【重要】日本における交通事故の死亡原因の順位や割合は?自動車の危険性を理解しよう
2019年2月末時点で、日本の自動車保有台数は82,227,637台となっています。
それほど我々の生活にとって身近な自動車。
非常に便利なものである一方、常に危険と隣り合わせであるということも忘れてはいけません。
というのも、世界中、もちろん日本においても、交通事故は人々の死亡原因の1つになっているからです。
5〜9歳の死因の1位は「思いがけない事故」なんです。交通事故であったり。
だから、信号にはかなり気をつけてる!— 不死身におれはなる!! (@shinanaidoryoku) February 19, 2018
確かに、小さなお子様が不慮の事故で命を落とされたニュースを耳にすることがありますね。
では実際、
日本人の死亡原因の中で、「交通事故」の順位やその割合
はどうなっているのでしょうか。
また、
交通事故で命を落としてしまう死亡原因(死因)となる怪我
には、どのようなものが考えられるのでしょうか。
併せて、
交通事故による死亡事故の場合に請求できる損害賠償の中身や相場
についても、一緒に見ていければと思っています。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
自動車やバイクは非常に便利なものではありますが、毎年多くの方が交通事故が原因で亡くなられているのも事実です。
その死亡原因を知ることで、何か今後の対策につながるかもしれません。
また、もしも被害者の方が亡くなられてしまった場合には、適正な金額の補償を受け取るべきです。
死亡事故に対する補償については、具体的な例も含めながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
交通局交通企画課の「令和元年中の交通事故死者数について」によると、令和元年中の日本における交通事故死者数は3,215人で、昭和23年以降の統計で最少となったそうです。
ただし、上記のデータは、
- 交通事故:道路上での事故に限定
- 死者数:受傷後24時間以内に死亡した場合に限定
したものになっています。
しかし医学的に見れば、道路以外で生じた事故や、事故の後遺症で亡くなられた場合も、死亡には変わりないはずです。
よって、実際にはもっと多くの方が交通事故が原因で命を落とされているのです。
死亡原因のうち「交通事故」の順位や占める割合は?
とはいえ、人間が死亡してしまう原因には、病気や寿命など、他にも多くの原因が考えられます。
では、人間の死亡原因の中で交通事故の順位はどれほどのものなのでしょうか?
まずは、世界でのデータを見てみましょう。
世界の死亡原因における交通事故の順位は?
WHO(世界保健機構)の統計データによると、全世界の疾病負荷(経済的コスト、死亡率、疾病率で計算される特定の健康問題の指標)は以下の通りとなっており、交通事故は10位という結果になっています。
順位 | 疾病(DAILY) |
---|---|
1 | 虚血性心疾患 |
2 | 下気道感染症 |
3 | 脳卒中 |
4 | 下痢性疾患 |
5 | HIV/AIDS |
6 | マラリア |
7 | 腰痛 |
8 | 早産の合併症 |
9 | 慢性閉塞性肺疾患 |
10 | 交通事故 |
11 | 大うつ病 |
12 | 新生児脳症 |
13 | 結核 |
14 | 糖尿病 |
15 | 鉄欠乏性貧血 |
16 | 新生児敗血症 |
17 | 先天異常 |
18 | 自傷行為による怪我 |
19 | 落下による怪我 |
20 | タンパク質エネルギー栄養失調症 |
※ 2015年のWHOの発表データを参照
病気や発展途上国などでの栄養失調なども多くの死亡原因ではありますが、やはり交通事故が原因で亡くなられている方も世界中に多くいらっしゃるのです。
交通事故による死者数が多い原因は?
交通事故についてより詳しく見てみましょう。
総務省統計局の世界の統計2017によると、2015年時点での人口10万人あたりの人身事故発生件数は、
1位:アメリカ(513件)
2位:日本(494件)
3位:オーストリア(454件)
となっており、自動車による交通が普及している国で占められているようです。
その一方、人口10万人あたりの交通事故による死者数は、
1位:南アフリカ(27人)
2位:マレーシア、イラン(24人)
3位:ロシア(19人)
となっており、道路事情や医療事情の影響が死亡原因の1つになっていると言えそうです。
日本人の死亡原因における交通事故の割合は?
