労災は使わない方がいい?通勤中・業務中に交通事故にあった時の補償
目次
Q1.通勤中・業務中の交通事故で労災は使わない方がいい?
通勤中・勤務中の交通事故で怪我を負ったら基本的には労災保険が使えます。労災保険料は全額事業主負担なので労災を使わない方がいいと思われることもあるかもしれませんが、労災を使うかどうかは労働者本人やその家族に権利があります。
業務中・通勤中と一口にいっても労災の対象になるかどうかは状況によって変わってきます。この点についてはQ2.で解説していますので併せてご覧ください。
Q2.労災の対象になる業務中・通勤中とは?
業務中の交通事故は基本的に「業務災害」として労災保険が使えます。もっとも、勤務時間内でも休憩時間中の交通事故や業務をさぼっていたなど私用の最中の交通事故は業務災害としては認められないので労災保険が使えません。
通勤中の交通事故は「通勤災害」として労災保険がもらえます。もっとも、合理的な経路と方法による通勤であったと認められた場合にかぎられています。電車が止まっていたといった交通事情など特別な理由もなく、一般的に合理的な経路や方法といえない通勤ルートを通っていたり、映画館に寄るなどの寄り道をしたような場合は通勤災害として認められないので注意が必要です。
Q3.自賠責を使ったら労災は使わない方がいい?
労災と自賠責などは二重取りにならない範囲で併用が可能です。むしろ両方をうまく組み合わせることで、どちらか一方だけに請求するよりも多く補償がもらえる項目があります。
たとえば、交通事故の怪我で休業した期間の減収分に対して支払われる自賠責保険などの休業損害/労災の休業補償に関しては、労災から別途、お見舞金という形で「休業特別支給金」がもらえます。
労災の休業補償は、給付基礎日額の60%の実休業日数分(休業をはじめて4日目~完治または症状固定まで)しかもらえません。給付基礎日額の残りの40%と、休業開始日から3日間の減収分は自賠責などに対して請求することになります。それに加えて労災からは休業特別支給金がもらえることになるのです。
合計 | |
---|---|
自賠責など | 休業損害 =収入の日額×(休業1日目~3日目) =給付基礎日額の40%×(休業4日目~完治または症状固定日) |
労災 | 休業補償 =給付基礎日額の60%×(休業4日目~完治または症状固定日) |
休業特別支給金 =給付基礎日額の20%×(休業4日目~完治または症状固定日) |
Q4.労災では慰謝料がもらえない?
労災から慰謝料に相当するものはもらえません。労災は労働者の保護を目的としており、精神的な苦痛に対する補償である慰謝料は労災の補償内容に含まれていません。
もっとも、労災の補償内容に慰謝料が含まれていないという話なので、交通事故の相手方が加入する保険会社や相手方本人に対して、別途、慰謝料は請求することができます。
Q5.労災を使うかは弁護士に相談したほうがいい?
交通事故を専門的にあつかう弁護士に相談することをおすすめします。労災保険の仕組みは複雑ですし、労災の対象になる交通事故かどうかの判断がむずかしい場合があります。
交通事故分野に精通した弁護士に相談してみることで、今後の対応についてアドバイスが得られます。以下の窓口では専属スタッフから無料相談の案内が受けられます。LINE・電話から24時間365日いつでも利用可能です。
※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。
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代表岡野武志(第二東京弁護士会)
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。