交通事故で脊椎圧迫骨折の後遺症…後遺障害慰謝料や治療費、保険金獲得のポイントは!?
ある日突然、交通事故で脊椎圧迫骨折の後遺症が残ってしまったとしたら…。
これからも長く続く治療やリハビリの生活では、
- 脊椎圧迫骨折から回復するために支払う治療費
- 怪我をしたことや後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料
などの保険金。さらに、
- 将来の平穏な暮らしを確保するための生活費
- 確実な補償を得るための後遺症等級の認定
の問題を避けて通ることはできません。
さて、ここで問題です。
脊椎圧迫骨折の後遺症との関係で、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
※ 知っている人はみんな利用している方法です!
生活費や治療費の悩みを解決する方法を次の中から選んでください。
選択肢①:
脊椎圧迫骨折との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
脊椎圧迫骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
脊椎圧迫骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
裁判、増額請求、再計算…。
正解は、この記事の後半で弁護士先生に詳しく解説してもらいましょう!
それでは、脊椎圧迫骨折の後遺症でお悩みの方へ。
脊椎圧迫骨折による負担や、相手側の保険会社との交渉によるストレスから解消される方法についてまとめてみました。
ぜひご一読ください。
目次
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の被害に遭われ、心身ともにお辛い日々を送られているとお察しします。
また、脊椎圧迫骨折の後遺症が残ってしまった場合、日常生活への影響もあり、少なからず負担を感じているはずです。
実際に、後遺症でお悩みの方から、これまでに相談を受けてきた経験があります。
今回はその経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
まず、脊椎圧迫骨折とは、なんとなくどのような状態のことなのか想像できるかと思います。
脊椎圧迫骨折:
脊椎(背骨)が押しつぶされるように変形してしまった状態
しかし、具体的な症状や治療法にまで詳しいという方は少ないかもしれません。
まずは、脊椎圧迫骨折についての基礎知識から詳しく見ていきましょう。
脊椎圧迫骨折の後遺症|治療や回復に向けたリハビリの大切なポイント
痛み?しびれ?脊椎圧迫骨折の症状とは…
脊椎圧迫骨折とは、脊椎=背骨が押しつぶされるように変形してしまった状態のことです。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/17/Blausen_0250_CompressionFracture_Vertebrae.png
原因としては、
- 交通事故や転落などによって腰を強く打ったことによる外傷性骨折
- 骨粗鬆症やガンが背骨に転移したことでくしゃみなどのわずかな衝撃で起こる病的骨折
の2種類に分けられるそうです。
寝たきりの原因の第3位にもなっているようですが、脊椎圧迫骨折を負った場合、どのような症状が現れるのでしょうか。
調べてみたところ、以下の通りということです。
●主な症状
〇骨折直後の時期には強い痛みがある
〇背中、腰など骨折のある部位が痛む
〇起き上がったり歩くのが辛くなる
〇重症例では脊髄損傷を起こし、脚の麻痺やしびれが生じる場合がある
●時間が経ったあとの症状
〇骨折が複数箇所に生じると背中が丸くなり、身長が低くなる
骨折しているので当たり前かもしれませんが、寝返りも打てないほどの強い痛みを感じるようですね…。
「腰椎圧迫骨折」は脊椎圧迫骨折の一種で、外部から加えられた圧迫する力によって、脊椎の椎体と呼ばれる部分がつぶれてしまうことによって起こる。
特に受傷してから骨折症状が治るまでの期間は、歩くことはおろか、寝返りを打つことさえ困難なほどの激痛に襲われる…— 春造 (@nakazoh31) May 25, 2016
事故後、背中の強い痛みが引かなかったり、背中が真っ直ぐにならず曲がっていたりといった症状が見られる場合は、整形外科を受診するようにしてください。
基本的にはレントゲン検査で骨折の状態が確認されます。
ただし、急性の圧迫骨折があるかどうかはっきり診断するためにはMRI検査も必要となってくるようです。
治る可能性は?脊椎圧迫骨折の治療についてご紹介
では、脊椎圧迫骨折に対する治療法はどのようになっているのでしょうか??
