脊髄損傷の損害賠償|交通事故の慰謝料・請求の流れについて弁護士が解説
交通事故で背骨などを骨折し、脊髄損傷を負ってしまった場合…。
身体の一部が麻痺するなどの後遺障害が残り、これまでと同じ生活は送れなくなってしまうかもしれません。
もしもそうなってしまった場合には、相手側からしっかりと損害賠償を受けるべきです!
しかし、いざ損害賠償請求をするにあたっては、
- 脊髄損傷に対する損害賠償の内容とは?
- 損害賠償金の相場とは?
- 後遺障害の等級認定や示談交渉など、損害賠償請求の流れとは?
など、わからないこともたくさんあるはずです。
そこで今回このページでは、脊髄損傷の損害賠償に関して、お悩みの皆さまと一緒に見ていきたいと思います。
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
脊髄損傷の後遺障害が残ってしまった場合、日常生活への影響も大きく、ご本人やご家族への負担は非常に大きいもののはずです。
さらに、相手側の保険会社との示談交渉で大きなストレスを感じてしらっしゃる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に、脊髄損傷の損害賠償に関してお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。
今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
目次
脊髄損傷という言葉は、聞いたことがある方も多くいらっしゃると思います。
脊髄損傷:
骨の中を通る太い神経である脊髄が障害されて、感覚機能や運動機能に障害がおこる
強い外力により背骨が骨折したり、首や背中が後ろに曲がったりすることで、脊髄にダメージが及ぶことが主な原因となっています。
そして、背骨部分に強い外力が加わる原因としては、「交通事故」がその多くを占めているようです。
💡脊髄損傷💡
・外傷性脊髄損傷の原因は圧倒的に交通事故によるものが多く、原因の40%を超える。
・スポーツ事故よりも、転倒の方が多い。— 作業療法士〜student〜 (@OT1029618) January 23, 2018
もちろん、激しいスポーツや転倒、高所からの転落などで背骨を骨折してしまうこともありますが、やはり交通事故、特にバイク事故で損傷することが多いようです。
では、もしも交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、どのような損害賠償が受けられるのか、ここから詳しく見ていきましょう。
交通事故による脊髄損傷に対する損害賠償の内容
脊髄とは、脊椎の脊髄腔の中を通り全身に枝を成す神経幹です。
脊髄から直接出ている神経は神経根と呼ばれ、上から順に頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄(尾髄は人間の場合退化)に分けられます。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/14/Blausen_0822_SpinalCord.png
交通事故などにより脊髄を損傷してしまった場合、
- 頸髄損傷では上肢以下
- 胸髄損傷では胴体以下
- 腰髄損傷では下肢以下
- 仙髄損傷ではくるぶしから下
の部分が麻痺し、感覚や運動の障害が起こってしまいます。
また、第4頸髄節以上の損傷では横隔膜の運動障害も起こるため、呼吸が停止して死亡してしまう可能性もあるそうです。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/bf/Cervical_Spine_MRI_%28T2W%29.jpg
脊髄は一度損傷してしまうと回復することはありません。
身体の多くの部分が麻痺してしまえば、介助なしには生活していくことが困難となってしまうでしょう。
もしも交通事故が原因でそうなった場合には、相手側からしっかりと損害賠償を受けるべきです!!
