耳の後遺障害認定の目安は?交通事故で耳の傷を負ったケースの対応
交通事故や弁護士の情報を検索中の方へ。このページでは、「耳の後遺障害」について徹底調査した結果を報告しています。
目次
耳に後遺障害が生じ難聴や失聴となると今まで聞こえていた音が聞こえなくなって、人とのコミュニケーションや趣味を以前と同じように楽しんだりするのは難しくなりますよね。
そういった場合に、適正な慰謝料を加害者から受け取れるのかどうか不安になるかと思います。
このページでは、その慰謝料の計算の基礎となる耳の後遺障害や慰謝料の相場についてまとめています。
耳の後遺障害の基礎知識
耳の後遺障害には、どのようなものがあるのでしょうか?
耳たぶなどの外側が欠損する後遺障害と難聴などの耳の内側に支障をきたす後遺障害がありますね。
耳の内部って色々と複雑そうなので、ちょっとした衝撃で後遺障害が残りそうですね。
耳の構造
作者 Anatomy_of_the_Human_Ear.svg: Chittka L, Brockmann derivative work: Nesnad (Anatomy_of_the_Human_Ear.svg) [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], ウィキメディア・コモンズ経由で
耳の内部構造は、外耳・中耳・内耳の3つの部位によって構成されています。
外耳はこの画像でいうと外耳道と鼓膜でできていて、耳の外でなった音は外耳道を通って鼓膜を振動させることになります。
中耳は鼓室や槌骨・キヌタ骨・アブミ骨(合わせて耳小骨と言います)、エウスタキー官(耳管)からできています。
音が伝わったことによる鼓膜の振動を耳小骨は約三倍にして内耳伝えますので、耳小骨の役割は簡単に言うと増幅器といえます。
最後に、内耳は三半規管や正円窓、蝸牛からでてきています。三半規管は人の平衡感覚を感知し、蝸牛は耳小骨から伝わった音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割を持っています。
交通事故による難聴・聴力障害の原因
交通事故による難聴・聴力障害といっても様々な原因があります。
交通事故により普段の日常生活とはかけ離れた尋常でない程の大きな音が耳のそばで鳴ったことが原因で起こる難聴のことを 音響外傷による難聴と言います。
また、頭部の外傷による内耳振とう・鼓膜穿孔(せんこう)・側頭骨骨折等を原因として起こる難聴のことを 頭部の外傷による難聴と言います。
内耳振とうとは、頭部の外傷により内耳が揺さぶられることを言い、頭部の外傷による難聴の原因は内耳振とうが最も多いと言われています。
鼓膜穿孔とは、頭部の外傷により鼓膜に穴があいてしまうことを言い、軽度であればそのまま難聴が軽くなっていき完治します。重度である場合には放置しておくと難聴がさらに悪化することになります。
その他の後遺障害
耳の後遺障害には、難聴による聴力障害以外にも、耳介の欠損障害、耳漏、耳鳴、平衡機能障害があります。
耳介の欠損 とは、耳たぶなどの外に露出している部分が交通事故による欠けることを言います。
耳漏 とは、耳の穴から液体が流れ出る状態のことを言います。
平衡機能障害 とは、三半規管で感知する平衡感覚に何かしらの異常をきたした状態のことを言います。
まとめ表
内容 | |
聴力障害 | 外傷により難聴・失聴となる障害 |
耳介の欠損障害 | 外側に露出している耳たぶなどの部分が欠ける障害 |
耳漏 | 耳の内部組織が外傷などで傷つき、耳の穴から液体が流れ出る障害 |
耳鳴 | 交通事故の外傷等に耳鳴が常時ある障害 |
平衡機能障害 | 三半規管が傷つき平衡機能に支障をきたす障害 |
耳の後遺障害の認定基準
耳の後遺障害が認定されるためにはどのようなことが必要なんでしょうか?
そうですね、例えば難聴による後遺障害でいえば、聴力検査を何度か行い、その検査結果によって後遺障害が認定されるかどうか変わりますね。
なるほど、耳の後遺障害の認定にはその検査がとても重要なんですね。
聴力障害・難聴の認定基準
聴力障害に係る等級は、鈍音による聴力レベルの測定結果及び語音による聴力検査結果 を基準として認定されます。
例えば、両耳の平均鈍音聴力レベルが80dB以上90dB未満であり、かつ、語音の聴力検査結果が30%以下である場合には両耳の聴力を全く失ったものとして後遺障害第 4級に該当します。
両耳の聴力障害により認定される後遺障害の等級は4,6,7,9,10,11級と定められており、片耳の聴力障害の場合には9,10,11,14級となっています。
その後遺障害の認定基準となる鈍音による聴力レベルの検査方法として、気導聴力検査と骨導聴力検査を用います。
気導聴力検査 ではヘッドホン型の装置を耳に被せて、また、骨導聴力検査 では耳たぶの後ろにある骨が出っ張っている部分に音の出る端末を押し付けて聞くことのできる音圧 (dB)を測定します。
それぞれの検査は7日程度の間隔をあけながら複数回行い、その2回目と3回目の平均鈍音聴力レベルの平均を後遺障害の認定基準に用います。
次に、語音による聴力の検査方法は、語音聴取閾値検査と語音弁別検査を用いて行われます。
語音聴取閾値検査 では1ケタの数字リストを使って、語音弁別検査 では「あ」等の単音節リストを使って音圧を下げながら聞くことのできる最小レベルを測定し、その最小レベルでの聞き取った数字や単音節の 正答率を測定する検査を言います。
上記にある「平均鈍音聴力レベルが80dB以上90dB未満であり、かつ、語音の聴力検査結果が30%以下」とあるのは、つまりギリギリ聞くことのできる音圧が80dB以上90dB未満であり、その音圧での数字や単音節の正答率が30%以下であることをいいます。
耳介の欠損障害の認定基準