完治することは可能なのでしょうか…。
神経系に傷がつけば、治らないこともあるのでしょうか…。
脊椎圧迫骨折 – Google 検索 http://bit.ly/awBfzJ かなり痛そうですな…。神経系に被害がなければ治るようでちょっと安心。>青山選手負傷
— MMGP (@motto_motogp) June 22, 2010
調べてみたところ、以下の通りということです。
●主な治療法
〇保存療法:コルセットなどの専用装具を使って安静にする。通常では、3-4週で骨が形成され痛みが治まってくる
〇薬物療法
・NSAIDs:痛み止め
・アセトアミノフェン:痛み止め
・カルシトニン:骨の吸収を抑えるホルモンで、骨粗しょう症がある場合に悪化を防ぐため使うことがある
〇手術:高度の圧迫骨折や、骨折部が更に変形する可能性がある場合、痛みがずっと残る場合には手術が必要になることがある
・脊椎固定術:脊椎をプレートで固定する
・セメント固定術:つぶれた脊椎を固めて、もとの形に戻す
・骨折を治す目的ではなく、骨折によって大事な神経(脊髄)が傷つくことを防ぐために行われる
基本的には、コルセットなどで固定しながら安静にし、骨が形成されるのを待つ保存療法がとられるそうです。
安静にしていれば、通常3~4週間で骨が形成され、痛みも治まってくるようです。
痛みがある間は、痛み止めを服用する薬物療法がとられることもあるそうです。
また、骨粗鬆症が進行している場合には、骨粗鬆症の悪化を防ぐ薬の服用も推奨されるとのことです。
ただし、脊椎圧迫骨折の中でも、破裂骨折をしてしまった場合には、神経を傷づける恐れもあり、緊急手術が行われるそうです。
その他、骨粗鬆症がひどい場合や、痛みが長期間消えない場合にも、手術が必要となるそうです。
手術には、脊椎を金属のプレートで固定したり、つぶれた脊椎にセメントを入れて、もとの形に戻すという方法があるとのことです。
圧迫骨折と破裂骨折の違い
ところで、「破裂骨折」という言葉が出てきました。
破裂骨折も圧迫骨折の一種にはなるようです。
ただし、おわかりの通り、圧迫骨折は脊柱が上下方向から圧迫され、椎体がつぶれてしまっている状態です。
骨粗鬆症などが原因で起こり、脊柱の中央柱の損傷までには及ばないようです。
一方、破裂骨折では、中央柱にまで骨折が及び、場合によっては後方の脊髄の損傷につながるリスクもあるそうなのです。
交通事故などで強い衝撃を受けた場合には、ひどい圧迫骨折となり、破裂骨折まで生じてしまうケースが多いようです。
脊椎圧迫骨折の後遺症に対するリハビリ
基本的には安静にしていることが望まれますが、その間の体力や筋力の低下を防ぐ必要があります。
また、骨折した骨が元の状態に戻ることは難しいため、長期的にリハビリが必要となってくるようです。
徐々に活動範囲を広げ、問題なく自宅での生活が行えるように戻ることがリハビリの目標です。
一般的なリハビリ方法をご紹介
受傷後2週間程度は、可能な範囲での立位、歩行や、力学的に負荷の少ない起居動作方法の指導がメインとなるそうです。
その後、疼痛が軽減してくれば、コルセットなどでの固定を継続しながら、運動療法を開始し、下肢の抗重力筋、体幹屈筋、伸筋の筋力強化が行われます。
ただし、まだ体幹の屈曲や回旋運動は行わないようにする点には注意してください。
固定が外れた後は、全身の筋力強化や、脊柱の可動域の改善に向けた訓練が行われます。
他に、転倒防止に向けたバランス訓練も重要となってくるそうです。
自宅で行うことも可能ですが、最初は必ず専門家の指導を受けてください!
また、決して無理はせず、痛みを感じたらすぐに休むようにしてください。
保険会社との交渉前に①交通事故による脊椎圧迫骨折の治療に対する慰謝料や治療費は?
脊椎圧迫骨折の症状や治療法について理解を深めていただけましたでしょうか。
しかし、手術やリハビリをすることになった場合、その間の生活費や治療費、仕事を休まなければならないことに対して、不安ばかりですよね。
最初に、
リハビリ中の生活費や治療費の悩みを解決するためにできることがあるって知っていましたか?
とお聞きしました。
ここからは、その答えを、岡野弁護士に話を聞きながら、詳しく見ていきましょう。
治療費の支払いは誰が?
まずは、入通院中の治療費についてです。
交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払い方法としては、被害者の方が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求するという形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
交通事故でも健康保険で通院できる!?