以上、世界における死亡原因について見てきました。
日本に関しては、自動車の普及により、交通事故発生件数は世界的に見て多いものの、死亡者数については少ないということがわかりました。
では、日本における死亡原因はどうなっているのでしょうか。
調べてみたところ、2017年時点では以下のようになっていました。
悪性新生物 | 27.8% | |
---|---|---|
心疾患 | 15.2% | |
脳血管疾患 | 8.2% | |
老衰 | 7.6% | |
肺炎 | 7.2% | |
不慮の事故 | 不慮の窒息 | 0.7% |
転倒・転落 | 0.7% | |
不慮の溺死及び溺水 | 0.6% | |
交通事故 | 0.4% | |
煙・火災・火炎への曝露 | 0.1% | |
その他 | 0.5% | |
誤嚥性肺炎 | 2.7% | |
腎不全 | 1.9% | |
自殺 | 1.5% | |
血管性及び詳細 不明の認知症 |
1.5% | |
その他 | 23.4% |
※ 平成29年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)の統計データ参照
交通事故で亡くなられた方の割合としては、死者数全体(134万433人)の中では約0.4%と、確かに日本人の死亡原因の中では低い順位となっています。
それでも、年間4927人もの方が、交通事故が原因で亡くなっているのです。
なお、最初にお伝えした3532人という人数は、道路上での事故で、受傷後24時間以内に亡くなられた方の人数のみになります。
交通事故の死亡原因を知って安全運転につなげよう
次は、交通事故の中でも、死亡にまで至ってしまう原因について詳しく見ていきたいと思います。
歩行中・自転車走行中の交通事故
歩行中・自転車走行中の交通事故による死亡原因:交通ルール違反
2016年度の統計によると、歩行中や自転車での走行中に発生した交通事故のうち、交通ルール違反を犯した場合と犯していない場合の死者数の割合は以下の通りになっています。
歩行者 | 自転車 | |
---|---|---|
違反あり | 61.6% | 72.5% |
違反なし | 38.4% | 27.5% |
※ 平成28年における交通死亡事故について(警察庁交通局)の統計データ参照
当たり前の結果ではありますが、交通ルール違反を犯した場合の死者数の方が多くなっています。
つまり、歩行中や自転車での走行中の交通事故においては、交通ルール違反を犯してしまったことが死亡原因の1つになっていると言えそうです。
歩行者
歩行中の交通ルール違反としては、
- 信号無視
- 走行車両の直前直後の横断
- 横断歩道以外の横断
- 斜め横断
- 横断禁止場所の横断
などが挙げられます。
自転車
自転車に関しては、「自動車対自転車」による衝突死亡事故が全体の42%を占め、最も多く発生しているそうです。
その原因としては、自転車側の
- 交差点安全進行義務違反
- 安全運転義務違反
- 優先通行妨害
- 一時不停止
- 信号無視
といった交通ルール違反も含まれています。
「自動車対自転車」による出会い頭死亡事故に関しては、81%が交差点で発生し、その多くは相互直進中に発生しているそうです。
自動車乗車中の交通事故
では、自動車乗車中についてはどうなのでしょうか?
乗車位置による死者数の違いを見てみたところ、以下のようになっていました。
乗車位置 | 割合 |
---|---|
運転席 | 75% |
助手席 | 11.6% |
後部座席等※1 | 13.4% |
助手席や後部座席には人が乗っていないケースもあるので、もちろん運転席で運転中の方の死亡率が一番高くなっています。
では、その死亡原因としては、どのようなことが考えられるのでしょうか。
自動車乗車中の交通事故による死亡原因①シートベルト非着用
まずは、乗車中のシートベルト非着用が大きな原因となっているようです。
シートベルト着用の有無による致死率(死傷者数に占める死者数の割合)の比較を見てください。
シートベルト | 致死率 |
---|---|
着用 | 0.18% |
非着用 | 2.65% |
※ 平成28年における交通死亡事故について(警察庁交通局)の統計データ参照
見ておわかりいただけた通り、シートベルトをしていない場合には、着用している場合の14.5倍も致死率が高くなっているそうです。
つまり、運転中にシートベルトを着用していないことが、死亡原因の1つとなっています。
自動車乗車中の交通事故による死亡原因②飲酒運転
また、もちろんですが、飲酒運転の場合の死亡事故率(全事故件数のうち死亡事故の占める割合)も非常に高くなっています。
比較してみると、飲酒運転をしていた場合の死亡事故率は、飲酒運転をしていない場合に比べて約8倍も高いんですね。
飲酒以外 | 飲酒 |
---|---|
0.68% | 5.67% |
※ 平成28年における交通死亡事故について(警察庁交通局)の統計データ参照
ちなみに、飲酒運転の運転者の9割以上が男性で、若者・高齢者問わず、すべての年齢層で発生しているそうです。
飲酒運転も交通事故の大きな死亡原因の1つと言えるので、絶対にやめましょう!!!