そもそも損害賠償とは
まず、損害賠償の意味としては以下のようになります。
債務不履行・不法行為などの一定の事由に基づいて損害が生じた場合に,その損害を塡補して損害がなかったのと同じ状態にすること。
出典:有斐閣 法律学小辞典 第5版
つまり、違法な行為により損害を受けた方に対して、その原因を作った人物が損害の埋め合わせをするということになりますね。
損害賠償金とは
そして、加害者が法律上の損害賠償責任を負ったものに対して支払うものを損害賠償金と言います。
(不法行為による損害賠償)
第七〇九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
出典:民法第709条
その損害賠償の方法は、基本的に金銭で行われると民法で規定されています。
(損害賠償の方法)
第四一七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
出典:民法第417条
交通事故の損害賠償金としては、大きく以下の2つに分けられています。
- 人身損害に対する損害賠償金
- 物的損害に対する損害賠償金
保険金とは
加害者が法律上の賠償責任を果たさなければならない場合、その人が保険に加入していたとします。
その場合、保険契約者に保険金が支払われ、その保険金が被害者に対する損害賠償金として支払われることになるのが原則となっています。
一方、加害者が保険に入っていなかった場合には、当然保険金は発生しません。
ただし、加害者が保険に入っていない場合でも、損害賠償金は支払う必要があることになります。
示談金とは
続いて示談金とは、加害者側と被害者側が示談交渉によって定めた損害賠償金のことになります。
加害者が保険会社に加入している場合には、保険会社と被害者側が示談交渉で定めた金額ということになります。
つまり、示談金とは定まった金額があるわけではなく、保険会社が提案してきた示談金に納得できなければ、交渉を続けることができます。
お互いが納得できた時点で交渉成立となり、お互いが決めた示談金=損害賠償金が支払われるということになるのです。
慰謝料とは
最後に慰謝料とは、精神的な苦痛に対しての損害賠償となっています。
よって、慰謝料は損害賠償金の一部なのです。
慰謝料は、人身損害の場合でしか受け取ることができません。
物的損害の場合には、精神的・肉体的に損害を与えているとは言えないため、特殊なケースを除いて慰謝料を請求することはできません。
まとめ
賠償金・保険金・示談金・慰謝料の違い
損害賠償金 | ||
---|---|---|
加害者が法律上の賠償責任を負ったものに対して支払うもの | ||
保険金 | 示談金 | 慰謝料 |
加害者が保険に加入していた場合、保険を使って支払う損害賠償金 | 加害者側と被害者側が示談交渉で決めた損害賠償金 | 精神的な苦痛に対しての損害賠償金 |
以上より、事故の加害者が自動車保険に加入しており、その保険会社から提示された損害賠償金に被害者の方が納得すれば、損害賠償金=保険金=示談金ということになります。
その中の一部に、慰謝料が含まれているという関係なのですね。
脊髄損傷に対する損害賠償|通院・入院・後遺障害・死亡に対する補償
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、損害賠償を請求し、損害賠償金=示談金を受け取る必要があります。
では、交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合の損害賠償金の中身はどうなっているのでしょうか。
一部が慰謝料ということはわかりましたが…。
自賠責保険による損害賠償
交通事故で脊髄損傷を負うほどの怪我を負った場合、まずは自賠責保険から保険金=損害賠償金が支払われます。
自賠責保険とは、自動車やバイクを運転する人に加入が義務付けられた保険で、あくまでも事故被害者の方への最低限の補償を目的とした保険となっています。
しかし最低限とはいえ、「怪我の治療(傷害)」、「後遺障害」、「死亡」、「死亡に至るまでの傷害」に対する損害賠償金を受け取ることができます。
傷害に対する損害賠償
まず、交通事故で大怪我を負った場合、治療のために病院に入通院することになると思います。
傷害に対する損害賠償としては、「治療費」や「休業損害」、「慰謝料」や「その他実費」などの示談金が支払われます。
限度額としては、被害者1名につき合計で120万円までとなっているそうです。
治療費 |
---|
診察代や手術代、投薬代や入院代の費用など。 【支払い基準】 治療のためにかかった必要かつ妥当な実費。 |
看護料 |
原則として12歳以下のお子様に近親者の方が付き添った場合や、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料、通院看護料。 【支払い基準】 ・入院の場合:4100円/日 ・自宅看護もしくは通院の場合:2050円/日 ・それ以上の収入減の立証で近親者の場合:19000円 ・それ以外:地域の家政婦料金が限度 |
諸雑費 |
入院中に要した雑費。 【支払い基準】 原則として1100円/日。 |
通院交通費 |
通院に要した交通費。 【支払い基準】 通院のためにかかった必要かつ妥当な実費。 |
義肢等の費用 |