また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。
ところで、交通事故では健康保険を使用できないと誤解されていらっしゃる方も多いようですね。
交通事故で病院行くと健康保険使えないから気を付けてね
— misaqi1009/みさきち (@misaqi1009) October 7, 2017
しかし、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています
ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。
健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。
ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
支払いが困難な場合には…
しかし、交通事故による怪我の治療が長引いた場合、支払いが困難になってしまうことも考えられます。
そういった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
被害者ご本人が傷害保険に加入している場合、過失割合に関係なく契約に応じた保険金が支払われます。
また、加害者が加入している自賠責保険の仮渡金制度を利用するという方法もあります。
仮渡金制度とは、
損害賠償金の確定前に、被害者の方が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる
という仕組みのことです。
ただし、最終的な賠償額よりも多い金額を受け取ってしまった場合には、差額を返却する必要がある点には注意が必要です。
入通院慰謝料の相場について解説
治療費の他に、ケガの痛みや治療による苦痛に対する補償である入通院慰謝料というものも支払われます。
この入通院慰謝料は、治療にかかった期間が、慰謝料のほぼ唯一の基準となっているということです。
以下に、入通院慰謝料の相場を示しましたので、ご覧になってみてください。
表の見方としては、たとえば入院を5ヶ月、通院を12ヶ月した場合には、280万円の入通院慰謝料が支払われることになります。
ちなみに、自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。
- 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
- 総治療期間
長期間通院すれば良いワケじゃない!?通院頻度と慰謝料の関係をお教えします!
では、治療の日数により慰謝料が決まるということであれば、通院頻度を低く、長い期間通った方が高い慰謝料をもらえるのか!?という疑問があります。
しかし、通院頻度が少ない場合には、慰謝料が減額されてしまうケースもあるということなのです。
通院頻度と慰謝料の関係
- ① 通院が1年以上にわたり、通院頻度が1ヶ月あたり2~3回程度にも達しない場合
- ② 通院を継続しているものの、治療よりも検査や治癒経過観察の意味合いが強い場合
の場合には、通院期間を限度にして、実治療日数の3.5倍程度の日数を基準として慰謝料を計算する。
もう少し具体的に説明しますね。
たとえば、①のケースを考えてみます。
極端な例ですが、通院期間が半年で、実通院日数が8日しかなかったとしましょう。
通院期間が基準であるならば、半年通院=慰謝料116万円もらえるのかというと違います。
この場合、通院頻度が1ヶ月あたり2回に達していないので、8×3.5=28日(≒1ヶ月)が適用され、慰謝料は28万円ということになってしまうのです。
原則 | 例外 |
---|---|
通院期間により算定 | 通院期間を限度として、実治療日数の3.5倍程度により算定 |
このように、慰謝料の算定には例外ルールなどもあり、被害者ご本人だけではわからないことも多くあると思います。
適正な慰謝料獲得に向けて、少しでも不明点がある場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
保険会社との交渉前に②圧迫骨折の後遺症に対する後遺障害慰謝料や保険金は?
治療中の費用の補償については、わかってきました。
ではここからは、最初の質問に対する回答について解説してもらおうと思います!
選択肢①:
脊椎圧迫骨折との関係で、後遺症認定を獲得し、保険会社に慰謝料の増額請求をする。
選択肢②:
脊椎圧迫骨折によって失った将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求める。
選択肢③:
脊椎圧迫骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こす。
費用に関する悩みを解決するための正解は、上記の選択肢のうちのどれなのでしょうか…。
正解は、上記の選択肢①~③のすべてになります。
そうなのですね!?
では、正解の内容について、詳しく解説してもらいましょう。
選択肢①後遺症の等級認定を獲得し、慰謝料を増額請求する
【注目】圧迫骨折に対する後遺症等級認定基準について解説
ところで、治療やリハビリを行えば、完治する可能性は高いとのことでした。
しかし、骨折の程度が大きく、「破裂骨折」にまで至った場合には、その骨片が脊柱管内に押し出され、脊髄を圧迫してしまうこともあるということでした。
そうなった場合、運動や感覚の麻痺を起こす可能性があり、場合によっては歩行障害などの後遺症を残してしまうリスクもあるそうなのです。
脊椎圧迫骨折の後遺症としては、脊柱の変形障害が考えられます。
また、頸部や胸腰部の可動域が制限される脊柱の運動障害といった後遺症が残る可能性も考えられます。
そして、骨折部位に痛みが残る神経症状の後遺症も可能性として考えられます。
さらに、頸椎破裂骨折の場合には、脊髄が圧迫され麻痺が残る可能性も考えられます。
ここで、後遺症の等級は1級~14級まで定められており、等級ごとに認定基準が定められているということです。
残存する症状が重ければ重いほど、数字の低い等級に該当するとも聞きました。
脊椎圧迫骨折の場合の等級認定の基準はどのようになっているのでしょうか?