自動車乗車中の交通事故による死亡原因③操作不適
また、ハンドルの操作ミスやブレーキの踏み間違えなどの操作不適も、交通事故による死亡原因の1つとなっているそうです。
そして、操作不適に関しては、免許を取り立ての20歳以下の運転者や、80歳以上の高齢運転者で特に多くなっています。
年齢 | 件/免許人口10万人 |
---|---|
16~19歳 | 29.33 |
35~39歳 | 2.72 |
80~84歳 | 21.34 |
85歳以上 | 33.82 |
※ 平成28年における交通死亡事故について(警察庁交通局)の統計データ参照
とはいえ、免許が取り立てであったり、高齢者の方であっても、車に乗ることを止める権利は誰にもありませんよね。
ただし、操作ミスが死亡率を高めることは確かであり、年齢によってその確率は変わってくるということは覚えておいた方が良いのかもしれません。
交通事故による死亡の原因となる怪我について
ここまで、交通事故の中でも死亡事故となりやすい状況について見てきました。
では、交通事故に巻き込まれた場合、どのような怪我を負うと、死亡につながってしまうのでしょうか。
「頭部外傷」が交通事故による死因の70%
皆さまのご想像通りかとは思いますが、交通事故で負う怪我の中でも、頭部外傷や内臓損傷を負った場合、残念ながら死亡してしまう可能性が高いようです。
特に、頭部外傷に関しては、全交通事故死因の70%を占めるとも言われているそうです。
ここからは、事故の状況ごとに負いやすい死亡原因となり得る怪我について見ていきたいと思います。
自動車運転中の死亡原因となり得る怪我
車両前部への衝撃
まず、交通事故で一番多く考えられるのが、車両前部への衝撃ではないでしょうか。
車同士の正面衝突や壁面などへの衝突、事故の衝撃で高いところから転落してしまう場合など、様々な状況が考えられます。
その際、もしもシートベルトをしていなければ、衝撃で前に跳ね飛ばされ、車内のどこかに衝突してしまうはずです。
事故の程度によっては、フロントガラスから飛び出してしまうこともあるでしょう。
頭部・顔面部
いずれにせよ、頭部や顔面に大きな損傷を負ってしまうことが考えられます。
その中でも、頭蓋骨骨折や脳挫傷、頭蓋内出血や頸椎損傷などを負ってしまった場合、残念ながら死亡してしまう可能性も高くなります。
特に助手席の方は、頭部を損傷する確率が高いそうです。
また、頚椎損傷に関しては、第4頸髄以上を損傷した場合、横隔膜神経麻痺のため呼吸障害を生じ、即死の可能性も高いそうです。
頭部骨折 | 頭蓋骨骨折 頭蓋底骨折 |
---|---|
脳損傷 | 脳挫傷 びまん性軸索損傷 |
脳内出血 | 硬膜下血腫 くも膜下出血 |
頚椎損傷 | 脊椎骨折 脊髄損傷 |
※ それぞれの症状について詳しく知りたい場合は、各症状名をクリックしてみてください。
胸部・腹部
また、運転者の場合、シートベルトをしていたとしても、ハンドルに前胸部をぶつけ、肋骨骨折や胸骨骨折、大動脈離断、心臓破裂、心臓振盪などを起こす可能性も高いそうです。
骨折であっても、折れた骨が肺や内臓を傷つけてしまえば、死亡につながってしまうリスクが考えられます。
さらに事故の程度によっては、腹部まで影響が生じ、肝臓破裂などを引き起こすこともあるそうです。
その他、事故の衝突により車体がつぶれてしまった場合には、胸部圧迫による窒息も考えられます。
また、シートベルトは命を守るものでもありますが、事故の状況によっては、肋骨骨折や心臓損傷、肺損傷、腸管・腸間膜破裂、膵臓損傷、腰椎損傷、腹大動脈損傷などを引き起こす可能性もあるそうです。
エアバッグについても、安全装置である一方、場合によっては頚椎脱臼などの重篤な損傷の原因となる可能性もあるそうです。
内臓損傷 | 心臓破裂 心臓振盪 肝臓破裂 膵臓損傷など |
---|---|
骨折 | 肋骨骨折 胸骨骨折 |
その他 | 胸部圧迫による窒息 大動脈離断 頚椎脱臼 |
※ それぞれの症状について詳しく知りたい場合は、各症状名をクリックしてみてください。
下肢部
その他、ダッシュボード部分への激突により、下肢の表皮剥脱、大腿骨や下腿骨、骨盤を骨折してしまう可能性も考えられるとのこと。
これは、運転者・同乗者のいずれにも可能性があります。
骨折であっても、骨が血管を傷つけてしまえば出血多量となったり、開放骨折してしまえば感染症などを引き起こし、死亡につながるリスクがあるものなのです。
骨折 | 大腿骨骨折 骨盤骨折 |
---|---|
その他 | 表皮剥脱 |
