交通事故の後遺障害慰謝料|労災と自賠責の等級認定の違い

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交通事故の後遺障害慰謝料|労災と自賠責の等級認定の違い

今回は、労災後遺障害交通事故後遺障害の関係についてです。

そもそも労災と交通事故の後遺障害って全く別物というイメージがありますが・・・

実は意外な関係があるようです。

後遺障害の慰謝料にも関係しそうですが、よくわからないですよね。

  • 労災と交通事故それぞれの後遺障害は関係するのか?
  • 労災と交通事故!2つが重なる場合を解説!
  • 交通事故が労災の場合の両者の補償関係は?

交通事故が労災になった場合、どのような関係があるのか知っておけば、いざというときの不安も少なくなりますよね!

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いいたします。

交通事故と労災は全くの別物と思われるかもしれませんが、後遺障害の認定の場面で実は密接に関係しています

特に後遺障害の認定基準については、深い関係があるのです。

知らないと今一どちらから補償を受ければいいのか悩むこともあるでしょう。

適正な慰謝料等の賠償金を受け取るために、労災交通事故の関係について押さえておきましょう。

様々な怪我で後遺障害を負う可能性はありますよね。

その中でも、労災交通事故の場合は、ともに後遺障害の認定制度があるようです。

この二つ、制度が別ですが何か関係性があるんでしょうか。

後遺障害認定と、労災の障害補償給付について教えください!

労災交通事故で、肩鎖関節脱臼等により後遺障害12級が認定される予定です。

この認定とは別に、労災の障害補償給付というのがありますが、これって全くの別物でしょうか?

ダブっての給付は無理だと思いますが、、、

知識がなく、そもそも障害補償給付を申請できるのか等、基本的な事も分かっていません

ネット上でもその関係に関する質問を見つけることができました。

やはり関係があるのかないのか、いまいち分かりにくいです。

後遺障害の慰謝料にも影響!労災と交通事故の後遺障害の認定の意外な関係

後遺障害の慰謝料にも影響!労災と交通事故の後遺障害の認定の意外な関係

労災は労災保険(面談)、交通事故は自賠責保険(書面)

労災の被害者と交通事故の被害者に対して、それぞれ後遺障害の慰謝料はどのように補償されるんでしょう。

全く関係ないようにも見えますし、後遺障害という点では共通する気もしますね。

労災は、労働者が業務中または業務と関係して怪我や病気を負ってしまった場合のことをいいます。

そもそも、後遺障害の認定をするのは、労働災害や交通事故で後遺障害の補償が必要な場合に、その程度に応じて十分な補償をするためですよね。

労災の場合は使用者の加入する労災保険で、交通事故の場合は強制加入の自賠責保険でその補償をするために認定が必要になるということです。

なお、後遺障害の審査について、労災の場合は面談で、交通事故自賠責の場合原則書面審査となるようですね。

労災保険と自賠責保険の等級認定基準の関係

労災の場合、後遺障害の認定は含め厚生労働省の管轄となっています。

一方、交通事故の場合は、自賠法(国土交通省管轄)に基づいて第三者機関(損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所)が行うことになります。

認定する機関はそれぞれ全く別なんですね。

まずこちらは、後遺障害の認定に関わる厚労省のHPです。

続いて、こちらは損害保険料率算出機構のHPです。

しかし、後遺障害の認定をする際の基準についていえば、自賠責保険での等級認定は、労災の認定基準に準じるようです。

そのため、労災でも交通事故でも後遺障害の認定基準は基本的に同じといえるようです。

労災の場合も自賠責の場合も、基本となる後遺障害の認定基準は労災における認定基準となります。

ただし、審査・認定する機関審査方法(面談か書面か)が違い、労災よりも自賠責の方が等級が下位となることもしばしばあります。

このように認定基準は同じですが、労災と自賠責の認定はそれぞれ独立しているため実際に認定される等級に違いがでることがあるので注意しましょう。

訴訟(裁判)する場合の後遺障害等級の認定は?慰謝料金額にも影響!

それでは、後遺障害の認定について最終的に争う手段である裁判においては、どういった基準で認定されるのでしょうか。

この点、裁判官は、労災の認定基準・自賠責保険における後遺障害の等級認定の結果にしばられることはなく、自由に認定できるということです。

ただし、現実には、裁判官にも判断の前提とすべき一定の基準が必要になります。

この基準として先の労災における認定基準が事実上は大きく影響しているということです。

そして、この等級の認定が、得られる慰謝料や逸失利益の金額を左右します。

労災と交通事故の後遺障害の認定は、ともに労災認定基準を用いて(準用して)行われる!