義肢や義眼、めがね、補聴器、松葉杖などの費用。 【支払い基準】 必要かつ妥当な実費。 めがねの費用は50000円が限度。 |
診断書等の費用 |
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料。 【支払い基準】 発行に要した、必要かつ妥当な実費。 |
文書料 |
交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料。 【支払い基準】 発行にかかった必要かつ妥当な実費。 |
休業損害 |
怪我の治療などで失われた収入(有給休暇の使用、家事従事者を含む)。 【支払い基準】 原則として5700円/日。 それ以上の収入減の立証で19000円を限度として、その実費。 |
慰謝料 |
事故で怪我をしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 【支払い基準】 4200円/日。 対象日数は被害者の怪我の状態や実治療日数などを考慮して治療期間内で決められる。 |
後遺障害に対する損害賠償
脊髄損傷を負った場合、「機能が回復することはない」ということでした。
よって、身体の一部もしくは全部の麻痺といった後遺障害が残ってしまうことになります。
その後遺障害に対する損害賠償として、後遺障害の程度に応じた「慰謝料」や「逸失利益」などの示談金が支払われます。
後ほど詳しく説明しますが、限度額は認定される等級に応じて75万円~4000万円となっています。
慰謝料 |
---|
後遺障害が残ったことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 【支払い基準】 認定された等級に応じて算出。 |
逸失利益 |
身体に残った障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減。 【支払い基準】 収入および障害の各等級に応じた労働能力喪失率で、喪失期間などによって算出。 |
死亡に対する損害賠償
非常に残念なことですが、第4頸髄節以上の損傷による横隔膜の運動障害により、被害者の方が死亡してしまう可能性も考えられます。
その場合、死亡に対する損害賠償として、「被害者および遺族への慰謝料」や「逸失利益」、「葬儀代」といった示談金が支払われます。
限度額としては、被害者1名につき合計3000万円までとなっているそうです。
葬儀費 |
---|
通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用(墓地、香典返しなどは除く)。 【支払い基準】 60万円まで。 立証資料などにより60万円を明らかに超える場合は100万円までで妥当な金額。 |
逸失利益 |
被害者が死亡しなければ将来得られたはずの収入から、本人の生活費を控除したもの。 【支払い基準】 収入および就労可能期間、そして被扶養者の有無などを考慮のうえ算出。 |
慰謝料 |
事故で被害者の方を亡くしたことによる精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 【支払い基準】 家庭内での役割などに応じて算出。 |
なお、亡くなられるまでに入院などで治療を受けたことに対する補償は、「傷害に対する補償」の規定が準用されるそうです。
任意保険による損害賠償
しかし、自賠責からの賠償金は最低限のものであり、限度額が定められています。
その自賠責からの賠償金の限度額を超える分については、加害者が任意保険に加入していれば、任意保険から支払われることになります。
その他、加害者や被害者の方ご自身が任意保険に加入している場合には、以下のような賠償金も受け取れる可能性があります。
対人賠償保険(事故の相手に対する補償) |
---|
交通事故で相手側の車に乗っていた人や歩行者を怪我させたり、死亡させてしまった場合など、法律上の損害賠償責任を負担する場合に、自賠責保険の補償上限を超える損害賠償をカバーするもの。 |
対物賠償保険(事故の相手に対する補償) |
交通事故で他人の車や物などの財物に損害を与えてしまった場合に、保険金が支払われるもの。 |
人身傷害補償保険(自分や同乗者に対する補償) |
過失割合に関わらず、保険会社の基準によって実損害額の保険金が支払われるもの。 同乗者の損害は、基本的に無条件に補償される。 |
搭乗者傷害保険(自分や同乗者に対する補償) |
自分の車に乗っている人(運転者・同乗者)が死亡、怪我をしてしまった場合に、自賠責保険や対人賠償保険などとは別に保険金が支払われるもの。 |
無保険車傷害保険(自分や同乗者に対する補償) |
賠償能力が十分でない車の過失による事故に巻き込まれた場合に、保険金が支払われるもの。 |
自損事故保険(自分や同乗者に対する補償) |
運転手自身の責任で起こした事故により、運転手自身が死亡、怪我をしてしまった場合に保険金が支払われるもの。 |
車両保険(車に対する補償) |
事故によって破損した車両の修理代が支払われるもの。 単独事故や当て逃げも補償するタイプや、他車との接触による損害のみを補償するタイプなど、いくつか種類がある。 |
脊髄損傷に対する損害賠償金の相場について専門家が解説
以上、脊髄損傷に対する損害賠償の内容について理解を深めていただけたでしょうか。