※ それぞれの症状について詳しく知りたい場合は、各症状名をクリックしてみてください。
車両側面への衝撃
交通事故は、正面衝突だけではありませんよね。
側面から衝突されるケースも考えられます。
車の側面に衝撃を受けた場合、保護装置がないために、正面から衝撃を受けるよりも大きな損傷を負ってしまう可能性が高いそうです。
よって、上記で挙げたすべての損傷が、死亡原因となってしまう可能性が考えられます。
車両後方への衝撃
また、後ろから衝突されるケースも多いに考えられます。
後ろから追突された場合、一般的にはむちうちなど、比較的軽度な怪我で済むことが多いそうです。
ただし、車体がつぶれるほどの大事故の場合、後部座席に乗っていた方が大きな損傷を負ってしまう可能性が高くなります。
その場合、上記で挙げたすべての損傷が、死亡原因となり得るでしょう。
その他
他には、事故の衝撃により燃料が漏れ出し、引火してしまった場合、車両火災が発生します。
その場合、一酸化炭素中毒や煙による窒息や、火傷が死亡原因となることも考えられますね。
二輪車運転中の死亡原因となり得る怪我
次に二輪車の事故の場合、生身で走るもののため、車との事故では弱者になり、非常に大きな怪我を負うことが多くなります。
バイクは生身で走行する乗り物です。
ほんのちょっとしたバランスで死に追い込まれる危険極まり無い乗り物です。
ライダーさんもそうですが、バイクを見かけたドライバーさんも気をつけて追い越したりすれ違ったりしてください。
by原付ライダー経験者 https://t.co/2sY53kVujD— すぐる @ドングリ四等兵🏳🌈 (@sugurugumi) January 10, 2018
二輪車運転中の死亡原因としては、頭部や頚部の損傷であることが非常に多いそうです。
ヘルメットをしていることで、その損傷の程度は大きく変わってきます。
他には、事故の衝撃により燃料タンクに激突して、骨盤損傷を負ってしまうこともあるとのこと。
先ほども述べた通り、骨折した骨が血管を傷つけたり、開放骨折してしまえば、非常に危険な状態となります。
歩行中の事故による死亡原因となり得る怪我
最後に、歩行者の方が交通事故の被害にあった場合にはどうなのでしょうか。
衝突損傷
歩行者の方がボンネット型の乗用車に衝突された場合、まず車のバンパーにより、下腿や大腿部に損傷を受けます。
主には、表皮剥脱や皮下出血、骨折となるようです。
跳ね上げ損傷
ただし、事故の衝撃は凄まじいものですよね。
ボンネット型乗用車の場合、衝突時のスピードが30km/hを越すとボンネットに跳ね上げられ、70km/hではルーフ、100km/h以上ならば後方に飛ばされてしまうのです。
そうなれば、ピラーなどで脳損傷を生じる可能性が考えられます。
他に頚部損傷なども負うこととなり、死亡につながってしまう可能性が非常に高くなるのです。
転倒損傷
そして、路面に落とされてしまった場合、別の車に跳ねられる危険性もあります。
もしも車に轢かれてしまった場合、頭部外傷や内臓損傷は免れません。
また、車に身体や着衣の一部を引っ掛けられて引き摺られた場合にも、死亡の可能性は高まるでしょう。
交通死亡事故に対する損害賠償の内容や相場についても解説
以上、交通事故の死亡原因について、様々な角度から見てきました。
ところで、交通事故が原因で被害者の方が死亡してしまった場合には、加害者側本人や相手側の保険会社からしっかりと補償を受け取るべきですよね。
ここからは、被害者の方が死亡してしまった場合に受け取れる損害賠償について、見ていきたいと思います。
死亡事故の賠償金額の主な内訳
交通事故による死亡事故についての損害賠償金・示談金の主な内訳としては、
- 葬儀費用
- 死亡慰謝料
- 死亡による逸失利益
の3つになるそうです。
ただし、死亡事故といっても、治療が施され、一定期間入通院をした後にお亡くなりになるケースもあります。
そういった場合の治療費や入通院慰謝料などについても、当然請求できることになりますので注意しましょう。
治療費や入通院慰謝料については、こちらの記事もご覧になってみてください。
交通事故の怪我の治療や入通院慰謝料についてはコチラ。
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慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
では、それぞれどれくらいの金額が受け取れるものなのか、相場について見ていきたいと思います。
その前に、慰謝料の基準は1つだけではないってご存知でしたか?