脊柱の変形障害は後彎または側彎の程度やせき椎固定術・椎弓形成術の実施の有無などにより、6級~11級の認定の可能性があります。
また、脊椎圧迫骨折、脊椎椎固定術又は項背腰部軟部組織の器質的変化の有無や可動域の制限の部位・程度により6級5号、または8級2号の認定の可能性もあります。
そして、骨折部位に痛みが残った場合に局部の神経系統の障害である12級13号、または14級9号が認定される可能性があります。
さらに、脊椎破裂骨折に伴う脊髄損傷により身体の麻痺が残ってしまった場合、麻痺の範囲と程度により1級~12級の認定の可能性があります。
脊椎圧迫骨折を起こすと、腰の可動域制限や神経症状が現れる可能性があるのですね。
下の表に、後遺症の認定基準をまとめてみましたので、良ければご覧になってみてください。
重要
脊椎圧迫骨折で考えられる後遺症の等級
後遺症名 | 概要 | 後遺症等級 |
---|---|---|
脊柱の変形障害 | ・脊柱が後彎又は側彎 ・脊椎固定術の実施 ・椎弓形成術の実施 |
・6級5号 ・8級相当 ・11級7号 |
脊柱の運動障害 | 最低でも健側の1/2以下に制限 | ・8級2号 |
局部の神経系統の障害 | 骨折部位の痛み | ・12級13号 ・14級9号 |
麻痺 | 最低でも四肢のいずれかに麻痺 | ・1級1号 ・2級1号 ・3級3号 ・5級2号 ・7級4号 ・9級10号 ・12級13号 |
その等級に応じて、後遺障害慰謝料の金額が決まっているそうなのです。
その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?
慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~
慰謝料には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているそうなのです。
自賠責基準
自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。
自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。
任意保険基準
保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。
ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。
よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。
弁護士基準
保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。
これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。
ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。
よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 金額は低め | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
では、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。
後遺障害等級 | 自賠責基準※2 | 任意保険基準※3 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 | 1300 | 2800 |
2級 | 958 | 1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 単位:万円
※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
※3 旧任意保険支払基準による。
一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。
ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。
これは、入通院慰謝料についても同じことが言えるということです。
加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどだということです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!
自分で慰謝料を計算してみたい
ここまで読んで、自分の事故ではどれほどの慰謝料が受け取れるものなのか…。
今すぐに知りたいと思った方も多いのではないでしょうか。
このホームページでは、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料も含めた賠償金総額がわかる計算機を設置しています。
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選択肢②失った収入(休業損害・逸失利益)を主張する
治療費や慰謝料以外にも、脊椎圧迫骨折によって失った現在・将来の給与・収入を主張し、賠償金や保険金の再計算を求めるという方法もあるのですね。
主には、休業損害と逸失利益の主張をするということになるそうです。
治療中に失った収入「休業損害」
まずは、休業損害について見てみましょう。
休業損害
交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。
では、休業損害の計算方法について見ていきたいと思います。
自賠責保険での計算方法
自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数ということです。
ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。
上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。
任意保険での計算方法
一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。
1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。
日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。
この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。
よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。
しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。
損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。
「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
原則 | 5700円 | 1日あたりの基礎収入 |
上限 | 19000円 |
職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧ください。
失った将来の収入「逸失利益」
次に、逸失利益とは、以下のようなものになります。
逸失利益
後遺症により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。
まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。
後遺症認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。
また、圧迫骨折による後遺症が原因で、
- 会社の部署を異動させられた
- 職業選択の幅が狭くなった
- 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった
など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。
一方で、実際に後遺症が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。
すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺症に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。
そのような場合には、後遺症の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。
ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。
この場合も、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスをもらえると思います!
