交通事故での脊髄損傷の後遺症|治療法・リハビリ・後遺障害慰謝料・示談金・賠償などを解説

  • 脊髄損傷,後遺症

交通事故での脊髄損傷の後遺症|治療法・リハビリ・後遺障害慰謝料・示談金・賠償などを解説

ある日突然、交通事故脊髄損傷後遺症が残ってしまったとしたら…。

これからも長く続く治療リハビリの生活では、

  • 脊髄損傷から回復するために支払う治療費
  • 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
  • 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費

の問題を避けて通ることはできません。

さて、ここで問題です。

脊髄損傷の後遺症との関係で、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

※ 知っている人はみんな利用している方法です!

生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。

選択肢①:

脊髄損傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

脊髄損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

脊髄損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

裁判、増額請求、再計算…。

正解は、この記事の後半で弁護士先生に詳しく解説してもらいましょう!

それでは、脊髄損傷の後遺症でお悩みの方へ。

脊髄損傷による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。

ぜひご一読ください。

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。

また、脊髄損傷の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいものです。

実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。

今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

まず、脊髄損傷とは、なんとなくどのような状態のことなのかご存知の方もいらっしゃると思います。

脊髄損傷:

骨の中を通る太い神経である脊髄が障害されて、感覚機能や運動機能に障害がおこる

しかし、具体的な症状治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。

まずは、脊髄損傷についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。

脊髄損傷の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント

脊髄損傷の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント

脊髄損傷の重い症状とは…

脊髄損傷とは、脳から背骨にかけて通っている太い神経(脊髄神経)が損傷し、感覚機能や運動機能に障害が起こる状態のことです。

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原因としては、強い外力により背骨が骨折したり、首や背中が後ろに曲がったりすることで、脊髄が損傷してしまうことになります。

特に、交通事故や高所から転落した場合に脊髄損傷を負ってしまうことが多いようです。

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脊髄が横断的に断裂し、神経伝達機能が完全に失われる「完全損傷」と、脊髄の一部だけが損傷する「不完全損傷」の2つに分けられるそうです。

では、脊髄損傷になると、どのような症状が現れるのでしょうか。

調べてみたところ、以下の通りということです。

●症状は損傷した部位による

〇基本的に高い位置で脊髄損傷が起こると、重症になる

〇首の位置で損傷が起こると(頚髄損傷)、首から下の感覚や運動などに障害がでる(部位によっては呼吸ができなくなり植物状態や死に至ることがある)

〇場所によっては下半身のみの症状になったりする

●しばしば出る症状は以下である

〇運動麻痺

〇感覚障害

〇排尿

〇排便障害

●その他に自律神経障害が起こり、血圧や体温が一定に保たれなくなることもある

その他、少ないですが、運動麻痺ではなく、痛みに悩まされる被害者の方もいらっしゃるようです。

診断方法としては、背骨などが骨折していないかを調べる画像検査として、

  • レントゲン検査
  • CT検査
  • MRI検査

などが行われるということです。

脊髄そのものが損傷していないかを調べるためには、MRI検査が一番重要となってくるそうです。

脊髄損傷の治療法|後遺症が残らないこともある?

では、脊髄損傷に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??

完治することは可能なのでしょうか…。

https://twitter.com/Fukusuke2014/status/1025966358456987654

調べてみたところ、以下の通りということです。

●治療

○手術:関節固定術(背骨の固定を行い、リハビリテーションを早期から行えるようにするため、あるいはそれ以上症状の進行を起こさないために行う)

○薬物療法:ステロイド薬が使用されることもあるが、それを含め、確実に有効とされる治療薬はない

○筋弛緩薬:脊髄損傷を起こすと筋肉は過剰に固くなってしまうため、それを柔らかくするための対症療法

○鎮痛薬:手術後の痛みを軽減する

○リハビリテーション:生活に必要な動作の獲得、体の働きを一部改善する

●長期的な経過

○長期的にリハビリを行い、残った体の中での働き(動く筋肉や感覚)を使って生活や職業復帰ができるようにすることが必要

○下半身麻痺で車いす生活になることもあるため、必要に応じて生活しやすいように生活環境を調整すること(家の改修など)が必要

非常に残念なことですが、脊髄が損傷してしまった場合、脊髄は元に戻ることはありません。

また、人工的に再生させる方法もないというのが現実ということです…。

よって、根本的な治療が無いため、脊髄損傷による身体の麻痺が、そのまま後遺症として残ってしまう可能性が高いということになります。

【注目】交通事故による脊髄損傷に対する後遺症等級認定基準について解説

重大な後遺症ということで、もちろん交通事故の後遺症が認定されることになると思います。

では、どのような基準で認定されるのでしょうか?

