後遺障害の慰謝料の弁護士基準を総まとめ【完全版2020】
交通事故によって、顔や心に傷を負ってしまった場合、後遺障害の程度に応じて慰謝料を請求することができます。
このページでは、怪我の重さごとにどれくらいの慰謝料が相場となるのかまとめました。
目次
顔の傷(外貌醜状)・PTSDの後遺障害慰謝料の弁護士基準
顔の傷(外貌醜状)の慰謝料の弁護士基準
【9級の外貌醜状の一例】
引用元:『労災補償障害認定必携』(一般財団法人労災サポートセンター)
交通事故で顔に傷を負い、治療してもケロイド状の瘢痕や傷跡が残った場合、一定の条件を満たせば後遺障害として認定してもらえる。
後遺障害の認定基準では、頭部、顔面、首の3か所についてそれぞれ条件が定められている。具体的な要件は以下の表に示したとおりだ。
それぞれ、7級、9級、12級の後遺障害に認定される可能性がある。慰謝料の弁護士基準は、等級に応じて1000万円、690万円、290万円の相場が決められている。
7級 | 9級 | 12級 | |
---|---|---|---|
頭部 | てのひら大以上の瘢痕・欠損 | - | 鶏卵大以上の瘢痕・欠損 |
顔面 | ・鶏卵大以上の瘢痕 ・10円硬貨以上の組織陥没 |
長さ5cm以上の線状痕で人目につくもの | ・10円硬貨以上の瘢痕 ・3cm以上の線状痕 |
首 | 手のひら大以上の瘢痕 | - | 鶏卵大以上の瘢痕 |
慰謝料 | 1000万円 | 690万円 | 290万円 |
PTSDの慰謝料の弁護士基準
交通事故被害による精神的ショックが原因で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する被害者がいる。
精神障害では通院治療によって症状が改善することが多いため、PTSDが発症したからといって直ちに後遺障害が認定されるわけではない。
目安として約2年の通院治療を行い、それでも症状が改善しないようであれば、以下の表にある症状の程度に応じて後遺障害が認定される可能性がある。
慰謝料の弁護士基準は、PTSDの程度に応じて690万円、290万円、110万円が相場になる。
9級 | 12級 | 14級 | |
---|---|---|---|
PTSDの程度 | 通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当な程度に制限される | 通常の労務に服することはできるが、多少の障害を残す | 通常の労務に服することはできるが、軽微な障害を残す |
慰謝料 | 690万円 | 290万円 | 110万円 |
骨折等による後遺障害慰謝料の弁護士基準
マレット指の慰謝料の弁護士基準
引用元:『労災補償障害認定必携』(一般財団法人労災サポートセンター)
交通事故で手の指を骨折した場合、指の関節が屈曲したまま元に戻らなくなるマレット指(マレットフィンガー)という症状が残ることがある。
障害が残った指の本数とその程度に応じて、以下の表でまとめた後遺障害等級(4級~14級)が認定されることになる。慰謝料の弁護士基準は、等級に応じて1670万円~110万円と大きな幅がある。
「指の用廃」とは、各指の第2関節(PP)または第3関節(MP)(親指は第1関節または第2関節)の可動域が1/2以下に制限されることをいう。
親指以外の指の第1関節の障害の場合には、その他の関節部分と比べて不利益が小さいため、強直または屈伸不能がある場合に限り14級に認定されることになる。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
4級 | 両手の指の全部の用廃 | 1670万円 |
7級 | ・1手の5指の用廃 ・1手の母指を含む4指の用廃 |
1000万円 |
8級 | ・1手の母指を含む3指の用廃 ・1手の母指以外の4指の用廃 |
830万円 |
9級 | ・1手の母指を含む2指の用廃 ・1手の2指の用廃 |
690万円 |
10級 | ・1手の母指の用廃 ・1手の母指以外の2指の用廃 |
550万円 |
12級 | 1手の示指、中指、環指のいずれかの用廃 | 290万円 |
13級 | 1手の小指の用廃 | 180万円 |
14級 | 1手の母指以外の指の第1関節(DIP)を屈伸できなくなった | 110万円 |
尾骨骨折の慰謝料の弁護士基準
引用元:『労災補償障害認定必携』(一般財団法人労災サポートセンター)
尾骨とは、背骨の最下部に位置する骨をいう。尾骨骨折の治療をしても痛みやしびれが残る場合には、12級または14級の後遺障害が認定される可能性がある。
慰謝料の弁護士基準は、それぞれ290万円、110万円となる。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
12級 | 痛み・しびれが他覚所見により証明できる | 290万円 |
14級 | 痛み・しびれが医学的に説明できる | 110万円 |
前十字靭帯損傷の慰謝料の弁護士基準
前十字靭帯とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が前後にずれるのを防ぐ役割を果たす靭帯組織を指す。
前十字靭帯が損傷すると、自発的な治癒能力が低いため手術が必要になることが多い。手術をしても膝関節が強直したり可動域制限が残ったままの場合、以下の表の基準で後遺障害が認定される。
この場合の慰謝料の弁護士基準は、等級に応じて110万円~830万円となる。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
8級 | ・膝関節の強直 ・膝関節の完全弛緩性麻痺 ・膝の人工関節により可動域が1/2以下に制限 |
830万円 |
10級 | 膝の可動域が1/2以下に制限 | 550万円 |
