交通事故で肋骨骨折|【ずれてくっつく場合の後遺障害は?
目次
Q1.交通事故で肋骨骨折になる場合とは?
肋骨はいわゆる「あばら骨」のことであり、心臓を中心とした胸部にある内臓を保護するための骨です。
助軟骨を介して胸骨に繋がっている7本の真肋と、胸骨に繋がっていない5本の仮肋、合わせて12本の骨から成立しています。
骨折が起こる際は、心臓より下部にある第5骨から第8骨の間、特に第7骨で起こることが多いようです。
交通事故で肋骨骨折になる場合の例として追突事故があります。
赤信号で停車していたところを後ろから追突されてその衝撃で車のハンドルに胸を強打してしまい、骨折する場合です。
また、自転車やバイクを運転していたところに自動車と衝突して転倒し、身体を地面に強打したことによって肋骨骨折してしまうことも多々あります。
また、肋骨は12本と細かく分かれているため、1本ごとの強度は低いです。
そのため、衝撃で作動したエアバックに胸が押しつぶされることで骨折する事例もあるのです。
ハンドルやエアバックが原因の骨折は、被害者がシートベルトをしていない時に特によく起こります。
Q2.肋骨骨折の症状と治療方法は?
肋骨骨折は、程度が軽い場合は本人にもなかなか自覚ができないことがあります。
交通事故の被害にあって胸部を強打したり、痛みを感じたりする場合には、必ず病院で検査を受けましょう。
レントゲンやMRIなどで骨折の有無を確認するほか、血液検査や超音波検査、心電図検査が必要になることもあります。
肋骨骨折が発覚した場合は、外科的(手術)療法・保存療法・緩和ケアなどによって治療を行うことになります。
大半の場合では、コルセットやバストバンド(さらしのような形状の固定バンド)によって負傷部位を固定する保存療法が行われることになります。
しかし、重症の場合には手術の必要性も生じるのです。
また、手術が必要とされるような重症の場合には内臓を損傷している可能性も高くなりますので、並行して内科治療も行うことになります。
肋骨骨折の基本的な症状や、くしゃみや咳や呼吸をしたとき、また、かがんだり起き上がったりしたときに胸部に痛みが生じることです。
骨折した箇所によっては心臓近くにある敏感な神経を損傷してしまい、非常に強い痛みを感じる状態になることもあります。
また、骨折の程度が重い場合には患部が内出血したり、内側に折れた骨によって内臓損傷してしまうリスクもあるのです。
肋骨の付近には肝臓や膵臓のほか、心臓や肺など生死に直結する臓器が集まっているため、深刻な状態になることもありえます。
そのため、胸部に衝撃を受けた交通事故では、事故後の速やかな診断と治療が何よりも大事なのです。
Q3.肋骨骨折の後遺症とは?
骨折は治療が終了しても後遺症が残る場合があります。
肋骨骨折では、骨折によって移動した骨の位置が元に戻りきらないままずれてくっつくことで、変形障害が起こる場合があります。
また、変形障害は骨自体の欠損によって起こる場合もあります。
また、骨自体はきれいに治っても、肋骨の周辺の神経を損傷することで、負傷した位置の周辺に痛みや痺れを感じ続けてしまう場合があります。
このような症状は神経症状と呼ばれます。
Q4.後遺障害の等級が認定される方法とは?
交通事故における損害賠償の項目は、傷害部分と後遺障害部分に分けられます。
傷害部分とは、事故による怪我が原因で発生した損害に対する賠償を指します。
傷害部分に含まれる具体的な項目は、治療費、休業損害、入通院慰謝料などになります。
後遺障害部分の損害賠償とは、事故による怪我が原因の後遺症による損害に対する賠償となります。
障害を負ったことにより生じた精神的苦痛に対する賠償金が、後遺障害慰謝料です。
また、障害のために失われる将来の収入に対する賠償金である逸失利益を請求することもできます。
逸失利益の金額は、被害者の年齢・職業・収入や、障害ごとの労働能力喪失率から算出されます。
後遺傷害部分の損害賠償を請求するためには、後遺障害等級の認定が必要となります。
等級を認定してもらうためには、損害保険料率算出機構に申請を行う必要があります。
申請方法は二種類あり、加害者側の任意保険会社が書類を提出する方法は事前認定と呼ばれます。
もう一つの申請方法である被害者請求では、被害者側が書類を提出して申請します。
Q5.肋骨骨折で起こる後遺障害の具体的な等級は?
肋骨骨折による変形障害の後遺症障害等級は第12級となります。
変形骨折は外見からわかる障害であるため、患部の写真や検査結果などの書類をしっかり準備しておけば、等級認定がされる可能性は高いでしょう。
神経症状としては、12級または14級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
ただし、神経症状で12級が認められるためには客観的な医学的所見が特に重要となります。
神経症状は外見からはわからないため審査機関も等級の認定には慎重になり、提出書類に不備がある場合には等級自体が認定されない可能性も生じます。
自覚症状を細かく医師に伝え続けて、症状の経過を後遺障害等級診断表に細かく記載してもらうことが大切です。
Q6.後遺障害等級を認定しやすくするためには?
後遺障害等級の認定を申請しても、申請が却下され、等級が認定されないことがあります。
等級が認定されない場合、事前認定によって書類を出していることが原因であることが大半です。
後遺障害等級が認定されると、被害者が示談金で請求できる項目が増えます。
保険会社の側からすれば、支払う示談金の金額がはね上がることになります。
そのため、事前認定では最低限の書類しか提出してもらえず、等級が認定されるための工夫をしてもらえない場合が多いのです。
後遺障害等級の認定の成否は、医師によって作成される診断書や後遺障害診断書に左右されます。
特に神経症状の場合は、外見から判別することは困難です。
そのような障害の等級認定を申請するうえでは、精密検査の結果や、MRI画像・レントゲン写真などの客観的な医学的所見の有無が大きな影響を与えます。
被害者請求を行う場合であれば、医師に相談して、等級が認定されやすくなるような適切な診断書を作成してもらえるように頼むことができるのです。
後遺障害等級認定の申請の結果に不服であれば、異議申し立てを行うことはできます。
しかし、いちど申請の結果が出てしまうと、異議申し立てを行っても結果が変わらない可能性は高いです。
そのため、最初に申請を行うタイミングで、適切な書類を準備しておくことが重要となります。
後遺障害等級の認定の申請の方法や、提出する書類の内容については、弁護士に相談することができます。
さらに、示談交渉も弁護士に担当させれば、慰謝料も高額な弁護士基準で請求することが可能になります。
最終的に請求できる金額は大幅に増額することが多いため、弁護士に相談することをおすすめします。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。