耳介の欠損障害による後遺障害の認定基準は、「1耳の耳殻の大部分を欠損したもの」であるかどうかとなっています。
「1耳の耳殻の大部分を欠損したもの」に当てはまる場合には、後遺障害第12級 に該当することになります。
耳殻とは耳たぶなどの外に露出している部分のことを言い、「耳殻の大部分を欠損」とは、耳殻を構成する軟骨部の 1/2以上を欠損することをいいます。
実際には、耳の1/2以上を欠損した場合には、顔の醜状障害として7級が認定されることになります。
耳漏の認定基準
耳漏による後遺障害の等級は、以下の認定基準に該当する場合にはそれぞれに定める等級に当てはまります。
- 「鼓膜の外傷性穿孔による耳漏が常時あるもの」の場合には第12級
- 「鼓膜の外傷性穿孔による耳漏があるもの」の場合には第14級
- 「外傷による外耳道の高度の狭窄で耳漏を伴わないもの」の場合には第14級
「外傷性穿孔」とは、ここでは外からの衝撃によって鼓膜などの耳の組織が傷付つくことをいいます。特に 鼓膜の損傷が原因の場合、当然聴力低下や難聴を伴います。
耳から液体が漏れだすだけなら大した支障はないようにも思えますが、それ自体大きな負担になります。
また、等級認定される耳漏は難聴を伴うものですので、耳が聞こえづらいことによって、仕事上も円滑なコミュニケーションを阻害される、又は仕事によっては続けられなくなるといった支障が考えられます。
この他、日常生活においても、例えば、難聴により外の音が聞こえずらくなり、再度交通事故に遭うリスクが高まるといった支障も考えられます。
耳鳴の認定基準
耳鳴りによる後遺障害の等級は、以下の認定基準に該当する場合にはそれぞれ定める等級に当てはまります。
- 「耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの」の場合には後遺障害第 12級
- 「難聴に伴い常時耳鳴があることが合理的に説明できるもの」の場合には後遺障害第14級
「耳鳴に係る検査」とは、ピッチ・マッチ検査及びラウドネス・バランス検査をいい、これらの検査によって耳鳴が存在すると医学的に評価できる場合には、「著しい耳鳴」に該当します。
まとめ表
認定基準 | |
聴力障害 | 聴力がどれほど落ち、聞き取れる言葉がどれほど少ないかによって判断する |
耳介の欠損障害 | 欠損した部分の大きさによって判断する |
耳漏 | 耳漏が常時あるかどうかにより判断する |
耳鳴 | 耳鳴が常時あるかどうか、またその程度が著しいかどうかにより判断する |
弁護士に依頼するメリット
耳の後遺障害について、弁護士を通すメリットって何かありますか?
簡単に言うと、保険会社とは違うより高額な基準を用いて後遺障害慰謝料を計算し、加害者側に請求することができます。
相手の保険会社から提示された金額に納得がいかない場合には一度弁護士に相談したほうが良いんですね!
耳の後遺障害の後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料の相場 はそれぞれ等級ごとに金額が異なります。
例えば、両耳の聴力障害による後遺障害の等級は4,6,7,9,10,11級と定められていますが、それぞれの等級の後遺障害慰謝料の相場は1670万円,1180万円,1000万円,690万円,550万円,420万円となっています。
つまり、後遺障害の等級の数字が低ければ低いほどの後遺障害の内容は重くなるので、後遺障害慰謝料の相場も高くなります。
まとめ表
後遺障害慰謝料の相場 | |
聴力障害 | 両耳の場合 420~1670万円
片耳の場合 110~690万円 |
耳介の欠損障害 | 290万円 |
耳漏 | 110~290万円 |
耳鳴 | 110~290万円 |
弁護士相談のメリット
耳の後遺障害について、弁護士に相談することで様々なメリットを得ることができます。
まず1つは、後遺障害の適正な等級認定を受けられる可能性が高くなります。
例えば、両耳の後遺障害では等級の区分が多く定められていますが、自身では4級程度の後遺障害と思って等級認定の申請をしたとしても、いざ結果をみると6級の認定を受ける場合なども考えられます。
4級と6級 では、後遺障害慰謝料の相場だけみても490万円も差 があるため、適正な後遺障害の等級認定を受けることは慰謝料の観点からみても非常に重要なこととなります。
その点、弁護士に相談をすることで、適正な等級認定を受けるためのアドバイスをもらう ことができ、また依頼した場合には、被害者に変わって申請書の代筆や裁判での主張を弁護士がすることができ、適正な等級認定を受けられる可能性が非常に高くなります。
次に、弁護士に相談し依頼することで、後遺障害慰謝料を加害者やその保険会社に請求する際、裁判基準 に則った金額で請求することができます。
上記にある、後遺障害慰謝料はすべて裁判基準に則った金額を書いていますが、例えば弁護士に依頼せず、保険会社を通して後遺障害慰謝料を請求する場合には、各保険会社で定めている任意基準によってその慰謝料金額を算定します。
任意基準と裁判基準では、その慰謝料金額に差異が生じ、例えば両耳の聴覚障害による後遺障害4級の場合には、 裁判基準であれば1670万円 前後請求することができますが、任意基準では900万円前後しか請求することができません。
その点、弁護士に相談し依頼することで、示談交渉の段階から後遺障害慰謝料1670万円を請求することができます。
また、相手方の保険会社が支払いを拒否した場合であっても、その1670万円が如何に適正な金額であるかを 弁護士を通して主張することができるので、そのままその金額を得られる可能性が非常に高くなります。
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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