交通事故で鎖骨骨折|「ずれてくっつく」場合の後遺障害は?
目次
Q1.交通事故で鎖骨骨折が起こりやすい理由は?
鎖骨は短くて湾曲した形をしているため、折れやすい骨です。
そのため、交通事故やスポーツによる事故では、鎖骨が折れることは多いです。
骨折であるため、捻挫や脱臼よりも激しい痛みが引き起こされます。
鎖骨骨折の治療方法は、程度によって異なります。
軽度の場合は、鎖骨バンドなどを使用した保存療法で完治することもあります。
しかし、重度の場合には手術が必要となることもあります。
鎖骨骨折の治療にかかる期間は、骨折の程度や箇所により変動します。
一般的には数週間から数ヶ月かかります。
Q2.鎖骨骨折がずれてくっつく場合とは?
ひとくちに鎖骨骨折といっても、鎖骨骨折のどの箇所が折れるかによって骨折の症状は異なります。
そのため、鎖骨遠位端骨折(外側端骨折)や鎖骨骨幹部骨折、鎖骨近位端骨折と、骨折した箇所によって症状名が変わります。
特に、鎖骨の真ん中周辺が折れる鎖骨骨幹部骨折では、骨がくっついて治った時にもずれてくっつくことが多くなります。
鎖骨骨幹部は骨のくっつきがよい場所なので、多少ずれても、くっつくことができるのです。
ずれが小さい場合は、問題は生じません。
しかし、ずれが大きい時には、本来の鎖骨よりも短くなってしまったり形が変わったりするなどの変形障害が残る可能性が生じます。
また、肩の関節の近くにある鎖骨遠位端骨は、鎖骨のほかの部分に比べて骨が平らな形状になっており、骨のくっつきが悪いです。
そのため、肩が動かなくなる可動域制限という障害が残る可能性があります。
また、くっついた部分がぐらぐらしてしまう偽関節という障害が残るおそれもあるのです。
可動域制限や変形障害などの後遺症が残った場合、鎖骨骨折の怪我そのものによって発生した損害(治療費や休業補償)などとは別途に、後遺症による損害の賠償を請求することになります。
ただし、後遺症による損害の賠償を請求するためには、後遺障害等級が認定される必要があります。
Q3.後遺障害の等級が認定される方法とは?
交通事故における損害賠償の項目は、傷害部分と後遺障害部分に分けられます。
傷害部分とは、事故による怪我が原因で発生した損害に対する賠償を指します。
傷害部分に含まれる具体的な項目は、治療費、休業損害、入通院慰謝料などになります。
後遺障害部分の損害賠償とは、事故による怪我が原因の後遺症による損害に対する賠償となります。
障害を負ったことにより生じた精神的苦痛に対する賠償金が、後遺障害慰謝料です。
また、障害のために失われる将来の収入に対する賠償金である逸失利益を請求することもできます。
逸失利益の金額は、被害者の年齢・職業・収入や、障害ごとの労働能力喪失率から算出されます。
後遺傷害部分の損害賠償を請求するためには、後遺障害等級の認定が必要となります。
等級を認定してもらうためには、損害保険料率算出機構に申請を行う必要があります。
申請方法は二種類あり、加害者側の任意保険会社が書類を提出する方法は事前認定と呼ばれます。
もう一つの申請方法である被害者請求では、被害者側が書類を提出して申請します。
Q4.鎖骨骨折で起こる後遺障害の具体的な等級は?
鎖骨骨折では、骨折が治った後にも手指に痛みやしびれが残ることがあります。
鎖骨付近には手指の感覚にも関わっている神経があるため、骨折の際にそれらを損傷すると、痛み・しびれの症状が出てしまうのです。
このような障害は局部の神経症状として、12級または14級の後遺障害等級が認定される可能性があります。
また、鎖骨骨折により肩こりが残った場合も、その原因が鎖骨周辺の神経の損傷や圧迫であることを証明できれば、後遺障害等級が認定される可能性があります。
鎖骨骨折によって肩を上げられなくなる可動域制限の後遺障害等級は、可動域がどれだけ制限されるかによって上下します。
基本的に、障害の無い関節と比べ関節の可動域が3/4以下である場合は、12級が認定されます。
障害の無い関節と比べ関節の可動域が1/2以下となった場合には、10級となります。
そして、障害の無い関節と比べ関節の可動域が1/10程度以下になった場合は、8級が認定されるのです。
等級認定の際に提出する書類においては、他者が手を添えて曲げた角度(他動値)などによって計測されることになります。
鎖骨の変形が起こったり偽関節が残ってしまうなどの変形障害の場合は、等級は12級となります。
後遺障害等級表では「1上肢に偽関節を残すもの」とされていますが、鎖骨の偽関節はこれにはあたりません。
Q5.後遺障害等級を認定しやすくするためには?
後遺障害等級の認定を申請しても、申請が却下され、等級が認定されないことがあります。
等級が認定されない場合、事前認定によって書類を出していることが原因であることが大半です。
後遺障害等級が認定されると、被害者が示談金で請求できる項目が増えます。
保険会社の側からすれば、支払う示談金の金額がはね上がることになります。
そのため、事前認定では最低限の書類しか提出してもらえず、等級が認定されるための工夫をしてもらえない場合が多いのです。
後遺障害等級の認定の成否は、医師によって作成される診断書や後遺障害診断書に左右されます。
特に神経症状の場合は、外見から判別することは困難です。
そのような障害の等級認定を申請するうえでは、精密検査の結果や、MRI画像・レントゲン写真などの客観的な医学的所見の有無が大きな影響を与えます。
被害者請求を行う場合であれば、医師に相談して、等級が認定されやすくなるような適切な診断書を作成してもらえるように頼むことができるのです。
後遺障害等級認定の申請の結果に不服であれば、異議申し立てを行うことはできます。
しかし、いちど申請の結果が出てしまうと、異議申し立てを行っても結果が変わらない可能性は高いです。
そのため、最初に申請を行うタイミングで、適切な書類を準備しておくことが重要となります。
後遺障害等級の認定の申請の方法や、提出する書類の内容については、弁護士に相談することができます。
さらに、示談交渉も弁護士に担当させれば、慰謝料も高額な弁護士基準で請求することが可能になります。
最終的に請求できる金額は大幅に増額することが多いため、弁護士に相談することをおすすめします。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。