20歳大学生の交通事故慰謝料|3億7829万円の判例を弁護士が解説
このページでは、20歳男子大学生の判例についてご紹介します。
かなりの大怪我を負われ、損害総額は3億7829万円超となったようです。
大学生活という貴重な時間や未来を交通事故によって奪われてしまったことは、本人やご家族にとって、とてもつらいものです。
大変なご経験をされた分、納得のいく慰謝料は支払ってもらえるのか不安になりますよね。
慰謝料算定のポイントについて専門の先生に聞いてみましょう。
法律的な部分の解説は、テレビや雑誌でもおなじみの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
これまで事務所で取り扱った実例と、裁判所が判断した判例にもとづいて、しっかりと解説していきたいと思います。
目次
それではまず、交通事故の内容から見ていきましょう。
大学生(男・20歳)損害額3億7829万1792円の判例
こちらは、名古屋地方裁判所の民事第3部の判決、平成21年(ワ)第76号事件です。
この事故での主なケガの内容は、急性硬膜下血腫となっています。
交通事故の基本情報
事故の内容は「被害者がふざけてボンネット上に寝ている状態で車両を発進させ、ボンネット上から転落させた。」というものです。
交通事故の基本情報は?
属性 | 大学生 |
---|---|
性別 | 男 |
年齢 | 20歳 |
事故の内容 | 被害者がふざけてボンネット上に寝ている状態で車両を発進させ、ボンネット上から転落させた。 |
傷害の内容 | 急性硬膜下血腫、頭部外傷後遷延性意識障害および四肢体幹運動障害など |
入院 | 384日 |
傷害の内容が重たい点と、入院が384日と比較的長い点が特徴的です。
判例で認められた賠償金・慰謝料
それでは、認められた損害額を見てみましょう。
判例で認められた賠償金・慰謝料は?
損害総額 | 3億7829万1792円 |
---|---|
うち慰謝料 | 3630万円 |
うち休業損害 | 199万2576円 |
うち逸失利益 | 1億1455万8209円 |
損害総額は3億7829万1792円でした。
ざっくりまとめると…
被害者は保険会社から総額3億7829万1792円の損害賠償金を受け取りました。
- 慰謝料としては、傷害慰謝料が330万円、後遺障害の慰謝料が2800万円、母親固有の慰謝料が500万円が認められました。
- また、アルバイトの休業損害として、事故前日までの102日間の収入を基礎収入として、384日分の休業損害199万2576円が認められました。
- 逸失利益は、男子の大卒全年齢平均賃金676万7500円を基礎収入として、労働能力の喪失率は100%、労働能力の喪失期間は22歳から67歳まで45年間分が認められました。
弁護士による解説
弁護士先生、この判例のポイントはどのような点になりますか?
この判例では、逸失利益や慰謝料のほかに、将来介護費が平均余命までの57年間にわたって認められたことが高額な認定になった大きな要因です。
その他、住宅改造費として、介護用住宅の建築の必要性を認め、約1900万円の住宅改造費が認められたという点も特徴的です。
若年者が後遺障害1級に認定された場合、死亡事故よりも高額の賠償額が認められる傾向にあるのは、介護費用や住宅改造費など、介護関係の費用が高額になることが多いためです。
交通事故の慰謝料の計算方法をおさらい
はじめての慰謝料計算
交通事故の慰謝料の計算方法、よく分からないですよね。
ポイントを整理すると、
- 保険会社が提示する慰謝料と、弁護士や裁判所が認定する慰謝料は、大きく異なる。
- 法律的に正しい慰謝料は、弁護士や裁判所が認定する慰謝料の方。
- 正しい慰謝料を請求するためには、法的な手続きを利用する必要がある。
の三点が重要です。
慰謝料の計算方法については、このページがよくまとまっています。
記事の構成は、
- 弁護士介入後に慰謝料が増額する理由
- 交通事故被害者の慰謝料はどのようにして決まるの?
- 慰謝料よりも高額な「逸失利益」とはどういうもの?
となっています^^
慰謝料自動計算機(計算ソフト)を使うと便利
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計算ソフトの利用をおすすめするのは、
- 保険会社と話し合う前に、自分の慰謝料の概算を知りたい
- 保険会社から提示されている金額が、法律的に正しいかどうか知りたい
- 相手方に請求できる(または相手方から請求される)慰謝料の金額を知りたい
といった人たちです。
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保険会社から低い金額を提示されている場合は、素人の知識不足に漬け込んで騙されている可能性があります。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
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大学生の慰謝料計算の特徴は?
大学生の慰謝料を計算するにあたって、ポイントとなる点はありますか?
後遺症が残った場合の慰謝料は、原則として後遺障害の等級によって決められます。
しかし、大学生の被害者に生涯にわたって続く後遺症が残った場合、後遺症で苦労する期間が長いため、慰謝料について相場水準よりも20%ほど増額して請求すべきという考え方もあり、その点は裁判などで争う余地があります。
ポイントとしては、事故により生じた支障や就職状況等を具体的に主張していくことです。
事故の影響で、留年してしまったり、就職試験を受けられなかったことや内定を取り消されたこと等が証明できれば、賠償額が増額できる余地があります。
また、内定が決まっていたり、医大生のように将来就職する可能性が高い職種等を証明できれば、内定先の会社や将来就職する可能性が高い職種の平均賃金が逸失利益の計算の基礎となり、賠償額が増額する余地があります。
なお、内定などが決まっていなくても、大卒の平均賃金は、全体の平均賃金よりも高いため、大卒の平均賃金を基礎に計算することを主張する必要があります。
ただし、今申し上げたポイントは一般的・総論的なお話であり、上に挙げられている裁判例のように、事故に遭われた方のご事情は様々ですので、まずは弁護士等の専門家に相談してみるのが良いかと思います。
まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。