  • 麻痺の範囲
  • 麻痺の程度

によって、後遺症の等級が認定されることになります。

脊髄損傷の後遺症等級認定における「麻痺の程度」について

「麻痺の範囲」については、以下のように分類されています。

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一方、「麻痺の程度」に関しては、厚生労働省の通達により、後遺症等級基準よりもさらに具体的な基準が定められています。

その通達によると、麻痺の程度は「高度」・「中等度」・「軽度」に分けられます。

通達の内容は、以下の表に簡単にまとめられています。

ご覧になってみてください。

厚生労働省の通達による「麻痺の程度」
麻痺の程度 具体例
高度 障害のある部位の運動性・支持性がほぼ失われ、その部位の基本動作ができない ・完全硬直
・物を持ち上げられない
・歩けない
・その他上記のものに準ずる場合 など
中等度 障害のある部位の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある ・約500gの物を持ち上げられない
・字が書けない
・足の片方に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは歩行が困難
軽度 障害のある部位の運動性・持続性が多少失われ、基本動作に制限がある ・文字を書くことが困難
・足の片方に障害が残り、歩行速度が遅く、不安定又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない

ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。

残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。

脊髄損傷の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?

上で紹介した麻痺の程度の基準を前提として、後遺症等級の認定基準を下の表にまとめてありますのでご覧ください。

脊髄損傷での後遺症等級認定基準
1級1号(別表1)
・高度の四肢麻痺
・高度の対麻痺
・高度の片麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する
・中等度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する
・中等度の対麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する
2級1号(別表1)
・高度の片麻痺
・中等度の四肢麻痺
・中等度の対麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要する
・軽度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要する
3級3号(別表2)
・軽度の四肢麻痺(2級1号に該当するものは除く)
・中等度の対麻痺(1級1号、2級1号に該当するものは除く)
5級2号(別表2)
・高度の単麻痺
・中等度の片麻痺
・軽度の四肢麻痺
・軽度の対麻痺
7級4号(別表2)
・中等度の単麻痺
・軽度の片麻痺
9級10号(別表2)
・軽度の単麻痺
12級13号(別表2)
・軽微な麻痺など

表を見ておわかりいただけるかと思いますが、「麻痺の程度」として、介護の要否なども考慮されることになるんですね。

また、足に麻痺の後遺症が残った場合の方が、高い等級が認定されていることもわかります。

この表に記載されている症状以外に、両腕の完全麻痺といった重篤な後遺症が残った場合も、12級以上の高い等級が認定されることがあるそうです。

脊髄損傷の後遺症に対するリハビリ

後遺症が残った場合には、リハビリをすることになります。

麻痺してしまったことの精神的ショックも大きいと思いますが、なるべく早い段階でリハビリを行うことが望ましいようです。

というのも、長く動かしていないほど筋肉が落ち、循環機能も低下してしまうため、復帰までの時間が長期化してしまうためということです。

一般的なリハビリ方法をご紹介

脊髄損傷の場合、事故後に救急車で運ばれ、集中治療室(ICU)に入ることが多いと考えられます。

そこから一般病棟に移ったら、まずはベッドのリクライニング角度を上げていく訓練が行われるそうです。

というのも、長時間寝ていたことで、血圧が低下しているため、急に体を起こすと脳貧血を起こす恐れがあるということです。

ベッド上でのリクライニングに慣れた後は、車椅子に移る訓練となります。

車椅子上でも脳貧血を起こさないようになれば、本格的なリハビリが開始となります。

理学療法

装備や歩行器を使った歩行訓練や、車椅子の動作など、日常生活での活動性を改善するために必要な補助器具の適切な使用の訓練が行われます。

また、間欠的カテーテル法などによる排尿や排便の技術についても指導されるそうです。

心のケア

また、身体の麻痺により、以前はできていたことができなくなる精神的負担により、うつ状態になってしまう方も多いようです。

リハビリでは、そういった状態からの克服に向けて、心のケアも行われるそうです。

心が回復しなければ、他のリハビリ効果も得られないため、重要な訓練の1つとなっているそうです。

知らないと損する①交通事故による脊髄損傷の治療に対する慰謝料や治療費は?

知らないと損する①交通事故による脊髄損傷の治療に対する慰謝料や治療費は?

脊髄損傷の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。

しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。

最初に、

リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?

とお聞きしました。

ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。

治療費の支払いは誰が?

まずは、入通院中の治療費についてです。

交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります

交通事故でも健康保険で通院できる!?

また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。

しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

支払いが困難な場合には…

しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?

被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。

また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。

仮渡金制度とは、

損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる

という仕組みのことです。

ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。

入通院慰謝料の相場について解説

治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。

この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。

以下に、入通院慰謝料相場を示しましたので、ご覧になってみてください。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。

ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!

では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。

しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。

通院頻度と慰謝料の関係
  1. ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
  2. ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合

の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。

もう少し具体的に説明しますね。

たとえば、①のケースを考えてみます。

極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。

通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。

この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。

通院慰謝料の算定ルール
原則 例外
通院期間により算定 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定

このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。

適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。

知らないと損する②脊髄損傷の後遺症に対する後遺障害慰謝料や賠償は?