選択肢③損害賠償請求の裁判を起こす
ここまでで、保険会社との交渉にあたっては、弁護士に入ってもらうことで弁護士基準の賠償が受け取れるということがわかってきました。
しかし、保険会社と争いのある部分については、裁判でしっかり主張立証しなければ、増額が認められない場合があるそうなのです。
実際、示談交渉だけの場合と、裁判を起こした場合で、弁護士基準の賠償額がどれほど受け取れるのかまとめた表があります。
弁護士基準の 賠償額との比較 |
|
---|---|
弁護士が保険会社と交渉 | 9~10割※1 |
弁護士をつけて裁判 | 10割 + 弁護士費用※2 |
※1 保険会社との争いの度合いや、弁護士の方針により異なるケースもある。
※2 交通事故の損害賠償請求においては、その裁判のための弁護士費用も損害として認められる場合がある。
また、休業損害や逸失利益についても、裁判を起こさなければ、増額を認めてもらえないことも多いようです。
つまり、確実に賠償額を受け取りたい場合には、脊椎圧迫骨折を負う原因となった相手に対して、損害賠償を請求する裁判を起こすことも一つの方法となります。
実際の裁判例を見てみよう
ではここで、圧迫骨折の損害賠償について、実際に裁判で争われた事例を見てみましょう。
ケース① |
---|
職業:専業主婦(80歳女性) 障害:胸椎圧迫骨折その他 後遺症:脊柱の変形(6級5号) 《損害賠償》 慰謝料:1382万円 休業損害:548万4780円 逸失利益:582万592円 付添看護費等:125万3399円 |
ケース② |
職業:家事専従主婦(女性) 障害:第12胸椎圧迫骨折 後遺症:なし 《損害賠償》 慰謝料:95万円 休業損害:84万5817円 |
ケース③ |
職業:職業不明(男性) 障害:第12胸椎圧迫骨折その他 後遺症:11級7号 《損害賠償》 慰謝料:470万円 休業損害:49万4340円 逸失利益:673万1112円 |
もちろん、これ以外に、治療費や治療器具の購入費などの実費も認められています。
また、付添看護費などが認められているケースもありますね。
個別の事情にもよりますが、裁判で損害賠償請求の根拠をしっかりと主張することができれば、休業損害や逸失利益も認められています。
後遺症診断のポイント
逆に、後遺症が認定されなければ、後遺障害慰謝料に加え、逸失利益も受け取れないことになります。
後遺症の認定申請にあたっては、病院の医師に記入してもらう診断書の内容も重要となってくるようです。
後遺障害の診断書の書き方については、こちらの記事もぜひご覧ください。
しかし、すでにお伝えの通り、被害者ご本人やご家族だけで裁判を起こしたり、診断書の内容を検討するのには困難が多いはずです。
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また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。
弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。
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以上、脊椎圧迫骨折の症状や治療法や、リハビリ中の生活費や治療費、慰謝料について理解を深めていただけたでしょうか。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、脊椎圧迫骨折の後遺症や保険金についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
まずは、医師の診断を受け、じっくり療養し、お大事になさってください。
それでも残念なことに脊椎圧迫骨折の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら、日常生活に支障が及ぶような後遺症が残るような場合、適正な金額の補償を受けるべきだからです。
しかし、保険会社から示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて慰謝料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 脊椎圧迫骨折の症状や治療法、リハビリなどの基礎知識
- 脊椎圧迫骨折による後遺症の等級や認定基準
- 脊椎圧迫骨折に対する慰謝料などの示談金の相場
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
また、脊椎圧迫骨折の後遺症について、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!
そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。
また、このホームページでは、交通事故の後遺症に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!
交通事故と脊椎圧迫骨折に関するQ&A
脊椎圧迫骨折の原因と症状とは?
原因としては2つ考えられます。1つ目が交通事故や転落などによって腰を強く打ったことによる外傷性骨折です。2つ目が骨粗鬆症やガンが背骨に転移したことでくしゃみなどのわずかな衝撃で起こる病的骨折です。症状としては、強い痛みや足の麻痺やしびれがあげられます。骨折が複数箇所に生じると背中が丸くなり身長が低くなります。 脊椎圧迫骨折の症状と原因
脊椎圧迫骨折の治療費は誰が払う?
原則的な治療費の支払い方法は、被害者の方が治療費を立替え、立替えた治療費を加害者側に請求します。ただし、加害者側が任意保険会社に加入していれば、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払う一括対応という手続きを利用できます。もし、加害者側が任意保険に加入しておらず、支払いが困難なときは、損害賠償金の確定前に、被害者が相手側の自賠責保険会社に前もって治療費を請求できる仮渡金制度を利用できます。 治療費の支払について
脊椎圧迫骨折はどんな後遺症が残る?
脊椎圧迫骨折の後遺症としては脊柱の変形障害、頸部や胸腰部の可動域が制限される脊柱の運動障害、骨折部位に痛みが残る神経症状などがあげられます。骨折したことで脊髄まで影響がおよぶと麻痺が残ることもあります。このような後遺症は、後遺障害に認定さる可能性があります。 脊椎圧迫骨折の後遺症と後遺障害について
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。