場面別後遺障害の認定基準
認定場面 後遺障害の認定基準 関係
労災保険 労災認定基準 労災の認定基準に従う
自賠責保険 自賠責認定基準 労災の認定基準に準じる
裁判 裁判官の心証 労災の認定基準が事実上影響

交通事故と労災が重なるのはどういう事故か

交通事故と労災が重なるのはどういう事故か

通勤・外出時の事故は?そもそも労災保険が適用される事故とは

労災に当たるというのはどういったケースなんでしょうか?

業務災害通勤災害があるようです。

以下、労災の適用となる類型を簡単に確認しておきましょう。

業務災害

業務災害とは、以下のような事故をいうようです。

  • 事業場内における業務中に発生した事故→業務災害①
  • 事業場における休憩中や就業前・終業後に発生した事故→業務災害➁
  • 事業場外における業務中あるいは出張中に発生した事故→業務災害➂

業務中というのが重要となりますが、休憩中や業務前後の事故も労災にあたる場合があるので確認しておきましょう。

通勤災害

通勤災害とは、通勤する途中での事故のことをいいます。

労災の交通事故
労災の分類 事故類型 交通事故となるケース
業務災害① 事業場内で業務中の事故 あまりない
業務災害➁ 事業場内で休憩中等の事故
業務災害➂ 事業場外で業務中・出張中の事故 よくある
通勤災害 通勤中の事故

交通事故が労災にもなる具体例

労災と交通事故(自賠責)が重なる場合ということもあり得そうですね。

車が関係するものですから上の分類でいうと業務災害➂通勤災害がメインになりますかね。

以下、具体的なケースを見ておきましょう。

業務災害➂

タクシー運転手が業務でタクシーを運転中に後方から追突され負傷した交通事故

営業担当の従業員が外回り営業の移動中に車に引かれ負傷した事故

が典型例としてあげられるでしょう。

通勤災害

勤務先への通勤あるいは勤務先からの帰宅途中に、通勤経路で交通事故に巻き込まれ負傷した事故

が典型です。

なお、寄り道をしていた場合には通勤災害にあたらないこともあるようです。

交通事故の賠償金・示談金と労災の保険金の関係とは!?

交通事故の賠償金・示談金と労災の保険金の関係とは!?

労災と事故の賠償金!両方とももらえる?

それでは、たたまたま発生した交通事故労災にあたる場合には、交通事故の示談金のほかに、労災からも補償をうけられるんでしょうか?

仮にそうなると、偶然労災だったというだけで2重の補償を受けられることになってしまいますよね?

実際には、労災で保険金を受け取った場合に、当然その分交通事故の示談金から引かれることになるそうです。

やはり2重どりはできないんですね!

労災の補償が賠償金から控除される場合とは

労災補償の種類

上で説明したように、交通事故が労災にあたるケースでは労災の申請をすることで労災補償給付の支払いを受けることができます。

その場合、大まかに以下の内容の補償を受け取ることになります。

  • 療養補償給付(入通院・治療部分)
  • 休業補償(休業損害分)
  • 障害補償(後遺障害分)

被害者が労災を申請しこれらの労災補償を受け取った場合には、基本的に交通事故の賠償額からその分が差し引かれる(控除される)そうです。

給付金・一時金・特別支給金・・・損害賠償金から控除される補償・控除されない補償

基本的には賠償額から控除される労災補償ですが、控除されないものもあるようです。

それは、休業特別支給金障害特別支給金です。

特別支給金については控除の対象外、と覚えると覚えやすいですね!

労災と交通事故の補償関係
分類 労災給付金名 賠償金から控除の有無
治療費 療養補償給付金
休業損害 休業補償給付金
休業特別支給金 ×
後遺障害 障害補償一時金
障害特別支給金 ×

なお、交通事故労災補償についてより詳しくお知りになりたい方は、以下のページもわかりやすいです!

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最後に一言アドバイス

岡野弁護士、読者の方に、最後にアドバイスをお願いします。

交通事故が労災にもあたる場合には、労災の申請をする一方で車の保険会社ともやりとりする必要があります。

被害者自身で対応すると、労災補償の支払いを受けた後、控除されるされない等で保険会社と煩わしいやりとりが多いようです。

専門の弁護士に依頼すれば、煩わしい保険会社とのやり取りから解放されるだけでなく、慰謝料等も増額することが見込めます。

適正な補償を受けるためにも、弁護士の活用を検討するといいですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 交通事故の後遺障害の等級認定は、労災認定基準に準じて行われる
  • 交通事故が労災にもなる場合の具体例
  • 労災で補償を受けた場合、事故の損害賠償金額から原則として控除される
  • 労災補償の中で、「特別支給金」については事故の損害賠償から控除されない

という点について、理解が深まったのではないでしょうか。

交通事故に遭って悩み事がある方は、是非、上のスマホで無料相談全国弁護士検索を使ってみてください。

下にまとめてある関連記事も参考になさってください。

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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