では実際、損害賠償としてどれほどの金額を受け取れるものなのでしょうか…。
保険会社から提示された金額をそのまま受け取ってしまって良いのかどうか…相場があるのであれば、知っておきたいところですよね。
そこで、ある程度決まった額ではなく、ケースによって特に大きく変わってくる可能性がある損害賠償について、詳しく見ていきたいと思います。
入通院に対する損害賠償①入通院慰謝料
まず、入通院による精神的苦痛に対して支払われる入通院慰謝料というものがあります。
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
その前に…実は慰謝料には3つの基準が存在しているそうなのです。
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
自賠責基準
自賠責基準の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
既にお伝えの通り、自賠法は交通事故の被害者の方が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
次に任意保険基準とは、任意保険会社による慰謝料基準です。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが弁護士基準です。
これは、弁護士を付けて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のことになります。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
3つの基準における入通院慰謝料の相場
そして、自賠責基準での入通院慰謝料は4200円/日と決められていますが、任意保険ではある程度の相場が存在しています。
相場としては以下の通りです。
ただし、弁護士に示談交渉を任せた場合、この相場が弁護士基準のものまで高まることがほとんどなのです。
弁護士基準となった場合の入通院慰謝料の相場は以下の通りです。
一目瞭然ですが、加害者が任意保険に加入している場合には、弁護士基準での慰謝料を獲得すべきです。
よって、示談交渉にあたっては、ぜひ弁護士に相談してみてくださいね!!
入通院に対する損害賠償②休業損害
また、脊髄損傷を負ってしまった場合には、治療などで仕事を休んでしまう回数は多くなることがほとんどのはずです。
その場合、相手側の自動車会社から、休業損害という損害賠償金を受け取ることができます。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険基準・弁護士基準での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、1日あたりの基礎収入×休業日数となります。
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なるそうです。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責基準 | 任意保険・弁護士基準 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。
後遺障害に対する損害賠償①後遺障害慰謝料
次に、脊髄損傷による麻痺の後遺障害に対する慰謝料を受け取ることができます。
脊髄損傷で残る可能性がある麻痺の種類には、以下のようなものが挙げられます。
上記のような麻痺が残ってことに対する損害賠償を受け取るためにはまず、後遺障害の等級認定を受ける必要があるということでした。
【注目】脊髄損傷に対する後遺障害等級認定基準について解説
では、どのような基準で認定されるのでしょうか?
「麻痺の程度」に関しては、厚生労働省の通達により、後遺障害等級基準よりもさらに具体的な基準が定められているそうです。
その通達によると、麻痺の程度は「高度」・「中等度」・「軽度」に分けられます。
麻痺の程度:高度 |
---|
障害のある部位の運動性・支持性がほぼ失われ、その部位の基本動作ができない。 【具体例】 ・完全硬直 ・物を持ち上げられない ・歩けない ・その他上記のものに準ずる場合など |
麻痺の程度:中等度 |
障害のある部位の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある。 【具体例】 ・約500gの物を持ち上げられない ・字が書けない ・足の片方に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは歩行が困難 |
麻痺の程度:軽度 |
障害のある部位の運動性・持続性が多少失われ、基本動作に制限がある。 【具体例】 ・文字を書くことが困難 ・足の片方に障害が残り、歩行速度が遅く、不安定又は両足に障害が残り、杖や歩行具なしでは階段を上れない |
ここで、後遺障害の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。
残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。
脊髄損傷の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?