慰謝料などの損害賠償には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しています。
交通事故の損害賠償を受け取るにあたっては、非常に重要になってくるものなので、詳しく知っておきたいですね。
自賠責基準
まず、自賠責基準とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者の方が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
次に任意保険基準とは、任意保険会社が定めている基準になります。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているはずですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は低いことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが弁護士基準なのだそうです。
これは、弁護士を付けて裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のことになります。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのはどう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
死亡で受け取れる損害賠償の相場は?
3つの相場についてわかったところで、それぞれの金額について見てみましょう。
葬儀費用
まず、葬儀費用については以下の通りです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
原則 | 60 | 150 (下回る場合は実際の金額) |
|
上限 | 100 | 社会通念上必要かつ妥当な額 |
原則の金額を見ても、やはり弁護士基準での補償を受けるべきですよね。
ぜひ、弁護士に相談して、妥当な金額の賠償を受けて欲しいと思います。
死亡慰謝料
次に、死亡慰謝料とは、その生命を失ったこと自体に対する精神的苦痛を填補するためのものです。
まず、自賠責での死亡慰謝料は、以下のように定められています。
被害者本人一律 | 遺族※ | 被扶養者がいる場合 | |
---|---|---|---|
350+ | 1人 | 550 | +200 |
2人 | 650 | ||
3人以上 | 750 |
※ 被害者の両親、配偶者、子のみ
次に、任意保険と弁護士基準では以下の通りになっています。
被害者の立場 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
一家の支柱 | 1500〜2000 | 2800 |
母親、配偶者 | 1200〜1500 | 2500 |
その他 | 1300〜1600 | 2000〜2500 |
死亡慰謝料についてもやはり、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者の方だけで保険会社と交渉を続けても、低い金額しか支払われないことがほとんどです。
加害者が任意保険に加入している場合には、弁護士を通して交渉すると、弁護士基準の慰謝料が支払われることがほとんどです。
示談交渉に際しては、ぜひ弁護士に相談していただきたいと考えております。
また、死亡慰謝料については、家庭内での役割に応じて変わってくるもののようです。
よって、高齢者やお子様の場合には相場よりも低くなってしまうケースも考えられるそうです。
高齢者や子供の死亡慰謝料についてはコチラ。
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死亡による逸失利益
最後に、交通事故による死亡事故が発生した場合、被害者の方が生存していれば得られたであろう経済的利益が失われることになります。
そのことに対する補償が、逸失利益となっています。
逸失利益の計算方法は、以下の通りです。
(基礎収入)×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)
詳しく知りたい方は、「死亡による逸失利益の計算」の記事をご覧ください。
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しかし、非常に残念ながら、大切なご家族を死亡事故で失ってしまった場合、突然ご家族を失われた悲しみは計り知れないものとお察しいたします。
残されたご家族の悲しみは決して癒えないことかと思いますが、今後の生活のためには、適正な損害賠償金・示談金を受け取る必要があります。
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また、専門家である弁護士がお力を貸せるお悩みや問題もきっとあるかと思いますので、遠慮することなく弁護士に相談だけでもしてみて下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 日本や世界の死亡原因における交通事故の順位や割合
- 交通事故の被害者の方の死亡原因となる怪我
- 死亡事故の場合に請求できる損害賠償の中身や相場
などについて、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、少しでも不明な点がある場合には、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
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交通事故における死亡原因Q&A
交通事故によって死亡してしまう主な原因は?
歩行者や自転車での交通事故の死亡原因としては、信号無視などによる交通ルール違反が主な原因となっています。特に自転車は自動車との出会い頭での衝突事故が多くみられています。自動車の交通事故による死亡は、飲酒運転や操作ミスなどといった過失が主な原因となっています。 交通事故で死亡してしまう主な原因
交通事故における死亡率が高い怪我は?
交通事故で死亡率が高いのは、頭部や首のけがです。自動車や二輪車の交通事故では、シートベルトの未着用による頭部などの怪我によって死亡するケースがあります。歩行者の交通事故では、車と衝突した衝撃で脳に損傷を受けたり、頚部損傷によって死亡してしまう場合があります。 死亡の原因となる交通事故の怪我とは
死亡した場合の損害賠償の種類は?
交通事故によって死亡した場合、損害賠償の内訳には3つの種類があります。①葬儀費用②死亡慰謝料③死亡によって得られなくなった利益に対する補償です。ただし、被害者が一時的に生存したものの通院後に死亡した場合は、治療費や慰謝料も請求できることがあります。 死亡事故におけるの損害賠償の内訳
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。