に巻き込まれたくない
また、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として、紛争に巻き込まれたくないことが考えられます。
医師の中には、後遺障害診断書を記載してしまうと、後々
- 裁判に証人として呼ばれる
- 意見書・鑑定書などの書面作成を求められる
ことを心配される方がいるようです。
この場合の対応策は
裁判まで争い、証人としての出廷や意見書・鑑定書などの作成が必要になるケースはまれ
であることを医師に説明して説得することが考えられます。
場合によっては、今後、証人としての出廷や追加書面の作成を求めない誓約書の提出を後遺障害診断書の作成の条件に挙げる場合があります。
できればそういった誓約書の提出は避けたいですが、後遺障害診断書を作成してもらうために提出することも対応策の一つとしては考えられます。
③残存した症状は書きたくない
そして、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として、残存した症状は書きたくないことも考えられます。
医師は、治療をして怪我を治すのが仕事なので、
治療の結果、残ってしまった症状には基本的にあまり興味を抱かない
事が多く、医師の中には、後遺障害診断書の作成を依頼されることで
症状が残ってしまったことを責められている
と感じられる方もいるようです。
この場合の対応策としては
- 治療の結果、残ってしまった症状の証明により賠償額が大きく変わること
- 症状が残ってしまったことを責めているのではなく、医師の治療に不満はなく感謝していること
を医師に説明して説得することが考えられます。
上記の医師への説明や説得は丁寧にする必要があり、対応を誤ると、医師が気分を害されてしまう可能性もあります。
場合によっては、医師への説明や説得を弁護士に依頼することを検討してみていいかもしれません。
④健保治療なので書けない
さらに、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として、健康保険での治療なので書けないと言われる場合があります。
これは、自賠責保険所定の診断書に記載するのは、自賠責保険から治療費等を受領することを前提としているという考え方に基づくものです。
健康保険で治療を受けている場合には、自賠責保険から治療費等を受領していないので、自賠責所定の後遺障害診断書には書けないというものです。
この場合の対応策は、少なくとも健康保険を使用している場合でも、自賠責所定の後遺障害診断書に書いてはいけないということはないので、
後遺障害の申請には自賠責所定の後遺障害診断書に記載してもらう必要があること
を医師に説明して説得することが考えられます。
上記の医師の考え方は判断が難しい問題を含んでいます。
上記のような理由で後遺障害の診断書を医師が書いてくれない場合には、一度弁護士に相談してみましょう。
理由 | 対応策 | |
---|---|---|
① | 後遺障害はない | ・後遺障害の判断は別の機関であることの説明 ・自賠責における後遺障害の判断基準を説明 |
② | 紛争に巻き込まれたくない | ・証人としての出廷や追加書面の作成が必要になるケースはまれと説明 |
③ | 残存した症状は書きたくない | ・賠償上、残ってしまった症状の証明が必要との説明 ・治療に不満はなく感謝を伝える |
④ | 健保治療なので書けない | ・申請に必要であると説得 |
正当でない理由
①書かない方針
ここからは、正当ではない理由を見ていきたいと思います。
まず、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由として、病院として書かない方針であることが挙げられる場合があります。
この場合の対応策としては医師法第19条2項違反の可能性を主張することが考えられます。
診察若しくは検案をし(略)た医師は、診断書(略)の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
出典:医師法第19条2項
診察した医師は、正当事由がなければ、診断書の交付を拒否できないため、病院として書かない方針というのは正当な理由でない可能性が高いです。
病院として書かない方針というのは方便で、実際は別の理由であることも多いです。
そのため、後遺障害の診断書を医師が書いてくれない本当の理由を見極める必要があります。
②よくわからないから書けない
後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由が、よくわからないから書けないであることが考えられます。
医師の方は特に後遺障害診断書の記載方法を教わるわけではないため、書き方がよくわからなくても無理はないところがあります。
この場合の対応策としてはこちらからお願いしたい検査や記載方法を医師に伝えることが考えられます。
医師がよくわからないから書けないとはっきり言うことはまれであり、理由をよく見極める必要があります。
また、こちらからお願いしたい検査や記載方法を医師に伝える際、伝え方次第では医師が気分を害される可能性があるので注意しましょう。
理由 | 対応策 | |
---|---|---|
① | 書かない方針 | 医師法第19条2項違反の可能性を主張 |
② | よくわからないから書けない | お願いしたい検査や記載方法を医師に伝える |
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最後に一言アドバイス
岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。
後遺障害の診断書を医師が書いてくれない理由と対応策についてはお分かりいただけたのではないかと思います。
しかし、実際に上記に挙げられたような対応策を適切に行うことは被害者ご自身では困難な場合も多いかと思います。
病院や医師への対応にご不安がある方は、まずは弁護士に相談だけでもしてみましょう。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
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