上で紹介した麻痺の程度の基準を前提として、後遺障害等級の認定基準を下の表にまとめてありますのでご覧ください。
1級1号(別表1) |
---|
・高度の四肢麻痺 ・高度の対麻痺 ・高度の片麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する ・中等度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する ・中等度の対麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要する |
2級1号(別表1) |
・高度の片麻痺 ・中等度の四肢麻痺 ・中等度の対麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要する ・軽度の四肢麻痺で、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要する |
3級3号(別表2) |
・軽度の四肢麻痺(2級1号に該当するものは除く) ・中等度の対麻痺(1級1号、2級1号に該当するものは除く) |
5級2号(別表2) |
・高度の単麻痺 ・中等度の片麻痺 ・軽度の四肢麻痺 ・軽度の対麻痺 |
7級4号(別表2) |
・中等度の単麻痺 ・軽度の片麻痺 |
9級10号(別表2) |
・軽度の単麻痺 |
12級13号(別表2) |
・軽微な麻痺など |
3つの基準と等級に応じた後遺障害慰謝料の相場
その等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まっているということでしたね。
また、後遺障害慰謝料についても3つの基準が存在しています。
それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
後遺障害等級 | 自賠責基準※1 | 任意保険基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級1号 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級1号 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級3号 | 829 | 950 | 1990 |
5級2号 | 599 | 700 | 1400 |
7級4号 | 409 | 500 | 1000 |
9級10号 | 245 | 300 | 690 |
12級13号 | 93 | 100 | 290 |
※1 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※2 旧任意保険支払基準による。
後遺障害慰謝料についても見ての通り、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
後遺障害が残った場合にも、ぜひ弁護士に相談してみていただければと思っています。
後遺障害に対する損害賠償②逸失利益
また、脊髄損傷で後遺障害が認定された場合には、慰謝料とは別に逸失利益という損害賠償も請求できます。
逸失利益
後遺障害により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺障害認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、後遺障害が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
逸失利益の一般的な計算方法
では、逸失利益はいったいどのように算出されるのでしょうか。
調べてみたところ、逸失利益の一般的な計算方法は、以下のようになっているそうです。
逸失利益の計算方法
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
それぞれの項目の意味は、以下のようになります。
項目 | 意味 |
---|---|
基礎収入 | 後遺障害が残らなければ、得られていたであろう収入 |
労働能力喪失率 | 後遺障害が残ったことによる減収の割合 |
労働能力喪失期間 | 後遺障害によって減収が発生する期間 |
ライプニッツ係数 | 逸失利益を症状固定時の金額にするための係数 |
ここで、労働能力喪失率は、認定される後遺障害の等級に応じて定められているそうです。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
第1級 | 100% |
第2級 | 100% |
第3級 | 100% |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
さらに、ライプニッツ係数とは、時間と関係する賠償金を一時金に換算する方法です。
国土交通省により、以下のように定められています。
一方で、(脊髄損傷のケースではあまりないかもしれませんが、)実際に後遺障害が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺障害に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺障害慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
死亡に対する損害賠償①死亡慰謝料
最後に、被害者の方が亡くなられてしまった場合には、死亡慰謝料を受け取ることができます。
そして、死亡慰謝料についても3つの基準が存在しています。
まず、自賠責基準での死亡慰謝料は、以下のようになっています。
被害者本人一律 | 遺族※ | 被扶養者がいる場合 | |
---|---|---|---|
