小学生が交通事故により左小指等を欠損した判例
認容額 | 346万1501円 |
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年齢 | 8歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 小学生 |
傷病名 | 左小指及び左薬指の欠損 |
障害名 | 左小指欠損 |
後遺障害等級 | 無等級 |
判決日 | 昭和60年3月26日 |
裁判所 | 横浜地方裁判所 |
交通事故の概要
本件事故当時、被害者は、父とともに近所のフィッシングセンターへ行く途中で、子供用の自転車に乗り、約10メートル先を走行していく父の自転車に従って、進行道路を進み、本件交差点にさしかかつた。父は、本件交差点の左右道路を見たが、車両が見当らなかつたので、そのまま進行した。被害者は、本件交差点に進入するに際して、一時停止することなく、そのまま進行した。
加害者は、たまたま付近に車両が見えなかったことから、被害者の進行道路から本件交差点に進入して来る車両はないものと思い、時速約20キロメートルの速度で本件交差点を直進したところ、本件交差点中央付近で、加害者の車両の左前部を被害者の自転車の左ハンドルグリップに衝突させた。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、本件事故で受傷し、通院して治療を受けた。また、被害者の屈曲した左手第四指を伸ばすためには再手術を要する。この再手術によって、被害者の左薬指の運動機能が回復するか否かは不明である。しかし、裁判所は、再手術によって、被害者の屈曲した外形を直すことに利益があると認められるから、再手術の必要性は否定できないと判断した。
後遺障害の内容
被害者は3歳の頃から、専門の講師について、バイオリンを習い始め、7歳の頃には通常同年齢ではこなせない曲をマスターしており、非凡な才能を見せていた。被害者の父は、被害者が将来はバイオリニストに成ることを望んでいた。
しかし、本件事故によって演奏に不可欠の左小指及び左薬指に後遺障害が残った結果、正常演奏をすることは不可能になってしまった。被害者は、正常演奏用をあきらめ、バイオリンを逆演奏用に改造し、逆演奏用を習得するため、再びバイオリンを習い始めたが、後遺障害により習得は困難になっている。
判決の概要
バイオリニストを目指す8歳の児童が交通事故により左小指欠損等の障害を被った場合、慰藉料を増額した。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 36万6900円 |
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通院交通費 | 4万8000円 |
逸失利益 | 134万7317円 |
慰謝料 | 150万円 |
再手術費用 | 40万円 |
バイオリン改造費 | 64万 7000円 |
損害填補 | - 36万 6900円 |
弁護士費用 | 30万円 |
過失相殺 | - 78万816円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。