12級 | ・膝の可動域が3/4以下に制限 ・膝の痛み・しびれが他覚所見により証明できる |
290万円 |
14級 | 膝の痛み・しびれが医学的に説明できる | 110万円 |
鎖骨骨折の慰謝料の弁護士基準
肩から首にかけて伸びる鎖骨が骨折した場合、肩関節の可動域制限、鎖骨の変形症、痛み・痺れなどの神経症状が残ることがある。
具体的には、以下の表にある基準に基づいて10級~14級の後遺障害が認定される。慰謝料の弁護士基準は、等級に応じて550万円、290万円、110万円と変動する。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
10級 | 肩関節の可動域が1/2以下に制限 | 550万円 |
12級 | ・肩関節の可動域が3/4以下に制限 ・鎖骨の変形が外部から明らかにわかる ・患部の痛み・しびれが他覚所見により証明できる |
290万円 |
14級 | 患部の痛み・しびれが医学的に説明できる | 110万円 |
背骨の圧迫骨折の慰謝料の弁護士基準
引用元:『労災補償障害認定必携』(一般財団法人労災サポートセンター)
首からお尻に向かって伸びる背骨は、複数の脊椎が組合わせられて構成されている。
交通事故により脊椎に強い衝撃がかかると、脊椎のうちの「椎体」という本体部分がひしゃげたように圧迫骨折することがある。
圧迫骨折の程度は様々だが、その程度に応じて6級~11級までの後遺障害が認定される可能性がある。慰謝料の弁護士基準は1180万円、830万円、420万円のいずれかだ。
一方、椎体の圧迫骨折ではなく、突起部分の骨折にとどまる場合には、12級または14級の可能性が残る。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
6級 | 脊柱に著しい変形または運動障害を残す | 1180万円 |
8級 | 脊柱に運動障害を残す | 830万円 |
11級 | 脊柱に変形を残す | 420万円 |
12級 | 患部の痛み・しびれが他覚所見により証明できる | 290万円 |
14級 | 患部の痛み・しびれが医学的に説明できる | 110万円 |
半月板損傷の慰謝料の弁護士基準
半月板は、膝関節の大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある軟骨組織であり、クッション機能を果たしている。
半月板が損傷すると、自己治癒力が低いため損傷として残りやすい。治療終了後も患部の痛みや痺れが残る場合には、12級または14級が認定される可能性がある。
弁護士基準での慰謝料は290万円または110万円となる。
まとめ表
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
12級 | 患部の痛み・しびれが他覚所見により証明できる | 290万円 |
14級 | 患部の痛み・しびれが医学的に説明できる | 110万円 |
脳・脊髄損傷の後遺障害慰謝料の弁護士基準
脳挫傷や硬膜下血腫に伴う高次脳機能障害の慰謝料の弁護士基準
交通事故で頭部を損傷し、脳挫傷や硬膜下血腫などの傷害を負った場合、入通院による治療の終了後に物忘れ、意思疎通の障害、人格の変容などがみられることがある。
これは、脳挫傷や硬膜下血腫などにより、脳の軸索が損傷し脳の機能が低下することが原因であり、高次脳機能障害と呼ばれている。
高次脳機能障害になった場合、3級、5級、9級の後遺障害が認定される可能性がある。慰謝料の弁護士基準はそれぞれ1990万円、1400万円、1000万円、690万円となる。
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
3級 | 記憶力や注意力、対人能力に著しい障害があり、一般就労が困難 | 1990万円 |
5級 | 単純繰り返し作業であれば就労可能だが、職場の理解と援助が欠かせない | 1400万円 |
7級 | 一般就労可能だが、作業手順が悪く、ミスが多いなど一般人と同等の作業を行えない | 1000万円 |
9級 | 一般就労可能だが、作業効率や持続力が乏しい | 690万円 |
脊髄損傷の慰謝料の弁護士基準
脊髄は、背骨の内部を通る中枢神経である。交通事故により脊髄を損傷すると手足の麻痺などの重篤な後遺障害が残ることが多い。
脊髄損傷による手足の麻痺で介護を要する場合には、1級または2級が認定される。慰謝料の弁護士基準は2800万円、2370万円となる。
介護を要しない場合でも、脊髄損傷による麻痺の程度に応じて3級~12級の後遺障害が認定される。慰謝料の弁護士基準は、等級に応じて1990万円~290万円までの幅がある。
まとめ表
認定基準 | 慰謝料 | |
---|---|---|
1級 | 四肢麻痺、対麻痺により常時介護を要する | 2800万円 |
2級 | 四肢麻痺、対麻痺により随時介護を要する | 2370万円 |
3級 | 四肢麻痺、対麻痺により身の回りの処理は可能だが、労務に服することができない | 1990万円 |
5級 | 対麻痺、単麻痺により極めて軽易な労務以外に服することができない | 1400万円 |
7級 | 単麻痺により軽易な労務以外に服することができない | 1000万円 |
9級 | 単麻痺により就労が相当程度制限される | 690万円 |
12級 | 軽微な麻痺を残すが、広範囲の感覚障害がある | 290万円 |
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まとめ
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
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