350+ | 1人 | 550 | +200 |
2人 | 650 | ||
3人以上 | 750 |
※ 被害者の両親、配偶者、子のみ
たとえば、亡くなられた被害者の方に、専業主婦の奥様とお子様が1人いた場合には、
本人慰謝料350万円+遺族2人の慰謝料650万円+被扶養者(子供)がいる場合の加算額200万円=1200万円
が慰謝料ということになります。
続いて、弁護士基準と任意保険基準での死亡慰謝料については、被害者の方の家庭内での立場などによって慰謝料の基準が存在しているそうです。
任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
一家の支柱 | 1700 | 2800 |
母親・配偶者 | 1400 | 2500 |
その他 | 1250~1450 | 2000~2500 |
死亡慰謝料についてもやはり、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
どのケースにおいても、しっかりとした適正な慰謝料を獲得するためには、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
死亡に対する損害賠償②逸失利益
また、被害者の方が死亡してしまった場合にも、逸失利益を請求することができます。
死亡に対する逸失利益の計算方法は、以下の通りです。
(基礎収入)×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)
基本的には、後遺障害が残った場合の逸失利益と同じなのですが、死亡の場合には、後遺障害の場合には基礎収入に含まれないものが基礎収入に含まれることになります。
それは、年金です。
というのも、後遺障害が残っても被害者の方がそれまで受け取っていた年金額が減少することはありませんが、死亡すると受給権者がいなくなってしまうからです。
ただし、この場合の年金は、原則として被害者の方が保険料などを負担していた年金のことになります。
遺族年金などの受給権者が保険料を負担しておらず、受給権者自身の生計維持という社会保障的な性質を持つ年金は、逸失利益性が否定されるそうです。
逸失利益性が認められる年金かどうかの判断は、難しい部分も多いので、ご自身だけで判断せず、弁護士などの専門家への相談をお勧めします。
また、労働能力喪失率は、常に100%となります。
詳しくは、こちらの記事をご覧になってみてください。
自分で慰謝料を計算してみたい
ここまで読んで、自分やご家族の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
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交通事故の発生~示談成立まで…脊髄損傷の損害賠償の流れとは
ここまでで、交通事故で脊髄損傷を負った場合の損害賠償の内容や示談金の相場について見てきました。
では、損害賠償金を受け取るまでの損害賠償請求の流れはどうなっているのでしょうか…。
調べてみたところ、交通事故の被害に遭った場合、相手の保険会社との示談が成立するまでの流れは、簡単に示すと以下のようになっているようです。
まずは治療に専念を
まず、脊髄損傷を負うほどの事故にあった場合、大怪我をしていることがほとんどのはずです。
よって、まずは治療に専念してください。
その際の治療費の支払いについては、
- 被害者の方が立て替えて後から請求する
- 相手側の保険会社から治療機関に直接支払う一括対応
という2つの方法があります。
いずれにせよ、最終的には相手側の保険会社が支払うことになるんですね。
治療の流れについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考になさってみてください。
ところで、営利企業である保険会社としては、当然支払う金額を抑えたいと思うはずです。
そのため、相手側の保険会社が治療の打ち切りを宣告してくることがあるそうなのです。
打ち切りの連絡が来た場合の対応は、こちらの記事もご覧ください。
症状固定まで通院してから後遺障害等級認定を
そして、身体の麻痺に対する後遺障害の等級認定を受けるためには、症状固定まで通院を続けることになります。
症状固定
医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
簡単に言うと、これ以上治療を続けても、良くも悪くもならなくなった状態ということですね。
症状固定とは、痛みなどの症状がなくなった段階のことではないという点には注意が必要です。
そして、症状固定した後の後遺障害の申請は原則として、自賠責保険に対して行うことになるそうです。
その自賠責保険に対する後遺障害の認定申請には、
- 事前認定
- 被害者請求
という2つの方法があります。
事前認定
事前認定とは、簡単に言うと、
相手側の任意保険会社が窓口となって、被害者の方の後遺障害の等級認定を事前に確認する
方法のことになります。
被害者請求
一方の被害者請求とは、簡単に言うと、
被害者ご本人が直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する
方法のことです。
以上のような2つの方法ですが、事前認定の場合、「手続が不透明」というデメリットが挙げられるそうです。
つまり、保険会社が提出した書類の内容や時期を被害者が把握できないということです。
具体的には、事案によってですが、
後遺障害が認められにくい方向に働く内容の顧問医の意見書
を付けて被害者の後遺障害の等級の認定を損害保険料率算出機構に依頼することがあるようです。
また、保険会社の担当者は多くの案件を抱えているため、申請を後回しにされてしまうケースもあるようです。