知らないと損する②脊髄損傷の後遺症に対する後遺障害慰謝料や賠償は?

治療中の費用の補償については、わかってきました。

ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!

選択肢①:

脊髄損傷との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。

選択肢②:

脊髄損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。

選択肢③:

脊髄損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。

費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。

正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。

そうなのですね!?

では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。

選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する

すでにお伝えの通り、脊髄が損傷してしまった場合、元に戻るこはありません。

よって、麻痺などの重大な後遺症が残る可能性があります。

脊髄損傷に対する後遺症の等級についてはすでにお伝えしました。

その等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まっているということでしたね。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と検証して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

では、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

脊髄損傷の場合の後遺障害慰謝料※1
後遺症等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
1級1号 1600 1300 2800
2級1号 1163 1120 2370
3級3号 829 950 1990
5級2号 599 700 1400
7級4号 409 500 1000
9級10号 245 300 690
12級13号 93 100 290

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

自分で慰謝料を計算してみたい

ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。

今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。

このホームページでは、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。

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選択肢②失った将来の収入(休業損害・逸失利益)を主張する

治療費や慰謝料以外にも、脊髄損傷によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。

主には、休業損害逸失利益の主張をするということになるそうです。

治療中に失った収入「休業損害」

まずは、休業損害について見てみましょう。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700円 1日あたりの基礎収入
上限 19000円

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。

失った将来の収入「逸失利益」

次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。

逸失利益

後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、脊髄損傷による後遺症が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!

選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす

ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。

しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。

実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。

弁護士基準と各ケースの検証
弁護士基準の
賠償額との比較
弁護士が保険会社と交渉 9~10割※1
弁護士をつけて裁判 10割

弁護士費用※2

※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。

※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。

また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。

つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、脊髄損傷を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。

交通事故の流れ

実際の裁判例を見てみよう

ではここで、脊髄損傷の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。

脊髄損傷の後遺症に関する過去の裁判例
ケース①
職業:給与所得者(20歳女性)
傷害:脊髄損傷その他
後遺症:両下肢しびれ、疼痛、両下肢対麻痺(完全麻痺)等(1級1号)
《損害賠償》
後遺障害慰謝料:3500万円
休業損害:65万6437円
逸失利益:5384万7709円
将来介護費:7961万6099円
ケース②
職業:生活保護受給者(46歳男性)
傷害:脊髄損傷その他
後遺症:下半身麻痺、背部痛等(1級1号)
《損害賠償》
入通院慰謝料:320万円
後遺障害慰謝料:2500万円
妻に対する慰謝料:200万円
逸失利益:2981万9722円
将来介護費:4786万6100円
付添看護費:262万6640円
ケース③
職業:会社員(56歳男性)
傷害:脊髄損傷その他
後遺症:左上下肢の後遺障害(9級10号)
《損害賠償》
慰謝料:890万円
休業損害:73万7404円
逸失利益:2002万4494円
将来の治療関係費:386万1126円
将来の通院交通費:106万8835円
将来介護費:2014万5956円
ケース④
職業:高校生(19歳男性)
傷害:脊髄損傷その他
後遺症:両下肢完全麻痺、右腕神経叢損傷による右上肢機能障害および醜状障害(1級1号)
《損害賠償》
入通院慰謝料:435万円
後遺障害慰謝料:2800万円
両親に対する慰謝料:各200万円
休業損害:176万5480円
逸失利益:9902万7613円
付添看護費:175万8000円
将来の付添看護費:7115万7480円
将来の介護用品費等:577万1860円

もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。

脊髄損傷による後遺症は非常に重いものです…。

個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。

また、将来介護費付添い看護費なども認められているケースもありますね。

将来介護費や付き添い看護費については、こちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。


しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こすのは困難が多いはずです。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

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以上、脊髄損傷の治療法や、リハビリ中の生活費や治療費について理解を深めていただけたでしょうか。

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そんなときは、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます

24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口が設置されているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。

また、夜間土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しているので、会社が終わった後や休日にも弁護士と無料相談できます!

弁護士に無料相談はこちら

※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。

スマホで無料相談をやっているのは交通事故や事件など、突然生じるトラブルの解決を専門とする弁護士事務所です。

また、交通事故による怪我が重症で、弁護士事務所に訪問できない方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。

まずは、電話してみることから始まります。

きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

地元の弁護士に直接相談したいなら

スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。

また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。

サーチアイコン弁護士を探す5秒で完了
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  1. ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
  2. ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている

弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。

何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、脊髄損傷の後遺症や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。

それでも残念なことに脊髄損傷の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • 脊髄損傷症状治療法リハビリなどの基礎知識
  • 脊髄損傷による後遺症の等級や認定基準
  • 脊髄損傷に対する慰謝料などの示談金相場

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、脊髄損傷の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。

自宅からすぐに弁護士と相談したい場合、弁護士にスマホで無料相談できる窓口は今すぐ利用可能です!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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