事前認定の場合、相手側の任意保険会社は必要最低限の書類しか提出してくれません。
一方の被害者請求の場合、必要資料以外に認定に有利な医療関係の資料や意見書の添付も可能となっています。
そのため、後遺障害の等級認定に争いのあるケースでは、被害者請求の方が望ましいと言えます。
とはいえ、ご本人だけで被害者請求を行うことはなかなか難しいように感じます。
そのような場合、弁護士に依頼をすれば、
- 書類収集の手間が省ける
- 認定に有利となる医療関係の資料や意見書の収集やアドバイスを受けられる
というメリットがあるそうです。
そして、交通事故で怪我をしてからの期間を考えると、1年以内に後遺障害等級の認定結果が出るということが多そうです。
後遺障害認定の流れについて、詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
示談交渉で納得できなければ裁判やADRの利用を
そして、治療が終了し、後遺障害の等級認定を受けた時点から、本格的に損害賠償請求の示談交渉が開始となります。
示談の流れは、簡単にすると以下のようになります。
そして、示談交渉の結果、お互いに納得できれば、その段階で解決=示談成立となり、示談金が支払われる流れになります。
示談が成立しない場合には、裁判、もしくは裁判外紛争解決(ADR)を利用する流れになります。
裁判となった場合には、以下のような流れで進むことになります。
最高裁判所の統計データによると、交通事故の民事裁判の第一審の訴えを提起してから終局するまでの平均審理期間は12.3ヶ月のようです。
そして、半年から1年以内に終局する事案が60%程度で、2年を超える長期事案は全体の6%程度となっています。
よって、通常のケースであれば、半年~1年半程度で裁判が終了すると言えそうです。
交通事故の裁判の流れについて、より詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧になってみてください。
一方、裁判になれば時間もお金もかかるため、裁判以外のADRという方法を選択することもできます。
詳しくはこちらの記事をご覧になってみてください。
交通事故紛争処理センターと日弁連交通事故相談センターについて詳しく知りたい方はコチラ。
示談が成立すれば損害賠償金の受け取りを
示談交渉が終わり、損害賠償額=示談金の金額が確定してしまえば、支払いまでの期間は通常2~3営業日となるそうです。
場合によっては支払いまでに1~2週間かかることもあるようなので、2週間経っても振り込まれないようであれば保険会社に確認してみるのが良いでしょう。
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以上、交通事故で脊髄損傷を負った場合の損害賠償について理解を深めていただけたでしょうか。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、脊髄損傷の損害賠償に関してお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに脊髄損傷の後遺障害が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺障害が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて損害賠償を請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 脊髄損傷に対する損害賠償の内容
- 損害賠償金の相場
- 後遺障害の等級認定や示談交渉など、損害賠償請求の流れ
などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、損害賠償に関して少しでも不安・不明な点がある場合には、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、脊髄損傷や損害賠償に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
脊髄損傷による損害賠償についてのQ&A
損害賠償って何?
損害賠償とは、故意や過失を行った人物がその損害を受けた人に対して金銭などで損害の埋め合わせをすることです。損害賠償に使われるお金を「損害賠償金」といいます。交通事故の損害賠償金には①人身損害に対する損害賠償金②物的損害に対する損害賠償金の2種類があります。損害賠償金の中には、精神的な苦痛に対する「慰謝料」も含まれていますが、特別なケースを除いては人身損害でしか受け取ることができません。 損害賠償の意義
脊髄損傷での損害賠償金の内訳は?
脊髄損傷は人身損害として扱われますが、ケースによって賠償金の内訳が異なります。入通院した場合、入院での精神苦痛に対する入通院慰謝料と事故によって得られるはずであった収入や利益を補償する休業損害といった損害賠償が得られます。後遺障害となった場合は後遺障害慰謝料・後遺障害に対する逸失利益、死亡した場合は死亡慰謝料・死亡に対する逸失利益などがあげられます。 脊髄損傷における賠償金の種類
示談交渉はいつすればいい?
脊髄損傷などの大けがの場合はまず治療に専念しても問題ありません。症状固定まで通院してから必要に応じて後遺障害等級認定を受けましょう。認定を受けた時点から示談交渉が開始となります。交渉の結果にお互いが納得できれば示談成立となって示談金が支払われます。示談不成立の場合は裁判が行われることもあります。時間やお金をできるだけかけたくない場合は、裁判外紛争解決(ADR)を利用しましょう。 脊髄損傷における示談交渉のタイミング
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。